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2001年12月

Russia Woodworking Album

目次
・ロシア支援、家具製作実習
・名古屋木工機械展
・東京国際家具見本市
・関西人の名古屋界隈事情「どっちやねん?」


ロシアから9人の実習生

 ひょんなことから、ロシアから来られた9人の方の家具製作実習をウチの工房ですることになりました。なんでも橋本・エリチン合意に基ずくロシアへの技術支援の活動らしいのです。ロシアで家具工場を経営したり、工場で何年も働いている人に、趣味あがりの私が教えることができることといったら、日本の刃物の研ぎしかないのではと思い、ウチの基礎コースのとおり、鉋とノミの研ぎから経験してもらい、写真のスツールを作ってもらいました。最初は、「なんでこんなことせなあかんねん?」という表情が見え見えだった彼等も、だんだんと手作業に熱中し、なかなか充実した4日間ではなかったかと思います。「写真を送る代わりに、ホームページに載せる」という約束をしましたので、このページに、全てのスナップ写真を掲載しました。  初めて見た彼らは、なんとなく怖いイメージでしたが、次第に打ち解け、最終日のバーベキュウパーティーは、「鍋奉行」ならぬ「バーベキュウ奉行」も登場し、とても楽しいひと時でした。来年二月には、今度はウラジオストックへ乗り込むことになりそうです。

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名古屋木工機械展

 11月上旬に名古屋金城埠頭で名古屋木工機械展がありました。最盛期には巨大なドーム型展示場を含め3つの会場に木工機械がひしめきあっておりましたが、今回は、二会場のみの、ややさみしいムードでした。
 今回、手ごろな値段の欧州の安全基準を満たしたスライドテーブル付きのテーブルソウがないかと思っていましたので、イタリアとチェコからの輸入された機械が目につきました。イタリアのものは150万円、チェコのRojekのは95万円ぐらいとのことで、Rojekの機械に興味をもちました。鋳物を多用した頑丈な作りですが、横幅が3m近くなるためウチには大きすぎるようです。結局、同じ輸入元から、オーストリアHAMMER社製スライドテーブル付きテーブルソウを購入することになりそうです。横切り専用機として定評のあるぺティーワークもいいのですが、多目的に使うにはやや難があるように思いました。 あと見直したのが、ラメロのTOP20。ビスケットジョインターの元祖、高級機ですが、やっぱりこれは良さそう。特に溝の位置を微調整できるのが便利そう。精度の良い機械、安全で使いやすい機械、それにはお金がかかるということでしょうか。

東京国際家具見本市

 数年前に見た東京国際家具見本市は、大きな倉庫みたいな所だったのに、今回は美しい巨大な建物でした。何時の間に建ったんでしょうか。不況不況といいながら、ある所にはあるんですね。それにしてもお台場やこの展示場といい、このような巨大な開発は必要なんでしょうかねえ?
 肝心の家具ですが、海外の国をアジアと欧米に分けているのには、不自然さを感じてしまいました。確かに、欧米、とくにヨーロッパの家具は垢抜けていますが、同じように立派な展示をすれば、アジアの家具もかなりいい線いってるものが多いと見ました。東南アジアの国々のレベルがあがってきている現在、日本の家具は今のままではきびしい。
 米国広葉樹輸出協会が日本の木工家に材料を提供し、あまり良質でない広葉樹を使った作品の展示ブースは印象に残りました。「写真撮影お断り」でしたので、残念ながら写真を紹介できませんが、ホントすばらしい作品が多かったです。


◆関西人の名古屋界隈事情◆
---どっちやねん?---

 私は、へそ曲がりというかなんと言うか、マイナーかダサイ方を応援する性質です。「巨人より阪神」、「吉野家より松屋」、「スターバックスよりドトール」、「梅田・難波より新世界」、「三宮より元町高架下」、・・・、書き出すときりがない。
 名古屋に話を戻すと、「名古屋はどっちやねん?」ということになる。初めて栄の町を歩いた時、「きれいなところやな」と思ったもんです。表参道のようなちょっと垢抜けしたところも感じつつ、「東京の真似しとんなあ」とも。最近にぎやかな名古屋駅周辺(こちらでは名駅と言う)は、ピカピカのデパートがどーんと建っていて、これはもう何も申せません。 栄を少し南に歩くとすぐに名古屋の電脳街、大須です。ここは、関西人の私がほっとできる地域ですが、何となくパワーがたりません。例えば、大阪日本橋へ車でパソコンを買い出しに行く時など、車をとめるのは並大抵ではありませんが、ここ大須では、ちょっと探せば、何とかなってしまう。便利やけど・・・、なんか寂しいなあ。
 土曜の昼にはテレビで吉本新喜劇はやってるけど、町全体は東京を追っている、そんな感じがしまっせ。名古屋はホンマは関西の泥臭さが好きやけど、表向きは垢抜けした東京文化を追っているのんやおまへんか?そんな感じをうけてます。


2001年11月

目次
・韓国から木工を習いにチェさん来る
・3度目の来日、エドワードさん
・関西人の名古屋界隈事情「名古屋弁」

更新、その他
・1996年、木工仲間数人で行った米国木工ツアー96の記録公開
・インパクにこちらのミラーサイトで参加してみました。


◆韓国から木工を習いに”チェ”さん来る◆

 このホームページを見た韓国のチェさんが「木工を習いたい」とメールをくれたのが約一月前、「二日間ほどの短期講習は可能」と返事を書いたら、飛行機に乗って本当に来てくれました。筑波に二年間いたこともあって日本語はペラペラ、インダストリアルデザイナーから木工屋への転職希望だそうです。いつもの基礎コースと同じく、研ぎから始めて、筆箱を完成させ、穴掘りとホゾ作りの練習までなんとかできました。来春には韓国で自分の工房を開く予定だそうです。

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◆カナダから3度目の来日、エドワード◆

 10月と11月は海外からの訪問ラッシュです。京都の自宅にも二度来ている、カナダ、トロントのエドワードさんが名古屋を訪ねてくれました。11月上旬にはロシア人9人の家具製作実習も予定されていますが、詳しいリポートは次月度のお楽しみ。

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EDWARD

◆関西人の名古屋界隈事情◆
---名古屋弁---

 名古屋弁は好きである。大阪弁よりも好きかもしれない。名古屋人は、名古屋弁にもっと自信を持ってもよいと思う。

 JR中央線に鶴舞という駅があり、「つるまい」と読むが、由緒正しい名古屋人は「つるみゃあ」と言うらしい。もちろん、エビフライは「エビふりゃあ」です。「〜しとったがや」は「〜しとったぎゃあ」となったりする。これらはたいてい語尾を上げて発音します。工房を建ててもらった大工さんは、ばからしい話のあとに「トロクサイ」、ラジオの女性アナウンサーは、やたら「なにー!」を連発。丁寧語で「家具を作ってみえる」という言い方、これはやわらかい感じ。食べ物をわけわけするのを「モウヤッコ」すると言い、修理するとか触ることを「ナブル」という。集めれば、面白い名古屋弁がいっぱいあると思うが、すでに名古屋にかなり染まっているので、名古屋弁と気がつかないものが多いかも。「メチャうまい」は「デラうまい」になったりするが、これは全国版?。

