ヨーロッパ珍道中記 2  

 

ドイツ

朝起きると、なんと荷物が無くなっていました。「え?えっ??えぇ〜???」です。

盗られた人はみなさんおっしゃいますが「まさか、わたしが〜〜〜?うっそ〜〜〜?」の世界です。

荷物が無くなってしまった棚を、空をきるように触ったりしてしまいました・・・あほですね。

でも人間とっさの場合は、訳のわからないことをするんじゃないかと今なら言えます。

 頭の先に置いていたリュックも無くなってたんです。相方と二人のコンパートメント、扉つき。

「なんで気づかないんや〜、そこまで熟睡するか?」と自分の呑気さを再確認しました。

ここでもうひとつ笑えることは、相方の頭の先のリュックにカセットテープが1本入っていたこと。

これって「二人の荷物、両方盗れたんだよ。」ってことでしょうかね、良心的な泥棒さんでした?

まぁ、違う見方をすれば「気づいて起きちゃって痛い目にあうよりもよかった!」ってことでしょう。

 列車を降りて警察へ”ポリス・レポート”をいただきに。警察官のサインを書くくらいの簡単なものだったので

「本当にこれ、ポリス・レポート?」と何度も聞き直しました。

 

 そしてアメックスと東京海上へ電話。もちろんフリーダイヤル!便利ですね。

私はこのときまで「パスポートなんて、別になくしてもいいんちゃうん?」と思っていました。

期限の決まっている旅ではないので、ひとつの国に1週間くらい滞在してもいいかって。

でも今は「パスポートだけ残ってたら、あとはどうでもいいで。」と言いきれます。

 手元に残っていたのは、パスポート・航空券・ユーレイルパス・T/Cの控え、その程度だったと思います。

これらは身につけていたので無事でした・・・”地球の歩き方”に書かれていることは正しい。

T/Cは番号を控えて使った分もチェックしてました・・・やっぱり”地球の歩き方”に書かれていることは正しい。

 アメックスはすごいです、ほんとうにすぐ再発行してくれました。

万が一を見越して(?)T/Cはアメックスにしてたのですが、とても素早い対応をしてくださいました。

(現在はどうか知らないですが、その当時他社のT/Cは再発行に日数がかかっていたように記憶しています。)

私の現在地を聞いて、一番近いアメックスの取扱店をすぐに教えてくれて、その店舗にも連絡しておいてくださり、

私達が行くと、待っていたかのように新しいT/Cを渡してくれました。

ため息をつきながらT/Cに何十回も自分の名前を書いていると、それが聞こえたのか応対してくれていた女性が

「もうちょっとだから、がんばって名前書いてね。」みたいなことを言ってくれました。

すべてのT/Cに名前を書き終え、彼女に向かって「ダンケ・シェン」と言ったときの彼女の笑顔が印象的でした。

 東京海上も親切でした。(保険会社って、どこでも親切ですよね。)

この旅行で60万円前後使ったのですが(往復航空券・ユーレイルパスなどの交通費・宿泊代すべて込み)

保険金は38万円振り込まれました。・・・けっこうボロ儲け。

余談ですが、帰国後すぐに友人の結婚式が3件も続き、お祝い金やら洋服代やら着付け料やらの十数万円が

すべてここからまかなえました。泥棒さんと保険屋さんには感謝です。

 はっきり言って、盗り損だったと思います。いっくら考えても何も入ってませんでした。(現金なんて硬貨のみ)

それまで書いていた日記と撮影済みフィルム1本。これだけ戻ってくれば、何も言うことなかったんですけどね。

何年経っても、このふたつは残念です。あっ、のみの市で買った革のコートも残念。

(もっともこれは保険金が入ってきたから言えることだけど・・・)

 

 さて、荷物をすべてなくしたので、まずは日用品を買いに行かなければいけません。

一番ビックリしたのは、ここは英語の通じないところだったのです。

(今までは私の知ってる英語くらいは、みんな知ってたのでそんなに不便はなかった)

壁が壊されてドイツ統一したけど”東ドイツは確かにあったんだ”と、東西の違いをちょっとだけ見た思いです。

 衣類などは、ぜんぜんOKなんです、ドイツ語がわからなくても見ればわかるから。問題はシャンプーや洗顔料。

容器が似ているので中身が何なのかわからない。私も真剣なら、店員さんも真剣でした。

頭を洗ったり顔を洗ったりするジェスチャーをして、それを店員さんが当てる!というゲームみたいなことを

やってました。私の髪を触って「あなたの髪質なら、こっちの方がいいわよ。」と選んでくれたり。

ベビーローションを買おうとすると「それは赤ちゃん用だから!」って真剣にとめられましたね。

そんなこんなで私のボディランゲージ術は、この街で飛躍的な進歩をとげました。

 

荷物を盗られた翌日は、ベルリン市内をウロウロしました。

まず、壁博物館へ。ここには当時のパネル写真や、

東西分裂を意識して描かれた絵、何よりも目を引いたのが

東から西へと亡命する際に使用されたもの、などが展示されていました。

ある人は自動車のエンジンルーム、またある人はマーシャルの中や

旅行カバンを二つつなげた中。もちろん穴を掘って亡命した人々も。

 博物館を後にして、今度はブランデンブルク門へ。

この門は化粧直しをされ、壁が壊された日の姿は想像できないほど、すっかりきれいになっていました。

そして壁のあった場所をたどってみると、門から少し離れたところに白い十字架がたくさんたっていました。

壁を越えようとして命を落とした人達のものでしょうか。”現在、壁は取り除かれている”とガイドブックなどによく

書かれていますが、川辺には鉄条網だけが外されたであろう壁が長く続いていました。

 

