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2003年12月

目次
・平面加工治具と補助ローラー
・TOOL GUIDE
・関西人の名古屋界隈事情--- IP電話 ---

◆平面加工治具と補助ローラー◆

 11月12月と、私としては珍しく(^^;)注文仕事に追われ、工房にこもって毎日製作する日が続いています。6mのカウンターの下に入るキャビネット三つが終わり、これから3m近いテーブルです。天板は、幅48cm長さ2.8m厚さ45mmのタモの板二枚を並べて作りますが、あまりに大きいためにウチの手押し鉋では平面を出すことができません。それで、写真のような、以前も紹介した簡単なジグを使ってルーターで加工しました。思いのほか上手くいきますので、簡単にレポートします。この方法についての質問は以前からかなりありまして、大型木工機械がないために家具作りを断念されている方に、少しは参考になるかもしれません。

 原理は単純、要するに基準となる面から一定の高さでルーターによってスキャニングしていくわけです。今回の具体的方法は次のとおりです。
 よく掃除した床の上に板を置き、木のクサビを下にはさむなりして、反ったり、ひねったりしている板をできるだけ傾かないように固定します。床はかなりガタガタですが、この際気にしません。あまりに床が信用できない場合は、鉄のアングルや真っ直ぐな集成材の柱などを板の両側に、高さがそろうように置き、水準器や目でひねりが出ていないか確かめます。板が軽い場合は、両側から他の角材で挟むなど、固定することが必要になります。

 さて、ジグですが、3cmX5cmほどの真っ直ぐな角材に1cmほどの板を下に打ちつけたものを二本作ります。長さは板の幅プラス10cmぐらいかな。それらを床から板の最高点までの高さほどの角材をネジで上記のジグに固定し、その上をルーターが自由に滑るようにします。ビットはできるだけ直径の大きなストレートビット等、軸径は12mmか12.7mmの太いのでないとちょっと苦しいです。私はLeeVolleyToolsで購入した、1インチ径のディッシュカービングビットを使っています。周囲が丸くなっているので、境界線がでにくいのと、適当に板の上に乗り上げてくれるので、ストレートビットより扱いやすいようです。写真のジグは全体が床の上を移動します。できれば両側に角材を置いて、その上を移動するようにした方がより正確に加工できると思います。

 今回の板はかなりひねっていて、両端は1cm以上も削る必要があったため、床から一定の高さに墨を回し、ある程度手持ちの電動鉋で落としてから、ルーターで加工しました。とにかく、左右にルーターを動かしながら、前へ少しずつ進めていきます。大量に木屑がでますので、防塵マスクと防護メガネは必ず着用します。ビットに指が触れる可能性は比較的少ないと思いますが、予期しないキックバックなどもありえますので、充分に注意してください。一回の切削量は3mm以下にした方が安全ですが、しっかり持っていれば、もう少し多く削っても大丈夫なようです。

 私は、片面の平面を出した段階で、500mmの自動鉋に通しましたが、使えない場合は裏返して、同じように加工します。加工後は表面にルータービットが通ったヨコシマがでますが、見た目よりも段差は少なく、仕上鉋を直接かけるか、もしくは刃の出を少なくした手持ちの電動鉋で高い部分だけ少し落としてやれば、鉋かけが楽になることでしょう。

 また、長尺物の加工が多いので、写真左の補助ローラーを二台購入しました。オフさんで3980円と安かったのです。耐加重は60kgということですが、60kgも乗せるのはちょっと不安があります。今はバンドソーの後方延長台として使っています。板がローラーで斜めに動くと困る場合は、玉の方を使います。固定ボルトや開いた脚の強度に不安は残るものの、手ごろな値段で、まずまずの使い勝手です。右のX脚のローラーは、以前から使っているもので、高さの微調整が楽にできます。長尺材の引き割りやルーターテーブルでの加工で重宝します。正確な値段は忘れてしまいましたが、4000円ぐらいだったと思います。大工さん達が行くような道具屋さんで取り寄せてくれると思います。



◆ TOOL GUIDE ◆

カナダの友人が、写真の本「TOOL GUIDE」を送ってくれました。バンドソウ、テーブルソウ、ルーター、他、小工房用の木工機械を含む225の電動工具が、最高星5つで評価され、さらに"READER'S CHOICE","BEST OVERALL","BEST VALUE"マークがついています。
READER'S CHOICEは「最高得点」、BEST OVERALLは「お値段度外視でお奨め」、BEST VALUEは「値段も考慮に入れてベスト」というところでしょうか。

 詳しい内容についてここで触れることはできませんが、電動工具以外にも砥石や金属製洋鉋の評価などもあり、見ていて飽きません。こういう評価本が発行されるというのは、日本では考えられないですね。アメリカから電動工具の購入を考えておられる方には参考になると思います。

Taunton’s 2004 Tool Guide $9.99

詳しくは、http://www.thetoolguide.com



◆関西人の名古屋界隈事情◆

--- 続IP電話 ---

 我が家にBフレッツが開通してから5ヶ月。料金が高いから後悔するかと心配していたんですが・・・、していないんですわ。まともな速度が出なかったADSLしか経験がないので比較はできませんが、確かに速く、そして安定してます。Bフレッツが引きたくても引けない方、ごめんなさい、もう元に戻れません。その理由のひとつがIP電話。我が家でのIP電話利用法を紹介します。ADSLのIP電話でも同じです。

 IP電話とNTT回線を切り替えるのではなく、別の回線として使うのです。NTT回線は受信専用とし、IP電話は発信専用および、身内からのプライベート着信として眠っていた古い電話機を接続しています。このようにすれば、娘がいくら長電話していても仕事の電話は受けることができますし、NTT回線からですが、発信もできます。またIP電話アダプタの設定を変えれば、無料で発信はトーン回線として”ピポパッ”と素早くダイアルできるわけです。

 カナダへの長電話が多い我が家ですが、1分10円ですから30分電話しても300円ほど。Bフレッツの料金は何やかやで6800円ほどかかるわけですが、電話代で節約できる分を考えると、トータルで今までと同じか安いくらい。もちろん、ADSLで10Mぐらい速度が出ていたら、その方が安いに決まってます。けど、Bフレッツの安定性と速さを考えると、かなりええ線いっているんとちゃうかな。

 ダイアルアップ、フレッツISDN,かろうじてリンクした超おそADSL,そしてBフレッツとインターネット環境は変化してきましたが、ついにこれで終着点かと思っている今日この頃なのでした。



2003年11月

目次
・バンドソウ購入の顛末
・近所のインテリアショップ
・関西人の名古屋界隈事情--- 繁華街の駐車場 ---

バンドソウ購入の顛末

 ウチでよく使う木工機械のひとつがバンドソウです。引き割り、幅きめ、曲線切断、時にはホゾ取にも使います。今まではデルタ14インチ一台で済ませてきました。もしこのバンドソウが壊れたら、作業が止まってしまいます。
 というわけで、主に引き割り用として、幅広の再研磨可能な刃が付けられる帯このを探していました。引き割りに適した、中型の帯このということで、海外でも使用例があり、国内でもまずまずの評価という、日立工機のCB75F(三相モデル)にしました。3店で見積もりをとりましたが、最終的に関西にいた頃よく行った大阪日本橋の老舗道具店で購入し、メーカーから直送してもらいました。

 出費を抑えるため、「トラックの荷台渡し」という条件で購入したため、200kg近い機械を配達のトラックの荷台から、こちらの責任で下ろさねばなりませんでした。わざと日曜配達指定にし、木工教室の生徒さん達に手伝ってもらってい、無事搬入できました。
 まず、気にいらないところの調整をしました。上下の輪に木屑が付着しないようについている真鍮のブラシが、斜めになって、うまく当っていないのでした。取り外してブラシを削って、ピッタリ当るようにしました。また、刃口の板がいい加減なので、作り変えました。後で聞いた話ですが、昔この板は製品には付属しておらず、ユーザーが自分で作るようになっていたようです。

 さて、ステライト(超硬のような硬い金属チップ付刃)の75mm幅の刃を付けて、動かしてみると・・・、ウーン、うまく切れない。すぐに音がガーと鳴って、刃が振動し、波を打つような切断面になるのです。帯鋸の張り、セリの間隔、ガイドフェンスの角度などなど、どんなに調整しても、カバ・楢・アルダーなどの家具用材を切ると、刃が振動し、うまく切れません。メーカーと販売店に電話したら、「おそらく刃の不具合でしょう」とのこと。二日ほどして名古屋営業所から、全ステライト刃を持って見に来られました。この時は刃を交換するとよく切れるようになったようでした。

 ところが、キャビネットの鏡板用に、30cm近い幅広板を切ってみると、大きな音がして、全然駄目なのです。そのことをメーカーに連絡すると、また見に来られ、いろいろ調整するけど、キレイに切れない。私も「このままだと使えないかもしれない・・・」と暗い気持ちになりました。それで三度目、販売店とメーカーに電話をして、今度は大阪から専門の方が来られました。その結論は下記のようなことでした。

  • 製品付属の標準の刃は”半ステ”、ステライトが一つおきについている刃で、最初の刃には問題があったと思われる。
  • 次に持って来られた刃は”全ステ”、すべての山にステライトがついており、針葉樹はよく切れるが、堅木では振動がでやすい。
  • 三度目の刃、正常な”半ステ”では、問題がでなかった。

 やっとまともに使えるようになったわけですが、いろいろと考えさせられました。10年近く使ってきたデルタとの比較は適当ではないかもしれませんが、少なくとも次のようなことは言えると思います。

  • デルタ14インチはよくできた汎用性のあるバンドソウである。不満なところは集塵が悪いということぐらいか。
  • CB75Fは日本のメーカーらしく、回転部分や定盤、フェンスなどしっかり作ってあるが、セリ(刃の左右の振れを抑える部分)の設計が今一歩という感じがする。
  • 75mmのステライト刃は、デルタの1インチあたり3山の刃などに比べ、かなり恐い。しかし、幅20cm以上の板でも引き割り速度はあまり変わらない
  • CB75Fのテーブルの高さはかなり低い。柱など大きな材木を切断するのにはよいが、細かい作業にはデルタのテーブル高が好ましい。
  • デルタもCB75Fも、音は同程度で、木工機械としては比較的静かなである。

 これからCB75Fにいろいろ手を入れて使いこなして行きますが、アマチュア、あるいはプロであっても、一台目のバンドソウとしては、デルタ14インチが何かにつけ、使いやすいようです。ただし、デルタの場合は日本の代理店経由で購入したとしても、実質上、サポートは期待できず、トラブルの際には自分で部品を取り寄せて治す覚悟がいります。一方、今回のように、日立などの国産メーカー品であれば、購入直後のトラブルには、責任を持って対応してくれることでしょう。これは重要なファクターですね。

◆近所のインテリアショップ◆

 先日、近所にあったマイナーなホームセンターが、ハイカラな(古い表現ですな)インテリアショップになっているのを発見し、早々に店内を拝見してきました。

 正直言って、かなり考えさせられました。前々から思っていたことが近所のこの店で現実になっていたのです。簡単に言うと、北欧やイタリア風の、雑誌の写真から抜け出たような若い人をターゲットにした家具が、とんでもなく安い価格で並んでいるのです。たとえば、IKEAのコピーと思われる、ラミネートした木のバネを生かした椅子が8800円、カラーボックスのような安っぽいものではないですが、フラッシュの雑誌によく出てくるような洋風家具が二万円ぐらい、アルダー無垢のオイルフィニッシュのダイニングテーブルが5万円、ブラックウォールナットの立派な飾りだなが5万円と言った具合。おそらく東南アジアや中国などで作られた家具でしょう。しかし、日本製と品質はそれほど変わりません。また、量産用に金具を多用している点をのぞき、個人の工房で作る家具よりも、ある面、安定していて品質は優れている点もありそうです。

 一方、家具作家、木工家、手作り家具、と言った、個人あるいは小規模な家具工房はどんどん増えています。安易に無垢の家具を作っているだけでは、海外の安い家具と勝負にならないのは見えています。特に、木工を仕事にしようと考えておられる方は、夢を先行させずに、身近なインテリアショップの現状を見ておかれるとよいと思います。

 名古屋木工機械展も見に行きましたが、最盛期には巨大なドーム型の一号館を含む3つの展示場で行われたのがうそのように、今年はたった一つの展示場でした。それでも会場内の人の密度は前より少ないのです。展示をしているブースの方達も、「人出?パラパラですわ」と力なく語っておられました。家具や木工機械の将来は・・・。

◆関西人の名古屋界隈事情◆

--- 繁華街の駐車場 ---

 名古屋では「車がないと生活できない」と言われます。ウチもやっぱりそうで、工房が最寄の駅から3kmぐらいあるので、繁華街へ出るときは、最寄駅近くで車を駐車するか、街へ直接乗り込んで駐車場を探すか、のどちらかです。それで一念発起し(ちょっと大げさ)、繁華街近くの安いパーキングを探してみました。そしたら、結構安いんですわ、名古屋は。

 まず名駅エリア。ご存知と思いますが、名古屋駅のことを名駅と呼ぶんであります。信じられないですが、JR名古屋駅から200mぐらいのところに一時間300円のパーキングメーターのある道路があります。この周辺は30分250円ぐらいの駐車料です。が、駅から400mぐらいになると急激に値段が下がってきまして、30分150円というコインパーキングが出てきます。さらにそこから少し歩くと、30分100円にまたまた下がるのであります。こうなると一時間200円ですから、夫婦で名駅の高島屋へ買い物に行って3時間車を預けて600円。電車賃より安いです。バブル崩壊の副産物でしょうか。

 名古屋一の繁華街、栄。松坂屋、パルコ、三越、など百貨店が並ぶ地域で、市営駐車場なんかは結構高いんです。ところが、ここにもコインパーキングの競争原理が働いてました。老舗デパート、松坂屋から300mほどで、30分100円のパーキングを発見。そして、そのまわりを探したら、ナント40分100円のパーキングがおました。一時間150円でっせ、こんな安い駐車場が、東京で言うたら、銀座三越のライオンから300mぐらいのところにあるんですわ。

 前に住んでいた奈良近郊では、最寄の駅近くのスーパーに車を置いて、電車で街へ出る人がかなり居られましたが、名古屋ではあまりいないんですね。その理由がやっとわかりました。街まで車で出て、安い駐車場に入れるほうが、便利でおまけに安いのですわ。例えば、ウチから公共交通機関だけを使って栄へ出ると、ガイドウエイバス420円、JR180円、地下鉄200円、片道計800円、往復で1600円ももかかってしまうのです。一方車の減価償却と維持費を月二万円と仮定したら、一日600円ほど、遠出をしないならガソリンも入れて一日1000円程度でしょう。

 「脱自動車」を目指す名古屋市に限らず、あまりに交通費の高い日本。車を減らすにはまず公共交通機関の運賃を安くしてもらわないと・・・。



2003年10月

目次
・第三回木工教室作品展
・通販-取扱終了アイテムについて
・関西人の名古屋界隈事情--- 御園座観劇記 ---

第三回木工教室作品展



 二日間、最高の天候に恵まれた教室展でした。教室をスタートして四年目ですが、毎回「手間をかけた分だけ、作品にちゃんと表れるなあ」という素朴な事実に驚きます。自分の楽しみのためで作っているわけですから、効率を考える必要はないんですね。それはアマチュアの強みです。
 規格の決まった物を作っているわけではないので、材料が足らなかったり、ミスをしたところを、あの手この手でカバーするわけですが、それが逆にいい味になったりする面白さがあります。ある方さんから「失敗した後の的確なアドバイス」と言われてしまいましたが、確かに私はミスをカバーするのが得意かもしれません(^^)。
 丸テーブルの上の10個ぐらい並んだ筆箱、同じように見えるでしょうが、作った本人さん達はそれぞれの思い入れがあって興味深く見比べておられました。写真ではわかりませんが、箱物では、接合にアリ組や内ホゾを使った高度な作品が多いです。

