ウラジオストック紀行
---家具製作指導---

今回の課題としたサイドテーブルの図は以下を参考にして下さい。

サイドテーブル図面


17日
名古屋空港8時発新潟行きに乗るのであるが、国内線ロビーは異常なほどの混雑。飛び立ち、眼下に雪山が見えたと思ったら、まもなく新潟空港であった。集合時間は13時であるため、時間がたっぷりありすぎる。荷物をコインロッカーに預け、新潟駅へいってみる。スポーツ用品店、本屋などをぶらつき、万代バスセンターにある、回転すしと中華そばの複合店という一風変わった店で昼飯をとったが、隣の立ち食い蕎麦とカレーの店がとても繁盛していたのが気になった。

 午後一時に空港に戻ってみると、添乗員さんや通訳の方、そして主催のROTOBOのスタッフの皆さんが顔をそろえていた。今週は製パン部門、ファッション部門、そして木工部門、各3名の講師と通訳さんご一行の団体旅行である。こういう何もかもお膳立てが整った海外旅行は初めてであるが、それはそれで快適であった。
 やや老朽化したツボレフという中型ジェット機に乗り込み、新潟をあとにした。ロシア女性のスチュアーデスさんは、ツーンと胸が突き出した、ちょっとゴッツイけど、まあまあいい感じでありました。2時間弱の飛行の間に、ビジネスクラスということで、ボリューム満点の食事が出る。凍りついたウラジオストック空港に着いたときも、ビジネスクラスが優先して入国審査を受けられるように誘導される。ありがたいことではあるが、そういう待遇の差は性に合わない感じがした。
 出迎えの極東工科大学の先生達の運転する車でホテルへと向かう。予想したよりはるかに、人家が多く、にぎやかでよい印象を持った。ホテルの部屋からIPASS経由で、メールチェックを試みるが失敗。明日スタッフから聞いた地元プロバイダが使えるプリペイドカードを購入するつもりである。100ドルをルーブルに両替し、韓国料理レストランで、軽い晩飯を食べて、寝た。

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18日
 9時ロビー集合、プーシキン劇場での開講式に行く。ロシアでもこういうセレモニーが多いそうである。司会や通訳の女性をはじめ、ロシア人女性は美しい人が多い。退屈な挨拶をいくつか聞いて式は終わった。

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その後、講習会場の木材加工センターへ行く。迷彩服の作業服がいかにもロシアという感じ。みんなは分厚いドアの部材を作っていた。恒例らしいが、毎日大学の学食で昼食をとる。ハム・ピーマン・イクラ等の前菜、トリ肉の焼いたもの、卵の入ったスープ、ポークピカタ、お菓子、紅茶、他ボリュームたっぷりである。夕方から、センター長の案内で市内見物をさせていただいた。金角湾というらしいが、サンフランシスコにも似た坂の多い町並みは美しい。ホテルで、スタッフのSさんに頼んでいたインターネット接続用プリペイドカードを入手し、設定しつないでみると、無事メールチェックができた。このカードを買ってそのに書いてあるDNS、ID、パスワードなどを使って新しいダイアルアップを作ればOK。旅先でとても便利。PCは一ヶ月ほど前にハードオフで2万円少々で買ったHP680LX、ハンドヘルドPCでした。

以下は、ロシア語ですが、そのインターネット接続カードのホームページ
http://www.primorye.ru/cards/

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19日
いよいよ実習。一時間半N先生の講義のあと、課題や道具の説明に入る。そして、ノミのカツラ下げと、研ぎを実演するが、ロシア人実習生用の作業場が確保されていないのと、通常の仕事も平行して行われており、教えにくい。
12時から学生食堂で昼食のパターン、今日のメニューはハム、ボイルイカのマヨネーズかけ、野菜のフライ、ボルシチ、肉入りパオズ、サーモンライス添え、甘いパンと紅茶である。当然食べきれないが、家庭料理のようなこの学食の料理はてても気に入っている。明日から量を少なくしてもらうようにお願いした。食に興味があるので、学食の写真を掲載しておきます。

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 午後から、ホゾ穴のスミツケをし、角のみで穴を掘る。平行してカンナの研ぎを実演した。講義よりカンナの仕立ての方が興味があるようである。
 4時過ぎに今日の実習を終え、ホテルへ帰った。いつもの韓国レストランで木工メンバーで夕食をとり、ひとりで夜のシベリア鉄道起点、ウラジオストック駅や港を見て回った。

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20日
 実習二日目である。昨日どうなるかと心配したが、機械は使い慣れているので、「手加工の経験をしてほしい」という希望を無視して、勝手に作り始める若い人が多くなる。それはそれで楽なのだが、木工教室を2年間やった経験から、自分の流儀を一時的に捨てて教える人のやり方を経験することが「習う」ということの最大の価値なのだとしみじみ思う。中年以上の人は、そのことを理解していて、日本流木工を経験しようとする意欲が感じられる人が多かった。
 今日の昼食は、申し出によって、量が減っていたが、それでも日本で毎日食べているカロリーの二倍近くあると思う。
 実習を終え、デザイナーのNさんの知り合いで、女性4人でやっているデザイン事務所を訪問する。男ばかりの木工グループなので、ロシアの女性4人を前にして、通訳のMさんはじめ、パワー炸裂。そこにウォッカが登場し、明日のディナーをホテルのレストランに招待するという話になってしまう。さてどうなることやら。
 この日の夕食は、ロシア人青年通訳のJ君がすすめる中華料理店に行くが、満員。で、ホテルに近い人気中華料理店にROTOBOのスタッフや添乗員さんと行く。店の入り口には棍棒を持って迷彩服を着たガードマンが立っており、見慣れぬ光景であった。

