今までのページが重たくなってきたので、このページに1998年と1999年分をまとめました。


99年12月

大工さんとの会話から

 11月から、週の前半を建築現場で過ごしています。自然と大工さんと親しくなり、休憩の時や終い際によく話をします。趣味から出発して家具を作っている私にはとても興味深いことが多くあります。今回は見たことや話の中から、いくつか紹介します。

◇電動工具
 自動車と携帯電話が大工さん達の仕事の仕方を大きく変えている。丸鋸(マキタ、日立等)、電気鉋(マキタが多い)、インパクトドライバー(マキタが多い、充電強力型)といった携帯できる電気道具がメインの感あり。定尺切断用に、丸鋸をスタンドにつけた小さな卓上横切り盤を使うこともある。また段欠きや溝加工に、溝切カッターも。
 据え置き型では、軽量の300mm自動鉋と150mm手押しがついた鉋盤(日立)と縦切専用でマキタの軽量テーブルソウ(工務店所有)、それにエアーネイラー用小コンプレッサーを自前で持っている方が多い。

◇手道具
 手道具は、替刃式鋸(背に金のないゼットソウのタイプで、ゴム取っ手のもの)、ノミ(一寸)が一本革のケースに入って何時も腰にぶら下がっている。玄翁は持っているが、エアーネイラー主流の今、釘打ちでの出番は少ない。丸太の加工にチョウナ、丸太を回転させるのに専用の道具、柄の長い大鑿も見かけた。

◇研ぎ
 キングの1000番と人造仕上げ砥。手荒な扱いになる建築現場で高価な天然砥石は不要。ポリバケツの水をかけつつ、地べたに置いた砥石で手早く研ぐ。ほとんどノミだけ。電動鉋で仕上とする場合が多いからか。
 Sさんが私の研ぎを見て、「慎重すぎるんとちゃう?」。「ワシらは、早く研ぎたいけん、段々角度が大きくなるんや。普通の人は角度を維持しようとするので、柔らかい地金の方が減って、段々鋭角になるんとちゃうかな?」。まさにそのとおりで、私は段々鋭角になりやすい。「刃先に力を入れて、シノギ面の角度を感じながら研げばいいんや」。これがなかなか難しい。砥石の平面を出しているところは見たことがない。家具や指物の世界と違い、「切れればよい」という感じで合理的。

◇治具等
 造作丸鋸付属の横切り切断定規を頻繁に使用。9mmのコンパネ等とベニアで即席で作る切断定規も内装造作時によく使う。 とにかく大工さんは丸鋸の使い方がひじょうに上手い。手で板を持ちながら、ガイドをつけた丸鋸で気軽に縦引きをしたり、柱に斜めに切り込みを入れたり、自重自在。

◇酒・たばこ・余談
 車とは関係なく意外に酒を飲まない方が多い。たばこはよく吸うかな。休憩時間は、いろんな世間話が飛び交い、実に面白い。サラリーマンの世界にあるようなストレスはあまりないように思う。仕事が継続してあれば、いい仕事かも。ただ建前の時、二階の上の梁に立ってカケヤ(大きな木槌)を振るのは見ていて尻がムズムズ。転落等の事故はほとんどないとのこと。
 とにかくパッパッと快適に作業するための小道具を作るのが上手い。コンパネを組み合わせた作業台、休憩のために柱二本にコンパネを被せたベンチ、二階へ上がる仮の階段、あっという間に作ってしまう。床暖房でやってきた友人が泊まるために、即席でベッドを作ってくれたことも。
 周りに民家がないため、ここではたき火ができる。たくさんの木っ端は冬の間の暖をとるためにたき火でほとんど無くなるらしい。

名古屋工房の現状
 
左が機械室、右が手作業中心の工房(10/4)

工房、機械室とも友人と二人で床暖房を施行。トイレは仮設の水洗に。11月上旬に現有の機械を運び込み、京都の六畳一間工房はついに消滅しました。


99年11月

工具の個人輸入

 1ドル100円に近くなると送料を加算しても国内で買うより安く日本にはない道具や材料が入手できる個人輸入はとても魅力的です。国際郵便や国際宅急便が使える小型軽量の道具なら、国内の通信販売とほとんどかわりませんが、以下のような注意と覚悟が必要です。

  • 英語力
    中学校程度の英語でよいが、自分で英文を読み、書くことができること。

  • 支払方法は、安全と便利さを考えるとクレジットカードに限る。
    VISAやMASTER等が強い。毎月の支払明細には必ず目を通し、間違った請求が来ていないことを確かめる。

  • カタログ請求も節度を持って
    カタログをただ集めるだけで購入しないのでは、日本からのオーダーを受けてくれないようになります。購入の意志を持ってカタログ請求をして下さい。

  • 修理は自分で
    初期不良などの場合を除き、アフターサービスはありません。電動工具がもし故障したら、自分でパーツを取り寄せ、修理するしかない。

 下のページに私が実際に使った見積依頼や注文の英文例を少しですが掲載しました。おかしな英語ではありますが、文法や体裁にこだわった文より、単刀直入な表現の方が相手にも分かりやすいようです。個人輸入文例集

