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2003年2月の見聞録



2月3日

 鹿島茂『成功する読書日記』(文藝春秋、2002年)を読む。『週刊文春』に連載していた読書日記に読書日記の書き方と読書の仕方ガイドの文章を付け加えたもの。
 読んでいて、昔はこういう読書日記を書こうと思っていたことが思い起こされた。つまり、書籍そのものの情報ではなく、自分自身に関する情報や何らかの事件に関連した前書きを書くスタイル。自分のサイトの初期の文章を読むと、サイト設立当初はこういう方向性を狙っていたことが分かる。いまはこうした書き方に興味が亡くなったのは、読み物としては面白くても、評価という点ではいまひとつわかりにくいため。この人の書き方はコラムという形式と本の内容紹介という点では読みやすいと思うのだが、評価という点ではどうしてもぼやけてしまい、自分が読むべきかどうかの価値判断がどうもしにくい。貶している本がほとんど紹介されていない点でも、それは同じだ。貶すぐらいなら始めから取り上げるな、という意見を以前に言われたことがあるのだが、ある程度のバックログが溜まっている場合には、どういう本を貶しているかも、その書評や感想を読んでいる人の判断基準になると思う。特に文書の分量に対する制約がないウェブ上では、この本の手法はあまりむいていないだろう。ちなみに、この本と違って斎藤美奈子『読者は踊る』は、色々な本を貶しつつもエッセイとして面白いと思った本。
 もちろん、この本の書評形式が劣っていると言いたいのではなく、好みの問題に過ぎない。ただ、私自身としては、立花隆『僕が読んだ面白い本・ダメな本 そして僕の大量読書術・脅威の速読術』を読んだときと同様に、自分自身のサイトの方向性を再確認できたという点で役立った本と言える。本好きの人よりは、むしろ書評をすることが好きな人に向いている本ではないかと思う。


2月18日

 はるき悦巳『帰って来たどらン猫』(双葉社、アクションC)を読む。『じゃりン子チエ』が終わってから、この人のマンガを見なくなったなあと思っていたら(『ガチャバイ』(小学館)は未読)、久々に小鉄のマンガが出た。『じゃりン子チエ』はマンネリになってきて、作者自身が煮詰まったから終わったのだと思っていたのだが、実は家庭の事情の星でマンガ執筆をまったく行えなかったようだ。その事情が思いがけず終わってしまったので、再びマンガ執筆を始めたという事情をあとがきを読んで知ることが出来た。
 タイトル通り小鉄の奮戦記であり、百合根がほんのちょっと出てくる以外、レギュラーの人間キャラは一切出てこない。猫同士のバトルものとしては『どらン猫小鉄』やユンカース編ほどの面白さはないし、物語としての面白さも悪太郎編ほどではないが、少なくとも最後の頃のロック編などよりは格段に面白いので、『じゃりン子チエ』ファンは読んで損はないだろう。
 ちなみに、続編がウェブ上で公開されている。


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