 地域情報ですが、名古屋市の北の端に名古屋市最高峰「東谷山」(とうこくさん)があり、そのふもとに「東谷山フルーツパーク」があります。入場料はタダで、園内の販売店には格安の果物が並びます。行楽シーズンの休日をのぞけば、ノンビリした果樹園の続く園内を歩くのはささやかな私の楽しみです。もうひとつ楽しみなのは、ここのソフトクリーム(230円)。濃厚でとても美味しい。生まれ育った神戸は好きな町やけど、ワイン城、海釣り公園など、やたら有料施設が多い。それに比べ、このフルーツパーク、熱帯植物館をのぞけば入場無料で、東谷山へのハイキングや、森林公園とともに心身の手軽なリフレッシュにいいんです。

今月は名古屋を誉める内容になってしまったがゃあ。

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2001年10月

目次
・木工教室作品展スナップ
・関西人の名古屋界隈事情

更新、その他
・リンク追加
(WEST HORSE、クラフトタキガワ、谷 進一郎氏、からくりの末松先生)
・掲示版で名古屋のラーメン話が・・・。


◆第一回木工教室作品展スナップ◆

 9月28日〜30日、工房ギャラリーで教室作品展を開催しました。初日は3人しか来られなくて、「どうなることか?」と心配しましたが、土日は生徒さんの知り合いはもちろん、近所の方、新聞の案内やHPを見てこられた方、材木屋さんや木工家の知人等、多くの方にきて頂き、ありがとうございました。作る方も見る方も良い刺激があったように思います。ぜひ年一回は実施していきたいと思います。

KEXH-01.JPG - 81,950BYTES基礎最終課題の引出箱

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筆箱は最初の課題

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二番目の課題、スツール

◆関西人の名古屋界隈事情◆

 名古屋名物といえば、きしめん、ういろが有名だが、「味噌煮込みうどん」が現地では勢いがある。 ところがである、老舗「山本」の味噌煮込みうどんを食べてみても、関西人の私には生っぽい麺を味噌入りのダシで煮込んだだけで、値段が高いのに人気があるが全く理解できない。あまり具の入っていないシンプルな味噌煮込みで800円ぐらいするのだ。大阪弁で言えば、「ぼったくりや!」である。ただし、スガキヤが発売している、インスタントの味噌煮込みうどんは、女房や神戸の実家で大好評、すがきやブランドでありながら、オススメです。

 「老舗」の味に?がつくのは、名古屋だけではありまへん。食い倒れの町大阪、そのミナミに行列ができるラーメン屋といえば、「金龍ラーメン」と「神座」だが、私は何度食べても、人気の秘密がわからなかった。どうして、こんなに行列ができるか、食い倒れ大阪の七不思議の二つである。「大阪で”うまいもん”食べたかったら、行列に並んだらエエ」といわれるが、例外もありまっせ。

 昔、「中華料理はきたない店がうまい」と信じてたけど、違うかも。親父の最後が近かった頃、京都から神戸の実家へよく通い、神戸元町の親父が好きやった「丸玉食堂」でよく昼飯を食べました。このお店はガード下のパチンコ屋のとなりで、台湾の屋台のようなムードの、わりと有名なお店。ある日卵入りアンカケのかかった老麺を注文、おばちゃんが、「ハイ」と言って持ってきたのを見ると、熱ーいとろみのついたスープの中に、右手親指がしっかり第一間接まで浸かっておりました。流石に、この「親指ラーメン」には参ったのであります。というわけで、最近は清潔さも大切と認識してます。


2001年9月

◆第一回木工教室作品展◆

 2000年1月にスタートした名古屋での木工教室、そのはじめての作品展を下記のとおり開催します。スキマがあったり、鉋がうまくかかってなかったり・・・、技術は未熟であっても、自分で作ったものには限りない愛着があります。「完成品」ではなく、作る楽しさを感じてもらえると嬉しいです。

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期間:2001年9月28日(金)〜30日(日)
時間:午前10時〜午後6時(最終日は5時まで)
場所:「宮本家具工房」
名古屋市守山区吉根、ジャスコ守山店東500m

アクセス:
・東名阪道、松河戸IC、小幡ICより約15分
 西方面からは松河戸ICを下り、すぐの交差点は直進、庄内川を橋でわたって坂を登ると15号名古屋多治見線との交差点。東からは小幡ICで高速道路を下りると同じ交差点に至る。ここから15号名古屋多治見線を北上。竜泉寺ウォーターパークのある峠を下ると吉根地区に入る。ジャスコ守山店の次の信号を右折50m左側。

・東名高速、春日井ICより約10分
 春日井ICを下り19号線を名古屋方面へ約1km、「六軒屋町」交差点を尾張旭方面へ左折、「篠木町4」の交差点も左折し、508号内津勝川線に入る。1kmほど行ったところの篠木町8の交差点を右折し、JR中央線を立体交差で越え、吉根橋を渡るとジャスコ守山店の交差点。ここを左折し、次の信号を右折50m左側。

・大曽根駅からガイドウェイバス
大曽根からガイドウエイバスで20分、「西小学校前」下車徒歩4分。

◆お問合せは 070-5651-4030 まで◆

◆木表木裏?◆

 6月から知人のご好意で東京のある建具屋さんで月一回指導を受けています。本当の修行をしたことがない私にとって、そこでの体験はとても刺激的です。先日、師匠曰く「木裏、木表がわからない人は物を作ってもらっては困ります」・・・トホホ。木口を見なくても、「板の表面を見れば、木裏か木表かわかる」と言われるのです。
 「木というのは春から夏にかけて急速に成長し、秋になって急に成長が止まる、だから年輪の内側がぼやけており、外側がはっきりしている。このことを理解しながら板を見ると、木裏の方が、男性的なはっきりした年輪であり、木表の方がやわらかい表情であることがわかる」ということでした。帰ってから材木を見ながら考えると、板目の場合は木裏より木表の方が年輪がより斜めに走っていますから、木目の間隔は広くなります。したがって、木裏の方が木目はつまっていることが多いことに気がつきました。
 板の表情だけで木裏か木表かを見る練習をすることが大切とのこと。正解は木口を見ればすぐわかりますから。何かを作るとき、反る方向を予測したり、鉋をかける方向を決めたりするのに、木表か木裏かを知っておくとは大切です。

◆関西人の名古屋界隈情報◆

 毎月、木工の話ばかりではこちらが面白くありません。何を隠そう、私はラーメン、うどん、そば、ギョウザに代表される安い食べ物愛好家というか講釈屋です。工房から近い尾張旭市は名古屋でも有数の有名ラーメン店が集まる所と聞き、盲腸が治ったこの機会に、ラーメンの食べ歩きを始めました。今回は総論です。

 第一にはっきりさせておきたいのでは、焼き豚と煮豚は別物であるということ。名古屋のラーメン店では、豚肉のやわらかいものがのっていることが多く、それなりに美味しいわけですが、これらは「煮豚」であると考えます。神戸の、昔からの「中華そば」に入っているチャーシューは、まさしく「焼き豚」であって、タレをかけながら焼いたものです。当然、風味が違います。
 第二に、真に美味しいラーメンは、「後でいろいろと思い出す」のです。お店で食べている時に美味しいと思っても、後で考えると「もう一度行きたい」と思うお店は少ないものです。
 第三に、名古屋のラーメンというのは、「すがきやラーメン」の味を出発点としているのではないかと思うことがあります。子供の頃にすがきやでお世話になった人が多いらしいのです。このラーメンレポートを書き始めるにあたり、再度確認のため、近くのスーパー二階にある「すがきや」で340円肉入りラーメンを食してきました。名古屋育ちの方には申し訳ありませんが、神戸南京町近くで生まれ育った私には、どうしても美味しいとは思えませんでした。「すがきやフリーク」の皆様、すんません。

次回は、各論に・・・入るかな?