 お店の探し方ですが、最初はFineWoodWorking誌などを購読し、その広告から好みのお店を見つけ、カタログ請求してみるのがよいと思います。海外の雑誌を見ることで英語に慣れます。初めての場合は必ず見積もりを取って、対応が安心できるか判断をする目安にして下さい。

名古屋工房の現状

 
左が機械室、右が手作業中心の工房(10/4)

11月上旬に友人と床暖房を施行します。その後窓や戸などが入って施錠ができ、トイレなどの設備も使用できるようになったら見学が可能になるかもしれません。もうすぐ六畳一間の工房が消滅します。


99年10月

北欧木工漫遊記

 94年夏、41歳で参加したカペラゴーデンのサマーセミナーのことは時々話題にしますが、実は帰国直後に「北欧木工漫遊記」という連載で、パソコン通信PCVANに発表しています。この一文は感傷的になって書いたためか、ちょっと気恥ずかしいところもあり、その後は公開はしていませんでした。
 しかし名古屋工房が現実の物になりつつある今、その構想のもとになったカペラでの3週間の記録を公開しようと思うに至りました。これから参加される方はあまり読まない方が、良いかもしれません。というのは、その時の天気やどんな人が集っているかで印象は変わるでしょうし、何も知らないで参加したからこそ、感激したかもしれないと思うからです。

北欧木工漫遊記

 なお、このサマーセミナーへの参加方法は、リンクのページにあるカペラゴーデンのホームページに書いてあります。

介護保険

 脱サラして自営になられた方は皆さん経験されると思いますが、国民健康保険と国民年金が大きな負担になることにビックリされるでしょう。特に退職直後は、前年の収入を基礎に計算されるために、健康保険だけで毎月3万以上払うことになります。私は家族の病気や怪我のことを考え健康保険はかけていますが、自分のことである国民年金は今年は払うのが辛いので免除を申請しています(もちろん払わない期間に応じて、支給額は減少します)。

 もうすぐ介護保険が導入されます。私の親父の場合でも、寝たきり老人の介護は実に切実な問題ではありましたが、政府の今までのやり方を考えると本当の意味での介護保険になるのか疑問です。実質国保の穴埋めや、老人介護に乗り出す業者へ回るだけではないかという危惧があります。また消費税の福祉目的税化による増税などというのも末恐ろしい。
 スウェーデンは収入の半分近くも税金を取られるそうですが、その使い道については非常にきびしい監視の目があると聞きました。また選挙の投票率は90%近いとのこと。昨年秋の旅行は選挙期間と重なり、テレビで徹底的な論戦をやっているのをよく見ました。でも町は宣伝カーによる無意味な名前連呼などは皆無で静かなものです。

 不況によるリストラや、収入減によって健康保険の財源も減少するばかり。そこに登場する介護保険。これから木工で生計を立てようと考えておられる方、必ず出会う国民健康保険+介護保険と国民年金にどう対処するか、考えておく必要があるようです。


99年9月

高岡短期大学でのサマーセミナー

 英国のパーナムカレッジ(家具作家、メークピース氏の学校)から、二人の講師を招いてのサマーセミナーに参加してきました。昨年の山形大学に始まり、今年は高岡短期大学、来年は旭川東海大学の3年連続の企画だそうです。「北陸は暑さがましだろう」という甘い期待は完全に裏切られ、連日体温を超すような日本一の気温が続きました。

 さて、最初の課題はウェスト先生による「孫の手の製作」。猛暑の中雨晴海岸へ行き、デザインの素材となる自然の物を収集しました。左の写真はその収穫物?を皆で眺めているところで、自分の好きな自然物の形や質感・ディテールなどから作る物のデザインのヒントや要素などを取り出し発展させます。今回はスケッチをしないで、いきなり製作することを要求されましたが、これは去年の反省からではないかとおもいます。先生の「作品との対話があることが大切」という話が印象に残っています。

 二番目の課題は、スツールです。ウォルトン先生の作る椅子は斜めの部材を併用した細く軽い椅子で、座はナイロンテープを編んでいるものが多く、私の好みと一致しています。この課題でも図を書かずに5分の1モデルでアイデアを具現化しました。参加者の中には木工機械をさわるのは初めての方もおられ、実際の製作ではかなり苦労した方も多かったようです。日本のどこまでもきっちりした木工技術とは違い、ややラフで、実質的な先生のやり方に戸惑いもありましたが、最後にはほとんどの皆さんが独創的なスツールを完成していました。下の写真の中央にあるのが私のスツールで細いテーパーのついた丸棒3本をひとつの脚にし、座はウォルトン先生の指導で麻ひも3本をならべて編んでいます。

 写真左はウォルトン先生、右がウェスト先生です。どちらの先生もとても気さくで温厚な方でした。なお、ディンギーさんという日本在住の英国の方が通訳件コーディネーターとして参加されており、言葉の心配はありませんでした。

 7月30日から8月7日という長期間であり、滞在費を含めた参加費用はかなりの額になるため、参加しにくい傾向はありましたが、得難いチャンスを与えて下さいました国立高岡短期大学のスタッフの皆様に感謝しています。