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21日
今日は脚部の組み立てである。センターの研修生など4人には引き出し作りを教えるので、ちょっと急がねば。仕上げカンナをかけ、接着剤を入れて組み立てるわけであるが、予想以上にカンナをうまくつかっている人が何人かいる。研ぎや刃を出す作業は私たちが行っているわけだが、器用に日本のカンナを押して削っている姿は見ていて楽しい。引き出しを除き、なんとかなりそうである。
 午後5時ごろから、木材加工センター所長のY先生招待で大学内のサウナに行く。乾式のサウナであり、シーツをタオル代わりに巻いて入る。熱くなったら水風呂に入って体を冷やし、横の部屋でつまみを食べながらビールやウォッカを飲む、そしてまたサウナ・・・の繰り返し。それだけかと思ったら大間違い。別の洗い場みたいな部屋へ行き、デッカイホースで5mほど離れたところから強烈な勢いの湯を体の前、後ろ、横とY先生が全面に当ててくれるのである。それが終わると、体の四方八方から針のような湯のシャワーが出てくるブースに入って全身マッサージ、大事な所が痛い。そこを出ると、便所のようなブースが待ち受けている。ここに座ると、尻の谷間や肛門、タマタマの裏側といった日陰の部分にまたまた強烈なシャワー、いやはやいやはや。ロシアサウナの話だけで原稿用紙10枚ぐらい書けそうである。

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 6時半から、昨日招待した女性4名のデザイン事務所の人達と韓国レストランで食事。本当は評判のロシアレストランのはずだったけど、あまりに高いということで、韓国料理に変更というわけである。この韓国レストランはあまりうまくはないが値段は手ごろである。

22日
最終日、引き出しの完成までは苦しいが、その構造がわかるところまではなんとかやろう。昨日の要望で、アリを刻むデモンストレーションはやらねばならない。昼までに引き出しを作らない人はほぼ完成した。やれやれ。
 午後一番にアリの刻みを見せて、実習は終わった。引き出しを作っているのは、大学の生徒達なので、あとは自分達でやってくれるだろう。

 修了証を手渡し、最後のセレモニーを終えて、今度はセンターのスタッフがパーティーを開いてくれる。やたら大きなスペアリブを外のバーベキューコンロの上で焼いてくれる。あとはイクラをいっぱいのせた玉子や、シイタケ、マッシュルーム、ナメコなどキノコの味付け煮(ビン詰と思う)など、お腹がいっぱいになった。
 夕方4時ごろホテルに帰るが、さすがに皆夕食は必要ないので、しばらく休憩することに。ホットして疲れがでたのか8時ごろまで寝てしまった。シャワーを浴びてテレビを見ている(NHKーBS放送が入る!)と、他のメンバーから「ちょっとお腹が空いたので、12階で軽食とビールでもどうですか?」というお誘いがあって、一時間ほどウラジオストックの夜景を見ながら飲んで食べて、あとはぐっすりと寝た。

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23日
 10時50分に迎えが来て、センター長の案内で企業視察である。まずは軍儒工場を思わせる巨大な建物で、ソファーや箱物を作っている工場。タッカーやくぎで松材をええ加減に打ちつけたフレームにウレタンフォームを張って布で包んで一見豪華なソファーを大量に作っている。中流家庭がターゲットとのことだが、私の好きな、シンプルな家具はこちらでは人気がないらしい。コッテリした豪華趣味でないと売れないのだそうだ。それにしてもフレームの木は考えられないほどメチャクチャな作りであった。

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 次は、倒産した家具工場のビルの一角でガラスのアート的な作品とマンモスの象牙をつかって小さいけれどとても細かい細工をしている工房である。こちらは日本のクラフトマンに通じるセンスで、うまく宣伝すれば売れるのではないかと思った。
 あとはウォッカ、マトリョーシュカという民芸人形などを買いだし、シベリア鉄道終点のウラジオストック駅を見物したり、凍ったアムール湾を見てセンターに帰った。ここで60才の誕生日を迎えたYセンター長のお祝いをセンターのスタッフ数人と行う。熊を撃つ銃を見せてくれ、「来年は森で射撃の練習をやろう」という。楽しみだけれど、”ムネオ”問題で揺れる日本、もう一度来ることは???である。

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お腹が空いているのに、乾杯のウォッカを急に飲んだせいか、ホテルへかえってコーヒーを飲むと急に酔いがまわってきて、しばらく部屋で昼寝をした。仕事がすべて終わった安堵で、のんびりしてしまう。6時前におきて、近くのグム百貨店でカニ缶二個を買ってお土産も打ち止め。
 7時からは最終の公式行事、領事館主催のパーティーである。こんな機会でないと会うことができない総領事の高松さんはとても気さくでバイタリティーのある方でした。

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24日
11時にヒュンダイホテルを出て、13時50分発の飛行機で新潟へ。時差で一時間得をして日本時間の午後2時半頃に新潟に着いた。ロシアはとても近い外国であった。

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木材加工センター内外の様子

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