 旧東ドイツで訪れたのはベルリンとポツダムだけで、その後は旧西ドイツへと向かいました。

マインツからゴブレンツというところまではライン川を下る船旅を楽しみました。途中有名な”ローレライの岩”が

あったのですけど「えっ?これだけ?」でした。ブレーメンやハーメルンもグリム童話なんかで知ってる地名だから

「どんなん、どんなん。」と期待しすぎていただけに「ふ〜ん。」状態でした。

まぁ、ただ単に私の勉強不足だったんでしょうが。。。

 そしてシュヴァルツヴァルト(黒い森)へ。この頃私は『ツーリングEXP』というマンガに、はまっていたので

舞台になっていた場所を数多く訪れていました。(わかる人にはわかるネタ)

実はこの旅行中に発売されていた”花とゆめ”を友人に買っておいてくれるように頼んでました。

でも私が行った場所はマンガを読んで想像していたのとは、えらく違っていました。よくあることですね。。。

 

 シュヴァルツヴァルトから次の街に向かう途中、車掌さんに「どこに行くの?」と聞かれ「フッセン」と答えると

「次の駅で乗り換えなさい」って教えてくださいました。

電車を乗り換え座席に座っていると、さっきの電車に乗り合わせていた男性が時刻表を見せながら

「ここの駅で乗り換えて、次の電車はこれだよ。」と教えてくださいました。

きっと車掌さんが不安に思って、同じ電車に乗る方に私達のことを頼んでくださったのでしょうか。

 しばらくすると、さきほど時刻表を見せながら教えてくださった方が、女性の車掌さんと声を荒げて

何か話しているのが聞こえ、女性が車両から出ていったので「ドイツの女性って怖いな。」と

相方としゃべっているとその車掌さんが戻ってきて「・・・ONE・・・」と男性に話しているのが聞こえました。

そしてさきほどの男性が私達のところにやってきて「次の電車は1番ホームだからね。」と教えてくださいました。

さっきの言い争い(?)は、きっと私達のためだったんですね。

 

 朝目覚めると、フッセン到着。

(お決まりの移動ホテル:夜行列車)

駅で自転車を借り、今日はサイクリングです。

私はこのときまで自転車って万国共通の乗り物だと

思っていました、が違うんです。

前ブレーキはハンドルについているんですが、

後ろブレーキはペダルを後ろにまわすとかかるんです。

慣れれば便利かもしれないけど、一度降りると同じ場所からペダルを踏み込まないといけないので

乗りはじめが乗りにくい。。。言ってる事がわかってもらえるでしょうか?

 サイクリングがてらノイシュバンシュタイン城(白雪姫のお城のモデルでしたっけ?)に行く途中

雨が降ってきたのでカフェに入ろうとすると、閉まっているみたいだったので庭の方にまわってみると

お店の方が鍵を開けて入れてくださいました。そこは、よく見ると中華レストランのようです。

そしてチャイニーズ・ヌードルとウーロン茶をオーダーしました。(なんとか解読できたメニューだった)

 ラーメンだと思っていたものが、実はヤキソバらしきものだったのも、まぁ許容範囲です。問題はウーロン茶。

コーヒーカップに入ったウーロン茶と一緒に出てきたのは、なんとスプーンと砂糖でした。

何処から見ても東洋人顔のドイツ語を話すウェーターさんは、砂糖を入れて飲むのだと力説してくださいました。

・・・カルチャーショックです。私の心の声は「にいちゃん、紅茶とちゃうで。」でした。

 夕食のとき同席したイタリア人からはチーズを食べる私を見て「日本人はチーズを食べないんじゃないの?」と

言われたので「どうして?」と聞くと「10年前知り合った日本人は、腐った牛乳と言ってたから。」などと言われたり

初老のドイツ人からは「ドイツ人は親日的なんだよ、どうしてか解かるかい?二次大戦だよ。」と言われたり。

目が点です。この街では、いろいろな人と出会いました。

 もうひとつの驚きは、”ゆでたまごの食べ方”。殻をむいて食べるのが私の常識でしたが、

ドイツでは1/5くらいのところをナイフで割ってスプーンでほじくって食べてました。ちなみにゆで具合は半熟でした。

 

 突然ですが、ジーンズってだいたい何日間くらい洗わずにはけると思いますか?

後日イタリアで知り合った方は2〜3ヶ月平気!とおっしゃってましたけど。

シャツ類などは洗面所などで洗えますよね。でも問題はジーンズです。1/3ずつ洗うって聞いたことがありますけど

あれは足の部分はいいけど、腰の部分になると難しくないですか?長期ツーリング中はどうしてますか?

 ある日、相方に「そろそろジーパン洗わへん?」と言ったところ「まだ、大丈夫やで。」の返事。

「でも、試してみ...」と再度言うと、試したらしく「明日洗いに行こ!」の即答でした。(何を試したのか...)

翌日コインランドリーを探し出しジーンズのお洗濯。ところが、使い方が解からない。

そこで、今まさに洗濯をしようとしている、人のよさそうな兄ちゃんを捕まえ「これ、どうやって使うの?」の質問。

人のよさそうな兄ちゃんは、やっぱり親切な方で全部やってくれました。

そしてジーパンは乾きにくいから、2枚コインが必要だと必死で教えてくれました。(乾燥機:1コイン15分らしい)

洗濯が終わるまで、兄ちゃんと3人でm&mのチョコレートを食べながら、ぼ〜っとしていたとき

自分の大量の洗濯物を見ながら「Too Dirty...」とつぶやいた兄ちゃんの横顔が笑えました。

 

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