 生徒さんであり、生木木工の先駆者でもある加藤さんによる「足ふみロクロの実演」や、スプーン作りやしおり作りも来場者に楽しんでいただきました。彼の最近のホームページには、昨年行ったイギリスでの生木木工留学体験記が掲載されています。「日本からは最初の生徒」ということで、本邦初公開の内容ではないでしょうか。ご興味のある方は彼のサイトに行って見てください。

生木木工、加藤さんのページ
木生


◆通販-取扱終了アイテムについて◆

 真鍮削り出しの高品質な、ブラッソ社製ナイフヒンジを輸入し取り扱ってまいりましたが、その在庫がもうすぐなくなります。そこで次回の輸入について同社と交渉してきましたが、ナント「これからは一万ドル以上の取引」が条件だそうです(涙)。そんな高額な仕入れは私には不可能ですので、残念ですが在庫限りとさせていただきます。
 今後必要な方は、LeeVolleyToolsやWoodcraftなどの大手海外通販を利用して、ご自身で購入される他ないと思われます。ご迷惑をおかけしますが、このような事情ですので、何卒ご理解の程よろしくお願いします。

 

◆関西人の名古屋界隈事情◆

--- 御園座観劇記 ---

 結婚前は時々大阪梅田の、今はない、「トップホット」という小さな寄席で落語や漫才、そして「花月」で吉本新喜劇なども時々見ておりました。営業時代は、親しい取引先の人と、東京の浅草ロック座や日劇ミュージックホールでストリップを見て喜んでいた時期もあります。が、最近はトンと芝居や寄席とご無沙汰でした。ところが、ひょんなことから、名古屋の老舗劇場、御園座の招待券をいただきまして、見にいってまいりました。松平健の「暴れん坊将軍 and マツケンサンバ2」です。

 名古屋ではあまり地下鉄に乗ったことがないんですが、JR千種から東山線に乗り、3つ目の伏見駅で降りると、すでにヨソイキの着物に身を包んだ、シニアなご婦人が多数、歩いておられます。「俺にはどうも似つかわしくない場所やぞ」と内心ドキドキ。今まで歌謡ショウとか、日本のお芝居というものは見たことがないわけですから、その緊張はかなりのもんです。高校生の頃からアメリカの音楽や映画を仰山見てきて、「アメリカの文化はかっこいい、日本はダサい」という、今思えば勘違いも甚だしい、思い込みの時代でした。吉本は知っていても、温泉ヘルスセンターでの歌謡ショウと舞台の時代劇は区別がついてなかったんです。

 御園座は、伏見駅のすぐ上にありました。名古屋でありながら、初めて地下鉄でやってきたその場所は、何となく東京に来たような気がしました。外の自販機でお茶を買い込み、いざ中へ。今まで見たこともないご婦人の多さ、「イヤハヤやっぱりそうなんや」と思いつつ、芋きんつばを食べて11時の開園を待ちます。場所は一階花道のすぐ左で結構いい席。おそらくお客さんの平均年齢は60歳を超えていると思うなあ。ついに私もそういう人の仲間入りか・・・とシミジミした気持ちに。

 開園前の鐘がなり、席につくと場内が真暗闇に。暗い舞台にスポットライトがあたったと思うと、大木が八本並んだ舞台の中ほどに般若の面をかぶった、松健さん登場。神秘的で美しい。それからはご存知、吉宗こと暴れん坊将軍の日光までのお忍び旅行物語なわけですが、正直言って、私、大いに楽しみました。役者さんの隙のない演技、舞台の美しさ、特に最後の日光の紅葉と赤い太鼓橋の光景は、ウーンとうなるものがありました。これは、ひょとしたら、ニューヨークのミュージカルより上ではないですか。日本人なら、一度はこういう舞台を見ておくべきではと、痛感いたしました。

 ただ、1万円以上するんですよね、いい席は。自腹で出せる金額としてはかなり気合がいります。でも、二時間とかではなく、行き帰りを含めると実質ほぼ一日なんです。11時に開園して12時から30分間、幕間、その間に外に出ることもでき、食事をします。12時半から1時間、後半の芝居、1時30分からまた30分の幕間で、2時からマツケンサンバの歌謡ショウ、それで3時ごろに終わるわけです。忙しい現在人には考えられないほどゆったりと時間がすすみます。外に出る機会の少ないご高齢の方が一年に一度か二度、夢のような舞台を見て食事をして一日を楽しむ、そういう贅沢、大切にしたいなと思いました。セッカチな私はゆっくりできずに、芝居だけを見て出てしまいましたが、もったいないことをしたなあと後悔しています。というのはマツケンサンバ2は結構楽しいショウらしいのです。

 日本的文化を再発見する意味でも一度、このような日本的エンターテイメントに足を運ばれては如何でしょうか。



2003年9月

目次
・第三回木工教室作品展
・生木でスプーン作り
・関西人の名古屋界隈事情--- 駅で昼飯 ---

第三回木工教室作品展

 ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。天気に恵まれ、アットホームな作品展になったと思います。来月のHPでレポートさせていただきます。

◆生木でスプーン作り◆

 この春、南木曽の山に遊びに行ったら、林道が通れなくて目的の山に登ることができず、森林公園を散策したことがあります。この時、伐採された白樺の木が登山道の横に捨てられていて、「もったいないなあ」と思い、肩に担いで一本持って帰りました。木工教室が休みの8月前半、この白樺を使ってスプーンを作ってみました。1994年、カペラゴーデンのサマーセミナーで、森に入って木を切り、それからお玉を作ったのを思い出しながら・・・。

南木曽の山中で伐採され、捨てられていた白樺
肩に担いで山道を一時間、疲れました。
割れ目に斧を入れるとこのとおり。四つに割って、木目ができるだけ切れないように木を使います。下の写真では木目がほぼ柾目になるように使いました。
 斧でわることによって、木目の流れを知り、どのように使えばよいかわかってきます。
最初はまず凹んだ穴を丸のみで掘ります。スウェーデン製のノミを使っていますが、日本製でも可能。ぐるっと回すように彫ります。
その後は、穴を指でさわりながら、均一な厚さに外側を削っていきます。乾燥が見ている間に進みます。ヒビが入らないようにできるだけ早く薄い状態にします。約3mm厚を目指します。
バンドソウや手の鋸を使って、形を仕上げていきます。ナイフ、南京鉋、スクレーパー、荒いサンドペーパーなどを総動員して、美しく仕上げていきます。余分な木を限界まで取り除くことによって、美しさがでてきます。
150番のサンドペーパーで滑らかな曲線にし、さらに280番のサンドペーパーでツルツルにします。納得いくまで表面を滑らかに仕上げます。今回はスプーンということで、食用クルミオイルを塗りました。

◆関西人の名古屋界隈事情◆

--- 駅で昼飯 ---

 自称B級グルメの私ですが、いつもいつも安くて美味しい店を探してばかりはいられません。時間の都合や、疲れていて、、「高くてまずい」とわかっていても、駅構内や近くの店で食事をすることが多いことでしょう。

 まずは大阪駅。昔住んでいたのでよく知っているため、どうしても少し歩いていました。時間のある時は、お初天神の夕霧蕎麦や、桜橋のちくまのカモ南蛮揚子江のラーメンなど。やっぱり大阪は食い倒れでっせ、エエ店がようさんありました。時間がない時、ウーン、子供の頃、親父によく連れて行ってもらった、阪神デパート地下の食堂街。これはまさに大阪で、団子チャーメンというドロドロのあんかけ中華麺をよく食べさせられました(先日行ったらチャーメン屋がなくなっていた)。オセイジにもきれいとは言えないですが、大阪の庶民パワーを感じる不思議なところ。超急ぎの時は、ガード下の立ち食い蕎麦でコロッケそばを食べたり、カレーショップも利用しました。カレーショップは食券を買っている間に準備され、座ると同時に出てくるその速さは驚きでした。今はなき中華の「まるい飯店」(駅前第3ビル1Fに同名の店があるが、どうも違うような感じ)、ああ懐かしいなあ。

 東京駅、これは難しい。あまり知らないから、いい店にあたったことがない。世界の大都市、東京の駅に入っているテナントの賃貸料はどえらい高いでしょうな。そやから、安くて美味しいものはないとあきらめ、ファーストフードでまにあわせるか、秋葉原や神田まで足を伸ばすことが多い。おそらく徒歩5分圏内に、面白そうな店はないと思う。私にとって東京駅で昼飯は辛いのひと言。東京駅構内でおすすめのお店がありましたら、ぜひ教えてください。

 神戸元町生まれの私、流石に食べるところには困りません。センタープラザ一階の「泰記」、元町の「丸玉食堂」、三宮本通の「丸萬」、全部中華ですな。結構洋食でもいいところがありまして、元町駅南の肉料理屋さんでビーフカツやランチをよく食べたもんです。有名な中華街も近いですが、最近は観光客目当ての変貌が気になりまして、ぎょうざ苑ぐらいしか行きません。

 いよいよ名古屋。ウーン、辛い。特に名古屋駅周辺には好みのお店がない。よくテレビに出てくる駅麺通り、あんな狭い、暗いところで30分も並んでラーメン食べる気にはならへん。こういう時、よく行くのは、マイナーなビルの食堂街。高島屋が幅を効かせている昨今やけど、松坂屋やメルサがあるでよ。駅前松坂屋の七階食堂街なんか、お客さんの数も適当で、その割にお店が多い。「尾張名古屋は地下街でもつ」というそうやけど、地下のお店はようしらん。とにかく、大阪神戸に比べると、個性的なお店がないような。知らないだけかもしれません。

 先日神戸に下宿中の息子と大阪で会って昼飯を食べ、コーヒーを飲みました。「おとんの行く店は、シニア向けやな」と言われてしまいました。確かに白髪まじりの紳士がほっとしたように食べている姿が多かった。いやはや、いやはや・・・。



2003年8月

目次
・手加工について
・オートマチックドライバー
・関西人の名古屋界隈事情--- ポイントサービスVS浪速の通販 ---


◆手加工について◆

 私は日本の伝統的な木工技術で家具つくりを始めましたが、雑誌等で米国での裾野の広い木工を知り、アメリカ流木工に入れ込んだ時期があります。その後、北欧の木工を実際に見たりして、今は「せっかく日本に住んでいるんだから、海外の人から憧れられる日本の木工技術を修得しない手はない」と考えるようになりました。

 手加工のハードルの高さは、おそらく刃物の研ぎや鉋でしょう。私の木工教室では平鉋を研いで仕立てることからスタートします。研ぎと台直しは、誰かに教えてもらわないとなかなか修得できないものです。それを承知で、基礎コース一日目の内容を書いてみました。
 書きながらも、文章で研ぎを教えることの難しさをあらためて感じました。0.3mmとかの微妙な隙間は写真では表現できないですし、教室で実際にそれを見てもらっても、「わからない」という方も多いのです。それでもこの手引き書が実際の指導をうけることができない方に少しでも参考になれば幸いです。今後もわかりやすい図や写真ができれば追加します。

木工基礎コース一日目の内容
平鉋

PS
遠方の方等で「研ぎだけ習いたい」と言う方がおられましたら、平日なら対応できることがありますので、メール等でご相談ください。

 

 ◆オートマチックドライバー◆

 写真の道具ご存知でしょうか?ドライバーの老舗ベッセルのヒット作、「オートマチックドライバー」です。インパクトドライバー全盛の昨今、ほとんど使われなくなっているようですが、教室ではこのドライバーのおかげで生徒さんがネジ山をつぶされる頻度が激減しました。特に小さなネジには効果的ですし、頭をたたけばインパクトのような効果も期待できま。3500円で購入しました。少々高いですがこれは今でも優れものです。忘れさられて製造中止になる前に、入手されては如何でしょうか。少し安いDIY向け商品もあるようですが、頭を叩ける丈夫なこのプロ用モデルをおすすめします。

◆関西人の名古屋界隈事情◆

--- ポイントサービスVS浪速の通販 ---

 今月の本題に入る前にご報告、7月18日にBフ○ッツ、開通しました。安定していて速いですが、事前の予想どおり、それが必需というわけではありません。ADSLで1Mbpsぐらいの速度が得られるなら、それで充分です。今はサービス期間ですが、トータルで月6800円もかかります。現在のところ、それだけの価値はないように思います。

 さて、前々から「気にいらんなあ」と思っていることを書きます。東京へ時々夜行バスで行ったりしますが、新宿バスセンターの近くには、ようさんコンピューターを売っているデッカイカメラ屋さんがあります。何度もそのお店に入っているのですが、まだ買ったことがありません。というか、買えないのです。表示の値段はあまり安くないのですが、「20ポイント還元!」とか書いてあって、そのポイントは次回その店で買った時に、値引きされるシステムらしいのです。ウチの近くのヤ○ダ電機も同じようなポイント制を行っているみたいだし、他の業種でもこのポイント制はかなりはびこっているらしい。

 だが・・・、ちょっと待てよ。それって、「その店でしか買えない」というワナやんけ。カミさんによると、私はよく「ワナとちゃうのん」と言うらしい。そう、私はワナが大嫌い。ポイント制は、次もそこで買わせようとするお店側のワナ。そのワナによって、「今度はどの店で買おうかな?」という個人の自由が束縛されるのだ(ちょっと大袈裟)。私は自由を束縛されることが大嫌いなので、どうしてもポイント制のお店が好きになれないのであります。「買い物にもっと自由を!」、「ポイント制粉砕」、「自然と次も買ってしまうような対応を!」とか叫ぶ私でありました。

 買い物ではブツブツ文句の多い私ですが、最近はほとんどのパソコン関連製品を大阪浪速の日本橋にある通販会社、ナ○ワ電機から買っています。全然文句ないんです。ホームページで発注し、確認メールが来たら、銀行に代金を振り込み、明日か明後日には物が到着するというシステム。1万円以上のものは送料無料のために実質上、どこよりも安いことが多く、対応が早い。最初は先にお金を振り込むことに抵抗があり、「もしトラブルがあったら日本橋に乗り込んで文句言うたる」と覚悟しましたが、そんな心配は無用でした。一度初期不良の品が来たことがありましたが、着払いで返品し、すぐ交換してくれました。ポイントみたいな姑息な手を使わんでも、ついついこの通販で買ってしまうんですわ。

 大阪人はセッカチ、私もセッカチ。「気に入った、即金で買うで」というような浪速の商売、ええなあ。ウチで数年続けている木工関連の通販ですが、ほとんどは先に品を送り、後で入金してもらうわけですが、今まで代金を回収できなかったことが一度もありません。まだまだ日本捨てたものではありません。クレジットカードや代引を使わずに、信頼関係で商売する、これが浪速の商いでっせ。やっぱりポイントサービスに未来はありませんで。



2003年7月

目次
・セラックの反響
・ソープフィニッシュ
・関西人の名古屋界隈事情--- ブロードバンド ---

◆セラックの反響◆

 先月取り扱いを開始したセラック、予想以上に大きな反響がありました。教室でもセラックを仕上げに使ってもらうと、まわりの人が寄ってきます。その理由は次のようなものではないでしょうか。

控えめな光沢が美しい
 テカテカではなく、しっとりした光沢である。(注:ウレタンでもタンポを使って「拭きウレタン塗装」をすれば、結構いい感じに仕上がる。)

明るい木の色がそのまま
 バーチやメープルなど、明るい色をそのまま残したい場合に最適。

匂いがよい
 アルコールに混じってセラックの甘い香りがし、塗装中周りの人が寄ってくる。

乾燥が速い
 短時間で仕上げができる。塗り重ねも可能。

欠点は水や熱に弱いことでしょうが、それ以上にメリットの方が多いようです。ただ、私の好みは、あくまでアッサリ仕上げることで、鏡のような仕上にはあまり興味がありません。私は、適当な量を使用直前にアルコールに溶かすだけ。布を丸めたタンポで丁寧に塗りこんでいます。ただ、アルコールの蒸発が速いので、こまめにビンのふたをし、タンポも使わないときは、ガラス瓶にすぐに入れています。