99年8月

棟梁、住吉寅七氏のこと

 「木造と継手と仕口」住吉寅七・松井源吾、鹿島出版会という本をご存知でしょうか?日本の建物の伝統的な継手と仕口の本は何冊かありますが、図面、写真、強度試験結果等が載っているのはこの本だけではないかと思います。縁あって、その著者住吉氏の天理市にある御宅と作業場を訪問しました。

 明治44年生まれの住吉棟梁ですが、まだまだお元気で、奥さんと二人で天理教の教会のそばに住んでおられます。木造校舎で有名な東野高校の建設で、早稲田大学の松井源吾教授と出会い、上記の本を残されたのだと思います。その後ニューヨークでも伝統的な継手と仕口の展示会も行ない、たいへん盛況であったと聞きました。

 今まで日本の伝統的仕口や継手は、意匠的過ぎるものが多いのではないかと思っていましたが、棟梁のお話を聞いて、「大工さんが力のかかり方や木の使い方を考えてゆく過程で次第に複雑な物になってきたのではないか」という思うようになりました。
 例えば、「”大工は5分で持たす”と言うが、5分(15mm)柱の上に載せるようにするだけで、強度が全然違ってくる」というような話は、とても興味深いものでした。ある継手と仕口について書かれたある本について「ウソばっかり」とおっしゃってましたが、ひとつひとつその理由をお聞きすると、私も「なるほどそのとおりや」と思いました。

 まだまだ元気な棟梁ですが、今手元においている継手と仕口の見本を、生きた形で活用してもらえる場所へ預けたいという気持ちが強くなっておられるようです。また要望があれば後進の実技指導や講演会等に出かけられることも可能ではないかと思います。

 そんなわけで、棟梁の御宅にある継手と仕口の見本(本のモデル)を多くの人が活用できる機関や場所等をご紹介いただける方がおられましたら、ぜひ私までご連絡いただきたいと思います。なお、名古屋で発行されている地域的な建築雑誌には特集を組む予定があるようです。(写真は「木造の継手と仕口」より)


99年7月

海外のホームページから

 パソコンに向かう時間がだんだんと長くなっています。「コリャいかん!」と思いながらもついズルズル。「インターネットは空っぽの洞窟」と言う方もおられますが、私はインターネット抜きの生活は考えられないようになりました。今月は今まで利用したホームページで安心してオススメできるサイトをいくつかピックアップしました。すでにご存知のところも多いと思いますが、英語が苦手な方も辞書片手にトライされては如何でしょうか。通信費節約のため、ダイアルアップを切断し、時間を気にしないで読むといいです。なおリンクページを大幅更新していますのでご利用下さい。

woodworking catalog W5

WoodWorking onthe World Wide Webの意味で、Wが五つあることからW5という名前。やたら文字が多いですが、アメリカの木工関連情報がびっしりと詰まっています。文字の多いホームページの方が、内容が充実していることが多いと感じるのは私だけでしょうか?ここから米国の通販店を探すことも可能。

Woodworkers' Discount Books

木工関連書籍のオンラインカタログが役に立ちます。私はメールで見積もりをとり、FAXでクレジットカード番号を送って注文しています。後述のアマゾンブックスと値段を比較してから安い方で買うといいかも。このお店はメールでの対応も迅速で安心です。なお、個人輸入にはクレジットカードがないと、不可能ではありませんが、不安な前払いになってしまいます。スーパーやデパートのカードでもVISAなどと連携してあるものなら使えます。

Amazon.com

世界最大のインターネット本屋さん。最も成功した仮想店舗として有名。英国やドイツにも支店があるので、米国圏以外の本も入手できる可能性があります。また絶版となった本の場合でも中古市場から探し出してくれることがあり、メールでの対応も親切で丁寧。成功するだけのことはあります。

CDnow

木工とは関係ないかもしれませんが、対応が迅速で確実なCDショップ。一度購入すると、定期的に届くメールが、RYOHEIバージョンになっており、以前購入したCDと同じジャンルのCDをPRしてくるところがニクイ。日本では入手不可能なCDが手に入る。

DIY CITY

日本のページだが、オハイオに住む日本人木工家がアメリカからオススメ木工グッズの通販をしていたりして、面白い。ニフティーサーブのDIYフォーラムのメンバーが中心になってすすめているオンラインDIYショップ。決済方法はメールで各々のお店と連絡する仕組みのようです。ウエスタンレッドシダー材の通販もあるのにはビックリ。


99年6月

東さんの南京鉋

 松本クラフトフェアの頃になると、東さんを思い出します。数年前友人から、彼の作る南京鉋がすばらしいことを聞き、松本クラフトフェアで二本購入し、今も使っています。天国の東さんは許してくれると勝手に判断し、コピーをしてみました。


 