2001年8月

 先月19日に虫垂炎破裂で緊急手術入院をしました。今月は木工の話題とは全然関係ありませんが、この経過を報告しつつ、病気との付き合い方について考えてみました。自営業に限らず、いつやってくるかわからない病気、その時の対応に参考になればと思います。

(経過)
 7月17日夜、胃の左上部に痛みを感じる。18日、冷や汗がでるほど痛むので、近くの開業医(内科)を受診、尿検査と問診、触診で、腹薬をもらって帰るが、痛みが治まらないので再度受診し、胆石の疑いをはらすべく、超音波検査をしてもらう。鎮痛剤「ブスコパン」を注射してもらうが、効き目なし。夜の食事はほとんど食べることができなかった。翌19日、熱が出ているので、再度受診し、抗生物質をもらう。痛みは全然おさまらないが、寝て回復を待つ。夕食は「食べないと治らない」と思い、無理して食べる。夜9時ごろ、カミさんが「パソコンがおかしい」というので、起きて、パソコンの前に座ってしばらくすると、腰の骨が折れたような激痛が右下腹部に!(この時破裂したのだと思う)。辛抱たまらず、上記内科医に電話すると、「すぐ労災に行ってください」と言う。カミさんに車を運転させ、旭労災病院の緊急外来へ。そこへ救急車が到着し、一時間ほど受診まで待たされるハメに。
 やっと番が回ってきて、血液検査をしてもらう。結果を見て当直医の態度が一変、「白血球数がとんでもなく多い、盲腸の可能性大です」という。造影CTによって、虫垂の破裂が確認され、かなり腹水がたまっているとわかった。外科の先生が呼び出され、深夜の緊急手術となる。虫垂摘出術とともに、腹部の洗浄、吸引が行われた。麻酔は脊髄から患部を継続的に麻酔するのと、全身麻酔の併用でした。
 手術は無事終わりましたが、その後腹がパンパンに膨れ、横隔膜が圧迫されるのかシャックリが止まらない状態が続く。結局一週間、絶飲食で点滴だけですごす。腸閉塞状態を改善すべく、腸を押さえたり、腹筋をしたりして、ようやく、食事がとれるようになり、二週間後退院した。

(反省点)
・近所の内科医が盲腸の可能性を考えなかったのはお粗末だが、普通とは違う痛みを感じたら、血液検査やCT検査がすぐにでき、後の対応ができる大病院を受診すべきである。

・「体が資本」と考えるあまり、「少々の痛みは我慢して、がんばらねば!」という考えが根底にあった。病気で我慢してもいいことはひとつもない。できれば、小さな病気の時から、大きな病院の信頼できる医師と親しくなっておいて、病気が重篤にならないうちに手を打つのが望ましい。

・本当に「緊急」と感じたら、救急車を呼ぶべし。緊急外来へ自分の車で行くと、熱の出た子供などの後回しになってしまうが、救急車なら真っ先に見てもらえる。

(その他)
・医療の進歩はすばらしい。例えば継続麻酔のおかげで、術後ほとんど痛みはありません。また私の入った旭労災病院外科は、看護婦さん・ドクターのチームワークがすばらしく、安心して入院できました。

・国保の二割負担でかかった費用は約16万円でした。隣のベッドの結腸ガンの疑いで切除をした方もほぼ同じような費用でした。突然病気をした場合、国保に入っていれば、たいていは20万円以下の費用ですむのではないでしょうか。


2001年7月

「暮らしの中の木の椅子展」の椅子が帰ってきました。

約一年半の間、各地の展示会で多くの方に座られたと思いますが、ほとんど傷んでいません。前回のスタッキングチェアではホゾが緩んでいたのに・・・。超軽量で意外に強いスツールです。


鉋の手入れ、刃口と裏刃について

 優れた技能をお持ちの建具職人さんに自分の鉋をみていただく機会があり、自分の道具の未熟さを恥ずかしく思いながらアドバイスをいただきました。なんとなく切れが悪く、逆目が止まらないようになっていた鉋でしたが、指摘された点を直すと、写真のように調子よく削れるようになり、逆目もかなり止まるようになりました。

裏刃
 今まで裏刃はあまり研がないでもいいと勘違いしていました。しかし刃先にあたる削り屑によって磨耗し、次第に調子が悪くなるそうです。二段研ぎの部分だけではなく、しのぎ面全体を研がないと、二段とぎの幅がだんだん広くなるとのこと。今回時間をかけてしっかりとしのぎ面を作り、二段研ぎは中砥で3回ほどひくだけの、きわめて幅の狭いものです。また裏刃は表刃と重ねていっしょに台に入れるようにすること。裏刃の両端が磨耗して平面が崩れやすくなるとのこと。

刃口
刃口も埋めました。上の鉋は、刃口に深さ5ミリほどの溝をついて、木口を上にして木片を埋め込んだもの。下は今回、時間をかけて、刃口のスロープ全体を削って埋めたもの。下の鉋は刃口の幅は、0.3mmぐらいにしています。どちらの方法も刃口を埋めないより格段によくなりますが、上は手軽にでき、下は長く使えるでしょう。

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手ごろな樫の木がなかったので、ハードメイプルを使いましたが、白い色がよそよそしい。

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2001年6月

松本クラフトフェアと木曽路ドライブの一日

 5月26日、何年かぶりで松本クラフトフェアを見に行きました。高速代節約のため、中津川から19号線を走り、3時間少々。木曽路のドライブは快適ですが塩尻松本間が渋滞で時間がかかりました。
 今年初めて気がついたのかもしれませんが、会場「県の森」の隣のグランドに大駐車場が用意され、ガードマンさんも二人立ってくれて、車での見学がとても便利でした。テント数は最盛期には及びませんが、久しぶりに木工屋の友人達に会って2時間ほどで会場をあとにしました。

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 帰り道、19号線沿いにある「木曽暮らしの工芸館」に立ち寄りました。ここは道の駅「木曽ならかわ」に併設された大きな建物で、伝統工芸である木曽漆器の製造過程を展示してあったり、大きなギャラーでは家具の展示がされています。時々この地方在住の木工家さん達の展示会もおこわなれているようです。

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 工芸館で木曽路の地図を見ていたカミさんが、「奈良井宿って面白そう」というので、寄ってみました。JR奈良井駅前の無料駐車場に車を置いて歩き出すと、期待していなかったのに、実にいいムード。「電柱を見せない」「音楽を鳴らさない」「自動販売機がない」「呼び込みはしない」というような、細かい心配りが感じられ、観光地でしばしば味わう不快感なしに、昔の宿場町の雰囲気を味わえて満足でした。この日一番の収穫かな。

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2001年5月

第二回鉋一日講習会終わる

 4月30日に大阪・奈良・愛知等から6名の方が来られ、鉋一日講習会を実施しました。貫禄ある大工道具箱を携えて来られたKさん、桑の木で指物が得意なMさん、建築家のFさん、大阪から来られた研ぎに熱心なEさん、「包春」の新しいカンナを持って来られた奈良のWさん、そしてご近所の木工愛好家Nさんです。私も皆さんからいろいろ話が聞けて楽しかったです。昼食はカレー、タンドリーチキン、サラダ等でしたが、かなり多量に炊いたごはんがほとんどなくなり、料理を作ったカミさんは喜んでいました。3時の休憩後、試し削りにはいりました。うまく削れる人、イマイチ調子の出ない人、それぞれでしたが、鉋を調整し仕立てる過程の一つの例として参考になったのではないでしょうか。年に何回か、テーマを変えたりしてこのような単発セミナーを計画したいと考えています。

