電波障害(インターフェアー)対策


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インターフェアー対策

私のインターフェアー対策事例を紹介します。参考になれば幸いです

今から十数年前に念願の自立鉄塔を建設し、ビーム・アンテナを使用できる環境になり,100Wで運用してい

ましたが、 DX運用で、どうしても送信電力をUPしたくなり、送信電力をUPする決意をしました。 しかしながら

当局の住環境は住宅密集地であり当然、送信電力をUPするには徹底したインターフェアー対策が必要にな

ります。

アンテナを搭載した鉄塔の写真

100Wで運用時でも充分に対策をしていたつもりですが僅かに 自宅の

AMラジオに音声が混入していましたので、当然送信電力 をUPすれば、

周囲に影響を与えることは目に見えて明らかなので 自局で出来る全て

の処置をしようと考え対策をしました。


< 考え方 >
何事も、そうですが問題の原因や障害経路さえハッキリと把握して

いれば電波障害も処置できると信じて対策しました。     

    

1. 障害波のモードと対策

一般の電流のように機器に流れ込んで、流れ出す閉じた回路をつくる障害波の型(ノーマル・モード)

と流れ込むだけの型(コモン・モード)が有ります。

障害対策では、この流れ込むだけの型(コモン・モード)が曲者で、この処置に尽きると思います。
ノーマル・モードフィルター郡の写真

 ノーマル・モード用フィルターはRFinquiry

 のローパスフィルター を使用しました。

  
ローバンド用  LP3K   1本

 ハイバンド用  LP6M3K  3本
 

※12.5φmmの銅パイプをアース・バスに使用。


コモン・モード用フィルター

電源側コモン・モードフィルターの写真

@電源に電源用コモン・モードフィルター

キットを購入しトランシーバー用とリニア・アン

プ用を作製し最短距離で配電しています。 




アンテナ側コモン・モードフィルターの写真


Aアンテナ側には RF inquiry のコモン・ モードフ

ィルターを挿入しています。 


アンテナ用   CF5KV 5本 





2. 障害対策に関係の深い接地について考える

接地について考えると、色々有るので、ここではエレクトロニクス的アースについて考えます。

エレクトロニクス的アースは電流を流してはいけない1点アースのことです。  無線機筐体には

必ずアース端子があって、筐体アースが取れるようになっています。 この端子を地球と結ぶこと

で回路のアースポイントの基準電位を地球電位と等しくして回路を 安定に作動させるための「ポ

テンシャルを決めるアース」
「電流を流すアース」ではありま せん。アースと言うとつい「電流

を流すこと」
と取り違えてしまい、筐体やアース線に電流を流 してしまっている事により電波障害

を発生させているケースが有ります。 送信機の部品とくにコイルが裸のままで筐体内に配置され

ています。 そのため筐体内部には 高周波が充満している?ともいえるような状態になっていま

す。

接続されたアンテナ系の インピーダンスが送信機の最良負荷条件に合致していない時ほど大き

くなります。 この電流の殆どが筐体内で渦電流をつくり熱エネルギーに変わってしまいますが一

部は筐体 輻射を起こす原因になります。 また、この誘導作用は数百KHzから数十MHzの周波

数で 有ると思います。 そこでアースを取りたくなり、アースを取れば確かにDC基準電位は大地

と 等電位になるし、遮蔽効果も良くなり筐体対大地間の迷容量は定まりますから無線機はあた

かも安定したような動作になりますが、スプリアスなどの不用成分の高周波は大地に流れ去った

のでしょうか? アース線などの導体は抵抗だけでなくリアクタンスも合わせ持っています。

一般に導線の直線状インダクタンスは1cm当たりで約 0.01μH( 約C=0.2pF )とも言われ

0.01μH
のインダクタンスが10MHzに対するリアクタンスは約1Ωになります。 この1Ω/cm

に皆さんのシャックのアース線の長さを掛け算して見ると大きな値になるはず 今まで閉じ込めら

れていた電磁波の中には接続されたアース線をアンテナにして空間に放射 される部分も出てき

ます。 しかし保安のためにアースは取るべきでしょう。 そのためにトロイダルコアに被覆線を巻

いたアース用コモン・モード・チョークコイル( CMC )を筐体アース端子とアース線の間に挿入し

アース導線のアンテナ化を最小限に抑える事が できます。

以上の事を踏まえ、当局では12.5φmmの銅パイプをアース・バスとし、これに 無線機の筐体ア

ース端子間にトロイダルコアに被覆線を巻いたアース用コモン・モード・チョー クコイル( CMC )

を接続し、アース・ラインは可とう性のある電気溶接用の38sqコードを使用 し、これに握りこぶ

し大のコアー6個一組を約50cm間隔に使用しアース・ラインのアンテナ化 を防止しています。

これによりAMラジオに混入していた音声障害が出なくなりました。

アース線に取付けてコアー群の写真



 握りこぶし大のコアー 6個一組に取
  
   り付けているところを撮影したもので

   す。

    
     使用しているコアーはTDK製
    【品番】 ZCAT3035-1330


  

3. SWRとアンテナとの整合

接地のところでも説明していた通り接続されたアンテナ系のインピーダンスが送信機の最良負荷

条件に合致していない時ほど電波障害を引き起こす高周波電流が大きくなりますのでアンテナの

整合と給電用同軸ケーブル長の最適化が必要です。関係書籍を参照し、充分に考慮し各局に適

したアンテナシステムを構築する事が重要です。

詳細はCQ誌2003年5月号に掲載されています。

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以上が私のインターフェアー対策事例です。これで住宅密集地にもかかわらず1Kw運用を楽し

んでいます。

《 現在のシャックの様子 》

<b>現在のシャックの写真

 

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