上は刃幅30mm、中は刃幅24mm、下はそれをコピーした私の作です。なんとなく形がしまりません。刃は中段の24mmを兼用し、台はやや丸がきついように作りました。下の写真はその裏側です。シートの桝目は5cm間隔ですから、だいたいサイズはわかると思います。
 オリジナルの刃は、HSSの電動鉋用を切断したものです。東さんがどのような方法で切断されていたか知りませんが、できれば切削油を使いながら低速の切断機で加工したいところです。台はノミを使って穴を掘り、刃の入る狭い溝は、ジグソウの歯を手で引いて入れました。オリジナルは1mm厚の真鍮板で刃口等に使っていますが、私は持っていた2mm厚の真鍮板をルーターで掘って埋め込み、真鍮ネジで止め、金工ヤスリで、木部とともに丸く整形しました。

 結果はオリジナルにはおよびませんでしたが、ほぼそれに近い削り具合で満足です。貴重な職人技を形で残してくれた東さんにおおいに感謝しています。

 


99年5月

ウッドカーバーとボッシュの変速ディスクサンダー

 3月大阪DIYショウで、超硬えぐりカッター(オーストラリア、ARBORTECH社)と保護カバーを購入しました。展示即売特別価格と思いますがカバーと合計で税込12000円でした。後日大阪日本橋たつみ商会で買ったボッシュの変速ディスクサンダー、GWS6-100E/N(定価19000円を旧モデル価格12000円)につけて使っています。知人から「座ぐりにはウッドカーバーがいいよ」とすすめられていたのですが、使ってみた感想は

  • 危険なキックバックはほとんどなく、軽いタッチで削ることができる。

  • 集塵が困難で狭い工房は木屑だらけになる。

  • 防護眼鏡と防塵マスクは必須。

  • 変速機能と補助ハンドル付属が理由でボッシュのディスクサンダーを購入したが、低速のものであれば変速は必要ないようだ。

  • このボッシュのディスクサンダーは歯車の音がかなりうるさい。

  • 刃を横に動かし凹面を簡単に作ることができるが、滑らかな段差のない凹面を作るには慣れが必要である。そのためのジグがほしいがいいアイデアが浮かばない。

 図のようにいろいろな加工ができるようですが、個人的には、どうしても必要な道具とは思いませんでした。しかし滑らかで自由な切削感覚は今までにないもので、この能力を生かす上手な使い方を考えたいところです。直径100m補助ハンドル付15000回転以下のディスクサンダーで使用可。発売元は株スターエム(0794-82-0200)。

クルミ油

 最近、クルミ油にはまっています。スプーンやサラダボールはもちろん、「簡便で安全なオイルフィニッシュはクルミ油で決まり!」とさえ思います。匂いが良く、乾燥は速くないはずですが、2日ほどでほとんどベタツキ感がなくなるのは意外でした。問題は入手しにくいことでしたが、国内でも食用油の豊年からクルミ油が発売されているのを最近知りました。大きなスーパーの食用油売り場で、オリーブオイルなどと並んで、小さな角ビンに入ったクルミ油を発見できるでしょう。
 現在発売されているのは100g398円のビン入りです。100gあれば、食器やスプーンならかなり使えます。値段は高いように感じますが、1リットルで4000円以下であり、アウロ・リボス・オスモなどの安全が売り物の輸入塗料よりはるかに安い。その上、食用ですから超安全。
 去年までは500g入りが売られていた(同社のご厚意で500g入りを送っていただきました)そうで、需要が増えれば徳用サイズが復活する可能性はありそうです。お皿やスプーン等、小さな作品に指で塗ったり、サラダにかけて食べたり、気楽に安全なオイルフィニッシュを楽しんで下さい。 関連情報ですが、神戸のイカリスーパーでイギリス原産のウォールナッツオイルが250ml780円で売られていました。またカナダのLeeValleyToolsのカタログでは1リットル17(カナダドル)で売られています。


99年4月

接着剤

 ”接着”という作業、ひょっとしたら木工技術の中で一番難しい部類に入るのではないでしょうか。現在の木工技術は接着剤に頼るところが大きいので接着剤についてよく知っておくことは重要です。 趣味の木工をしてきた私が日頃よく使うのはコニシのCH18です。樹脂分が多いプロ用(CH1000等)を試したいのですが、販売されている最小単位は20kg入りで個人ではちょっと買えません。多くの場合、CH18で問題はありませんが、テーブルの天板などでは耐水性に不安があり、またスキマを埋めることのできる接着剤もほしい。そんなわけで今まで使ってみた接着剤を簡単にリポートしてみました。

コニシCH18
 元祖木工ボンド(と思う)。使いやすく、比較的安全、水で拭き取れ、長期保存可能、乾燥後は刃物をいためずに加工でき、乾くと透明、入手しやすく価格も安い。弱点は水に弱いことと乾くと体積が減るのでスキマを埋める効果がないことぐいらい。強度も実用上充分で、トラブルの原因は使用者の接着方法にあることが多いように思う。ただし数十年の長期にわたる経年変化については、他の合成接着剤同様、実績がなく不安はある。
(コニシ株接着相談フリーダイアル0120-28-1168)

TitebondU
 一液性でありながら耐水性が良いと言われているので個人輸入してみた。黄色い木工ボンドといった感じ。残念ながら、あまり気に入っていない。例えば、はみ出したボンドが乾燥後汚く残る、木工ボンドの粘っこい接着力に比べ、こちらはサクイようで、実質上の強度が劣るように感じる等。ツキ板の接着などに使っている記事も多く見かけるので、私の使い方が下手なのかもしれない。
(入手先 http://www.woodcraft.com 他)

