雑想庵




(2000年10月10日開設)

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2017年10月15日更新<見聞録>)

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2018年ヨーロッパで「昆虫食」の取引が自由化 食文化は変わるのかlivedoor NEWS
 サプリンメントやプロテインバーから始まっていけば、確かに思いのほか早く浸透するかもしれない。
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当庵の覚書(2008年3月更新)
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最近の見聞録


10月15日

 岩崎育夫『世界史の図式』(講談社(講談社選書メチエ)、2015年)を読む。世界を、アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ、ラテン・アメリカ、オセアニアの7つの地域世界に分かれるが、時代によって「支配する側」と「支配される側」とに分かれていた。当初は、それぞれの地域で独立した国家が生まれ自立していた。地域内での支配と従属関係はあっても、自分たちの地域世界を超えた支配は行わなかった。これは中国やローマにあてはまる。初めて他地域を勢力下に置いたのはイスラーム勢力であった。イスラームはランド・パワーを拡大させて、ヨーロッパから中東、アジアの世界交易の中心的存在となった。税を払えば外敵からの保護と信仰の自由を与えつつ、優位勢力として君臨した。その後、大航海時代にシー・パワーを展開して、世界を植民地化していったヨーロッパが現れる。内部で覇権争いを繰り返した近世ヨーロッパでは、戦争に勝利するために、技術や戦術、常備軍の創設などが発展して、他地域を上回る軍事力を身に付けた。19世紀には、産業革命による膨大な製品の販売市場として、貿易港という点の支配から、領土を支配する面の支配へと転換した。なお、この植民地国家が、各地の新たな国家の類型となり、大戦後の独立時代に現代国家として定着する下準備を行った。ただし20世紀には、エア・パワーを手にした北アメリカが、世界各地の紛争に介入する新たな中心勢力となる。第1次世界大戦はヨーロッパ勢力間の権益の分配と植民の争奪戦だったが、その後の第2次世界大戦によってあまりにも疲弊してしまった。そのときにヨーロッパに代わってアメリカが台頭した。アメリカは他地域から海によって隔てられており、かつては発展の阻害要因となったが、海洋の交通手段が発達すると、むしろ交流の促進を促した。さらに他地域を攻撃するための空軍力を備えることで優勢な勢力となった。アメリカは民主主義と資本主義を、ヨーロッパ人に代わってより完成させた形で世界中へと広めていった。
 世界史の大きな流れについて、かなり分かりやすい説明であり、初学者であろうとある程度知っている人であろうと、読めばそれぞれに何か得るものがあると思う。ちなみに個人的には、ヨーロッパ人はアメリカから収奪したもので商売できたので、元手なしで商売できれば得に決まっているのだから他地域を越えた、という単純な理由ではないかと思う(この指摘は、関曠野『資本主義 その過去・現在・未来』(影書房、1985年)で読んだ)。
 あと、イスラームの衰退要因として世界各地におけるイスラーム勢力の覇権争いを挙げているが(102~103頁)、同じように熾烈な戦争が繰り返された近世ヨーロッパはなぜ衰退しなかったのだろうか、と思った。ちなみに、中国も中東も強大な国家の支配が続いて戦乱がやんだため、戦争の技術が発展しなかった、と述べている箇所もある(131~132頁)。
 なお著者は、現代では民主主義の規範に基づいてすべての主権国家を他国は侵し得ない、と合意されていると述べている。原理としては正しいのだが、現実にはそうではないのは言うまでもない。もちろん、平等であるように改善を行うのは大事だが、それが当然であるかのように主張しても、理屈倒れに終わるのではなかろうか。何度も繰り返しているし、自分自身にもあてはまるので偉そうに言えないのだが、歴史学(を含む人文学)は後付けで原因を探ることはできても、現実世界における具体的な提言はなしえないのだな、という気分にやはりさせられた。
 以下メモ的に。中国やインド、ローマが他地域を征服できなかった理由の第1は自然地理の制約である。たとえば、中国とインドの間にはヒマラヤ山脈が聳えており、マラッカ海峡を使おうにも両国とも陸の国家だったので不可能であった。第2に、匈奴やゲルマン人などの強力な外敵を本拠地のすぐ外に抱えていた。第3に、中華思想に代表されるように、国家間や社会宗教観のなかに、自らの地域世界を超えて他地域を征服・支配する論理がなかった。第4に、アジアは宗教や歴史文化で分節していたために、共通性がなかった(54~57頁)。
 イスラーム都市の多くの壮大な建造物の建設に動員されたのは異教徒の捕虜であった。この当時のイスラームの豊かさと栄華は、他の地域世界の征服に伴う経済収奪に支えられていた(91~92頁)。
 イスラームが優位勢力であった時代のアラブ人には、西ヨーロッパの地域世界を北方の寒冷地であり後進的な場所である、と見なす者もいた。十字軍も、けだものと見なし、勇気と戦う熱意以外には何もなく、動物が力と攻撃性で優れているのと同じ、と捉えていた(92頁)。
 ヨーロッパ人は、アメリカ大陸へ大量の移民を行ったが、これによって自国の人口過剰問題と貧困問題を解決しようとした。なお1846~1932年には、ヨーロッパの主要国の移民者数は、5千万人以上を送り出している(154頁)。
 アメリカの使命感は、1つは建国に由来する使命感に基づく。旧来の国家に対して自由な国を作るという意識があったため、自由と民主主義を世界に広げることが指名であるという意識が生まれた。もう1つは、アメリカは神に選ばれた特別な国であるという明白な天命観である。これについてはキリスト教に基づくものというのは当たり前すぎて言及がないのかもしれないが、やはり一言補足は欲しかった気がする(このあたりについて本サイトで取りあげたものには、森孝一『宗教からよむ「アメリカ」』や大西直樹『ピルグリム・ファーザーズという神話』がある(堀内一史『アメリカと宗教 保守化と政治化のゆくえ』もそうかも))。
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10月5日

