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2002年7月の見聞録



7月1日

 皆川亮二『ARMS』(サンデーC、小学館)22巻を読む(21巻はココ)。ついに完結。ウィンドこと巌がモデュレイテッドARMSと化したジェイムズ=ホワンこと崖を、キース=ホワイトを隼人がそれぞれうち破り、バンダースナッチと化したカツミの中にいるアリスを涼は受け入れて地球は救われる…。とりあえず、破綻することなく終わっていて、一安心。バトルマンガとして安定したクォリティを保ちつつ、だらだら続けずに最後まで描ききる力量がある漫画家っていうのは、それほど多くはないと思うので、次回作も期待。

 川原正敏『修羅の刻』(月刊マガジンC、講談社)13巻(12巻はココ)。雑賀孫一の弾を金剛で受け止めて打ち倒した狛彦。しかし、孫一の首を晒した信長に怒りを持ち、信長の元に留まる寅彦との間に隙間が出来る。やがて本能寺の変の最中に信長を守ろうとする寅彦と「名を継ぐ者を決める」戦いを狛彦が仕掛ける…。作者もあとがきで言ってることだけど、陸奥圓明流の人間を歴史上の有名人物と絡めても、史実との食い違いがないように見えるのは、悪くはない感じだ。ただ、寅彦の話を「第13巻(裏)」と言う形で出版するのは、どうかなあという気がするけど。素直に外伝として13巻に付ければ良かったのでは?( 『修羅の刻』自体が『修羅の門』の外伝だから、その外伝というのはおかしいかもしれないけど)


7月5日

 福本伸行『賭博破戒録カイジ』(ヤンマガKC、講談社)6巻を読む(5巻はココ)。坂崎の作戦は強力磁石を仕込んだ缶ビールをギャラリーとして紛れ込んだカイジに持ってきてもらい、自分が呑んでる普通の缶ビールと交換して、磁石の力で弾を最後の大当たりにねじ込むというものであった。しかし、磁石を使っても弾は大当たりに入らず、ついに用意した5000万円のうち4000万円までをも使ってしまう…。この巻でなんといってもすごいのは、負けが込んでる坂崎のおっちゃんの顔。この人のマンガではよく窮地に陥った人物の顔が歪む絵が出てくるのであるが、坂崎の顔の歪み方は今までで最もすごいのでは? そして、その歪んだ顔のト書きに「限りなく続く射精のような感覚」とか「ある意味、桃源郷…! 破滅…そして至福のカウントダウン」と書いてあるのが、またいい。この人のマンガは最終的に勝つ場面よりも、こういう風に「終わりそうな」人を描く場面の方がすごみあると思う。ただ、仕込んだ缶ビールのことを「磁ビール」と呼んでいるのは「地ビール」に引っかけたシャレなんだろうか。そうだとすれば親父ギャグすぎるのだけれど…と、こんなことを考える自分自身が、すでに親父の発想なのかもしれないけど。


7月9日

 ヒラマツミノル『アグネス仮面』(ビッグスピリッツC)12巻を読む。大和プロレスの若手レスラーで海外遠征に出かけていた山本仁吾が日本に戻ってくると、大和プロレスは倒産していて、彼の存在そのものが忘れられていた。そして、大和プロレス社長兼レスラーの未亡人の画策により、倒産のきっかけを作った帝日プロレスに刺客として送り込まれる。しかし、レスラーを引退し社長業に選任していたマーベラス虎嶋に叩きのめされ、アグネス仮面というマスクマンとして帝日リングに強制的に上がる契約を結ばされてしまう…。曽田正人を濃くした感じの絵柄がプロレスの汗くささとマッチしてて、試合のシーンは読み応えがあるのだけれど、どうも設定が気になる。大和プロレス=全日本、帝日プロレス=新日本、マーベラス虎嶋=アントニオ猪木というのは別に構わない。ただ、引退したマーベラス虎嶋が、現役トップレスラーより強い設定にするのは、どうなのかなあ。物語の進行上、仕方がないのかもしれないけど、マーベラス虎嶋が猪木にかぶって見えるので、いまさら「実は強いのは猪木」と言ってるみたいで、何だか萎える。作者はプロレス好きなんだと思うけどね。


7月12日

 神尾葉子『花より男子』(マーガレットC、集英社)32巻を読む(31巻はココ)。司の母親に一年間だけの猶予を与えられたつくし。しかし、一命を取り留めた司は、後遺症としてつくしのことだけ完全に忘れ去ってしまう…。すごい展開。そんなのありかという感じ。強引な力業だけど、まあ面白いからいいか。今回は作者の1/4コメントが楽しめた。まず、現時点での作者の携帯のアシスタントからの着信音は、「ごっつええ感じ」のヅラヅラアイランドらしい。『花より男子』を読んでる人間と、ヅラヅラアイランドを知ってる人間ってかぶるんだろうか。俺はCDを持ってるけどさ。ちなみに細かいツッコミをすると、作者は「ズラズラ…」と書いているが、これは「ヅラヅラ…」が正しい…って誰も気にしないことを突っ込む意味ねえか。それと三沢対蝶野の試合があった親日のドーム興業を見に行ってきたらしい。さっきと一緒で、『花より男子』とプロレスファンもかぶるのだろうかという気がする…と思ったけど、これについては、『花より男子』ファンがプロレスを見ようとしないだけで、以外と合うような気もする。


7月16日

 尾田栄一郎『ONE PIECE』(ジャンプC、集英社)24巻を読む(21巻はココ)。バロックワークス編が完了して、バロックワークスの一員であったニコ=ロビンも仲間に加わって、新たな展開に突入。このサイトで久々に取り上げてみたのは、そのものすごい勢い展開に、しょうもないつっこみを入れるのを忘れてしまうほどに、引き込まれることが改めて分かったから。すでに色々なところで言われてて、改めて書くのも恥ずかしいのだが、いま一番面白い少年マンガであり、また少年マンガの最新版の教科書的作品だろう。


7月24日

 青山剛昌『名探偵コナン』(少年サンデーC、小学館)38巻を読む(37巻はココ)。29頁に誤植発見。黒の組織のメンバーだった「ビスコ」が「ピスコ」になっている。「ピスコ」ではあまりに間抜けに聞こえる〔…というつっこみは思いっきり間違いで、「ピスコ」で正しかった。俺こそ間抜けであった:8月16日訂正〕。この巻ではプロレスラーの殺人事件が出てくるが、負けたらマスクを脱いで正体をばらして引退するマスクマンで70戦以上無敗というレスラーが出てくるが、そんなレスラー今時のプロレスにいないって。どうでもいいことに突っ込むのが、このマンガの楽しみになってきた。


7月30日

 高屋奈月『フルーツバスケット』(花とゆめC、白泉社)9巻を読む(8巻はココ)。新生徒会役員の一癖ある面々が登場したり、魚谷が惹かれた男性・紅葉が草摩家ゆかりの男性であったり、花島の過去が描かれたり、透が由希の帽子を大切に取っておいてくれたことに気づいたりと色々と伏線を張りまくりの展開である。ただ、少し気になり始めたのが主要キャラの善良さと敵役キャラの汚さ・怖さとが、あまりにも対比的になりすぎているような気がする。


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