ゴリラグルー
 ゴリラのマークのある黒褐色のポリウレタン樹脂接着剤。アメリカ流木工を楽しまれる知人が個人輸入したものを分けていただいた。溶剤を含まないらしい。水分と反応するので耐水性は抜群だが、ほとんど使わない間に容器の中で固まってしまった。湿気の多い日本では使いにくいと思われる。
(入手先 http://www.woodcraft.com 他)

Execel
 これも上記知人からいただいた。ゴリラと同じくポリウレタン樹脂接着剤であるが、こちらはヨーロッパ生まれ。溶剤を含み、粘度が低い。スキマを埋める効果もあり良さそうだが、これも半年以内に容器の中で固まってしまった。ポリウレタン樹脂接着剤は日本では駄目かも。
(入手先 Woodworker's Supply 他)

TP-111(水性ビニールボンド、通称PIボンド)
 小国木材加工研究所の葛城さんが、彼の通信で水性ビニールボンドの良さを強調されていたので一度使ってみたかった。製造元の大鹿振興に問い合わせたところ、唯一1kg単位でパックされていたのがこのTP-111。ツキ板や集成材に使われる二液性の接着剤で、現在のところ木工用としてもっとも優れているといわれる。残念ながら15個入りの箱でしか購入できないので仲間と共同購入したもの。
 最近注文のテーブルに初めて本格使用したが、目減りがすくなく、柔軟性を持ちつつ極めて強固に固まる。しかし、二液性であるため無駄になりやすく、少量入手が困難なこともあって、小さな工房では使いにくい。テーブル天板の接ぎ合わせなど、ここぞという時に使いたい。
(他メーカーも、同様の水性ビニールボンドを発売している)

二液性エポキシボンド
 各社から様々な硬化時間のものが発売されている。十数年前、某木製船舶製造所で働いていた時、おもに24時間硬化型を使っていた。接着時間が十分にとれるので、安心して接着作業ができた。手についてカブレた経験がある。防水性抜群で接着力もすばらしいが、硬く固まるので、木の収縮についていけるか不安はある。

 結局、趣味や小さな工房では、いわゆる木工ボンドをその接着力が最大に生かされるように注意しながら使うのが一番という結論になりそうです。膠は試していませんが、これは長期にわたる経年変化にも実績があり、今度ぜひ使ってみたいと思います。


1999年3月

 CADについて    

 「新しいアイデアは紙の上でしか生まれない」と思っている私ですが、字が下手で100%ワープロで文を書いている私にはパソコンで製図ができることはひとつの課題です。今回は今まで試してきた数種類のCADソフトについて簡単に使用感を書きました。

  • JWCAD
    以前は高価で個人では買えなかったCADソフト、その業界に激震をもたらした偉大なフリーソフト。DOSソフトでありながらWindows時代になってもその価値は変わらず、今や日本の標準とも言える。実際に図を書いてみるとJWCADが一番確実に速く書けることに気づく。一度は試してみるべきソフト。初めての方は本屋でJWCADが添付された解説本を購入するのがいいと思う。
    http://www.alphatec.or.jp/~ath/jwc/index.html

  • AutoSketch
    AutoCADやその普及版AutoCAD-LTは高価で、家具の製図には複雑で重たすぎる。同社の廉価版ソフトAutoSketchは等角図が簡単に書けるので以前からよく使っている。最新バージョンがキャンペーンで一万円弱で買えたのでバージョンアップしたが、マイクロソフトオフィスとの連携を重視するためか重たく操作もわかりにくくなり残念。
    http://www.autodesk.com/japan/

  • TurboCAD
    アメリカでは人気のようで、日本版も売られている。私はIMSI社のホームページからダウンロードしたベーシック版に登録料($30ぐらい)を払って最近まで使用。新しいアプリケーションを導入したりするうちになぜか動かなくなった。1万円強で入手できる日本語版のTurboSketchはほぼ同じものではないかと思う。方眼紙に書く感覚で使え、上位バージョンでは3Dも書けるので便利そう。操作はやや慣れが必要。
    http://www.imsisoft.com/

  • BeDraw
    JWCADのズーム操作などを取り入れたシェアウエア(7800円)。試して間がないためと思うが、まだJWCADのように思ったようにが描けない。入手はNIFTY−Serveの建築フォーラムのみ。

  • K-Draw
    これもJWCADを意識したシェアウエア(5000円)。BeDrawと同じくJWCADに慣れている私にはまだ使いこなせない。
    http://www.dokidoki.ne.jp/home2/ksystem

  • HO−CAD
    開発途上のフリーソフト。JWCADに最も操作が近いWIN95用CADで、今後に期待。
    作者のホームページ(http://www.urban.or.jp/home/hiroshio/)

  • Jw_cad for Windows
    本家JWCADの作者が開発中のWIN95用CAD。クロックメニューなどユニークな操作が可能で期待できるが、実用段階ではない。入手はNIFTY−Serveの建築フォーラムのみ。