 ◆ソープフィニッシュ◆

 北欧の椅子には、「ソープフィニッシュ」という仕上げ方法が使われていることがあります。前々から気になっていたのですが、先月定番の椅子を作った時、試してみました。ソープフィニッシュの方法については、スウェーデン留学中の知人を通じ、デンマークで木工を勉強したことがある人から教えてもらったごく簡単な情報しか持っておりません。それは実に単純で、「どこのお店でも売っている洗濯用石鹸をぬるま湯で濃い目に溶かし、それをたっぷり木に染み込ませる。そして乾燥してから、しっかりサンドペーパーをかける」というものです。

 今回は、デンマークで売られているというフレーク状の石鹸をもらっていたので、それを使いまいましたが、日本製では布巾洗い用の安い石鹸がいいという話を聞いたことがあります。余談ですが、「安全」や「天然」を看板に法外な値段の石鹸がありますが、それらを使う必要はありません。授産施設などで小規模に作られている廃油石鹸などが適していると思います。
 かなり濃い目(40倍〜50倍という資料がありました)に溶かした液をスプレーで塗布すると良いそうです。ハケで塗ってみましたが、泡が立ちやすいです。泡が立たないように鉱物成分の多いミネラル水で溶かし、それをスプレーするなどして、たっぷり染み込ませるのがポイントではないかと思います。また水に弱い酢ビ系の接着剤ではなく耐水性のある接着剤が望ましいと思います。

 乾燥後、280番ぐらいの研磨紙で十分に研磨します。二度三度と塗布し塗膜を作るやりかたもあるようですが、私は塗膜は必要ないと考えています。また、導管の大きな環孔材よりも、バーチやメープルなどの散孔材が適していると思いますし、石鹸の白い粉が目立つことがない、白い材がより適しているでしょう。

 要するに、ソーフィニッシュは「塗装」ではなく、未塗装と考えた方がよさそうです。汚れが深く浸透しないように石鹸を塗りこみ、多少の汚れは水で拭けば落ち、それでも取れない場合はサンドペーパーをかけて汚れを取る、そういう仕上げです。有名なYチェアでもソープフィニッシュが一番安く、オイルやウレタン仕上げのモデルは少し値段が高くなっていますね。石鹸水をスプレーしてサンドペーパーをかけるだけですので、手間がかからないのでしょう。

 ところで、デンマークの石鹸は、かなり油分を感じるものでした。日本ではどのような石鹸が適しているかわかりません。石鹸について詳しい方、アドバイスいただければ幸いです。

◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- ブロードバンド ---

 いやはや、ブロードバンドの代名詞、ADSLでは苦労してます。工房のある場所は名古屋市内ではありますが、別名「名古屋のチベット」と呼ばれ、ちょっと前まで何にもなかった所なんであります。その証拠に、工房南の残存緑地にはキジ君が生息しており、早朝に「ギャッ、ギャッ」なんて、鳴き声を聞くこともありますし、5月には竹の子目当ての人が毎朝やってくる、昨年はヤスデ君が異常発生して6-7月は毎朝何百匹というヤスデを退治せねばなりませんでした。
 そんなわけで、N○Tさんが、フ○ッツADSLなんかを宣伝しても、なかなか提供エリアにならなかったので、長い間フ○ッツISDNで辛抱してました。一年ほど前やっとエリアに入ったので、ISDNを解約しフ○ッツADSLを申し込んだのですが・・・、信号が弱くてリンクランプがつかず、再度契約料を払って泣く泣くISDNに戻したのでした。

 家電量販店の入口やスーパーの店頭で、福袋みたいな赤い紙袋を配っている集団が目につき始めたのは、去年末のこと。聞けば(聞かなくてもユニホームを見ればわかるが)、ヤ○ーBB、ビービーと喧しい客引きやからBBではなく、それはブロードバンドのことでありました。

 ADSLでは一度エライ目にあってるのに、ヤ○ーBBの12MBなら、ひょっとしたら・・・、そんな甘い期待で、「今度が最後、駄目ならケーブルインターネットや!」と申し込んでしまいました。またしてもISDNを捨てADSLにトライ、俺はやっぱ懲りない未練がましい男。
 いざ工事当日、ADSLモデムをつなぐが、やっぱりリンクランプ点灯せず。このときのショックの大きさは、予想していたものの、大変なもんでした。ISDNとはいえ、常時接続に慣れた体には、電話料金を気にしながらのダイアルアップに戻るのは耐えられないものになっていたのであります。ああ、失意のどん底。「N○Tのやつめ、ISDNや光ケーブルなんぞを引き回すから、こんなことになるんや」、「ヤ○ーもあんだけ宣伝するんやったら、なんとかせいや!」と怒ってもしゃあないなあ。何度も何度もボヤキ倒していたら、突然ポッ、ポッとリンクランプが点滅するやおまへんか。

 ああ、神様仏様、ヤ○ー様。初めてADSLなるものに繋がったのであります。おまけにB○フォンという、けったいな名前のインターネット電話も使えたのでありました。
 しかし、感激は時間とともに無感動からさらなる要求へと変化するもんです。どうも、ISDNの三倍程のスピードしかないようや。何回スピードテストのサイトで試したことか。平均160Kぐらい。サポートに電話したら、「ほとんど使用限界の速度です、ご不満でしたら、無料期間中にキャンセルしてください」とのこと。リーチDSLなどという、マージャン、テンパイみたいな、方式もあるようですが、ウチはそのサービスエリアになっていないのでありました。

 派手な宣伝や経営戦略には疑問もありますが、ヤ○ーBB、繋がってしまえば便利でした。ADSLとしては超低速ではあっても、今までより3倍は速いし、B○フォンは、普通の電話より音がいいくらい。二ヶ月ほどはすべてタダということで、カナダの娘や神戸に下宿している息子に電話しまくり、しまいに「もう電話せんでいいでえ」と言われたぐらい。いいことだらけのようですが、やっぱり心配の種は皆無にはならなかった、ナント一日に数回リンクが途切れるのだ。不安定が一番致命的。ああ、これさえなければ・・・。

 というわけで、「工事費無料」の宣伝文句に惑わされ、今度はまたまたBフ○ッツを申し込んでしまいました。7月中旬、光は開通するわけですが料金が高い。実は、ADSLがちゃんと繋がるようになれば、またADSLに戻すつもり。特にインターネット電話は、結局のところ、通常の電話回線を併用しなければならず、ADSLの方が適しているからです。「光からの出戻りADSL」が安定して繋がった時、私のブロードバンド漂流は終焉を迎えるはず・・・、です(あくまで予想)。




2003年6月

目次
・漂白脱蝋セラックの取扱開始
・ルーター二機種の第一印象
・関西人の名古屋界隈事情--- ホームセンター ---

◆漂白脱蝋セラックの取扱開始◆

 欧米では家具の仕上によく使われる、セラック(セラックニスの原料)樹脂の中で漂白し蝋分を取り除いた国産漂白脱蝋セラック(欧米ではスーパーブロンドと呼ばれる)樹脂の取扱を開始します。詳しくはセラックのページをご覧下さい。

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◆ルーター二機種の第一印象◆

 教室でルータービットを頻繁に付け替えるのは不便であり、また気軽に使える軽量のプランジルーターとやや強力な固定ベースルーターが欲しくて、英国と米国からTREND-T5ルーターと米国MAKITAのRD1101型Dハンドルルーターを購入しました。まだほとんど使っていませんが、その第一印象をレポートします。

TREND T5ルーター

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 英国のTREND社が扱っている軽量プランジルーター(115Vモデル)ですが、Elu社の設計によるものだと思われます。比較的安いと思い込み、買ってみたのですが、ポンドであることとや送料が高く、実際には4万円弱かかってしいました。
 デウォルト社のルーターもそうですが、プランジルーターの老舗ELUの設計ではあっても、本家のものよりどうも品質が劣っているように感じます。ガイドフェンス、プランジ機構、スピードコントロール機能、どれもイマイチです。おまけに私が購入したものは、輸送時のショックが原因とみられるヘッドカバー取り付け部分の破損があり、何とか修理したものの、ひ弱という印象は否めませんでした。でも、このような電子制御の軽量ルーターが国内では見当たらず、ぜひ国内メーカーで品質のよいこのような製品を作ってほしいと思いました。なお、オプションで6mm8mmのコレットコーンもありますし、集塵ノズルや簡単な円加工ジグも標準で付属していることはいいことだと思います。
 入手後、ガイドフェンスの直角、直線性の修理と調整、切削深さ切り替えリボルバーの精度向上用ワッシャ追加、ヘッドカバー取付ボルトの付け替え、電源プラグの交換を行っています。

米国Makita、RD101ルーター

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 静かさで評判のモデル。何度かマキタ本社に問い合わせましたが、北米のみで販売しているとのことです。WoodWorkersSupplyからの購入、送料込みで3.5万ぐらいかかりました。

 本体の回転音は本当に静か、特に中速度以下の静かさは特筆物です。しかし、加工時の音は主にビットからの音であることから、実際にどれほどメリットがあるかは?です。Dハンドルは初めてですが、手が小さく力のない私には、片手で使うのは少々無理な気がしました。またプランジ派の私は固定ベースはどうも使いなれません。特に、一回の切り込み量を少なくして安全に加工したい場合、プランジルーターの方が良いと思います。カタログでの予想よりもヘビーな感じで、北米向けに主として1/2インチ軸のビットを使うためにP社の対抗馬として開発されたものでしょう。

 日本のM社、H社、R社さん、優秀な技術をお持ちなのですから、ぜひ電子制御の軽量プランジルーター、固定ベースルーターを発売してください。中国製など安価な電動工具が急速に入ってきていますが、まだまだ日本製は品質面で大きな差をつけていますから。

◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- ホームセンター ---

 ウチの工房を建ててくれた大工さん達、実に話好きでホームセンター好きでありました。面白そうな小物があるとすぐに買って来て皆に見せたりしてましたが、その反面、電動工具については、M社とH社のものしか使っていませんでした。それも、馴染みの道具屋から必ず買っています。電動工具が故障したら仕事になりません。もしも故障したら、「お前んとこで買った道具、壊れたやんか、なんとかしてくれ」と道具屋さんにねじ込み、すぐに修理をしてもらったり代替品を貸してもらったりするわけです。だから大工さんはM社やH社の製品が壊れにくいと経験的に知っていて、安い海外輸入品を使わないのです。

  関西の時はまだ木工専業ではありませんでしたが、ホームセンターが大きく成長する時期だったのでしょう、近所のコーナンやロイヤルホームセンターにはよく行きました。海外からの安い電動工具を並べてくれ、M社やH社が幅を利かせているのがどうも気にいらなかった私には、とてもありがたい存在でありました。 名古屋に来てから、周辺にあるカーマ、エンチョウ、アント、マルス、カインズといったホームセンターによく行きますし、市内中心部には東急ハンズがあります。でもこの頃、ホームセンターは日本の道具をダメにするのではないかと大変否定的になっています。

  スーパーに勤めていたこともある私ですので、ご存知かと思いますがホームセンターの値段設定について少し説明します。普通の小売業は仕入れ価格に何割かの利益や手数料を上乗せして販売価格を決めます。一方ホームセンターでは、品物や販売時期によって上乗せする利益を大幅に変えることにより、消費者が安いと勘違いするような販売方法によって集客をし、利益の大きな商品も買わせることによって、トータルで利益を確保します。ホームセンターのバイヤーは売上と利益の目標を達成するよう、「安くて儲かる」商品を血眼になって探します。仕入れ先の問屋や輸入業者は、それこそ安いものにドンドン目をつけていくわけです。小売店の店主が、お客との信頼関係を大切にして品質に責任が持てる商品を仕入れるのと対照的です。

  最近ホームセンターに並ぶ道具類の品質が急速に低下しているように感じます。替刃の鋸だって、定評あるメーカー製を置いている店がだんだん少なくなり、より安く、品質はどうかわからないものが棚を占めることが多いようです。  名古屋に限りませんが、ホームセンターによって小さな道具店が閉店し、さらにホームセンター間の競争で、安いけどひどい商品しか手に入らなくなる、そういう傾向が見えています。「ホームセンターが悪い」というわけではありません。昔ながらの小売店や道具の流通に安住していた業界の体質も問われるべきです。が、はっきりいえるのは「ホームセンターにいい道具はまずない」ということです。

 いつもの名古屋界隈事情ではなく、まじめになってしまいました。タイガースの勢いにのって(なんで関係あるんや?)、小さな道具屋の親父さん達にぜひ頑張ってもらいたいと思います。またこれから木工を始められる方、ぜひ近くで道具屋さんを見つけて、一度覗いてみてください。


2003年5月

目次
・自宅で木工をするには
・関西人の名古屋界隈事情---回転すし---

◆自宅で木工をするには◆

 最近は、「木工を仕事にしたいのだが・・・」というような相談を受けることが多くなりました。いきなり職業に飛躍するのではなく、まずは自宅で木工をしてみては如何でしょうか。限界はあっても工夫すれば、かなりのことはできるものです。

何がしたいか、何ができるか
 機械がないと木工はできないと思っている方は多いと思います。実際そういう側面はありますが、作る物を選べば、アパートの一室でも可能な場合があります。たとえば、「江戸指物」と呼ばれるような小箱などの工芸品的な作品は、畳二畳ほどのスペースと削り台と手道具で作ることができます。ただし、手道具をちゃんと使える技術が要りますが。私見ですが、手作り家具より、このような工芸作品の方が、実際には売れるのではないかと思っています。 
 一方、椅子などの比較的小型の家具であれば、一戸建てか屋根付きのガレージをお持ちなら、小型の木工機械を導入して本格的な製作をすることができます。私自身は前の自宅で100Vの木工機械を六畳に入れて、長さ2mのダイニングテーブルまで作っていました。工夫すればかなりのことがやれると思います。
 私は得意ではありませんが、木工ロクロは、少ない機械でできる分野です。足踏みロクロなど、全くの人力だけで加工することもできます。ウィンザーチェア製作講習会でお会いしたトム先生は、「木工で生活したければロクロを練習しなさい」と言われていました。
 糸鋸木工も、機械ひとつでできます。欧米ではスクロールソウパターンなどの本も出版されており、立派な分野になっているようです。
 さらに、手彫の食器や、スプーンといった、全く電動工具を使用しない木工もあるのです。家具や木のおもちゃを作る人は山ほどいますが、日本で手彫のスプーンを作っている人は何人いるでしょうか。人のやっていないことの方が、将来性があるかもしれません。

指物など小物の製作
 長さ約1m、幅30cm、厚さ5cmほどのしっかりした削り台がほしい。本当は狂いにくいい木で作りたいけど、平面がしっかり出ている20mm合板を4〜5枚に切断し、ボンドと木ネジで貼り付けて作ってはどうだろう。これと鉋・鋸・鑿・玄翁でスタート。問題は技術だが、研ぎだけ誰かに教えてもらってマスターすれば、あとは努力と能力次第。ホームセンターではなく、アドバイスをもらえる道具屋を探すことが重要と思う。これに小さなボール盤とバンドソウがあれば最高。これらの機械は比較的音が小さいので、集合住宅でも使えると思う。

椅子など、小型家具の製作
 平面と直角を出す手押し鉋と自動鉋、正確な切断をするテーブルソウ、バンドソウ、それに集塵機があれば、かなりのことは可能になる。

手押し自動鉋
 各社から軽量な木工機械が発売されています。私はH社の幅150mmの手押しと自動がセットになった機種を使っていました。その頃「幅が20cmあったらなあ」と思ったものですが、欲を言えばきりがありません、それで充分です。幅広い板なら狭くしてあとからそれをはぎ合わせればよいのですから。その方が歩留まりもよくなることもよくあります。むしろ幅よりも定盤の長さの方が重要と思います。その意味では、最近の軽い機種よりも鋳物でできた重い機種がいいです。私が使っていたのは重さ80kgでしたが、キャスターをつければ移動は全然問題ないです。

