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2005年5月の見聞録



5月31日

 菅野覚明『神道の逆襲』(講談社現代新書、2001年)を読む。古代から江戸時代までにおける神道について、幾つかのトピックを用いながら述べていく。正直に言うと、タイトルの逆襲という言葉から明治以降と戦後の神道について重点を置くのかと思っていたので、少し肩すかしを食らった感じもするが、前近代の神道概念がコンパクトにまとまっていて、これについて基本的な概念を知りたいという人には便利な本ではなかろうか。神の登場は家に客が来たような日常の変容であるという説明、混沌たる世界が同名異体の国常立尊と天御中主尊に分化し、前者が天皇、後者が神道へという二元構造に至ったという説明、吉田神道をデカルトをもじって「我祭るゆえに我あり」と捉えるなど、なかなか分かりやすい。


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