日経を読む
- 「大統一理論」構築のカギに
高エネルギー加速器研究機構 鈴木厚人機構長に聞く
日経 2007年2月19日 21面
−−ニュートリノが注目される理由は。
「現在の物理学の基礎理論で重要な素粒子クォークと、ニュートリノの性質が同じか違うかが、
次の大統一理論を構築するうえでカギとなる。研究は、クォークで言えばちょうど世界がなぜ
物質だけでできているかを説明できる小林・益川理論に当たるところにさしかかった。
ニュートリノ同士の変化が起こる確率などが分かると、ニュートリノで同様に説明できる理論が誕生する」
−−振動実験以外で注目されるのは。
「ニュートリノは他の素粒子と違って粒子と反粒子の区別がないかもしれない。
長年の謎だったこの問題を解決できる現象の検出に手がとどくところまできた。
3種類のニュートリノの質量が異なるか同じかで見つかりやすさが違うが、
同じなら1ケタ実験精度が上がれば見つかるはず。見つかればニュートリノがなぜ小さい質量しか
もたないかを説明する理論の証明になる。我々も実験を計画中で、実現したい」
−−宇宙などを調べる手段としても有効だ。
「かなたの天体、クエーサー(準星)などから出るニュートリノは宇宙線の起源を探す手掛かりになる。
将来の課題は宇宙誕生直後のニュートリノを捕まえること。光(マイクロ波)の背景放射は
ビックバンから30万年後の宇宙が分かるが、ニュートリノが見つかれば1秒後の様子が分かる」
なかなか興味深いです。まだまだノーベル賞が期待される分野であり、
宇宙の謎の最前線に位置しているようです。
ただ、施設費用が膨大な額になるそうで、ビック・サイエンスなどとも言われているようです。
今後は、世界各国が共同して観測を行うようで、まとまった成果が出る可能性が高そうです。
(2007.03.01)
- 細菌にデータ保存
菌1個にFD1枚分、数百年長持ちも
日経 2007年2月21日 42面
慶応大学先端生命科学研究所は二十日、バクテリア(細菌)にデータを保存する技術を開発したと発表した。
生命の設計図であるゲノム(全遺伝情報)に手を加え、残しておきたい情報を埋め込む。
実用化には時間がかかるが、CD-ROMなど既存の記録媒体より格段に小さく何百年も長持ちする“生物メモリー”
が将来登場するかもしれない。
保存したい情報をDNA(デオキシリボ核酸)の塩基配列の形に変換、バクテリアの一種である枯草菌(こそうきん)
のDNA配列に複数個所組み入れた。枯草菌1個に最大フロッピーディスク(FD)1枚分のデータを保存可能なことが
分かった。
画期的な技術だと思います。電磁気的な記録よりも使える可能性が高そうです。
なかなか開発に時間がかかるとのことですが、ぜひ実現してほしい気がします。
(2007.03.17)
- 丹波、恐竜フィーバー
白亜紀前期の化石、発掘続く
現場、ファン殺到 市、愛称で商標
日経 2007年2月24日 夕刊 11面
兵庫県丹波市の約1億4000万-1億2000万年前(白亜紀前期)の地層で、大型草食恐竜ティタノサウルス類と
みられる化石の発掘作業が進んでいる。白亜紀前期の草食恐竜の化石は少なく、推定で全長十数メートルの
全身骨格が発掘されれば世界的価値がある。現場には連日恐竜ファンが詰め掛け、
過疎と高齢化に悩む静かな山里が沸いている。
かなり驚きの話題です。日本では、なかなか大きなものが見つかることは少なかったですし、
こと全身骨格となれば、すごい確率だと思います。
順調に作業は進んでいるようで、これから楽しみな話題です。
(2007.03.17)
- TV番組捏造、危うい無関心
−演出家 吉田直哉氏−
視聴者よ もっと怒れ
日経 2007年2月21日 夕刊 24面
テレビ番組の捏造(ねつぞう)、過剰演出が次々と判明している。
その遠因を演出家の吉田直哉は視聴者の無関心にあるとみる。そして言う。もっと怒れ、と。
「発掘!あるある大事典II」の納豆ダイエット実験データ捏造が報道されたとき、
ああ、これかと思いました。年明けに近所のスーパーから見事に納豆が消えたので、
情報番組で納豆が紹介されたのかと思っていたんです。
前々から言われていることですが、テレビの影響力というものは凄いものです。
このような不正は、そうそうないと思われますが、
バラエティ番組で見られる過剰な演出が際立っているように感じます。
どういうものを見るのは、視聴者の自由という面もありますが、
どちらかというと、感動させるための非日常さが多すぎる気がします。
お金のかけ方も色々ですが、テレビ局の人は良心を持って作品を作ってほしいです。
(2007.03.20)
- アカデミー賞、米国の変化映す
日経 2007年2月26日 7面
世界中が注目する映画の祭典、米アカデミー賞の授賞式が25日夜(日本時間26日午前)、
ロサンゼルスで開かれる。「米国映画と外国映画を分ける必要はもうないのではないか」――。
外国語作品が躍進した今年、米紙ロサンゼルス・タイムズはこんな社説を掲載した。
作品賞候補には「硫黄島からの手紙」と「バベル」がノミネートされた。両作品とも米映画会社の制作だが、
前者は出演者ほぼ全員が日本人。後者は米国、メキシコ、日本、モロッコを舞台に4カ国語で物語が展開する。
監督はメキシコ人だ。
さらに、外国語映画賞部門でノミネートされたメキシコ映画「パンズ・ラビリンス」は同部門としては異例の
6部門でノミネートされている。
世界的な国際化は、ますます加速しています。
様々な文化や宗教は、新鮮な感動を引き起こすと思われます。
また、米国がテロとの戦いに疲れ、価値観が大きく揺らいでいるとあります。
アメリカの圧倒的な影響力が変わってきているようです。
ということで、これからの世の中は、ますますグローバル的な活動が増えそうです。
(2007.03.20)