テーブルソウ
 M社の2708というモデルを工夫しながら使っていました。ホームセンターで売られている安いテーブルソウ、使ったことはないのですが、安物買いの銭失いにならないか心配です。鋸刃はチップソウという超硬チップのついた刃数40〜60枚ぐらいの刃をつけてください。米国デルタ社のテーブルソウは静かで定評があるようです。国内でも何社か販売しており、予算があるならおすすめかも(私は使用経験なし)。

バンドソウ
 デルタの14インチかINCA340。デルタは入手しやすいが重い(100kg以上)、INCAは入手しにくいが軽い(30kg)。

集塵機
 今も使っているM社の410、容積や音に不満は残るが、値段のわりによく働く。同類の集塵機が各社から発売されている。修理ができるよう国内メーカー製を。

 上記で30万〜40万。全部そろえる必要はない。、ただひとつ選ぶとしたら・・・、バンドソウかな。テーブルソウは手押し鉋で平面がでている材の切断が前提ですから。

木工ロクロ
 専門的にやっておられる方が多数おられます。インターネットで探してみてください。ここでも安物買いの銭失いに気をつけ、重くてしっかりしたロクロとHSS製の刃物(これは海外のものが圧倒的に良さそう)を手に入れることが大切でしょう。重い機械ほど静かです。

糸鋸木工
 専門メーカーのしっかりした糸鋸を選ぶことが大切。旭工機のスクローラーなど、高価ですが、専門的にやるなら、後悔しないものでしょう。

(注意)
 木工機械は使い方によっては大変危険な機械です。指がなくなるどころか、内臓破裂による死亡や失明の危険もあります。安全に注意するとともに、事故の責任は使用者本人にあることを充分に認識して使ってください。

◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- 回転すし ---

 ご多分にもれず、お寿司は大好物である。オヤジから「すし屋は怖いぞ、客の顔みて値段つけるから、気つけや」と散々聞かせれていたので、「すし屋=高い」という図式が頭の中に出来上がっている。その反面「なんでベルトコンベアにのってる干からびた寿司を食べなイカンねん!」と長い間思っとりました。

 というわけで、大阪の時は、東通の亀寿司に時々行きました。ここは注文したら、その分の金額がわかるプラスチックの札を目前の棒にさしてくれる。明朗会計があたってよう繁盛し、まわりには縄ずしとかよく似た名前の店が沢山できて・・・。一人3000円ぐらい、高いもの食べると4000円ぐらいやったと思う。
 東京で一度だけ浅草の某有名店にカミさんと江戸前のすしを食べに。身のほど知らずに7000円のコース(これが最低やった)、たしかにフワットして温かい寿司飯はおいしかったけど、すぐに腹減ったわ。それに板前さんの前で、こちらの方が超緊張し、ゆっくり食べた気がしなかった。そんで、東京では築地にある大衆向け大規模寿司店「江戸銀」へよく足をはこぶ。営業マン時代にはここで接待をしたこともあるのだ。昼なら1000円の寿司ランチ、大盛1500円。夜、カウンターに座ってお好みで食べると結構する(やっぱ7000円ぐらい)が、テーブル席で松竹梅のセットをたのめば、安心価格。それでもここの中トロは美味い。

 さて、ご当地名古屋。木工屋になってからそんな高いすし屋へ行けるわけはなく、仕方なく(あくまで仕方なく^^;)回転すしの店を回ることに。そういえば、東京上野の回転すし屋に入った時、回転すしやのに、お客のほとんどが「キンメ」「アジ」などと大声で注文していたのにビビッタことがある。「何のための回転や!」と思った。話が脱線したが、地域掲示板でおすすめの回転すし屋を聞いては行ってみる。奥方は「あの店はアルバイトが不潔そうに握ってた」とか娘は「回転すしやのに注文せなあかんのん嫌いや」とか、好き勝手言い放題。並ぶのは嫌やけど、客の少ない回転すしほど寂しいものはない。乾燥しないように透明なプラスチックのフタが被せてあったりするともう最低。
 皿の色や柄に注意が必要。だいたいピンクや青の模様のないのは安いはずだけど、時には緑の普通に見える皿が300円だったりするので、食前に充分なチェックが必要である。車で行くことが多いので、酒を飲まずに食べる。すると皿の色と値段に絶えず注意がいってしまい、どうもよくないなあ。かと言って100円均一は子供だましやしなあ。文句や講釈をたれつつも、やっとお気に入りの回転すし屋を見つけました。店名は極秘(^^)だが、要するに人が並んでいて、清潔で、店の人の態度に好感が持てる店ですわ。そういう店は、握りたてのフワットしたご飯が温かい握りを食べることができる。これやったら、回転すしでも構いません。
 それから、ベルトに並べる順番やけど、店側としては何回か回っているやつを取ってもらわなイカンから、お客がふと取る位置にそういうのを配置する傾向がある。例えば、ミズミズシイ美味しいそうなイカが、プラスチックのわっぱに乗って、「どや美味しそうやろ!」と先頭きってやってきた場合、「どうしょうかな?」と一瞬考えて手を伸ばすと、そこに周回遅れのイカ君がいたりするのである。「美味しいそうと見たら迷わずその皿を取る」、これが鉄則かも。

今月は妙に力は入ってしまった。ケチな関西人の本領発揮でしょうか。 関東では100円回転すしのチェーンが大ブレークしているという。名古屋上陸、お待ちしています。



2003年4月

目次
・カナダ・NYツアー
・関西人の名古屋界隈事情---名古屋空港---

◆カナダ・NYツアー◆

 2003年3月24日〜4月2日まで、カナダのモントリオールに短期留学中の娘やトロント近郊に住む友人を訪ね、その後初めてのニューヨークへも足を運ぶ旅をしてきました。大部分は私的な旅で、木工とは縁のない話が多いですが、楽しんでいただければ幸いです。
 インターネットで知り合ったエドワード、NYブルックリンの快適なB&B、ザ・ワンハンドレッドのようこさん、娘のお世話になっている友人や学校のスタッフの方、皆さんありがとうございました。

 

カナダ・NYツアー2003


◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- 名古屋空港 ---

 豊中に住んでいたことがある。伊丹空港までタクシーで1000円もかからずにいけた。超便利だが、雨の日など飛行機の音うるさいことも。一方工房から名古屋空港まで車で約30分。ほんとに街中の空港である。着陸路は住宅地のすぐ上で、もしものことがあったら、大変だとは思うけど、便利ではある。国際線は、小さい建物だけれど、使い勝手がよく快適。駐車場も一時間150円と安い。こういう便利さが、新中部国際空港になるとなくなるのは辛いなあ。

 昔から飛行場が大好きでした。高校生の時はUコン飛行機で友達と遊んでいた。その友人は飛行好きがこうじて、今は全日空のパイロット養成学校の先生をしている。
 どうしてあんなデッカイ物が飛ぶのか、今だに納得できない。伊丹空港では阪急曽根駅西側に着陸進入路の真下で飛行機を見物できるスポットがあって、よく行った。ジャンボなんか飛んでくると、頭にあたりそうな気がして、思わず体を低くしたことも(そんなことは起こるはずないが・・・)。それほどの迫力。
 一方、名古屋空港、勝川駅から空港に向かう道路のすぐそばに、見物用の喫茶店付きの駐車場まである。ここの方が、もっと迫力がありそう。ご近所の住民の方は大変でしょうが、飛行機を見るには最高のシチュエーションではある。

 関空、大阪難波や天王寺からのアクセスはそれほど悪くないが、離島で親しみが持てない。学生時代、成田闘争で騒がれて、成田空港、この最悪さは、今も理解できない。羽田沖なら、国際空港として恥じにならないだろうに、なぜあんな山奥に自然破壊で反対運動を押し切って成田空港を作る必要があったんだろうか。いずれ、自衛隊かアメリカ軍の飛行場になるのかもしれないが、そうであればよけいに腹が立つ。

 国内の旧い飛行場の多くは軍関係の飛行場である。名古屋空港も、もちろん自衛隊との共同使用である。そういうところが実に便利な空港であることは、なんとも皮肉な話ではある。



2003年3月

目次
・ウラジオストックで二回目の家具製作実習
・安物集塵機が故障
・関西人の名古屋界隈事情---ショッピング---

◆ウラジオストックで二回目の家具製作実習◆

 去年にひきつづきウラジオストックで家具製作実習をしました。一年ぶりのウラジオストックの町並みはあまり変わっていませんでしたが、空港やホテルで「商売気が増したなあ」という印象を受けました。現地の方3人に「ソ連時代と今とどちらが良かったですか?」と質問しましたが、皆「ソ連時代はよかった」という返事は予想外でした。年に一回安い費用でシベリア旅行ができたことを懐かしがっている中年女性もいました。日本の報道で受ける印象とは違う面がかなりありそうです。

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ウラジオストック2003

 

◆安物集塵機が故障◆

 以前書いたことがあるR○X○Nの9800円の集塵機が壊れました。突然ウントモスントモ言わなくなったのです。二年は使っていないと思います。分解して調べてみると、スイッチの故障でした。そこで、壁につけるスイッチを集塵機になんとか組込み、また動くようになったのですが、普通の人はこんな修理をするでしょうか?

 スイッチは一番使用頻度の高い部品でしょう。しかし10年以上前に買ったM社の集塵機、まだ故障知らずです。私が持っている電動工具でスイッチが故障したのは、これが初めてです。R○X○N社集塵機のスイッチの品質が悪かったと言ってよいと思います。部品のひとつでも故障したら、修理しない限り使い物になりません。各パーツの品質がバランスよく組み合わされていることが重要なのだと思いました。

 安物買いは銭失いだけではなく、修理部品が手に入りにくいために、故障するとすぐに廃棄となります。捨てるのがこの頃は大変ですから、捨てるのにかなり苦労するはずです。少々高くても修理することができると、ゴミ減量につながります。

◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- ショッピング ---

 名古屋ではほとんどのところへそれほど困難なく自動車で行くことができます。大阪や東京のようなひどい渋滞はないように思います。しかしそれだけに、郊外の大規模小売店(スーパーマーケット)が繁盛し、街中の活気が少ないような気がします。

 日本全国、どこへ行っても、同じような風景になりました。マクド、コンビニ、ファミレス、本屋、釣具屋、ホームセンター・・・、ロードサイドのチェーン店ばかり目につきます。でも渋滞の激しい大阪や東京の街中では、大資本ばかりでなく、まだまだ小売店に力があるように思います。名古屋の場合、自動車メインの生活をされている方が多いせいか、味気なくても、郊外の大資本ショッピングセンターの利用が多くなるようです。

 個人商店は「こういう物を売って儲けるぞ!」であり、大型チェーン店は「儲けるにはこういう物が必要」という姿勢、同じように見えて、この違いは大きい。個人商店では店主が売るものの価値について自信というか責任を持っている。大規模小売店ではたとえばアルバイトの店員さんが売っているものに責任をプライドを持っているとは思えません。時給800円ぐらいで働いている方にそこまで要求するのは無理というものです。

 名古屋に限らないですが、商品に責任を持って売る姿勢、これからはそれがより重要になってくるように思えてなりません。



2003年2月

目次
・丸太その後
・東光堂と婦人生活社の倒産
・関西人の名古屋界隈事情---ムカツクETC・JH---

◆丸太その後◆

 昨年二月頃、仕上がり寸法5.5m、幅50cmぐらいの壁沿いに設置する板や3mのテーブルの注文があり、通常流通している材木では間に合わないため、直径60cm、長さ6mのタモの丸太を購入しました。丸太を買ったのはこれが初めてでしたので、付き合いのある材木屋さんに丸太を選んでもらい、三月に製材しました。

 製材の手順ですが、木口をよく見て、カットする方向や厚みを決め、大きな製材機で下図のように最初は3cmぐらいの薄板をカットしていきました。幅がある程度確保でき木目も安定したところで、目的の6cmの板を二枚切ると、もはや芯に近くなり荒れてきました。今度は反対側から同じようにスライスして、結局6cm厚のカウンター用は4枚、それより芯側は図のように柾目にとり、外側はやや薄い板をとりました。

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 写真は、その中から木目のいいのを二枚選び、大型のサンダーで厚みをそろえてもらったものです。これだけの長さになると節や割れがない板というのはほとんどありません。やや幅が小さくなりますが、木表側の一枚がかろうじて片面だけは無傷でとれました。初めての経験でしたが、個人的にはもう丸太を買って製材するのは避けたいです。リスクや歩留まり、乾燥などの管理、重量のある長尺物の運搬などを考えると、一人でやっている工房が手を出すのはよほどのメリットがない限り、やめた方がよいと思いました。私にはやっぱりスリムで軽い家具を作るのが合っているようです。

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◆東光堂と婦人生活社の倒産◆

 先月、掲示板でも話がでていましたが、「婦人生活社」が倒産したとのこと、びっくりしました。同社の「手作り木工辞典」は事実上日本で唯一の木工専門誌として親しんでおられた方も多いと思います。ただ実際に記事を作っていたのは出版社ではなく、記事製作専門の下請け会社であったことから、形を変えての存続する可能性はあるのではないでしょうか。

 そんな矢先、東京日本橋の洋書専門店「東光堂」が倒産という話を耳にしました。木工を始めた頃、情報に飢えていた私は、東京に行っては、東光堂で半日ほど居座って、洋書を探していたことがありました。また松本や丹波のクラフトフェアに出店されていて、そこで洋書を買われた方も多いことでしょう。
 今はアマゾン等で便利に安く洋書が手に入りますが、少し前まで木工や家具関連の洋書を扱っているのは東光堂や青山の嶋田洋書ぐらいしかなかったと思います。インターネットで便利になったと喜んでばかりいられません。洋書の世界、もしもアマゾンの一人勝ちになったら・・・、それはよろしくないような、怖いような気がします。

◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- ムカツクETC・JH ---

 故「人生幸郎」さんの漫才ではないですが、ぼやかずにはおられません。なんと、ハイウェイカードの3万円、5万円が廃止されます。JHのパンフレットには、偽造カード対策が充分ではなく・・・とかなんとか書いてるけど、これはETCに無理やり移行させる意地汚い作戦に間違いない。ウチではいつも5万円のハイカを使っていただけに、ショックが大きい。ETCをお金を出してまでつける気にはなれへんし、営業車のほとんどは領収書がもらえないETCを望んでないというのに・・・。

 こうなったら、できるだけ高速道路を使わんぞ!。でも無理やろなあ。ああ腹立つなあ。ちょっとだけ救われるのは、大阪に比べ、名古屋は一般道を使っても少し時間がかかるものの、なんとかなる。信州へ行くのも、19号線でそれほど苦労ないし、急ぎでなければ、名古屋高速を使わんでも大丈夫。でも大阪では阪神高速を使わんと移動するのはかなり無理な話。

ETCとは、
E:エエ加減にせい
T:高い金払てるんやから
C:チャンとせんかい



2003年1月

目次
・2003年度展示会
・微調整機能付きのケビキ
・関西人の名古屋界隈事情---守山PA---

◆2003年度展示会◆

 恒例のバーチャル展示会です。昨年春に製材した丸太、それを使った仕事が昨年後半にはいるはずでしたが、建築スケジュールとの関係で半年以上おくれることになりました。そのこともあって、作品数は多くありません。そんな中、自分の技量を高めるために作ったカールマルムステンデザインの椅子は、作ってみないとその難しさや作者の意図がわからなかったと思います。コピー作品を売ることは許されませんが、自分自身のために、これからも時々古典的な名作椅子をいくつか作ってみたいと思いました。

2003年度展示会

◆微調整機能付きのケビキ◆

 教室に来られている方から、写真のようなケビキのことを知りました。以前からカナダ製の円盤型ケビキは使っていましたが、これは微調整がきき、また通常のケビキでは線を引けないような場所、たとえばホゾ穴の内側でも、線を引くことができる、優れものです。日本のケビキは叩いて微調整をしますが、慣れないと短時間で寸法を合わせるのは難しいものです。木に接する面積が小さいなど、使いにくいところもありますが、微調整機能は老眼で見にくい人には便利だと思います。

