メジャーデビュー前
(2002〜2004年)に綴っていた
自戒の覚え書きリスト
無名とて責任は同じ
素晴らしい出逢いにするために
ぬちぐすい
〜命の薬〜
歌力
〜歌に宿る魂とオーラ〜
反響の杖
〜名誉の中傷〜
喜怒哀楽すべてを養分に
作詞家としての私のカラー
結果で恩返ししたい
風を生み、夢を泳ぐ魚
再生紙の如く
誇り高き亀になろう
ヴァンパイアになってでも書き続けたい
〜夢の中で目覚めた夢〜
生まれることを許された証
raison d'etre
DNAの夢
生まれ落ちた宿命に寄り添う運命
Much rain wears the marble
世間のレールをはみ出した幸せのレール
千の人生、千の出逢い
〜5分間のドラマに〜
継続の才能
〜人は楽園では暮らせない〜
どうすれば作詞家になれるか
それを考える苦楽が血となり肉となる
コンペ、その彼方(をちかた)を
風が生まれる瞬間の波
幸せへの順路
〜回り道は宝探しの時〜
欠点は可能性の宝庫
日美という名の如く
〜日本の美〜
Rebirth
〜全てをクリエイティブに繋げて〜
 
2004.11.27 歌力〜歌に宿る魂とオーラ〜

日経新聞今朝の朝刊裏面に“ヒット曲消えた?”というタイトル記事が大きく取り上げられていました。
加えて“「ミリオン」ついに今年ゼロか”、という見出し付き。
最も売れた「瞳を閉じて」が95万枚(出荷枚数)、アルバムもミリオンセラー7枚のうち半数以上がベスト盤だそうです。

ヒット激減の原因として関係者(ってどの?)が一番に挙げているのが「魅力的な楽曲に乏しかった」との見解で一致しているそうです。
評論家に言わせると「お金を出してまで買いたいという歌がない」のだとか。

でも、「良い歌は売れるはず。楽曲の問題が大きい」とまで言われると、リスナー的視点から見ても疑問に感じます。

良い音楽、良い本、良い映画が売れれば理論通り万々歳ですが、
嗜好は千差万別であり、芸術に於ける是非の判断に答えなどなく、宣伝コストなど様々な要因が絡むため、容易ではないと思います。

実際、発売されている殆どの楽曲がコンペで200、300という激戦区からたった一つ勝ち残って一位に選ばれた楽曲なのです。
制作サイドにしても色んな状況と戦いながら真剣にそれらを選んでいらっしゃるわけです。

それだけの気が遠くなる数の楽曲の中での競争にもかかわらず、そのチャンスの切符さえ手に入れられない作家も大勢います。
参加させて頂けるだけでも大変、ましてや選ばれるのは宝くじの確率よりも低い、、、こういった過酷な条件の中、日々、音楽作家は凌ぎを削っているのです。

一方「ファンもアーティストに対する思い入れが少なくなった」とも書かれていました。
確かに、一部の熱烈なファンの方は見守ってくれていても、そこから派生する広がりが無く、アーティストの魅力が以前より希薄に映ってきているのかもしれません。

つまり歌い手というより「アーティスト」(どちらかというと作り手)という意識が強くなって、
歌い方、声質の特徴が薄れ、歌唱力のある方は増えていたとしても、
本来、持ち歌とその歌い手との一体感から生まれるべきはずの「個性」という名の相乗効果が希薄になってしまった、ということではないでしょうか。

もしかすると、プロでありながら他人の持ち歌をカラオケ感覚で歌う企画番組などが歌に対する親しみを増した反面、逆の要因を生み出してしまったのかもしれません。
 
歌(楽曲)に宿る魂、歌い手に宿る「歌の霊」のようなものが感じられる、それが「歌力」や「オーラ」であり、
その「歌力」「オーラ」を引き出す役割の一端を担っているのが音楽作家でしょう。

「音楽を制作する現場の状況が悪くなっている」という意見も妥当な気がします。
市場の縮小やレコード会社の統合で制作部門のリストラや新人デビューも減少と書かれていました。
昔はディレクターさんが作家を育ててくれた、というお話を聞いたことがありますが、、、これでは新人作家にまでチャンスが回ってこないでしょう。

前述の評論家は「メガヒット時代を牽引した団塊世代が三十代に入った。彼らを核にした音楽を」と提案しておられます。
作家の立場からすると、あまり商業的な考えは持ちたくありませんが、オリコンのインタビューで阿久悠氏が述べておられたように、
発端はどこから(ターゲット含め)であっても、その音楽を聴く層の幅が広がれば広がるほど「真のヒット曲」と言えるのだと思います。
層の狙い撃ちではなく、どの層にも響く歌の世界があるはず、ということではないでしょうか。

私は瞬間的なヒット曲やミリオンセラーも素晴らしいけれど、スタンダードナンバーとして後世に歌い継がれてゆく歌を作ってゆくことが出来たら、作家冥利に尽きると思っています。

その為には創作側が夢を失くさないこと、そして、リスナー側が歌を使い捨てにしないこと、
双方の協力−音楽を心から愛する気持ちを高めあっていくこと−が必要なのではないでしょうか。






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