 この機会に木工講座で書いている物以外で、鉋の研ぎで使用頻度の高い小物等について少し書いてみました。

厚いガラス板
 1cm厚で30cmx30cm程度のガラス板を頻繁に使います。鉋の台を平面にするには、この上に150番のサンドペーパーを置いて擦るのが一番ですし(刃は抜いておくこと)、セラミックの中砥や仕上砥の面を直すにも80番の耐水ペーパーを併用してやっています。研ぎではありませんが、小箱などの上面や底を平らにするのにも便利です。入手方法ですが、ガラス屋さんで相談してみては如何でしょうか。砥面直し専用道具も発売されていますが、面積が大きなものの方が、何かと便利なようです。

金鋼砂の代用品
 白い細かい研磨剤を裏押しで使っています。私は刃物屋さんや知人からいただいた精密機械研磨用のものを使っていますが、大工道具屋さんでは「キレマ砂」の商品名で売られているはずです。
 金鋼砂のように大きな筋が入ることがないので、安心です。万能というわけではなく、形を変えるほど大きく落としたい時等、昔ながらの金鋼砂の方がいい場合があります。

金盤
 最近売っているお店を見つけるのも大変になりましたが、一枚1000円少々と安いものです。残念ながら真っ直ぐな物はほとんどありませんが、普通の鉋を仕立てるのにはそれほど問題はありません。できれば買う時定規をあて、できるだけ真っ直ぐな物を求めてください。意外に取り付ける木が曲がっていると金盤の平面に影響しますので、台にする板は上面を真っ直ぐに削っておきます。

安いダイヤモンド砥石
 「ツボ万」のアルミ板に張り付けてあるタイプのものです。5000円ほどで手に入ると思います。丸刃になってしまった刃の形を直したり、ノミの刃先の角度を変えたりするのに荒砥代わりに重宝します。厳密には減るのでしょうが、荒砥として使っていれば、全然気になりません。

金床
 金属レールのを使っています。刃を叩いて曲げるのに自信がもてるようになり、よく使います。特に平面が出ない裏刃など、少し叩くだけで、両端までピッタリと平面押せることウレシイです。壊してもいいような刃で叩く練習をして自信をつけてから、大切な刃物を叩いてください。


2001年4月

ロスのBobさんがスクレーパーの特別講習

Bob103-1.jpg数年前、インターネットニュースグループrec.woodworkingへ書き込んだのがきっかけで知り合ったBobさんが、東京出張を利用して工房に来てくれました。午前中だけの短い時間でしたが、彼にお願いしてスクレーパーの仕立てと使い方の特別講習をしていただきました。彼はプレーナーのあとスクレーパー、曲面はバンドソウの後スクレーパー、というようにサンドペーパーや鉋を使わずに仕上ていると言います。

 スクレーパーに刃をつける方法は単純ですが、なかなかうまくゆきません。いろんな流儀があるようですが、彼の方法を紹介しておきます。

1、角を完全な直角にする
 1000番の中砥(今回は私のシャプトン)に立てて研ぎ、次に寝かせて研いで、完全な直角の角を作ります。この過程は刃物研ぎになれた人なら別段難しくありません。

2、刃をつける
バーニシャーがないので、超硬のドリルの根元を使いました。水平に寝かせたスクレーパーに水平にドリルをあてて二回擦ります。かなり強い力です。次にスクレーパーを垂直にバイスにはさみ、水平より少しだけ傾けてドリルで擦り、刃をつけます。

3、削る
Bob103-2.jpg80度前後に傾け、力強く押して削ります。引いてもかまいません。むしろ引く方が角度が正確に保て、幅広く削れるようです。

 その後、いろいろ試してみましたが、私はノミの裏を使って刃をつける方法の方が少ない力でうまくゆくようでした。しかし、当然のことながら鉋でスカッと仕上た木肌の光沢は得られません。サンドペーパー仕上げと鉋仕上げの中間のような感じです。鉋でどうしても逆目が止まらないような場合に重宝するでしょう。

4、余談
写真のような100年以上前のホゾの縦切り用鋸をお土産にもらいました。真鍮の背金が重たく、結構真っ直ぐに切る事ができます。Bob103-3.jpg - 5,631Bytes


2001年3月

鉋一日講習会

 連休運前半の4月30日、平鉋を使えるようにする一日講習会を行います。教室の基礎コースの初回で行っている、裏押し、研ぎ、裏刃の調整、台の調整、完全な直方体を鉋で作る、等の内容です。ご興味のある方はメール等で「鉋一日講習会要綱希望」の旨お知らせください。

WEBページ情報

 以下の「家具とインテリア」のホームページで、木工の英語で使用される単語や樹種名についての辞書が公開されています。木工関連洋書を読まれる方など、役にたつのではないでしょうか。
http://sig.biglobe.ne.jp/KAGU/index.htm

乾性油を含む塗料の出火事故について

 どのメーカーの木工仕上げ用オイルにも、「拭き取りに使用したウエス等は自然発火の可能性があるので、焼却焼却処分すること」と書いてあり、このことに恐れを感じた方は多いのではないでしょうか。ウチで扱っている植物乾性油のラベルにも同様の注意書きを入れておりますが、正直な所、そんな事故は起こらないだろうと思っておりました。ところが、ある塗料メーカーの方のお話では、出火事故が日本でもあるようなのです。火事につながる重要たことでもあり、承諾を得まして、注意書きを引用させていただきます。

------- 以下引用 -------

<事例>
一般塗装
○ 酸化乾燥型塗料の付着したウェスをドラム缶につめておいたところ、発火した。
○ 酸化乾燥型塗料の研磨粉を集めて袋に入れて放置しておいたところ、発火した。また研磨粉を電気掃除機で吸い取ったままにしておいたところ、発火した。

ブース塗装
○ 酸化乾燥型塗料を使用しているドライブースの排気ダクトに日光が入射し、その部分のカスが発火してブースのところまで火が及んだ。(12〜3月の低温の季節に発生。)
○ 酸化乾燥型塗料を使用しているドライブースを掃除し、カスを石油缶につめて冷暗所に置いたところ、数時間で発火。日光にさらすと発火が早まる。

<対策>
カス、研磨粉、油汚れウェス等はただちに焼却してください。ブースはこまめに掃除してください。止むをえず焼却できない場合は、水に完全につけてください。ポリ袋につめて放置したり、屋外にばらまいたりすることは危険ですからお止めください。酸化乾燥型塗料は市販塗料の中でも最も一般的なもので、ほとんどの塗料メーカーが扱っております。油性自然塗料、フタル酸樹脂系塗料、調合ペイント、カシュー、ウレタン化油塗料、フェノール系塗料、不飽和ポリエステル系塗料などがあります。

 酸化乾燥型塗料は、空気中の「酸素を吸収し酸化重合をして乾きます」が、これは「物質の急激な酸化」と定義される「燃焼」との類似性をみれば、発熱、発火の現象は内包された避けることのできない性質といえます。

発火の原因は、塗装ブースを改修した際に改修業者が知らずに掃除した布類を固めておいて発火するなど、日ごろ取り扱わない人が知らずにする場合もあるそうです。

[補足]
発火温度、時間に関しては、条件などにより一定しませんし、製品での具体的なデータがございませんが、発火の際は亜麻仁油などの植物油よりも含有溶剤が燃え出す方が早いと考えられます。亜麻仁油など植物油の発火点は概ね300〜400度、溶剤の発火点は種類によりますが、植物油よりはかなり低い温度になります。発火は、条件によりかなり変化すると言われております。

---- 引用終わり ----

 さて、過去に何度か書いていますが、ウチではオイルフィニッシュで使用したウエス等は以下のようにして廃棄しています。これでよいかわかりませんが、要するに乾燥過程で生じる熱が内部にこもってしまわないようにするのです。

1、塗布や拭き取りに用いたウエスやスポンジは、陶器の流しや、金属製バケツの淵に一枚ずつ広げて乾しておく。

2、ウエスが乾燥して硬くなってから、ゴミを出す当日の朝、ゴミ袋へ廃棄し、可燃ごみとして処理。

焼却は住宅街などでは黒煙がでたりしますので、避けざるをえない場合が多いでしょうし、水につける方法は後の処分方法に問題がのこります。発火事故の責任を回避する意味から、私が扱っている乾性油のラベルにも「焼却処分してください」と書いていますが、実際は上記の乾燥後捨てる方法が一番だと感じています。


2001年2月

一枚板のテーブルはいい?