 右のネジで、だいたいの寸法を合わせます。次にギザギザの真鍮製スリーブを回すと、毛引きの本体が細かく動き、正確に寸法を決めた後、左側のネジで固定します。円盤状の刃先は本体に収まるようになっていて、0.1mmなんていう寸法もとることも不可能ではありません。米国内での販売価格は79ドルで、替刃が6ドルです。米国の木工関連通販サイトから購入できるようです。

PS
後日知人から、ケビキを毛引きと書くのはおかしいのではと指摘を受けました。それでいろんな本を調べてみたら、漢字では「罫引」が多いのですが、「毛引」も使われており、最近の本や教科書では「けびき」「けひき」「ケビキ」と実に様々でした。「罫引」が本来の意味を表していると思いますが、あまり使われない漢字であり、ひらがなやカタカナ表記が使われるようです。毛のような細い線を引くという意味もあるでしょうが、おそらく「毛引」はひらがなでは判読しにくいために使われた当て字ではないでしょうか。言葉や漢字にこだわりのない私ですので、差し障りがなく、見やすいカタカナ表記に変更しました(1/14)。

◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- 守山PA ---

 工房は東名守山PAから500mほどのところにあります。もし高速バスが走っていたら、ここが一番近いアクセスポイントになります。このPAは他の交通機関に連絡が悪いせいか、人の出入りはできるようです。(基本的には従業員用の出入り口ですが、「夜9時以降閉鎖します」とだけ書いてあります。)工房建設のごく初期にはこのPAで水をもらったり、トイレを借りたりしてました(笑)。その頃は知らなかったのですが、ここのきしめんが美味しいと人から聞きました。昼食にわざわざ守山PAのきしめんを食べに来る人がいるそうです。

 先日、初めて守山PA名物のきしめんを食べました。平日280円、土日祝日は330円の名古屋きしめん、かつお節がたっぷり入った、麺もほどよい歯ごたえ、この価格にしては大満足でした。食券方式ではありますが、ゆったりした席とテーブルもあり、から揚げ定食なんかも600円。有名なSAのまずいレストランより、よっぽど守山PAの方が良さそうです。個人的には、昨年の初詣で食べた、熱田神宮境内のきしめんより守山PAきしめんの方が好きでした。

 関西に居たとき、信州に行くときは小牧JCから中央道だし、東名の時も東名阪から入ることが多かった。だから、守山PAを通るチャンスはほとんどなかったのであります。最近は、PAやSAも競争の時代になってます。守山PAのように、ルート上ではあまり利用されないところなどは、何かメリットをだしていく必要があるのだと思います。だから、きしめん平日50円引きなのでしょう。関西人の私、何度かSAのレストランに腹を立て、田舎の小さなPAで救われております。実質本位の皆さんは、風光明媚な有名SAを避け、マイナーでいいから、トラックが沢山駐車しているPAへ入ってみては?




2002年12月

目次
・ロシア支援家具製作実習
・こんな家具でありたい
・関西人の名古屋界隈事情---車検---

◆ロシア支援家具製作実習◆

 去る11月26日〜29日、今年もロシア支援家具製作実習を行いました。6名の計画でしたが、直前に骨折のため一名不参加となり、ロシア人5名、通訳二名を含むスタッフ他計10名が名古屋の工房で四日間の実習をしました。
 去年もそうでしたが、私には「手加工を大切にした、日本の指物技術と北欧の手作業のハイブリッド木工。効率優先ではない、手をかける家具作り」を体験してもらうことしかできません。前回は全員同じスツールを作ってもらいましたが、今回お二人の家具職人さんには引出し箱に挑戦してもらい、初心者には昨年同様スツールを作ってもらいました。要するに一年ぐらいかかるウチの基礎コースを四日間の超特急で、一通り体験してもらおうというわけです。

 スケジュールは下表のようなものですが、通訳さんを通しての講義は時間がかかりますし、質問に答えているとあまり作業時間は多くありません。それでもスツールは完成まで、引出箱は板を組んで、引出の桟を入れ、引出前板のアリ組みを経験してもらうところまではやれました。もともと完成が目的ではなく、その製作過程で様々な知識や技術を修得してもらうことに意味があると考えていましたので、ほぼ目的は達成したと思います。

AM

PM

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実習一日目

挨拶・自己紹介
工房案内
鉋・のみの研ぎと使い方

組み手の練習
製作課題の選択と準備

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実習二日目

木工機械使用方法(講義と実習)木取り板ハギ

墨つけ(実演と実習)
部材加工

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実習三日目

伝統刃物見学及び購入
協力:新潟平出商店
部材加工

仮組・調整
接着・本組仕上鉋

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実習四日目

塗装について(講義)
下地調整
塗装

講評会修了式
修了パーティー

上の写真は、修了証を渡し、お別れパーティーの前に撮ったもので、最初とは違ってかなりリラックスした楽しい表情です。技術支援の側面とは別に、草の根外交に少しは役に立っているのではないでしょうか。残念なことに、10年間ロシアへの技術支援事業のひとつとして行われたこの事業も、木材加工の分野は今年で最後になるということです。 


◆こんな家具でありたい◆

 私事ですが、来年50才になります。高校生の頃、自分が五十のオッサンになることは想像できませんでしたし、こうして家具を作ったり教えたりしている姿は全く予想しませんでした。年をとるとパワーがなくなってきますが、逆に若い頃は見えなかったものが、見えるようになってくるようです。

 98年にスウェーデンに行った時、さりげなく置いてある家具が、よく見るととても手の込んだ繊細なものであることに驚かされました。一枚板のドーンとしたテーブルや漆塗りの高級感あふれる民芸風家具が苦手な私は、豪華という言葉と無縁の、質素で素敵な木の質感と、その作り手の愛情とも言える繊細な加工、「こういう方向の家具を作りたい」と強く思ったのでした。
  洒落たイタリアデザイン、北欧風、カントリー風、英国アンティーク風、李朝風・・・、近所の若い人が集まる雑貨店では実にいろいろな家具・雑貨を見ることができます。が、へそ曲がりな私は、都会風なその店で、逆に「都会風に見せた田舎臭さ」を感じてしまうのです。最近はインテリア雑誌その他の影響でしょうか、家具やインテリアについて、私らよりはるか豊富な知識を持った方が沢山おられます。でもそろそろ、雑誌の影響から抜け出して、ナントカ風インテリアから抜け出す人が多くなってほしいと思います。

 偉そうなことを書きましたが、昔はカントリー風、シェーカー風、ジョージナカシマ風、手作り家具風(笑)、いろいろ作ってました。50才を目前にした今からは、「言い訳をしないですむ、自分流家具」を作って行きたいものです。


◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- 車検 ---

 京都南部、奈良近郊のニュータウンに住んでいたとき、「車検は自動車会社のボロ儲け」と考え、意地のように自分で車検を受けてました。一ヶ月ほど前から、奈良の車検場を下見し、電話で予約し、書類を購入し、前日に予備検査場に持ち込み、本番に臨みました。法定費用以外に5000円ぐらいですみましたが、精神的プレッシャーはかなりのもの、もちろん仕事をしている人は休まねばなりません。

 過日、カミさんが乗っているT社の「面白荷物車」、3年で6万キロ弱走っているためか、ややガタがきている感じがあったので、カミさんの希望もあって、名古屋のディーラーに車検を出すことにしました。結論を言うと、「2年や3年に一度はディーラーで車検を受けた方が良い」という考えに変わりました。
 交換部品については「自分で交換できるものはやってもらわない」方針で、ほとんどパーツ交換はなかったのですが、法定費用込総額10万円でした。ユーザー車検との差額は約4万。ケチな関西人の私ですが、よく考えてみると、ブレーキのチェックやネジ類の増締めなど、自分ではなかなかやらないことをやってもらい、その間ディーラーの経験から故障しやすい箇所などを見てもらう・・・、これって結構安いのではないですか。
 ガソリンスタンドなどでの格安車検は法定費用+2万円ぐらいが相場ですが、これはユーザー車検と同レベルであり、やらない方がよいと思う。

 名古屋らしかったのは、御土産でした。代車も使わず、こちらで車を持ち込み、持ち帰ったせいでしょうか、紙袋一杯、サランラップ、ティッシュペーパー、石鹸など、家庭用品を山ほどもらいました。これは関西では聞いたことのないサービス、名古屋独特のサービスでしょうかねえ。でも「その分、安うせんかい!」と思わなかったのは、名古屋人になりかけた証拠かも。



2002年11月

目次
・第二回木工教室作品展
・木工をする人間は暗い?
・関西人の名古屋界隈事情---山登り---


◆第二回木工教室作品展◆

 10月12日〜14日、工房のギャラリーで第二回の木工教室作品展を行い、天候にも恵まれ、約110名の方に見ていただきました。工房の中庭ではKさんが脚踏みロクロの実演をし、好評でした。ようやく彼のページができたようで、興味のある方は覗いて見てください。生木の木工

 

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ローボードは私の最新作(^^)。
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シェーカーの丸テーブルは原型に近い。スツールは2番目の課題。

2KYOTEN3.JPG - 18,337BYTES 最初の課題、筆箱、小さくて見えないですね。ゴメン
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丸棒の椅子は独特のムード。一年以上かかった引出箱もある。

2KYOTEN6.JPG - 21,587BYTES 3日間、天気最高でした


◆木工をする人間は暗い?◆

 作品展の時、ある道具屋さんのご主人と話をしていて、「木工をする人間には暗いヤツが多い」という話になりました。コミュニケーションがうまくできないと、一人の仕事はできても共同作業はできないという心配されているわけです。特に職業として木工をやっていこうとする人は、人脈を広げていくため、また人生を楽しむためにも、人を嫌な気にさせない上手な人間関係を作ることが不可欠ではないでしょうか。

 日曜夜11時から、NHKでアリーマイラブ5が始まりました。ほとんどドラマを見ない私ですが、工房建設中にふと見たのがきっかけで、ボストンの法律事務所を舞台に繰り広げられる人間味あふれる、このハチャメチャドラマに見事にハマってしまいました。登場人物は、みんなよくしゃべります。喋りまくります。ズケズケ物を言い、恋愛、不倫、喧嘩、訴訟・・・、いろいろあって笑いながらもシミジミと人生を考えさせられます。ドラマと現実とは違うと思うけど、ああいう職場の雰囲気憧れるなあ。木工教室の時も、熱心に作るだけでなく、他の人とガヤガヤおしゃべりして、楽しんでほしいと思うのです。


◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- 山登り ---

 4月からほぼ毎週、日帰り登山をしてます。9月頃からは夫婦でも登り始めました。最初は瀬戸や春日井の近場の山でしたが、今は高山の雰囲気が味わえる南木曽周辺によく行きます。家を出てから、中津川経由で登山口まで1時間30分程度。大阪に居た頃、中津川と言えば、もう信州の山の中と思っていたので、やはり名古屋は信州へのアクセスが断然有利。

 先日、夫婦で、大平峠近くの兀岳と夏焼山に行きました。午前中、兀岳に登る熊笹の茂る登山道で、突然「ウーッ」という低い声がしたと思うと、「ガサガサッ!!」と音がして、正体は見えないけど動物が逃げていきました。午後から登った夏焼山の公園管理事務所の前の看板に「熊よけの鈴貸します。無料」と書いてありました。いるんですね、熊が。
 大阪では熊というと、吉本のパチパチパンチのおっちゃんが登場して、他の役者全員が寝たフリをする場面を思い浮かべますが、名古屋から1.5時間の中津川の山中では本物が出るのです。「寝たフリ」するより、鈴をつけたり、声を出しながら歩くなりして、熊さんに逃げてもらいましょう。



2002年10月

目次
・木工の鉄則
・生木で家具作り
・関西人の名古屋界隈事情---UFJ銀行&郵便局---


◆木工の鉄則◆

 最近のFineWoodWorking誌に、Mike Dunbarさんという木工家が「木工で避けて通れない真実、トップ10項目」を書いています(No.158、P84)。全ての項目、「まさに同感!」でした。その内容をそのまま書くことはできませんが、私が今考えていることと照らし合わせながら、いくつかの項目を自分なりに説明してみたいと思います。

1、急ぐな
家具作り等で、例外的に時間を気にする必要がある工程はあるが、「焦る」ことと「すばやい作業」は全く違う。「段取り」という言葉にも通じる。

2、研ぎを学べ
研ぎは最初の関門であるが、覚えることによって、すばらしい作品を速く作ることができるようになる。研ぎを学ぶには、書物より何より、上手な人のやり方を見ることが一番。原理は思ったり簡単である。

3、練習で完全さを得るができる
例えば、初めての組み手、木っ端で何度も練習すること。

4、手道具と電動工具、両方を使え
 手道具だけにこだわる必要はない。反対に機械に慣れてくると、何でも機械で加工したくなるが、それは作品の巾を狭めることになるし、能率もあがらないことが多い。

5、整理整頓

 木工教室は今三年目ですが、この頃、生徒さん達の中に、手道具や手加工にこだわるというか、それを楽しむ人が増えてきました。人には「急ぐな」と言っている私、注文仕事では「どうしたら速くできるか」をいつも最優先に考えているようで反省させられます。プロには「ホゾを手加工で正確に加工できるわけがない」と言われる人が多いですし、私自身ホゾの縦引きは機械でやった方がよいと思っています。でも時間をかけて丁寧に手加工している生徒さんの作るホゾは、なかなか美しいものです。時間や採算性が重視される現在、手間と時間をかけて自分で加工する、その充実感が一番大切ではないかと思う、今日この頃です。


◆生木で家具作り◆

kato-rokuro    教室に来られている生木木工をめざしているKさん、9月イギリスでのセミナーに参加し、先日写真のような脚踏みロクロを作って生木のターニングに挑戦しています。いずれ彼自身がホームページを作り、もう少し詳しく紹介されると思います。
 やらせてもらいましたが、予想以上に速く加工でき、しかも安全です。電動ロクロが苦手な私ですが、これは気に入りました。ナント言っても、電気代不要で、運動不足も解消できます。


◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- UFJ銀行&郵便局 ---

 ナニワの三和銀行と、ナゴヤン東海銀行が、合併してUFJという変な名前の銀行が誕生。関西人とナゴヤ人が手を握り、「こりゃいいわい」と思っていたら・・・、期待とは裏腹に、冷たーい、体質になっているような気がしてならん。そんなん言うてるのは俺だけかと思っていたら、新聞の投書欄に、「三和銀行と合併してから、待ち時間が前よりものすごく、長くなった。前のオジサンが大声を出して怒ってた」などというのがあった。ATMに並ぶのが嫌で、インターネットバンキングを多用するわけやけど、「8月で利用明細の郵送を中止します」との連絡。税金の申告で証明はどないしたらエエンヤ。UFJに文句を言うと、「オールワンにしていただくと利用明細サービスがございます」。オールワンてなんや・・・、要するに普通預金が動かんよう、しばりをかけ、小額の口座からは口座維持手数料を取るという仕掛けダワ。最近では口座を作る時、なんやかんや言うて、事実上はオールワンでしか受け付けないほど、窓口で薦められる。もっと血の通った温かい銀行になってもらえないんでしょうかねえ。貸し出し金利の千分の一ほどの利息、振替手数料一回でパー。着々と口座維持手数料や振替手数料等、自動的に収益があがる仕組みを構築してます。顧客へのサービス精神を忘れて。

 通信販売をやっている関係で、郵便局をよく利用します。UFJとは対照的に、こちらは、地域密着型。昔は郵便局で腹が立ったことも多かったけど、この頃は、なんかエエ感じのところが多い。ちょっと人が並ぶと、後ろの所長さんが窓口の応援に来たりして、そういうのが大切やと思うなあ。時々お年よりが長々と窓口の女性と話をしたりしていて、イライラすることもあるけど、そんな光景はこの頃貴重な気がする。もちろん感じの悪い場面もあるでしょうが、民営化が叫ばれる中、頑張っているなという印象です。
 ゆうパックの沖縄への送料は、宅急便よりも断然安いし、無料で荷物を引き取りに来てくれるのは、忙しい時にありがたい。「何でもかんでも民営化」反対や。採算第一主義ではない郵便局、どうか残してほしいなあ。


