日経 2007年2月5日 21面
イノベーションで日本再生、「知力結集」戦略見えず、とあります。
ここで紹介されている事例は、ルーターやネットワーク、GXロケット、バイオメタノールの話です。
ます始めに、ルーター市場を米国メーカーにほぼ独占されるなど、インターネット分野で
後れをとった日本の通信業界が巻き返しに出る。
NTTはNECや米シスコシステムなどと共同で、次世代IP網(NGN)の実証実験を始めるとあります。
NGNとはいま注目されているキーワードで、次世代の高品位ネットワークという感じ。
しかし、「ISDNってアイデア・サブスクライバー・ドント・ニーズ(利用者が必要としないアイデア)
の頭文字といわれてきました」と青山友紀慶応大学教授は話す。
青山教授はNTTでISDN開発にかかわった。1980年代後半に挑んだISDNとNGNの状況が似ることを心配する。
家庭にはようやく光ファイバーが普及してきた模様で、私もADSLで済ましています。
「効率」視点なく
今年一月、石川播磨重工業などと文部科学省や経済産業省が参加している官民共同ロケット
「GX」計画に対し、宇宙開発委員会の作業部会で批判が相次いだとあります。
「未知の技術で事業をやるとは不思議な計画」(村上卓司・日本ロケット協会会長)
「技術的に成立するのかわからないのに商業化という言葉をかぶせている」
(米本浩一・九州工業大学教授)
だが、こうした厳しい批判は部会の報告書に反映されず、計画を継続することになんら変わりなかった。
なかなか、簡単には成功しそうもありません。根本的な技術力が試されるという感じだそうです。
保てぬリード
植物から酵素を使って合成されるバイオエタノール。次世代燃料の覇権を狙って世界的に
研究開発が過熱している。だが発酵分野で世界をリードしていたはずの日本の影は薄い。
昨年から今年にかけて国内で相次ぎバイオエタノール生産プラントが稼動した。
しかし生産技術の肝となる酵素はすべて外国産だ。
かなり厳しい現実です。大幅な利益は見込めそうもありません。
どの事例も産業の中核になりうる重要な分野であります。
しかし、NTTの場合は家庭需要に合わない可能性がある。
GXロケットは、技術的に不明。税金の効率的利用に欠けるかもしれない。
バイオエタノールは、遺伝子技術に後れている、自社の技術ではない。
と、まだまだ戦略が見えていない実情というものがうかがえます。
(2007.02.11)