 「テーブルを作ってほしい」と来られた方の、多くは「一枚板のテーブルがほしい」とおっしゃいます。最近はそんなニーズに応えて、一枚板をならべて販売するインテリアショップも多くなりました。この機会に一枚板のテーブルの良い所、悪い所をまとめておきたいと思います。

良い所

  • ドーンとした存在感、木の命を感じる
  • はぎ合せ加工が不必要

悪い所

  • 幅が充分に広い板の入手は非常に困難、高価
  • 多くの場合、狂いやすい芯付近やシラタも使うことになる
  • ニーズに応じたサイズ、形にできない
  • 分厚い板を使うことになり、重くなる
  • 木の存在感が強すぎ、部屋の印象を決めてしまう

 幅の広い無垢の板を見つけ、それに適当な足をつけてテーブルにするということは、加工時間が比較的少ないためにトータルでは手頃な価格になることが多いですが、木材を大切にするためにも、上記のようなことをよく考えてからにほしいと思います。


写真のように板をはぎ合せています。乾燥後鉋をかけ、鈍い光沢を放つ天板を見るのは快感です。


2001年1月


昨年12月の雪景色

今年も2001年度展示会のページを公開しました。ご覧いただければ幸いです。

展示会2001


2000年12月


初冬の朝、カンナ屑を燃やす

----- メタボ社のテーブルソウ -----

 テクノツールズ東海さんのご好意で、メタボ社のテーブルソウを一ヶ月ほど試用しました。そのインプレッションです。

外観は大きいですが、レバーを動かせばキャスターが出てきて、一人で簡単に動かすことができます。ドイツの木工機械に特徴的な安全装置はもちろん完備。

スイッチ

スイッチを入れる時は、赤いボタンのついたこのカバーをあげて、中の緑色のボタンを押さなければなりませんが、切るときは、この赤いのを押すだけです。安全のために「入りにくく、切りやすい」スイッチとなっており、膝で押せる高さについています。また、横切り定規とフェンスには目盛を見るためのレンズがついており、老眼の私には非常にありがたいと思いました。ただ、実際に材料を当てるストップの位置とはオフセットされており、慣れない時に寸法を間違ったことがありました。

 価格は60万ほどで、気軽に買える値段ではありません。また趣味の木工家が自宅に置けるるような大きさでもありません。しかし、スライドテーブルを持ったドイツの安全基準を満たした丸鋸で国内で買えるアルテンドルフなどの他社製品は最低でも200万程度しますので、この大きさと性能、安全基準を考えるとお値打ち品と言えるように思います。ただ、このタイプのスライドテーブルは、刃を境に二つの別のテーブルがあるために、どうしても段差が生じます。このため精度は鋳物製の昇降盤には及びません。

その他の印象

  • 単相200Vのモーターはとても静かに回ります。

  • スライドテーブルと横切り定規は、しっかりしており、かなり重い材料も安心して切断できました。

  • あたりまえでしょうが、テーブルの剛性は鉄製の物と比べると、やや弱いという感じがしました。

----- サイト情報 -----

  • 木工の安全について
    パイプオルガンマイスターの山野さんと須藤さんが、木工の安全についてまとめられています。
    須藤さんのページ:http://www2u.biglobe.ne.jp/~sorg/
    山野さんのページ:山野オルガン工房
    「指を切っても死なないが内臓破裂では命を落とす」と教えられるというドイツの安全教育に学ぶところは多いと思います。

  • 家具木工検索エンジン
    登録が自由にできる家具木工関連の検索サイト
    http://www.fuchu.or.jp/~kagu/cgi-bin/navi/


2000年11月

パソコン通信時代が終わる?!

 「木工のHPなのに、なんでパソコン通信の話やねん!」という声が聞こえそうですが、私にとってパソコン通信は多くの人と知り合い、東京の情報、そして世界の木工情報を知る糸口だったのです。インターネット全盛の昨今ですが、このような相互交流の場は非常に貴重だと思います。ところが、おおいにお世話になった大手のPCVANのパソコン通信サービスが来年早々終了し、相互コミュニケーションの場がなくなってしまうかもしれません。正しくはホームページにその機能が移されるわけですが、これによって今までの人間関係がなくなってしまわないように願っています。今月はPCVANの「家具とインテリアSIG」のHPを紹介します。ここには本館と別館がり、本館は会員しか入れませんが、別館は誰でも入って見たり、書き込んだりできるのです。元家具屋のおじんさんとか、私もWWMの名前でたまに書き込みをしています。パソコン通信の雰囲気が少しは感じ取れると思います。

家具&インテリアSIG

 このSIGの仲間で建築ワンダーランドの世話役をされている、”くん”さんが、ご自分の仕事、イベントブース設営のお仕事を面白おかしく、私の木工講座101連載以上のパワーで書き込んでおられます。実際にお会いしても、文面から想像されるとおりの楽しいかたです。面白いだけではなく、マルノコの治具やナグリの話、はたまたハイエースや、タバコの灰だらけの車の話など、とてもためになる?連載です。

「σ(^○^)のイベントブースビルダー入門」

--- 展示会から ---

 holly wood buddy
近くで工房を営む宮嶋さんが名古屋ガーデン埠頭の大きな倉庫で個展をひらきます。センスのよいデザインで、このような家具を好まれる方は多いのではないでしょうか。下の写真は、ダイレクトメールの縮小版です。


2000年10月

黒田辰秋展見てきました

 正直なところ、黒田辰秋の家具の多くは漆が塗られ、暗く重たいイメージがするもので、好みではありません。今まで写真でしか見たことがなかった、故黒沢明監督の別荘に納められたという、テーブルセットなど、どうしてあれほどの木を使って一人では動かないような巨大な椅子にしたのかかわかりません。しかし、なんという存在感、なんという迫力、そして見たこともない形・・・。膨大な展示品がひとつひとつが強烈な個性と存在感を持っているのには驚かざるをえませんでした。あれほど多くの作品を一人で作る事はできないと思っていましたら、図録をみると、黒田辰秋の工房にはロクロ氏や塗師、工芸を目指す若者が集まって、下仕事をしていたようです。多くの人を引きつけ、その中心にあって、自分の製作活動を行っていたのではないかと想像しました。簡素ではあるが、きっちりと丁寧に描かれた図面も興味深いものでした。豊田美術館の建物もすばらしく、いろんな意味で、ぜひ一度足を運ばれることをおすすめします。図録2800円も価値があります。