2002年9月

 目次
・ドリルの精度
・転職の前に
・関西人の名古屋界隈事情---高速道路も新幹線も高過ぎや!---


◆ドリルの精度◆

 ダボを使う時に、同じ8mm径でも、ドリルによって、ゆるかったり、きつかったりするのが気になっていました。そこで先日、多くの種類が手元にある、6mmのドリルを横軸ボール盤について、穴を開け、その径をノギスで測ってみました。そしたら、なんと5.8mm〜6.2mmと予想以上の誤差がありました。

 写真は、左から金属加工用エンドミル、ホームセンターで買ったドイツ製の木工用ドリル(安い)、今回スターエム社から特別に送っていただいた丸軸の木工用、同社製の先三角ドリル(六角軸)です。エンドミルと丸軸の木工用は、正確に直径6mmの穴が開きましたが、ドイツ製は5.8mm、六角軸の木工用ドリルは6.2mmでした。この数値は、ドリルの精度を正確に表しているわけではありません。というのは、横軸ボールバンのチャックは四角で対角線から締め付けるタイプなので、丸軸では精度がでますが、六角軸ではただしくつかむことが難しいのです。また測定と言っても、ノギスで測るだけですから誤差は大きいでしょう。それでも前々から心配していたように、六角軸は精度に悪影響を及ぼしていると言えると思います。インパクトドライバー等では便利かもしれませんが、市販されているドリルの大半が六角軸であるのは問題があるのではないでしょうか。
 ドイツ製のドリルが5.8mmというのは、6mmのダボを使う時にはとても具合がよいのです。ダボ加工の頻度が高いドイツでは、木工用ドリルの実際の刃の直径は、ダボを使うのを前提とした、幾分小さめのサイズかもしれません。8mmや10mmのダボを使う時にも、このドイツ製のドリルが最も適しているのです。
 木工用ドリルの日本を代表するメーカー、スターエムさんには「丸軸を残しておいて下さい」とお願いしましたが、どうなることでしょう。

 今回、特別に丸軸のドリルを提供いただきましたスターエム社さんに御礼申し上げます。また、同社の直販サイトスターエムショップには、役に立つ情報や入手しにくいドリルの通販案内があります。


◆転職の前に知っておいてほしいこと◆

 この頃、以前よりも「木工を仕事にしたい」と相談を受けることが多いのです。前と同じような内容になるかもしれないけれど、今一度、転職の実際について、私自身の体験談を交え、注意すべきことを書いてみたいと思います。

 30才の頃、薬品会社の営業で一生が終わるのが嫌で、その仕事から逃避するように、ごく小さなアウトドア関係の製造会社(というか作業場)に入りました。今考えると、とんでもない甘い見通しなんですが、妻と子供二人、家族四人で年収500万円程度のサラリーマン生活からから、一挙に交通費支給なしの時給700円(入る前は800円の約束だった)の世界へ。食べていけるはずはなく、結末は見えていました。雇う側にもう少し暖かく育ててくれる気持ちがあれば救われたでしょうが、ただの労働力でした。その頃の私には人を見る目も、自分の甘い考えにチェックを入れる慎重さもなかったんです。全て自分の責任です。

 木工の世界でも、「技術が学べる」と熱意に満ちた若者を受け入れる場所がいくつかあります。無給、あるいは数万から10万円程度の報酬をもらえることもあるようです。でもよく考えて下さい。一人で生活する場合でも最低月にいくら必要でしょうか?多少の貯金があっても無給ならすぐに破綻しますし、数万円をもらっても毎月マイナスでは、大切な蓄えは減る一方です。それでも実力が養え、将来に繋がるのなら意味がありますが、今時そんなに良い話は聞いたことはありません。ひつ月に小物を千個単位で作る練習をしても、将来に繋がるとは思えないのです。

 自分のやろうとする方向、あるいは好きな道で、物事がよく見えないということはよくあります。「家具作りができる!」というだけで、霞を食っては生きていけません。人並みの給料をくれる職場で将来の夢に向かって蓄えをする方が、木工で食べていくための近道かもしれません。少なくとも、生活費で毎月マイナスになるよう職場は、よほどのことがない限り、避けておくべきだと思います。
 人間は、聞いていても、一度失敗して身に染みないと本当にはわからない動物なようです。表向きの顔と全く正反対の内向きの顔を持つ人はいます。入る時には正体が見えません。でも兄弟子、先輩、一度辞めた人などの話を聞くことで、正しい判断ができることもあります。

 暗い話になってしまいましたが、もちろん、いい人も沢山います。あたりまえのことですが、大切な判断をする時は、親や先輩など、信頼のおける人に相談するのが大切ではないでしょうか。(こんな事を書いていますが、私は昔、親の意見に全然耳をかさない人間でした)


◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- 高速道路も新幹線も高過ぎや! ---

 今月は怒りの鉄拳です。名古屋だけの話ではありませんが、交通費のことです。
先日、用事で静岡まで往復しました。片道ガソリン代1300円、高速代3950円。高速代がガソリン代の3倍ですよ!!!。昼間、一号線で静岡まで何時間かかるでしょうか。夜でなければ一般道を走る気にはなりません。

 昨年、韓国からチェさんが来られた時、物価の話をしました。銭湯や食べ物の値段については、日本はそんなに高いとは思わなかったそうですが、「交通費はびっくりするほど高い」のだそうです。韓国の10倍以上ということでした。ウーン確かに。

「名古屋から東京へは新幹線しかない」と言って間違いはありません。チケットショップで自由席券を買っても9300円ほど。東名で東京まで走ってもガソリン代込で1万円越え。新幹線や東名高速は、一万円札が飛び交っているようなもの。デフレスパイラルが懸念されるほど物価は下がっているというのに、高速道路料金は下がるどころか、上がる一方で、新幹線はのぞみが増えるだと。JRやJHのエライさんは、国民全部が会社から出張費がでるサラリーマンだと思ってるんやないかなあ。自腹で一万円、きつーーい。

そんな折、高速道路で堂々と料金を払わないで通るグループの話が中日新聞に載っていた。バックの組織も、何もない普通の人間が、そんなことしたら、エライこっちゃ。不正通行でバーを下ろされ問答に長時間を要するに決まってる。できるわけない。それより後の車や周りの人に迷惑がかかる。でも、せめて〇翼の街宣車並に、”軽自動車料金”で通らせてもらいたいわ。



2002年8月

 目次
・木の収縮について
・マスコミ雑感
・関西人の名古屋界隈事情---アウトドア(山)---


◆木の収縮について◆

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 写真は、7月下旬に撮影した巾1mの堀コタツ用天板の端の部分です。人工乾燥済みのタモの板目板が左右に3mmほど飛び出し、合計で6mm強端の板より伸びていることになります。もちろん作った時は面一に削りましたので、梅雨の湿気が原因です。

 木工教室の基礎コースで、知ってもらいたいことのひとつが”木の収縮”です。中学校の技術の教科書には必ず図が出ていますが、要するに”木は乾燥によって年輪の円周方向に大きく収縮し、半径方向には少し、木の繊維と平行な方向にはほとんど動かない”のです。

 家具を作るなら、どのようなデザイン(盗作は困りますが・・・)や接合方法を使ってもいいわけですが、”木の収縮”で不具合が生じないようにすることだけは必要最低条件です。また、先日丸のこ盤で、長さ1メートルほどの板を真中で切断しようとしたら、湿気による内部応力の影響で、丸のこ刃が締め付けられ、キックバックにはなりませんでしたが、押し返されてきました。危険防止のため、大きな板はジグソウや手鋸で大まかに切断した後、丸のこで正確に切断するように心がけることも大切です。

 さて、引き出しや鏡板などは、木の収縮をどの程度と予想して作ればよいでしょうか。樹種や乾燥状態、季節によっても違いますが、「自然乾燥材で5%、人工乾燥材でも2%程度、動くことがある」と考えておく必要があるようです。詳しいことは”UNDERSTANDING WOOD”等、国内外の専門書を参考にして下さい。樹種により異なりますが、板目板では巾が生木の時の7%〜11%縮むようです。また自然乾燥で20%程度まで乾燥させた板の場合は、前述の値の半分程度、4〜5%縮むようです。人工乾燥で含水率8%程度まで乾燥させた材は、周囲の湿気によって乾燥前ほど影響はされないのですが、それでも1〜2%程度は伸びることがあると考えておいた方がよさそうです。というわけで、梅雨の間に作ったキャビネットでは、引出しは少々きついぐらいにしましたが、もしも乾燥した冬に作るなら、高さ10cmの前板で2mm弱のスキマをとらないとマンションなどではトラブルが出るかもしれません。

 ウレタン塗装など、硬い皮膜を作る塗装を無垢の板に施すと、木の収縮が起こった場合、塗膜に細かいヒビが入って剥がれる原因になります。一方水に弱いオイルフィニッシュの場合は、完全には固まらず木質内でゼラチン状になっていますので、木の収縮に対応でき、ヒビが入ったりする心配はありません。塗膜が分厚く硬い塗装は、収縮しない合板を使った家具用であり、無垢の場合は塗膜に弾力性のある塗装法が適していると言えると思います。

自宅の洗面所の床は、無垢の栗のフローリングです。ほとんどスキマなくはってあるので、風呂上りの湿気で膨れるなどのトラブルがあるのでは・・・と心配しましたが、3年経っても全然問題がでません。しっかり人工乾燥させた後、含水率を12%程度まで戻す処理をちゃんとしてあるのではないかと思います。

今月はちょっと難しい話になってしまいましたが、家具を作る上で、とても大切なことです。少なくとも、木の収縮の仕方が頭に入っていれば、大きな間違いをせずにすむと思います。


◆マスコミ雑感◆

 昔話になりますが、私の高校時代は大学紛争の余波で、一年生の時は半分ぐらい授業がないような学校生活でした。その頃の憧れは”アメリカ”でした。日本のフォークシンガーも頑張っていましたが、歌詞の意味もよくわからないのに、なぜかアメリカの音楽をよく聞いていました。20万円以上するマーチンギターは垂涎もの、米軍放出の服を着て得意がっていたこともあります。この頃の私らを、親父など大人はどのように見ていたのでしょうか。今、その年になって、若い人の流行を見ると、マスコミに影響され過ぎているように感じてしまうのは、年寄りになった証拠でしょうか。いやちょっと違うのではないか。

 先行する他人(先輩)の影響をうけて、その方向に向かうというのは、若者としてよくあることですが、その流れが商売につながるということで商業主義的な動きが生まれ、これに踊らされるのは、危ういというか、地に足がついていない状態になると思うのです。わかりやすい例では、テレビ番組の多くは「(外見が)美しいことは最高のことである」というようなメッセージで満ち溢れています。ダイエット食品、美容整形、過度の化粧品、カツラ、エステ・・・、本当に必要なものでしょうか。ログハウス、ウッドデッキ、ガーデニング等も、最初に始められた方はその精神から入ったと思うのですが、今はインテリア、DIY雑誌の影響による、単なる流行ではないかと思ったりします。

さて、話を家具の方に向けます。時間をかけて丁寧に作りあげた一品物の家具の場合、もしもユーザーと作り手の間にマスコミが関係したとすると、マスコミは1:多数のメディアですから、多数の方から個人でやっている小さな家具屋さんに注文が殺到する可能性があります(ないかもしれないけど・・・)。そうすると人を雇って量産体勢にして数をこなすか、注文を待っていただくか、どちらかになります。量産体勢では一品物の良さはなくなりますし、一過性の注文かもしれないのに人や設備に投資するのはリスクが大きすぎます。かといって、待っていただくのも限度があります。また、木工雑誌などを見ていると、木工の美しいことや楽しいことを強調する傾向があるので、危険性や収益性など、マイナス面が充分に伝わらない怖さも感じます。一方、個人的な人間関係をベースにした”人のつながり”は基本的に1:1の関係であり、このようなマスコミに頼らないつながりによって注文をいただけるのが、最も小さな家具工房に適しているように思います。

インターネットは”1:多数”のメディアではありますが、商業主義とは縁のない、純粋に個人的なホームページも多く存在し、テレビや雑誌などより実態やその精神が伝わりやすいのではないでしょうか。過去に放映された日本の木工番組は、ディレクターの筋書きが先にあって、それを出演者が演じているように感じられるものが多かったのです。一方、個人で運営されている木工関係のホームページでは、マイナス面にも言及されていることが多いようです。

30年以上前の学園紛争は大人の言う事を聞かない、へそ曲がりな青年を作り出したかもしれません。が、同時に「マスコミのいう事は鵜呑みにせず、疑ってみる」という、ある意味大切なことを学んだいい機会であったようです。


◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- アウトドア(山) ---

4月頃から、週一回近くの山に登ってます。車で登山口まで行き、半日から一日で往復できる里山がほとんど。一人でやっている工房なので、半日〜せいぜい一日ぐらいしか留守にする気にはならないわけです。流石に3000m級のアルプスの日帰りは無理ですが、恵那山あたりま日帰りできるのは名古屋の強み。関西では比良山はなんとか日帰りができるけど、車で行ってパッと登ってくるというようなことはあまりできなかったし、信州へ行くには一度名古屋を通る必要があったんであります。東京に住んだことはないけれど、八ヶ岳とか奥多摩とか、とても近いらしい。正三角形の頂点を信州とすると、底辺の両端に名古屋と東京があって、大阪は琵琶湖を頂点とするもうひとつ三角形の底辺を移動しなければならない感じかな。

ところで、最近の山は、中高年ばかりである。30才以下の人に会うと「若いなあ」なんて思ってしまうほど、中高年全盛である。中高年のパーティーの中には「ちょっと?」と思うことがある。例えば、「速い人はひたすら速く、遅い人は置いてかれる」というように、パーティーで登る意味がないというか「これでは反対にマイナスやんけー」と思う。登山は競争ではない。競争社会の価値観を捨てられぬまま山に登り始めた人達は、こういうパーティーを作るのではないだろうか。もしも天候が急変したりすると、このようなパーティーはいったいどのような行動をとるのだろう。とても危ないと思う。

登山用品の店を見て歩くのは楽しみのひとつ。大阪ではIBSやロッジに良く通いました。東京では神田、高田馬場などに有名店があります。ほんで名古屋は?最近まで知らなかったのですが、「駅前アルプス」という老舗が名古屋駅近くにあり、栄には石井スポーツ、郊外のアウトドアショップもいくつかあるようです。
先日、シャツが汗でびしょびしょになったので、吸湿速乾性のポリエステルのシャツを買いました。それで登ったら、快適ーーかと思ったら、ある程度以上汗をかいたら、やっぱりボトボトでした。あたりまえやけど、最新のものやからいうて、過信は禁物です。


2002年7月

 目次
・集塵機の使い勝手レポート
・職業としての家具作りを考える(続編)
・関西人の名古屋界隈事情---動(植)物園---

◆集塵機の使い勝手◆


  現在4つの集塵機を使っているのですが、教室の時に何人かで使うと、数が足らなかったり、ブレーカーが落ちたり、今一番改善が必要なところです。そんな現状ではありますが、これから集塵機を購入しようという人に参考になればと使用感を書いてみました。

 木工機械用集塵機は、木屑を送風機でダストバックに送り込む構造であり、金属タンク付集塵機はファンの前にフィルタがついた掃除機です。前者は鉋などの木屑専用で、小さな粉塵は通り抜けます。これに比べ後者はより細かいフィルタで粉塵を除くことができますが、集塵能力は劣ります。

 六畳一間で作業していた時は、一番下の小型木工機械用集塵機と家庭用掃除機で何とかやっていました。金属タンク付集塵機は、ホームセンター等で安く売られていますが、少なくとも、私の買ったものは、M社より優れているところはありませんでした。集塵機は意外と使用機会の多いものです。多少高くても良いものをオススメします。最近人気のあるのはポり袋に集塵できるタイプで、これならゴミを捨てる時に楽だし、何より粉塵を吸うことが少なくなると思います。