 事実上、世界標準とされるAutoCADやアシスト機能が便利なMiniCADなど、すばらしいでしょうが、個人では気軽に買えない値段です。3次元とかこだわらなければ、JWCADを習熟しておけば、きっと何かの役にたつと思います。無料で、市販のソフトより使いやすく、事実上の日本標準・・・そんなおいしいソフト、他に聞いたことがありません。作者の方に頭が下がるばかりです。


1999年2月

 新塗料、ESHAについて  

 昨年、ターナー絵の具からESHAという名前の一連の安全性を重視したオイルや蜜蝋などが発売されました。縁あって、その最終段階のサンプルを試す機会がありました。製品の種類や成分などの詳しい情報は同社のホームページを見ていただくとして、使った率直な感想などを少し書きます。(試供品の提供を受けたこと以外、同社との利害関係はありません)

オイルフィニッシュ
 匂いも良く(少なく)快適に作業ができますが、他のオイルと同様、乾燥末期にややイヤな匂いがします。生の亜麻仁油や煮亜麻仁油でも乾燥時にこの臭いがするので仕方がないことと思います。問題点は、楢やタモなど、導管の大きな木に塗る場合、長時間にわたり、スポット状の”吹き出し”が多いことで、ふき取り作業に苦労しました。最近使ったワトコのティンバーレックスや他社のオイルでも同じ現象があり、乾燥が速い樹脂を含むオイルでは不可避な現象かもしれません。

グロスフィニッシュ
 
いわゆるニスで、はっきりした光沢と塗幕を形成します。テカテカが嫌いでオイルフィニッシュをされる方には不要でしょう。

蜜蝋
 テルペン樹脂を含む、漂白蜜蝋を溶剤でクリーム状にしたもので、ラベンダーの匂いがつけてあります(製品版では他の製品もラベンダーが混入されているとのこと)。テルペン樹脂のおかげで塗った効果がはっきりするワックスです。逆にやや不自然な光沢に見えることもあります。蜜蝋を溶解する手間や溶剤の費用を考えると、けっして高くない値段です。他に水性カルナバワックスや米ぬかワックスがありますが、まだテストしていません。

着色剤
 オイルに混入する顔料系の着色剤で、絵の具メーカーの特色を生かした製品。今まではワトコカラーオイルを使ったり、オイルステインを混入したりしましたが、これで多種多様なオリジナルカラーが作れることになります。顔料系と聞いていますが、導管の小さな木に塗っても、割合うまく色がつきます。もっとも最大20%までの混入量ですから、濃い色にはなりませんが、微妙な色を出す必要がある時に使えます。

 オスモ、アウロ、リボス等、ドイツ製塗料におされてきた感のある安全や自然循環をテーマにした塗料分野に、入手しやすい日本製が加わることは歓迎です。欲を言えば、流通経路の見直しなどによって末端価格がより手ごろになればと思います。


1999年1月

頌春 今年もよろしくお願いします。

年頭にあたり、昨年製作した作品の展示会を今年も開催します。ご覧いただいた率直な感想やご意見をいただけるとうれしいです。

Exhibition99
99作品展示会

暮らしの中の木の椅子展

1月28日(木)〜2月16日(火)
リビングデザインセンター
OZONE
(新宿都庁近く、新宿パークタワー)

 


1998年12月

「暮らしの中の木の椅子展」余談

 今年名古屋でスタートしたこの展示会、見学者が自由に見て触って座れるのが好評で、当初は最後とされた新宿OZONEでの展示会のあとも木の椅子展が、来年4月25日から6月20日まで「札幌芸術の森工芸館」でも開催されるようです。

 これまでコンペで「選外」のハガキばかりもらっていた私、うれしくて4月の名古屋の展示会場に出かけました。初日とあって審査員の方々もこられており、学生を連れてこられた長先生のお話なども聞くことができました。そのなかで選考の基準なども少し話されていました。「木目が見事な座卓のように、木の質感にたよった作品はすべてはずしました」というお話が印象に残っています。この基準がいいか悪いかわかりませんが、私自身はその方向でのモノ作りに共感を覚えています。

 レベルの高い他の作品を見ると正直なところ私の椅子がどうして入ったか不思議です。スタッキングの仕組みはストックホルムの市庁舎にあった椅子からヒントをもらったもので北欧ではごく一般的なものです。できるだけ軽く細身にしたかったので、後脚は約2cm厚の板、前脚は3cm角材を使い、ホゾ穴はルーターを用いて貫通寸前まで掘っています。それでも強度にやや問題があると思います。チークと桐、楢とハンノキという二種類の木のコントラストの面白さもねらいました。


暮らしの中の木の椅子展

1月28日(木)から2月16日(火)
リビングデザインセンターOZONE
(新宿都庁近く、新宿パークタワー)


(私の椅子)


1998年11月

カペラゴーデン校長先生夫婦来日

1998年11月7日

 9月に訪問したスウェーデンの工芸学校、カペラゴーデンの校長先生夫妻がタイ経由で来日、7日に奈良の大仏さんを案内した後、狭いウチの6畳工房を見て、近くのハーブ屋さんで友人達といっしょにディナーを楽しみました。北海道、高岡、そして京都・奈良で観光を楽しみ、9日関空から帰国されました。