 ルイーズ・バレット(小松淳子訳)『野性の知能 裸の脳から、身体・環境とのつながりへ』(インターシフト、2013年)を読む。動物や人間の知能やそれに基づく行動は、脳だけではなく個々の生物の身体的な特徴とその置かれた環境も深く関わっており、脳・身体・環境を一体化して理解する必要があると主張する。簡単に言えば、動物や昆虫の賢そうな振る舞いを見ると、人間のように頭がよいと判断してしまう見方に対する批判を、具体例に基づきつつ説明していっている。たとえば、単純なセンサーを付けたロボットの実験はそれを示している。車輪付き小型ロボットの先端の左右両側にセンサーを付けて、左右のセンサーのどちらかが障害物を探知したら逆方向に曲がるようにセッティングしておく。障害物を除けて通るのだが、正面にあるものは探知できない。結果としてすいすいと除けながら歩いているように見えて、正面部分にものを集めていく。これを見ると賢く行動して掃除をしているように見えるが、実はそのようなものではなく、身体的な特徴と置かれた環境がそのような行動の結果にすぎないわけである(76~77頁)。つまり、身体環境に役割を肩代わりさせているということになる。なお、著者は動物や昆虫を擬人化することそのものを否定しているのではなく、擬人化させて理解したと満足しないように戒めている。人間の認知も身体や環境と結びついている。たとえば、ハイハイをしている赤ちゃんに斜面を歩いて下らせると、全速力で降りようとして坂から転げ落ちてしまう。何度か挑戦させると坂の下り方を学んでいき、緩やかな傾斜を選ぼうともする。興味深いのは立って歩くようになってから同じことをさせると、過去の経験が活かせていないかのごとく、かつてと同じように全速力で斜面を下ろうとする。つまりハイハイという身体的な特徴と結びついて学習されたものは、立って歩くという身体的な特徴と結ぶいていないのでそれに基づいて学び直しているわけである(262~263頁)。
 本当に少しの例だけを紹介したのみなのだが、こうした具体例に基づいた説明には十分に説得力があるように思われる。『攻殻機動隊 Stand Alone Complex』(リンクはAmazonのDVD)では、AIを搭載した多脚ロボットが心を持つかどうか、ということがストーリーと関わるが、人間とは異なった考え方をするのが当然なのかもしれないし、そもそも心を持つという考え方そのものが外れた見方なのかもしれない。
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便利な商品コーナー

かつて、「茶の間の呟き」で紹介したことのある商品の中から、
個人的に使い勝手のいい物をピックアップしています。

SX-CL02MSV (2009年5月7日)
 ノートパソコンの背面下部に置いてUSBにつなぐと風を送ってくれて、ノートパソコンの底面を冷やしてくれる(なお、バスパワータイプのUSBハブにつないでも作動してくれている)。これはかなり劇的な効果があるので、パソコンの熱さにお悩みの方は是非。なお、これはB5サイズ用で、A4サイズ用はSX-CL03MSVになる。


ブックストッパー (2009年5月7日)
 洗濯ばさみに分銅のようなおもりが付いたようなもので、見た目はかなりショボイのだが、本の両端にはさんでおけば、常に見開き状態にすることができる。文庫や新書、ペーパーバックなどを見ながらパソコンに情報を打ち込むのに便利。2つ一緒に用いないと使いづらいので、買うならば2つ一緒に。


桐灰カイロ 上からはるくつ下用 5足入 (2014年2月25日)
 靴下の裏から貼るカイロだと、冷たくなったときに硬くなってしまい、歩いていると足の裏が痛くなってしまうのだが、上から張るのだとそうならくて便利。


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