「アデランスのヘアチェック広告」の法則?



 最近、少年・青年コミックの新刊を読んでいて妙に気になることがある。それは、たいていのコミックに「アデランスのヘアチェックの広告」が入ってることだ。

 この広告は、アデランスの無料サービスの案内で、パーソナル・へア・アシストブックという資料がもらえたり、髪の健康相談であるパーソナルヘアチェックが無料で受けられることを案内するもの。

 ただし気になっているのは、この広告そのものではなく、この広告が入っているコミックと、入っていないコミックがあることだ。


 気になりだしたのは5月に読んだモーニングCの新刊あたりから。『カバチタレ』7巻には入っていて、『バガボンド』10巻には入っていなかったことから、気にし始めるようになった。これは売れている・売れていない、もしくは面白い・面白くないが基準なのではなく、たぶん対象読者を意識してのことだと思う。

 この時、対象読者における男性の比率と成年以上の読者の比率が高い=「オッサン度」が高いと考えられているコミックには、このヘアチェックの広告が挟まっている、と俺は推測した。ぶっちゃっけていえば、ハゲるかもしれない、もしくはすでにハゲている読者がたくさんいると考えられたコミックスには、この広告が挟まれているのだと思ったのだ。

 『バガボンド』は女の子を含む中高生も読むと思うけど、『カバチタレ』を愛読する女子中高生や女子大生はあまりいないと思うもんね(…別にいてもおかしくないけど、あくまでも一般的な傾向という意味で、ね)。


 たとえば6月に読んだ少年サンデーコミックスの新刊を例にとると、『MISTERジパング』『モンキーターン』には挟まっていたが、『犬夜叉』には挟まっていなかった。まあ、妥当なところだ。『モンキーターン』には女性読者がいっぱいいるだろうけど、対象となっているスポーツが「競艇」というきわめて「オッサン度」の高いものなので。

 こないだ読んだ7月の少年ジャンプ系の新刊には、どれにも挟まっていなかった。読者の少年度が高いのだから当然だろう。

 7月に読んだ少年マガジンCの新刊である『魁!クロマティ高校』には挟まっていた。これは中高年も対象読者に含まれるものの、対象読者の年齢幅が広く、どっちかと言えば男性読者の割合が高いためだろう。

 このように、「アデランスのヘアチェック広告」はそのコミックを読む対象読者の「オッサン度」の高さを示すものであると考えていた。

 …つい、この前までは。


 よく分からなくなったのは、ごく最近読んだ7月の少年サンデー系の新刊コミックスのためである。アデランスの広告が挟まっているものはあるのかなあ、と読んでみると…、

 『名探偵コナン』…ま、これには当然挟まってる分けないよな。少年少女向けだから当たり前。そろそろ黒の組織との対決かな、などと思いつつ読了。

 『ARMS』…これも挟まっていない。まあ、どちらかというと中高生あたりが中心となる読者だから、別におかしくはないか。そろそろクライマックスだよな、超絶兵器同士の対決にどうオチを付けるのかな、などと考えつつ読了。

 『いつも美空』…これにも挟まってるとは考えにくいよな。もともとラブコメ・タッチのマンガで、最近はわけの分からない子供向けヒーローものみたいな展開になってるし…。

……

………

 …何故ニ挟マッテイルノデスカ?


 わけの分からない(というか滅茶苦茶な)ストーリー展開以上にもっと分からない。『いつも美空』はオッサン向けコミックスだったのだろうか? もしかして、作者の「オッサン度」が高いものほど「ヘアチェックの広告」が挟まっているのだろうか? 作者に対して「そろそろどうですか?」という意味で。まさかそんなわけはないか。


 気になったので、バイト先で今月の少年サンデーの新刊コミックスを調べてみた。

 その結果は…

 『パスポートブルー』『リベロ革命』『戦え梁山泊 史上最強の弟子』『犬夜叉』のアニメコミックス『名探偵コナン』のアニメコミックス、以上のコミックスには挟まっていなかった(『SALAD DAYS』は売り切れで調べられなかった)。

 しかしながら、『DANDOH!Xi』『ブリット』『ARMS』のアニメコミックスには挟まっていた…。

 ますますわけの分からない結果である。なぜ原作版の『ARMS』には挟まっていなくて、TVアニメ版の『ARMS』には挟まっているのだろうか? 『DANDOH!Xi』はゴルフマンガだからかもしれないが、同じゴルフマンガでも『ライジングインパクト』には挟まらないような気がするし。

 念のため、自分で読んだもの以外の7月のジャンプコミックスの新刊も調べてみたのだが、どれにも挟まっていなかった。

 勝手な推論だが、もしかしてオ○クのお姉さん度よりも、オ○クのお兄さん度が高めのコミックスに挟まっているのだろうか?

 オ○クのお兄さん方は小汚さそうだから、髪の手入れもしてないだろう

そうなると髪の質も落ちるはず

それならば、髪がそろそろやばくなるお兄さん方もいるかも?

これは商売になる!

 と、アデランスが判断したのではないかと…。
 うーむ、強引すぎる推測か。
 というか、そもそもこの広告を挟む判断をしているのは、アデランスではなく出版社の方なのだろうか? その辺もよく分からん。


 謎は深まる一方だ。追跡調査をしてみたい。はたして、この広告が最初に挟まる女性向けコミックスは何だろうか?(もしかして、『パタリロ』あたりには、もう挟まっていたことがあるかもしれないけど)

 …とりあえず、ちっとも面白くなかった『いつも美空』だが、この広告だけは俺を面白がらせてくれ、こんなどうでもいいようなことにこだわった文章を書かせる原動力となったのであった。


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