含水率計購入レポート

11月10日

 前からほしいと思いながら円安で購入に踏み切れなかった含水率計を、先週の円高のタイミングに合わせて米国Woodcraftから購入しました。FWW誌などでも定評のあるWAGNER社のL606という高周波含水率計です。
 今日到着したので電池を入れていろんな木材を測定してみましたが、家の中においている木はどれも15%以下で、家具作りに問題ない程度に乾燥していることが確認できました。これから材木購入には必ずお供させるつもりです。今まで勘に頼っていたことが、メーターで数値として読み取れると安心です。
 本体約240ドル、送料17ドルに消費税と通関手数料900円を取られ、計31000円ぐらいになっていると思います。先日の大阪木工機械展で同じものが38000円で売られているのを見ましたから、これぐらいの価格差であれば国内で購入する方が安心かもしれません。

 右は説明書の写真で、現在の製品にはストラップはなく、そのかわりにナイロンコーデュロイ製ケースが付属しています。ダグラスファーは直読できますが、それ以外はメーター指示値を付属している各樹種への換算表から含水率を読み取ります。測定精度はよくわかりませんが、私が木工をするのに充分なことは間違いなさそうです。


1998年9月

カミさんとスウェーデン木工ツアー
Sep24,1998

 二ヶ月前に定職をリタイヤした身ではありますが、時間が十分にあるこのチャンスを利用して、前々から実現したかったカミさんとのスウェーデン旅行をしてきました。一番の目的は4年前にサマーセミナーに参加したカペラゴーデンをもう一度夫婦で見ることでしたが、友人や知人の御宅に招かれることも多く、スウェーデン人の気配りやさしさが前にもまして身にしみました。(旅行記を別ページ書いています)


カペラゴーデン中庭

[行動概要]
9月10日 関空からヘルシンキ経由でストックホルム。
9月11日 SJ(スウェーデンのJR)でカルマルへ。車でカペラゴーデン(3泊)。
9月12日 アルベスタ駅での展示会や、O氏宅訪問。
9月13日 先生の案内でエーランド島観光
9月14日 SJでストックホルムへ。マルムステン、ストックホルム校見学
9月15日 市内の博物館等見学
9月16日 午前中市庁舎を見て午後カミさん一人で帰国
9月17日 ストックホルム市の工房、工具店、ショップなど案内される
9月18日 バスでオーモルへ。四年前にいっしょだったY嬢と再会。
9月19日 スティーナビースクール見学。午後キノコ採り
9月20日 ヨーテボリへ移動、ルシュカ博物館とホーデコー(学校)見学
9月21日 アリングソスの工房や、近郊の工房訪問
9月22日 ストックホルムへ移動。家具展示場見学
9月23日 最後のショッピングをして午後の便で帰国、24日関空帰着

 写真ができたら、少しずつ思い出を書いていこうと思います。最後に一言。一週間自分達で家事をしてくれた子供たちと3日間その手助けをしてくれたカミさんのお母さんの協力がなければ実現できない旅でした。また国内外を問わず、数え切れないほど多くの皆さんにお世話になりました。感謝します。


1998年8月

 木製アタッシュ
Aug 25,1998

 写真のような木製のアタッシュケースを作りました。鞄には革や布などの素材が実用的だと思いますが、木工屋としては営業用に一度作ってみたかったものです。「細かい所は作りながら考える」いつものやり方でしたが、妙にはまってしまい4日ほどかかりました。「持って歩くには恥ずかしい」というのはカミさんの意見です。

 強度と軽さを考え、外枠は10mm厚柾目の楢をフィンガージョイントで組み、オスモのウォールナットで仕上げています。鏡板に相当する部分は6mm厚の桐に溝を切り、2mmの黒檀のサネで5枚をルーズに結合しています。仕上げはオリジナルブレンドワックス。蝶番は6mm黒檀で自作、取っ手はカエデで、収納式黒檀の丸棒で箱を保持する仕組み。開け閉めは考えに考えた末の巻き貝型。この詳細は企業秘密(^^)。ちょっとしたアイデアでも、物マネではないオリジナルなアイデアが実現できた時はうれしいものです。

 製作には様々なテクニックを使っています。フィンガージョインとはテーブルソウと簡単な治具で作り、桐板の溝は薄い丸鋸刃で加工し、サネの黒檀2mmはバンドソウで挽いています。錠前はルーターと簡単な円切り治具で作っています。自己満足でしょうが、簡単に見えるこの鞄、今までにやってきたいろんなことがいっぱい詰まっているのです。

 この変な鞄を持ったオジサンを見かけたら、それがWWMおじさんというわけです。


1998年7月

 「木工房」という雑誌が発刊されました。このホームページがきっかけで、そこにオイルフィニッシュ関連の記事を書いています。まだまだ海外の木工雑誌などに比べると、不満なところが多いのですが、文句を言うばかりではなく、自分の記事だけでも、今までにない情報や考え方、ノウハウ等を伝えたいと思います。

