日経を読む
- 浅くなる日本語表現を危惧、英文
学者柳瀬尚紀氏
単純化がすべてじゃない
日経 2007年4月25日 夕刊 24面
日本語に対する関心が高まる一方で、つたない言葉遣いも広がっている。
英文学者で翻訳家の柳瀬尚紀さんに日本語を守っていく方法を聞いた。
私は近ごろ日本語が表面的で、底が浅くなっていると感じている。
テレビなどの影響で複雑なことを単純化するあまり、言葉が持つ感情や表現力が薄れた。
日本語には膨大な空間が広がっているのに、その広がりに気付かない人が増えているように思う。
「足がはやい」。これを走ることが速いという意味にしか、とらえない人がいる。
「力負け」とは本来、自分の力が強すぎて押しつぶされることを表す言葉だった。
しかし、今は相手に実力で負けたと解釈する場合が多い。本来の意味を知る人がいなくなった。
日本語は書き言葉について、便利な部分が多いようです。
横書き、縦書きが自由で、漢字、カタカナ、ヒラガナ、ルビと表現の幅が大きいことのようです。
柳瀬さんは、さらに語彙の減少と若者の心との関連性を指摘しています。
語彙に込められた感情や、力のある言葉が少なくなったということで。
つい先日、「足がはやい」というのをテレビ番組で知りました。
このごろは、腐りやすいとかしか使わないような気がします。
翻訳家として、日本語の魅力について再確認されているようです。
(2007.06.03)