ルーターのコレットとマキタへお願い

 私はElu3339とDW621の二つのルーターと国産トリマを使っています。DW621はアメリカから個人輸入したもので、6.35mmと12.7mmのコレット・ナットが付属していましたのでインチサイズの個人輸入したビットをメインに使っています。6mm軸の国産ビットを使う時は、レジューサーと呼ばれる、軸径を落とすスリーブを使っていましたが、これが使いにくく、センターも狂いやすい。それでDW621(欧州ではOF97)用に販売されている専用コレットを購入したのですが・・・、見事に失敗でした。欧州で販売されている同機は、最大8mm軸までのビット用であり、アメリカ仕様で太い回転軸が使われていたのです。

 しかたなくDW621に合う、マキタ3612用のコレットを注文しました。すぐに取り寄せてくれましたが、ナット、12mmのコレット、6mmに軸径を落とす、スリーブの三点セットで4000円以上でした。個人輸入で失敗したうえに、マキタの部品を買って、元のレジューサー使用に逆戻りとう皮肉な結果になったわけです。海外のメーカーの多くは、小さな軸径にも専用コレットを用意しているのに。もうひとつ文句を言うと、最近マキタが発売したDW621のコピーと思われるルーター、海外では電子制御モデルがあるのに、日本国内では変速モデルはありません。マキタさん、もう少し国内のユーザーを大切にしてくれませんでしょうか?これでは修理に不安があっても、海外のルーターを使わざるを得ません。

 余談ですが、マキタ本社へ問い合わせたところ、3612用に12.7mmのコレットコーンは扱っているそうですが、6.35mmはレジューサー併用だそうです。

Lenoxのバンドソウ刃

 以前からほしかった、Lenox社製カーバイドチップ刃のデルタ14インチバンドソウ用ブレードを購入しました。これは最高です。切れ味だけでなく、刃の横ぶれがほとんどありません。Lenox社の帯鋸刃は日本国内でも、私たちの知らない世界で使われています。冷凍マグロの切断です。冷凍マグロ会社経由でも一本入手しましたが、同時にFWW誌の広告で見かけた下記のホームページからも購入し一度に二本、別経路で入手しました。個人での購入等、小口ではこのアメリカの販売会社からの購入をおすすめします。現在は、注文画面がアメリカ国内用で、メールでの例外的な処理となりますが、近日国際対応になるということです。
 今回購入したのは、3TPI,1/2インチ、フック刃。送料込みで約120ドルでした。

Carbide.com
http://www.carbide.com/

各社のルータービット、マルノコ刃等、カーバイドチップのついた木工用刃物全般を扱うインターネット上の会社のようです。


2000年9月

更新内容から抜粋

  • 9月21日から豊田市美術館で、黒田辰秋展。展示作品数180点。

  • 「暮らしの中の木の椅子展」の関西での開催が決まったようです。審査員の織田憲嗣さんが所蔵する椅子の展示会「200人の200脚展」も平行して行われるとのこと、あわせて案内します。

  • 平出商店さんのホームページをリンクに追加しました。

注文家具の価格について

 家具の注文を受けて作ることが多くなりました。その価格について日頃考えていることを書いてみます。手作り家具をオーダーされる方のご参考になればと思います。個人でやっている工房へ家具を注文する場合、その価格には以下のような費用を含んでいると思います。

  • 材料費
    材木、金具、塗料、その他。材木代が大部分を占めるが、価格全体に占める割合はそれほど大きくはない。私の場合、テーブルで25%ぐらいが平均的。

  • 工賃
    どういう言い方が適当かわかりませんが、職人さんの手間賃。価格の大部分を占める。熟練した職人さんが、家族を含め、平均的な生活をするのに必要な年収を得るための日当がいくらぐらい必要かは考えて見てください。日当X製作日数で算出。

  • 道具、工具代
    主に大型木工機械の償却費や電気代等の経費。手道具までは計算に入れていない場合が多いと思う。これを前述の工賃に上乗せして計算している場合も多いと思う。その場合は「一日3万円ぐらいに計算しないとやっていけない」という工房経営者が多い。

  • デザイン料
    多くの木工家はこれを計算に入れていないと思うけれど、本当はこういう部分をしっかり評価しないといけないと思う。

  • 打ち合わせや納品の費用
    交通費はもちろん、それに要した時間は正しく評価されるべき。

 先日近くのスーパーの家具売り場で、ダイニング5点セットが39800円で売られていました。もちろん、作りは貧弱ですが、このような途上国作られた格安の家具に手作り家具が価格で対抗できる訳がありません。作り手は大量生産の家具では得られない、満足というか充実感を与えることができる家具を目指し、それらが正当な評価を受けるようになることを願っています。


2000年8月

六畳工房での工夫シリーズ
--- 木屑の処理 ---

自動鉋を導入すると、発生する木屑の量が急増します。テーブルソウやバンドソウでいつのまにか木の粉が袋いっぱいになったりします。貴重な有機物であるこれら木屑は、できるだけ、堆肥にするなど。大地に戻してやりたいものですが、小さな建売住宅の庭ではそう簡単にはゆきません。小さな木っ端は無料で木工趣味の方等にあげるという方法もありますが、これも問題があり、私はよい方法とは思っていません。また、”生ゴミといっしょに堆肥にする”というのは土地が充分に広く、土もふんだんに使えるならよいかもしれませんが、個人の住宅では、たとえ分解に成功しても、分解によって一時的に大量の有機物(硝酸体窒素など)が流出することも、考えられ、実際にはどうかな・・・と思います。

 最初の頃、風のない日に庭で燃やしていました。木屑を庭の空いた所にぶちまけ、火をつけます。注意したいのは手カンナの屑で、フワフワ飛んでいったりして危険。集塵機で集められた木屑は粉になっているので、風で飛ぶ心配は少ないかわりに、燃え難い。煙がいっぱい出ます。木屑の表面に乾いた材木などを置いておくと、比較的煙も少なく、よく燃えてくれるようです。後に石油缶に穴をあけた自家製焼却炉で燃やしていましたが、風に強いというメリットはありましたが、煙が出なくなるわけではありませんでした。  しかし、この方法は「野焼き禁止」が叫ばれる今、たとえ安全な木だけを燃やしていたとしても、近所からの苦情の心配や火災防止の観点から問題ががあります。それで数年前から、町指定の生ゴミ袋に木屑をいっぱい詰めて、ゴミの日に出すことにしています。趣味の木工ではこの方法が一番よいと思います。

 名古屋工房では前にもまして木屑の量が多くなりました。パーティクルボードなどを作っておられる工場の方など、もちろん無料で結構ですから、燃やさないで再利用していただけると一番ありがたいです。

名古屋工房での活動について

 6月上旬に名古屋工房は竣工しました。まだ内部の作りつけ家具など、私の仕事が残ってはいますが、1月にスタートした木工教室もはや半年が経過したことになります。この機会に少しずつ木工教室の内容について紹介したいと思います。基礎コースの案内、工房写真を紹介しています。


2000年7月

 鉋の研ぎと仕立ての臨時講習会
猛暑の8月6日(日)、鉋の研ぎをメインにした臨時講習会を行います。ご興味にあるの方はご連絡ください。

六畳工房での工夫シリーズ
---手押し鉋と自動鉋---

思えば、写真の自動鉋兼手押し鉋を買ったのが、自宅六畳での本格的木工の始まりであったと思います。テーブルソウがあっても、木材の平面がちゃんと出ていないと、正確な加工ができないばかりか、危険でもあります。手で平面や直角を出すことは不可能ではありませんが、実際にはひじょうに困難です。
 日立のカタログを見ていた私、P50Fという手押しも自動も150mmほどの自動鉋を見つけ、大阪日本橋で見積をとると15万円ぐらいでした。そのころ勤めていたスーパーの社内販売で、家電の担当者に無理をいって、日立のこの自動鉋を買ったのでした。社員割引を併用し、実質13万円強であったと記憶しています。