三相動力の集塵機:中古で購入

〇パワフルな大型木工機械用定番
〇ワンタッチ脱着集塵袋
△俗称オバQ。上に膨れるので設置場所は小さくてすむが、高さで困ることもある。
△趣味で使える大きさではない。
×音が大きい。

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M社のDIY用集塵機:ホームセンターの日替わり特売で購入(普通は19800円ぐらい)

〇ホース径が大きい
〇音がわりと静か
〇本格的なフィルター
×フィルターが目詰まりしやすい
△付属品収納法がよくわからない

安価な集塵機:ホームセンターで9800円

×ウルサイ
×始動時の反動で本体が回る
×ゴミを出す時、こぼれ易い
×ホース径が細い
×空気が上に噴出すので、目にゴミが入ることがある。

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M社の小型木工機械用集塵機:定価の3割引で購入

〇10年ぐらい使っているがトラブルなし
〇小型木工機用として実用に耐える
〇本体が小さい
△集塵袋が横に膨れるので場所を取る
△集塵袋がすぐ一杯になる


◆職業としての家具作りを考える(続編)◆

 二ヶ月ほど前、「職業としての家具木工」について書きましたが、めずらしくメールで感想やご意見をいただきました。不特定多数の方が見られるホームページでこのような地味な話題はどうかなと思っておりましたが、予想外に興味を持たれた方が多かったようです。今月は、同じテーマを”家具”という商品の側面から考えていることを書いてみました。

  言いたいことを先に言いますと、「一品物の家具の値段は安すぎる!」ということです。大体は日当2万円〜3万それに材料費や経費を合計して見積します。ところが購入する方は、「ウーン、そんなに高いの?」ということになる。日当2万で年間250日働いて年収500万、実際にそれだけ一人で稼ぐのは大変だし、それ以前にそんなに注文があるかは?です。家具を購入しようとする人は、スーパーマーケットで売られている5万円のダイニングセットと、大量生産ではなくひとつひとつ作られる一品物の家具の値段を比較して「高いわねえ」ということになる。低価格を売り物にした輸入物家具ほどではなくても、既存の日本の家具メーカーの量産家具と比較されることも多い。丈夫さや耐久性は、実際のところ、国内メーカー製が優れていることが多い。

  母の実家は、神戸で紳士服仕立て屋(テーラー)を営んでいました。ミユキなどの高級布地を仕立てた紳士服は、30年ほど前に10万円以上していたように記憶しています。初任給が約8万円の時の話なので、今なら20万円以上だと思う。そんな高い背広を買う人も当時は少なくなかったのしょうが、現在神戸の町でテーラーとして生き残っている店は数えるほどしかありません。私自身、仕立ててもらった背広や礼服は持っていても、体型や流行の形が変わり、今は既製服ばっかりです。着心地や形も既製服の方が優れているように思います。

  ブランド物のカバンや古着のジーパンが何十万円もする時代です。そんな物に金を出すなら、毎日使うダイニングテーブルなどの身近な家具にもっと投資してもいいと思う。しかし、量産家具にはない持ち味や特徴がなく、「手作り家具」の看板だけでは、いずれ衰退するでしょう。量産品では得られない”何か”を与えてくれる家具、その何かは、今までは”無垢の木”であったかもしれません。でも既存家具メーカーが無垢の木を真剣に扱いはじめたら、技術力の差は歴然です。量産家具とは、できるだけ機械を駆使し、厳しい品質管理下での大量生産家具であると思います。個人の木工家は、量産のラインではできないことを武器としなければ生きていけないでしょう。残念ながらそのような価値を認める市場がまだ育っていないように思います。

 小さな家具工房が乱立する時代になったと言えるかもしれません。このホームページを作った時は、インターネット上に家具木工関係のページは数えるほどしかありませんでした。ところが今では、家具専門の検索サイトがいくつもあるのです。量産家具との意味のない価格競争も起こってきているようです。量産家具や低価格を売り物にした安物家具とは全く違う価値観で作られていることを理解してくれる人を増やさなければならないと思います。反対に、作り手は量産家具にはない持ち味を生かした家具を作る努力をしなければならない。そのためには、手道具による、機械ではできない加工をすることは意味のあることだと思うし、均質な家具を作る製造ラインに適さないような樹種や寸法の木を使うこともよいかもしれない。

 スウェーデンのIKEAがアメリカでとても繁盛しているらしい。IKEAの家具のように安くても何か惚れる要素のある家具、好きです。若い時は、IKEAなどのノックダウン家具を使って生活を始め、ゆとりができたら、気に入った一品物の家具を買う、日本もそんな風になるのではないでしょうか。


◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- 動(植)物園 ---

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 動物園が好きである。特にカバが大好きある。動物園へ行くとなんか自分の出発点を感じる(^^)。神戸の王子動物園は、ラジオで有名になったKさんとチンパンジーの話が有名、大阪の天王寺動物園は爬虫類や一時間毎に飛び出してくるシンデレラ(白雪姫だったかなあ?)が、そして東京の上野動物園はもちろん王者パンダがいる。ところが東山動物園には全国のカバの親として有名なカバ君、”重吉”の心温まる話がある。今の最大の売りはほとんど寝ているコアラだが、三代目重吉と福子のラブラブシーンも見逃してはならない。我々は幸運にも金網越しにチュウするのを見ることができ、大満足であった。

 このコーナーでは名古屋に不満を言うことが多いが、東山動物園はノンビリと、静かに動物を見て楽しむにはとてもいい所である。隣接する植物園も実に気持ちがよく、合掌作りの民家でゴロンと昼寝をしそうになった。天王寺は女装したオッサン達のカラオケが聞こえてくるし、上野では「仕事さがしとるんか?」と声をかけられたことがある。王子動物園はそんなことはないがちょっと規模が小さい。東山動(植)物園は、広くて格調高い。大げさな乗り物もなく、中央に写真のおまわりさんが立つ幼児用車やキリンのぬいぐるみ車の遊具しかない、それがまたグウである。

(無料駐車場有、動植物園共通入場券500円)

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2002年6月

 目次
・スウェーデンの学生と先生達が日本旅行
・鉋の台の狂いについて
・関西人の名古屋界隈事情---道路事情---


◆スウェーデンの学生と先生達が日本旅行◆

  スウェーデンの工芸学校、カペラゴーデンの生徒と先生18名が、5月に丸二週間、日本各地を回り、ウチにも来てくれました。4年前は京都の自宅に20名ほどが上がりこみ、床が抜けないか心配しましたが、今回は道に迷った彼らを車でピストン輸送したり、バーベキューの用意をしたりとあわただしく、でも楽しいひと時でした。

 北海道、京都、金沢、富山、飛騨、名古屋、東京とまわる強行軍の旅で、この間カペラゴーデンと縁のある工房や人を訪ねながら、京都や飛騨の合掌作りを観光したりしています。旅行費用は、国から援助が出るらしいのですが、不足を補うため、カール・マルムステンの家具を生徒が作り、それが商品となる独自の”宝くじ”を販売して、旅行費に充当するという、日本では考えられないような楽しいことをやっています。御土産に二枚もらいましたが、1等は時価100万円以上の大きな置き時計が貰えます。もちろん当たればの話ですが・・・。

 スウェーデンでも木工で食べていくのは大変なようです。卒業生の約60%が工場に就職したり別の学校に進む道を選び、残りの約40%は独立をするそうです。独立した人のほとんどは「かろうじて生きている」というきびしい生活らしいですが、その代わりに自分の時間が充分に持てるのことには満足しているということでした。ただし、スウェーデンが”ゆりかごから墓場まで”の福祉大国であることを忘れてはなりません。将来の蓄えなどあまり必要でないようですし、学生であれば国から補助がでるのですから。この制度のおかげで働かないで学生を続ける若者が多く、これが社会問題という側面もあるとのこと。

 ウチの木工教室に関しては、「木工を志す人が、まずは本格的木工に触れて、自分に合う作業であり職業となりうるかを判断できる場所としても意義がある」という先生からのお言葉でした。世界的に有名なカール・マルムステンの学校も、働きながら家具作りをめざす青年に対して、夜間などに家具作りを教えたのが始まりだったとか。スウェーデンと日本は違うでしょうが、仕事と人生についての悩みは、共通した部分が多いように思います。

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◆鉋の台の狂いについて◆

 5月はジメジメした天気が多く、工房の周りではヤスデが大量発生し、虫の苦手な私は、毎日大変でした。このような天気では、鉋の台がよく狂います。こんな時の台の直し方について書いてみます。ただし、かなり難しいことで、正直なところ、初心者の方には無理かもしれません。

  湿気による台の狂いは、木の収縮の仕方から考えても、長手方向ではなく、刃に平行な短手方向に生じやすいのです。下刃定規、なければ、ステンレスの金尺を、刃口のすぐ台尻側に置いて、光のある方向に向かって、漏れる光を見ます。新しい台は木表側に凹面となりやすく、大抵は台の両側が高いはずです。そこで、台直し鉋で削ると、逆に中高になったりします。台直し鉋は刃口付近が磨耗しやすいため、台直し鉋の台が凹状にへこむことが多いのです。ということは、「台直し鉋の台を直すために、別の台直し鉋が必要」ということになります。台直し鉋の台を真っ直ぐにして、ほんの少しだけ刃を出し、それで慎重に鉋の台を削って、台の短手方向の狂いを治してやります。それから、長手方向の調整をし、やっと具合良く削れるようになります。


◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- 道路事情 ---

  大阪の渋滞は、とんでもない渋滞です。東京はよく知りませんが、皇居周りの渋滞を一度経験しましたが、大阪以上の印象でした。それらに比べ、名古屋の渋滞はチョロいもんです。「阪神高速が思うように走れたら、ドライバーとして一人前」と言ってよいと思いますが、名古屋高速は自動車学校の教習車も走っているのではないでしょうか。奈良近郊にいた頃、日本橋へ車で買出しに行くのは覚悟がいりました。日曜でも道路沿いの300円パーキングメーター前に駐車するために9時頃に着くよう家を出て、車中で寝て電気街の開店時刻を待ったりしたものです。名古屋の電脳街、大須では、何時車で行っても、なんとかなります。駐車料金は高いけど、どこかに置けますし、ちょっと遠いけど道路沿いパーキングメーターも利用できることが多い。

 愛媛県では一車線道路が多いからでしょうか、右折車が直進車をあまり待たないですぐに曲がる傾向があるらしく、これを「伊予の早曲がり」と言うとのこと。大阪では合図と同時のめまぐるしい車線変更や、阪神高速環状線での300メートルほどの間で5車線を横切るのがあたりまえの世界。当地名古屋では、「名古屋走り」というのがある。これは左車線でもなく右車線でもなし、「どっちかにせんかあ!」と怒鳴りたくなるような曖昧な走り方を言うのです。それと、片側三車線の道路では、やけに真中の車線が込みます。大阪のように、空いている右や左の車線を走って交差点直前で中央車線に戻ったりしません(笑)。上品と言えなくもないが、大阪のセカセカした走り方の方が、性分に合うようです。

 摩訶不思議なのが、名古屋城北側の出来町通りの通行区分。これは要注意だっせ。路面電車がなくなった道路のせいか、一番右の車線は直進で、右折車は中央車線を走らねばならない、これはいったいどう理解してよいのかわからない。今だにわからないので、いつも恐々走っているのです。


2002年5月

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御岳山麓、三岳村の鯉のぼり(4/25)

 目次
・生木の椅子
・職業としての家具木工について
・関西人の名古屋界隈事情---野球事情---


◆生木の椅子◆

 Kさんの作る、生木の椅子が完成!。生木は予想以上に収縮し、加工時はピッタリだったホゾがかなりゆるくなっていました。このため、PIボンドで接着をしたのですが、それでも充分な強度はないと思われます。座は彼がみつけてきた”い縄”で編んだのですが、それによって補強され、座れるようになりました。

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 ”カントリー風”家具をよく見かけますが、それらに比べ、この椅子はまさしくカントリー。名古屋市内の公園で伐採された木からできているそうです。商品価値や実用的価値とはまた違った、別の存在感がこの椅子にはあるようです。


◆職業としての家具木工について◆

 教室の生徒さんが、今年3人も職業訓練校に入りました。逆に職業訓練校の生徒さんが私にアドバイスを求めてこられることもありますし、訓練校卒の方が相談にみえることも多いのです。そんな現状を見ると、職業としての木工、家具作りについて、主に楽しい面をアピールしてきた私のHPの功罪を感じないわけにはいきません。Q&Aのコーナーでも「家具作りを仕事にしたいがどうすればよいか?」というような質問が多数あり、この機会に、私が感じている職業としての木工・家具作りの現実について書いてみたいと思います。

 プロフィールに書いておりますが、私は薬品会社の営業、スーパーでの食品販売、中学校講師他の職業を経験し、今に至っています。31歳の頃から「木工が自分に合う」と感じながらも、それで食べていく自信がなく、趣味として(時には知人からの注文も)やってきました。その頃相談した先輩達からのアドバイスは以下のようなものでした。

「やめとき、食えないよ」
「なぜ趣味ではダメなの?」
「プロでもアマでもなく、その中間で、時勢に合わせて生きるアメリカ流はどう?」

結局、思い切ったことはできず、15年ほどは自宅六畳で家具作りをしてました。今考えるとそれはよかったと思います。木工で独立するには木工技術よりも、人間関係のもち方や品物の売り方、自分の弱みや強みを知ること、目指す生き方を煮詰めること等の方が大切かもしれない。様々な職業を経験したことで、それらを学んだように思います。

 また職業訓練校の先生達とお話をすると、多くの先生は悩んでおられるようです。というのは、訓練校の目的は、(再)就職であって、木工家を育てることではないし、まして趣味の木工技術を指導することでもないからです。しかし、日本の家具業界は大変な不況、東南アジアなどから、安い家具がドンドン入ってくるし、今後も就職先が増えていく要素は少ないわけです。それでも、「家具作りを仕事にしたい」と仕事を捨てて入ってくる。どうすれば、いいのやら・・・。

 飛び込んで、失敗しても無意味ではない。マイナス面ばかり考えるより「見る前に飛べ」という文句の方が聞こえが良い。しかし、自分が本当にどうしたいのかをよく考えてみることがとても大切だと思う。例えば「今の仕事から逃避したい」のかもしれないし、「何でもいいから独立したい」というのが本音かもしれない。また純粋に「木工をしたい」というのであれば、趣味で満足できないのはおかしいかもしれない。家具製造会社へ入った場合、量産体制でないと能率があがらないから、終日同じ作業の繰り返しという日も少なくないだろう。一方、小さな工房をかまえて独立をする場合、家族が食べていけるだけの年収を稼ぐにはどうすればよいか、目算はあるだろうか。仲間で「妻食主義」と呼んでいるが、奥さんに食わしてもらっている木工家も少なくないのだ。奥さんや家族はその状況に協力してくれるだろうか?