 今年からFineWoodWorking誌(FWW誌)の兄弟雑誌HomeFurniture誌が廃刊になりました。美しい写真とすばらしい家具の紹介で、日本でも読者が多かったことと思います。私も気に入って、3年間の購読を更新した矢先でした。特に要望しないかぎり、その購読料は、FWW誌の購読に流用されるので、なんと私は2003年までFWW誌の購読料を払っていることになります。
 このアメリカの出版社のやることも結構エグイですね。悪く考えれば、「資金稼ぎのために新しい雑誌を発刊し、短期間で廃刊にした」ともとらえることができると思います。今まで絶賛していましたが、FWW誌を見続けている私には、最近ちょっと記事が面白くなくなっています。

 一方、二年ほど前に発刊された英国のFurniture&CabinetMaking誌はややマンネリのFWW誌に比べ、毎回内容がアップしている気がします。また欧州は米国にくらべてよりオリジナリティーや独自のアイデアを大切にするようです。
 知的所有権についてに認識は、私を含め、日本人が今後最も気をつけなければならないことのひとつだと思います。


1998年5月

 3月4月は実にたくさんの海外からのお客さんがこられました。Linkページでも紹介しているロスの木工家Bobさん、オーストラリアの家具デザイナーで製作家のTonyさん、二回目の来宅であるカナダのEdwardさん、そして最後は1994年夏にサマーセミナーでお世話になったスウェーデンの工芸学校、カペラゴーデンの先生と生徒計20名です。そのうちで何と言っても圧巻はスウェーデンからの一行でした。以下のページにカペラの若者の様子やEdwardの糸鋸テクニック披露の様子をレポートします。


from Capellagarden

  4月26日午前9時6分、スウェーデンの工芸学校、カペラゴーデンの生徒と先生20名がついに我が町にやってきた。最寄りのJR駅から連なって歩いている20名のスウェーデン人の行列はただならぬ気配。近所の犬が吠え立てる中、我が家に到着。もうあとはどうして入ったかわかりません。居間に行ったり工房にいったりして、最終的にピアノとエレクトーンと机2つが置いてある、6畳の部屋に全員が集まってしまった。玄関に家族を立たせて紹介し、私は工房の襖をあけて、そこから日本人女性の生徒さんの通訳で、全体討議。 向こうからは、「カペラゴーデンに行ったことの意義はなんでしたか?」とか、計画中の木工学校について「それで経済的にやっていけると思いますか?」など真剣な質問があり、思っていることを正直に答えましたが、その内容はかなり個人的かつ専門的で省略します。

竹薮に御満悦


 その後、町内の知人がやっているハーブ屋さんへ車で二往復し彼らを運びました。ここはハーブを使った料理教室で、いい天気なので野外で昼食をとることに。それは全くカペラスタイルの食事で、日本食に疲れていた彼らにとってはとても良かったようだ。若い人は結構疲れていて、すぐに横になって日差しの中で昼寝をする。日本人では考えられない姿。

もっと休んでいたそうだったが、JR駅まで車二往復で彼らを運び、JR法隆寺駅へ。駅から田んぼの中の道を歩いて法隆寺に到着し、伽藍を見学。彼らの見学スタイルというのは日本の団体旅行とは全く違い、英語ガイドの話など聞かないで、それぞれ勝手に見ているのである。お疲れの人は木陰で寝ていたり、スケッチをしたり・・・これでは実質日本の案内をしている日本人女性の生徒さんがたいへんだ。
 夕方、疲れている若い生徒さんのほとんどは京都へすぐに帰り、私と娘と恩師の先生夫妻など数名で奈良へ行き居酒屋にあがったのであるが、彼らは「アイスウォーター」を注文、店に悪いので人数だけは烏龍茶をとり、私だけビールを飲んで居酒屋の酒の肴をつまんだ。その後は、夕闇迫る興福寺や猿沢の池を見て、帰りは古い町並みを通ってJR奈良へ帰り、そこで最初で最後であろう、この一大イベントを閉じたのでした。

以上 4月26日の日記より


from Canada

  インターネットのニュースグループ、rec.woodworkingへの書き込みに返事をくれたことで知合ったEdward、ウチに来るのは2回目。日本のクラフトフェスティバルに作品を応募したこともある彼の得意は糸鋸。今回帰国前日、再度ウチに寄ってその腕前を披露してくれました。繊細な切り抜きをこなすためのポイントは

  • 糸鋸の張りを強く
    C(ド)の音が出るくらいに張る。ウチの旭工機の糸鋸は張力の調整ができませんでしたが、プロが使うアーム全体が動くタイプ、スプリング式でないものが良さそうです。

  • 細い糸鋸刃
    使ったのは「山中目No.2」ですが、これでいいと言っていました。

  • 「押さえ」金具は使わない
    手でしっかり押さえる。

  • コーナーは瞬時に回転
    全然気にせずに、エイッと板を一瞬のうちに回していました。

  • 練習課題
    直角練習にジグザグ。また直径2cmほどの小さな丸をきれいに切りぬく練習が役に立つとのこと。最初は合板で、慣れたら無垢の板で。無垢の板では木目による糸鋸刃の流れの変化に対応するコツを覚えられる。

工房での実演風景 

以上、5月10日(日)の日記から


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