 最初は集塵機もなく、自動鉋使用時は木屑が飛び散るので、網戸用網をはりつけたダンボール箱に木屑を集めていましたが、結局、マキタの100Vで使える小さな集塵機を買いました。集塵機はもっと早く買っておけばよかったとそのとき思ったものです。150mmではちょっと巾の広い板は加工できませんので、できれば250mmぐらいの自動鉋のほうが良いでしょう。今は軽量の自動鉋や手押鉋が各社から発売されており、選択は容易になったと思います。しかし、この種の機械は、重量がものを言います。可能なら鋳物のしっかりしたのを選ぶ方がよいのは言うまでもありません。

名古屋工房での活動について

 6月上旬に名古屋工房は竣工しました。まだ内部の作りつけ家具など、私の仕事が残ってはいますが、1月にスタートした木工教室もはや半年が経過したことになります。この機会に少しずつ木工教室の内容について紹介したいと思います。このページでは基礎コースの案内文を紹介しています。


2000年6月

--- 個展・展示会情報、お寄せください---

六畳工房での工夫シリーズ
---2708用横切り治具の製作---

先月紹介したマキタ2708テーブルソウ、買ったままの状態では、マイター定規と溝との間にスキマがあり、それが原因で横切りの精度が良くありません。定規の溝に入る金属板の両側に細いビニールテープを張りつけるだけで、ガタが少なくなり、かなり使えるようになります。その後米国の雑誌等で定番とも言える横切治具を見て、それを真似て図のような治具を製作しました。今月はその具体的な製作法を紹介します。

製作

  1. テーブルソウの二本の溝にピッタリ入る薄板をできるだけ硬い木を使って作る。この板が溝の中をガタなくスムースに滑ることが大切。厚みは溝の深さより少しだけ厚くしておく。2708の溝がもう少し深いと良いのだが。

  2. 反っていない平らな9〜12mm厚の合板を、テーブルソウの台より幅は少し大きく切る。後述のフェンスの取り付け時にクランプで固定できるようにするためである。

  3. 1で作った薄板をテーブルソウの溝に置き、その上にボンドを塗布し、上から2の合板をのせる。釘や木ネジは使わず、上からコンクリートブロックなど、重い物をのせて圧着する。薄板を溝の深さより少し厚くするのは、圧着がうまくゆくようにするためである。以上の工程は鋸刃を取り外しておく行なう方がよい。

  4. 接着剤が乾燥した後、とりはずして裏面の薄板を鉋で削り、溝の底に薄板が接触しないようにする。合板全体がテーブルの上に接触するようにしないと平面が保てない。その後、はみだしたボンドをきれいに取り除き、裏面全体に蝋を塗る。ロウソクの蝋を擦り付ければよい。滑りがよくなり心地よく動くはず。

  5. 後部に鋸刃よりも高い角材をボンドと木ネジでとりつける。この際ネジ穴を皿もみするなどして、木ネジがテーブルソウに接触しないように注意する。

  6. 治具への切り込み
    丸鋸刃をとりつけ、刃を合板が切れる程度に出す。テーブルソウに製作中の治具を置き、スイッチを入れ、浮き上がらないよう注意しながら、治具を静かに押して、手前側が少し残る程度まで切ってスイッチを切る。完全に切ってしまわないように。

  7. いよいよ一番大切なフェンスの取り付け。直角がしっかり出た角材を合板の手前に置き、スコヤを使って鋸の切断跡と正しく直角に仮固定する。この時、合板の両側にはみ出した部分でクランプを使って固定する。この状態で試しに板を切断し、正確に直角切断できることを確かめる。納得がゆくまで調整をした後、治具を取り外し、裏側から木ネジで固定する。この時も木ネジ穴を皿もみなどして木ネジがテーブルソウに絶対に接触しないように。位置決めが正確に再現できるなら、一度はずして接着剤を併用したい。乾燥時間の長い接着剤を使い、手早く切断テストと調整をすれば、一度で接着固定が可能かもしれない。

  8. 手前のフェンス中央部も鋸刃より高くなるように別の角材を接着する。高さが充分な角材を用いた場合にはこの工程は不要。

  9. 鋸刃を出して、合板全体を切断し完成。再度切断テストをし、もし直角に切断できないようなら何度でも作り直す。材料は安い。


2000年5月

--- 個展・展示会情報 ---

谷 進一郎「木の仕事展」
2000年5月21日(日)〜26日(金)AM11-PM7(5)
ギャラリー茜
名古屋市千種区内山3-9-8
TEL052-733-3843

六畳工房での工夫シリーズ、マキタ2708

 このホームページの最初の名前は「六畳一間の工房から」でした。今は消滅してしまった六畳工房ですが、そこでの工夫は結構貴重なものではないかと思います。これから機会があれば、それらをひとつひとつ紹介してゆきたいと思います。自宅で家具作りに挑戦している方には参考になるかもしれません。今月のテーマはマキタ2708です。

 30代はじめ、二年間ほど木工教室に通って、「そろそろ先生にたよらずに自分で作らなアカン」と思った時、問題は木工機械でした。昇降盤の代用になる小型のテーブルソウが必要だと思いました。アルミベースの造作丸鋸を持っていましたが、小さな部材の加工や、ホゾ加工、溝掘りなど、テーブルソウがなくては話しにならないのです。
 マキタのカタログをみて、手頃なものが見つかりました。2708型テーブルソウです。その頃、大阪日本橋の道具屋に電話すると4万円代で買えることがわかり、早速購入したのです。

 2708はもちろん100Vで使え、傾斜切断もでき、オプションで溝切カッターも使え、さらにルーターやトリマのテーブルとしても使える便利なものでした。横切りの精度が悪い、音がやかましい、集塵が困難などの問題もありますが、それぞれ工夫や我慢をすれば結構使える機械だと思います。

  • 横切りガイドの工夫
    溝とガイドの間の隙間がかなりあり、そのままでは精度高い加工はできません。合板で横切り治具を作るのが一番の解決策ですが、一時的には、溝に入る鉄の板の両側にビニールテープを細く切って貼り付ければ、ガタがなくなり、かなり精度の高い加工ができます。

  • 音対策
    夏でも窓をしめきり、機械をまわしていました。力が必要ない時は、ルーター用の変速装置を入れて、回転数を落としていたこともあります。音は我慢するしかないかも。

  • 集塵
    最初は木で組んだ台の上の設置し、下にダンボール箱を置いていました。そこに鋸屑がたまるようにするだけで、かなり楽です。集塵機を買ってからは、台に穴を開け、塩ビのパイプで作った集塵ダクトを使って集塵していました。

 残念ながら安全装置は役に立ちません。しかし手頃な価格で、軽くて持ち運びに便利、使い方次第で本格的な木工作業もできる2708、家具作りなら、丸鋸よりもはるかに使える機種だと思います。


2000年4月

昇降盤の使い勝手?