 最終的には「後悔しないように決断する」ことが一番だとは思う。しかし、ゼロか100かではなく、30なり、50で様子を見ながら、ジョジョに経験と実力を蓄えていく方法もいいのではないか。職業訓練校で、家具作りの最低限の技術は身につくだろう。しかし、自分だけのオリジナリティーや強み、それは自分で見つけていくしかない。木工ではない今の職業で、得ることができる”何か”を身に付けておくことは重要なのだ。

 この頃、ウチの工房名を「曲がり角」にしようかと冗談を言っています。それほど、この頃「いつかは木工を仕事に」と考えて入られる方が多くなっているように感じます。転職を重ねてきた私にはそれは悪いことだとは思いませんが、職業としての家具木工の現状については、よく知っておいてほしいのです。

 ◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- 野球事情 ---

  信じられないことだが、名古屋ではなかなか阪神の試合を見ることができない(あたりまえか?)。三重テレビはよく阪神戦を放映するようだが、ウチは電波が弱くて、それも無理。ああ、今年は快進撃なのに・・・。旧東海銀行と同じで、名古屋は全て「中日」中心に回っている。中日新聞にはドッサリ広告が入るが、他の新聞にはほとんどなかったりするのだ。

 放映されるのは、中日か巨人からみの試合だけ。それはあんまりでっせ。視聴率重視のテレビ業界なら、今年ぐらい、阪神戦を放映してもいいのでは?大阪の盛り上がりはすごいやろうなあ。野球がそれほど好きではないのに、阪神が勝つとなぜか嬉しい自分が不思議。「弱い者が勝つ」「貧乏球団でも幸せや」「スターがなくてもチームワークや」等々だからでしょうかねえ。

 地元やから”中日”中心でかまいません。そやけど、巨人偏重主義だけは、なんとかしてほしい。 身内の星野さんが監督の今がいいチャンスでっせ、名古屋のテレビ局様。


2002年4月

 目次
・生木の蒸して曲げ
・初めての丸太ひき割り
・関西人の名古屋界隈事情---銀行事情---


◆生木の蒸し曲げ◆

 教室に来られているKさん、本業は庭師さんで、生木による木工を目指しています。彼の要望で、初めて蒸し曲げをしました。ウィンザーチェアの背もたれになる曲木もやりたかったのですが、体調が悪くて、今回曲げたのは彼が持参してきた切って来たばかりの生木だけです。コンパネで作った蒸し器の中に入れ、カセットコンロで沸かした湯から水蒸気を送って蒸すこと二時間、蓋をあけると熱い蒸気が急に出てきて、指をヤケドしました。蓋を開けるときは分厚い手袋が必要です。

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自作シェービングホースで部材を削り出すK氏

この材料が椅子になるの???

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型にはめて3本まとめて曲げました

続きは来月のお楽しみ。

◆初めての丸太ひき割り◆

 今年後半、あるお宅の新築にあわせて、居間の壁にそっての長さ5.5mX幅60cmという大きなカウンター付のローキャビネットを製作せねばなりません。縦に継ぐのは避けたいので、今回初めて丸太を買って製材しました。写真を見ていただければ、その迫力がわかると思います。数ヶ月の天然乾燥の後人工乾燥をする予定です。

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長6.2m、直径60cm以上のタモ丸太

生のタモがこんな色とは知りませんでした

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薄い板もほしいけど、不安もある。

製材所のスタッフの方が、慣れた手つきで等間隔に桟木をいれて積んでくれました。

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私の丸太が、こうなりました。半年後はどうなっているのでしょう。

 ◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- 銀行事情 ---

 名古屋では、どういうわけか知りませんが、東海銀行がドーンとかまえてます。東海銀行の窓口やATMの混み様は、異常なほどで、いつも長蛇の列でした。三和銀行と合併してUFJになり、少しはましになるかと期待しましたが、やっぱ同じでした。それでインターネットバンキングを登録し、振込等はインターネットで行っているのですが、それでも記帳や現金を動かすにはATMを利用せねばなりません。UFJ銀行さん、もう少し、ATMを増やしてもらえませんか?ATMとは「A:あたまくるなあ、T:たまらんなあ、M:もうエエ加減にしてや」の略かも。利子は限りなくゼロに近いのですから、これからは振込手数料が安くてATMが便利な銀行をさがしましょ。


2002年3月

 目次
・ロシア、ウラジオストックで家具製作指導
・関西人の名古屋界隈事情---ひつまぶし---


◆ウラジオストックで家具製作指導◆

 どうして私みたいな者が、ロシアで家具製作指導をすることになったか、今も不思議でなりません。10年ほど前に行われた橋本-エリチン会談で、日本がロシアの中小企業に技術支援をすることが決まり、外務省の外郭団体、ROTOBOが中心となって、ウラジオストックにある極東工科大学の木材加工研修センターへの設備の貸与と技術援助を続けているのです。一昨年までは実習はなかったのですが、ロシア側の希望もあって、昨年11月ウチの工房ではじめて製作実習をしました。今度は現地で製作指導をすることになったわけです。不況や輸入家具におされている、わが国の家具業界は発展途上国への技術援助に積極的になれない昨今ですから、何のしがらみもない、一個人の私にこんな大役が回ったきたのでしょう。

 初めて訪れたウラジオストックは、日本で思っていたのと全然違い、活気のある美しい街でした。人口80万、坂が多く、海が近い、サンフランシスコや神戸と似た感じです。景気の先行きが見えない日本と比べ、景気が上向いていることも実感しました。”ロシア”というとあまり良い先入観を持たない人が多いように思いますが、それは間違です。”ムネオ”問題で揺れる昨今ですが、こういう地道な技術支援や人的交流が行われていることは、すばらしいことではないかと思いました。私は木工でしたが、パン、ファッション、ハムソーセージなど、様々な分野で同じように技術支援、交流が行われています。

以下のページに簡単な紀行文を書きました。食べ物に興味がある私ですので、食やサウナについての話が多く、実習のレポートが少ないかもしれません。その辺は、どうかお許しください。

ウラジオストック02

 ◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- ひつまぶし ---

 うなぎはあまり好きではないですが・・・、名古屋には「ひつまぶし」といううな丼のような食べものがあると聞いて、元祖「蓬莱軒」で修行された方が近くで「八勝」というお店を持たれているので、でかけました。

 簡単に言うと、オヒツに入ったうな重を、一杯目はそのままよそって食し、二杯目は薬味をそえて食べ、三杯目は出し汁をかけてお茶漬け風に食べるというものです。きしめん、ういろ、名古屋コーチンなどが名古屋名物としては有名と思いますが、地元では味噌煮込みうどん、そしてひつまぶしが結構幅をきかしているかもしれません。
 「それで味はどないやねん?」という声が聞こえてきそうですが、正直なところ、あまりウナギに興味がない私にとっては「うなぎはうなぎ」であり、「手をかえ、品をかえ、ひたすらウナギを食い尽くす」という印象でした。なお、肝心の味、焼き加減については、「申し分ない」、とカミサンも言っておりました。

 名古屋で変わった食べ物というと、他に「あんかけスパ」というのがあるのですが、これについてはまたの機会にレポートしたいと思います。


2002年2月

 目次
・名古屋だけ雪でした
・サンキュッパのトリマ
・関西人の名古屋界隈事情---初詣---


◆名古屋だけ雪でした◆

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 今年のお正月、名古屋はたいへんな雪でした。若狭湾から米原付近をとおって日本海の冷たく湿った空気が名古屋まで到達し、名古屋のあたりだけ、40年ぶり?の豪雪となったのでした。2日間にわたり名古屋高速が全面通行止め、東名高速や中央道も名古屋付近だけ長時間不通となりました。景気の先行きを思わせる冷たい年始めとなりました。(写真は1月3日午前8時の工房床暖房用ボイラー付近の様子です)

◆サンキュッパのトリマ◆

 「”安物買いの銭失い”にはならないぞ!」と誓っていた私ですが、近くのホームセンターで写真のトリマが3980円で売られていましたので、あまりの安さについ買ってしまいました。「激安」にあっさり信念がゆらぐとは、ちょっと情けない。

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 トリマフルセットで3980円。フルセットとは、写真の本体とベースに加え、テンプレートガイド、ガイドフェンス、ベアリングガイド、6mmストレートビット、ビット脱着用スパナ二本、プラスチックケースで、性能はともかく「メチャ安」は間違いなし。
 早速付属のビットを取り付けようとしたら・・・、なぜかスパナがすぐはずれます。「なぜ?、なんでやのん?」、よく見るとナットの下方、軸を削ってスパナが入るようにしてある部分が、平行ではなく、台形です。これではスパナが奥まで入れないわけです。信じられないような加工ミスですが、気をとり直し、スパナをヤスリで台形に削り、なんとかビットを装着しました。なおコレットはマキタ3701と同じ形です。
 ガイドフェンスをつけて、木っ端に溝を掘ってみましたら、とんでもなく、コゲコゲになります。工房のスピードコントローラーで回転をおそくしても、やはりコゲコゲ、要するに付属のビットは全然切れないのでした。兼房のビットをつけてみると、溝を問題なく掘ることができました。
 写真の透明樹脂製ガイド、グリップもあって便利そうですが、ベースにスコヤをあてて直角も見ると、なんと、先端部で1mmもスキマができています。許容誤差範囲を超える不直角(そんな言葉ないなあ)です。
 便利そうなプラスチックケース、スパナやビットを収納しようとしましたが、指が痛いほど押さえても、所定の位置にはまりません。電気のコード、これがまた非常に硬く、何かと不便です。

 結局、細い3mmのビットをつけて基礎コースの筆箱の底板溝切り専用機にしました。こういう目的には充分使えますが、初心者の方には、2万円弱と高いですが、有名メーカー製をおすすめします。少なくとも、付属のビットは全然役に立ちません。10年以上前に17000円で買ったH社のトリマは今も現役ですし、その時付属していたカネフサのストレートビットは、切れ味は落ちたものの、まだ使えます。

◆関西人の名古屋界隈事情◆
--- 初詣 ---

 信仰心とはほとんど縁のない私ですが、年始に初詣に行くのは嫌いではありません。奈良近郊にいたころは、桜井の 大神神社(ミワサンと呼ぶ)へ行っておりました。杉の古木が並ぶ暗い参道、正月のキリリとした寒気、ご神体が三輪山そのものという古い神社の厳かな雰囲気、理屈貫に好きでした。参拝を終え、鳥居前のそうめん屋の庭で、焚き火を見ながら、温かいシメジ入りのにゅう麺を食す、これはヨカッタです。

 今年、カミさんと熱田神宮へ行きました。JRの駅から神宮の入り口まで片側に商店街があり、なぜかピンクサロンがあったりします。参道に入ると熱田神宮の森はなかなかたいしたものです。本殿でお参りを済ませ、参道の帰り道、ふと見ると境内に「宮きしめん」の看板が。「そうめんに代わって、名古屋はきしめんなのだ」と寄り道し、宮きしめんを食しました。濃い色のダシに、ややのびたきしめん、これが名古屋のきしめん、本来の姿のようです。

 京都南部、奈良に近い山奥のニュータウンに住んでいたころは、それほど感じませんでしたが、やっぱ奈良は古い。でも、何よりも、「大神神社」のにゅうめん、うまかったなあ。


2002年1月

 目次
2002年度展示会
・HAMMER社のテーブルソウ
・関西人の名古屋界隈事情「名古屋ラーメン再考」

◆2001年に製作した作品展◆

 恒例のバーチャル家具作品展示会です。数があまり多くないので、ディテールの画像も少し増やしました。2002年度展示会

◆HAMMER社製テーブルソウの第一印象◆

 以前から、欧州の安全基準をみたした、中型スライディング付テーブルソウを探していました。名古屋木工機械展で見たROJEKのテーブルソウはウチには大きすぎますが、同じ輸入元のユーロテックがHAMMERのテーブルソウを一台保有していることを知り、現物を見て購入を決めました。以前の販売価格は85万だったそうですが、展示品のためもう少し安く購入しています。まだ使いこなしていませんが、ファーストインプレッションを書いてみます。なお、HAMMERはオーストリアの名門FELDER社の一部門のようで、写真で見る限り、共用されているパーツが多いようです。欧州の木工学校で、ベーシックなテーブルソウとして使われていることが多いそうです。

・重量270kg、2x2m以上の設置面積が必要
 趣味で使うには無理がありますが、建具や家具作りではちょうどいい大きさ。重さは鋳物製ほどではないにしても、気軽に動かすことができない据え置きタイプです。

・ややクセのある操作感
 シェーパーを組み込んだ複合機械とパーツが共有されているためか、特にリップフェンスの形状が丸のこ専用機には理解しにくい形です。またスライディングテーブルは1m以上移動しますが、押すと丸のこの真横で強制的にストップするので、見た目よりも動きが少ない印象になってしまいます。アウトリガーの取り付け位置もよく検討しないと動きが制限されます。丸のこ刃の軸径は30mmでその他9mmの小穴2つが空転防止用に必要。アルテンドルフでもそうなっているらしいです。

・過剰?かもしれない、安全スイッチ
 電源をONするには、「ノブを引いてからスイッチを押す」という、二段階操作が必要で、その位置もかなり遠い(緊急用ストップ専用スイッチは本体左側にも有)。また鋸刃のカバーが所定位置にないと、電源が入りません。

・スプリッターが一種類
 のこ刃より高くセットされるので、自分で削って、低くしました。これは欧州でのこ刃上方の安全カバーが義務ずけられていることと関係があるようです。

 スライディングテーブルソウは、ドイツで考案され、欧州でよく使われていますが、その使用目的の主たるものはパネルの切断であると思います。アルテンドルフのフルサイズモデルなどは、1.2mX2.4mの欧州サイズのパネルを多量に切断するためのものではないかと思います。サブロク板の日本ではHAMMERのサイズで充分ですが、精度高いジョイント部分の加工等には、ぺティーワークなど日本製小型横切りの方が適しているかもしれません。
 しかし、はぎ合わせた板やカマチ組みの扉の切断や調整などで、重い部材が安心してのせられるこのようなテーブルソウは、やっぱり便利でした。頑丈な鋳物製のテーブルトップ、見た目以上に頑丈なアルミ引き抜きのスライディングテーブル、力強い三相のモーター、スムースなテーブルや鋸刃高さ調節と傾斜機能、等々、クセはあるものの、ほぼ納得できる性能のようです。
 今回は代理店経由で購入しましたが、彼等が充分な知識を持っているわけではなく、ある程度機械がわかる私は、もどかしささえ感じてしまいました。ただし、以前FELDER社と直接メールで交渉した感触はあまり良いものではなく、一台程度では残念ながら代理店経由の購入しかできないようでした。

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◆関西人の名古屋界隈事情◆
---名古屋ラーメン再考---

 昨年11月、東京の三鷹に行った際、荻窪の「春木屋」へ行きました。かなり昔の話になりますが、荻窪は、三ツ星のラーメン屋が多いところで、「丸福」などは長蛇の列ができていたものです。
 さて、春木屋ですが、やっぱ10人ほど並んでました。750円の中華蕎麦は、煮干でしょうか、はっきりした和風ダシはインパクトがありましたが、関西人の私には「これで750円?」と疑問符が3つほどつきまして、「名古屋の方がましちゃうか?」と思ってしまったのです。
 名古屋には良くも悪くも、とにかく人の集まる、人気ラーメン屋チェーン「本郷亭」があります。濃厚トンコツスープ、メチャ厚切りチャーシュー、のびにくい麺、ボリューム満点で700円。あまりの濃厚さに私は3回で「もうええわ」と思ってしまいましたが、やっぱ春木屋より、こっちの方がエエというか得なのは間違いないなあ。

 私の感じるところ、名古屋人は「その場では文句を言わないであとで文句をいう」傾向がある。たとえば不味いラーメン屋では関西人は、声には出さないまでも、「なんちゅう不味いラーメンだしとんねん!プロやったらちゃんとした食いもん出さんかい!」と目や態度などで目いっぱいしめしまっせ。ところが、名古屋人はその場では「ごちそうさま」とかなんとか言いながら、後で「あそこは行かん方がエエ」てなことを吹聴するんではないかと・・・、これはあくまで想像です。しかし、前者ではラーメン屋が客の評価を感じ取ることができるのに対し、後者は「おれのラーメンもそこそこやなあ」と勘違いの自信を持ってしまうことになるんやないかなあ。

 名古屋でスーパーへ行くと、豚のヒレを切らずに棒のまま揚げた「棒状ヒレカツ」が並んでます。こんなん関西にはおまへんでエ。もちろん東京にはないやろなあ。名古屋はとにかく、ボリュームが大切な土地柄ではないか。尾張旭のラーメン屋はチャーシュウの分厚いところが多いし、蕎麦屋も量が多い。以前食べたトンカツ蕎麦など、メチャクチャ腹膨れました。けっきょく、私も「質より量」の名古屋人的関西人ですな。