 二月に念願の大型木工機械(中古)を導入しました。300mmの手押し鉋や500mmの自動鉋はやはり便利ですが、昇降盤はできれば使いたくありません。鋳物の昇降盤は精度がよいですが、今の使っているドイツULMIAのテーブルソウに比べ、安全性、使い勝手、快適性等、比較になりません。

例えば・・・、

  • スイッチ
    昇降盤では奥まったところにあり、危険を感じた時、片手で材料を押さえながらスイッチを切ることができるか疑問。ULMIAでは左手が届きやすい位置にあり、ふたをかぶせると体や足でもスイッチを切ることができる工夫がしてあります。

  • 押棒
    日本では自分で作ることになっている押棒、ULMIAではそれが標準装備されています。リップフェンス上に置き場があり、必要な時すぐに使えるようになっています。

  • 集塵
    ハッキリ言って昇降盤の集塵機構はダダ漏れ状態。ULMIAでは80%以上は吸い取っていると思います。

  • 割刃
    鋸刃後方への接触を防ぐ意味で、またキックバックを防ぐ意味で、割刃はとても重要です。昇降盤にはそれがなく、接触防止装置は実際の作業では使い物にならないため、ほとんどの工房ではずされています。ドイツの機械ではすべて、丸鋸といっしょに上下する三日月形のスプリッターがついており、止まった溝の切り込み等、極めて特殊な作業以外は問題なく作業ができます。この小さな三日月型割刃の存在意義は非常に大きいです。

  • 目盛り
    昇降盤ではメジャーをあてて幅を決めたりしますし、目盛りのある機種でもほとんど飾りです。ULMIAでは最初にセットするだけで、本体のついている目盛りで確実に目的の寸法に切断できますし、角度も1度単位で設定できます。

 これ以上書くと、”ドイツカブレ”と言われそうですので、これくらいにしますが、日本の木工機械メーカーは指を飛ばすような事故をできるだけ防ぐような工夫を今までどうしてしてこなかったのか、それが不思議です。上の項目で割刃については基礎的な設計から考え直す必要がありますが、それ以外は簡単に改善できると思います。


2000年3月

価格について

 「日本の価格は不透明」とか言われますが、素人からプロの世界の端っこに入った私は、そのことを実感として感じることが多いこの頃です。趣味で木工を楽しまれる方が、そのような複雑な価格体系を知ることが良いことか悪いことかわかりませんが、個人的には、将来もっとわかりやすい価格体系になってほしいという思いがあります。

 例えば、ある会社の合板の見積には、「設計価格」、「大口」、「小口」の3つがありました。設計価格とは、設計して見積もりをするための、お客に提示するための価格であり、いわば定価。実際には大口、小口の価格で納入されるのです。この会社の例では大口価格は設計価格の約70%、小口価格は約80%でした。このくらいなら納得のゆくところかもしれません。

 もっと複雑なのが、道具です。特に日本では製造元、問屋、小売、消費者という流通の中で問屋(おろし)が幅を利かせています。具体的に道具の名前をあげてその価格を明らかにすることはしませんが、定価、需要家(大口)、卸価格、そして私達にはわからない、メーカー出荷時の価格と4つほどの価格があるようです。大口価格は定価の70%程度、卸価格は50数%と思われますが、販売数に応じたリベートがあるのが普通で、実際は50%前後ではないかと思います。
 道具を購入する場合のポイントは、第一はその品質、第二に工具なら故障修理などのメインテナンスの良さ、最後に価格であると思いますが、安いにこしたことはありません。「値切るのは苦手」とおっしゃる方も、定価の70%ぐらいを目標に、一度はトライされるといいのではないでしょうか。

 ホームセンターではとんでもなく安い掘り出し物を見かけることがありますが、トータルでは利益を確保するために、定番と呼ばれる通常商品の値段はかなり高いのです。逆に小さな金物屋や道具屋さんでは、ほとんどすべての商品に同じように利益をのせています。目をひくような安いものはないかわりに、ネジを一箱買っても、比較的安いのです。またホームセンターでは得られない道具についての情報も得られます。ですから、道具は地元の大工さんが行くような道具屋、金物屋で買うのが一番と思います。


工房内の様子(2000年2月)


2000年2月

鉋刃の裏押しと研ぎ

 1月から教室で平鉋を使えるようにすることから始める基礎コースをスタートしましたが、私自身いろいろと新しい発見があります。

 中砥は、キング1000番、べスター1200番、シャプトン1000番などを使っています。どれも充分使えますが、キングは減りやすく、シャプトンは滑りやすいという印象で、べスターの評判が良いようです。合成の仕上げ砥は、キングS1,キングG1,嵐山など、大差はないようです。いずれ天然が欲しくなる?

 鉋の裏押し方法は、昔からの金盤による方法ですが、刃物店の親父さんの多くは、「これが一番」だと言います。金剛砂で研磨するわけですから、金盤ももちろん減っていくので、平面維持の観点からはダイヤモンド砥石などによる裏押しの方が良いという考え方もあるようですが、シャープさが違うというか、私も金盤が一番ではないかと考えます。研磨に使う金剛砂ですが、「キレマスナ」などの商品名で売られている細かい研磨剤の方が、大きな傷がつく危険性がすくなく良いということです。ただし私自身は、従来の金剛砂でゴリゴリやる感触が捨て切れません。

 裏押しの方法ですが、先日工房にこられた鉋専門店の御主人が特別に実演をして下さいました。金盤に自分の唾を落とし、その上に金剛砂を昆布茶のサジ一杯ぐらい置いて、押棒を併用して体重をかけて研磨していきます。刃先の方側(普通左)6、右手4の力の入れ方で、刃先に力がかかるように棒を握る位置を調整しながら研磨、水気がなくなってきたら磨きをかけるように空研ぎして、短時間で鏡のような裏を作られました。唾の方が金剛砂が飛び散りにくいそうです。とにかく、裏さえ完全にできていたら、表研ぎは多少下手でも充分切れると思います。

 裏切れした時に行なう裏出しも見せていただきました。たたく場所はしのぎ面の中間ではなく、スロープ上部(もちろん地金側)で、たたく力はかなり強いです。玄翁も300gぐらいの物が良いとおっしゃってました。なお裏出しは刃にヒビが入るなどのトラブルも充分予想されますので、各自の責任でお願いします。

第二回暮らしの中の木の椅子展

 展示会が下記のように予定されています。私の”軽量スツールセット”も展示されます。

4月6日(木)〜25日(火)
リビングデザインセンターOZONE(東京)

4月28日(金)〜5月7日(日)
国際デザインセンター(名古屋)

2001年5月
札幌芸術の森工芸館(北海道)


2000年1月

2000年、名古屋工房スタートの年

 このHPのアクセス数が40000を越えました。これまでのご支援ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。
 昨年は工房建設等であまり作品作りをしませんでしたが、椅子やテーブルなど、注文で作った物を含め、毎年恒例の2000年度展示会のページを公開しました。楽しんでいただければ幸いです。

 さて、2000年という節目の年に、名古屋の新工房での活動を開始します。現在は写真のように六畳工房から運び込んだ機械で今まで通りの製作をしていますが、1月から日曜日のみ、基礎の木工教室をスタートします。
 新工房は「作ることを通して人と人の交流が楽しめるよう」にプランしたつもりです。大きな工房にはなりましたが、六畳一間の木工スタイルも大切にしながら、仲間を増やしていきたいと考えております。
 内部造作や作りつけ家具の製作をしなければなりませんし、注文もこなしてゆきますので、当面週末のみの木工教室となりますが、ご興味のある方はメールをいただければ、詳しい案内をお送りします。

 
工房での作業風景(1999/12)