芥川龍之介賞

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−第126回芥川賞発表−

第126回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が16日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に長嶋有(ゆう)さん(29)の「猛スピードで母は」(文学界11月号)が、直木賞には山本一力(いちりき)さん(53)の「あかね空」(文芸春秋刊)と唯川恵(ゆいかわ・けい)さん(46)の「肩ごしの恋人」(マガジンハウス刊)が選ばれた。副賞は各100万円。授賞式は2月22日午後6時から、東京・丸の内の東京会館で開かれる。

 長嶋さんは埼玉県生まれ。東洋大卒。印鑑メーカー勤務を経て、作家に。01年、「サイドカーに犬」で文学界新人賞。横浜市在住。

 村上さんは受賞作について、「母子家庭の母が明るく、エネルギッシュに、しかもユーモラスに描かれている。家族の求心力がなくなっていく中で、読者に勇気を与えるのではないか。小説の社会的影響力という意味で重要な作品だと思う」と述べた。
(以上全て 朝日新聞:2002年1月17日朝刊)


−第125回芥川賞発表−

第125回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が17日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に玄侑宗久(げんゆう・そうきゅう)さん(45)の「中陰の花」(文学界5月号)が、直木賞には藤田宜永(よしなが)さん(51)の「愛の領分」(文芸春秋刊)が選ばれた。藤田さんの妻の小池真理子さんも96年に直木賞を受けており、同賞では初めての夫婦受賞となる。副賞は各100万円。授賞式は8月22日午後6時から、東京・丸の内の東京会館で開かれる。

 玄侑さんは福島県生まれ、本名橋本宗久。慶応大卒。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺(ふくじゅうじ)の副住職。「水の舳先」で前回、芥川賞候補になった。福島県三春町在住。

 受賞作は、民間信仰の「おがみや」の老女の死の前後に、僧侶(そうりょ)夫妻が出あった不思議な出来事を描く。中陰とは、この世とあの世の中間。魂のゆくえや救済という宗教的なテーマを、仏教の視点から伝えている。

 福島県郡山市内で会見した玄侑さんは「彼岸と此岸(しがん)の間や仏教のことを遠慮なく書かせてもらった。芥川賞は手の届かない、雲の上のものと思っていた。認められてうれしい。これからも坊さんが坊さんとして書き続けていきたい」と喜びを語った。



−第124回芥川賞発表−

 第124回芥川賞・直木賞の選考委員会が16日、東京・築地の新喜楽であり、芥川賞に青来有一さん(42)の「聖水」(文学界2000年12月号)と堀江敏幸さん(37)の「熊の敷石」(群像同)が、直木賞には重松清さん(37)の「ビタミンF」(新潮社刊)と山本文緒さん(38)の「プラナリア」(文藝春秋刊)が決まった。副賞は各百万円。授賞式は2月22日午後6時から東京・丸の内の東京会館で開かれる。


 青来さんは長崎市生まれ。長崎大学卒。長崎市役所に勤務。1995年に「ジェロニモの十字架」で文学界新人賞。この作品と「ウネメの家」「泥海の兄弟」「信長の守護神」で芥川賞候補に挙がり、五回目で受賞を果たした。長崎市在住。
 「五度目の正直」に、青来さんは、「肩の荷が下りました。地方在住の作家として、これからも流されないで確実に一つ一つ書いていきたい」と喜びを語った。
 堀江さんは岐阜県生まれ。早稲田大学卒。東京大学大学院博士課程中退、明治大学理工学部助教授。フランス留学時代の体験をもとにしたエッセー集「おぱらばん」で、99年三島由紀夫賞。著書はほかに、「郊外へ」「子午線を求めて」「書かれる手」など。東京都在住。


 芥川賞は「なかなかの議論を経て決まった」と池澤さん。次のように報告した。
 「聖水」は、「読ませるように書かれている」と高い評価。「父の死と、あやしい聖水ビジネス、親の世代の確執に熱くならない息子、といった組み合わせはよく出来ている」と得点を積み上げた。
 「熊の敷石」は、欠点が指摘され、徹底的否定論もあったが、「それを越える何かが読み取れる。公の悲しみがあるのかとの問いかけなど、ヨーロッパの現代史におけるものの考え方を日本の文学に持ち込む姿勢は文学的冒険として評価して良い」との意見が通った。
 玄侑宗久さんの「水の舳先(へさき)」は、「宗教的な雰囲気の中で人が死にゆく姿を正確に描写し、小説の書き方も破綻がない」と当初は半数の支持を得たが、「終盤の話の作りに無理がある。素材と展開に齟齬がある」と批判され、票を減らした。
 黒川創さんの、「もどろき」も最初は票を集めたが、説得力有る反論が出て消えた。
 吉田修一さんの「熱帯魚」も気持ちよく読めるが、主人公の悲しみが伝わらないなどと指摘された。
 大道珠貴さんの「スッポン」はおもしろいところもあるがいまだし、と評された。
(以上全て 朝日新聞:2001年1月17日朝刊)



−第123回芥川賞発表−

 今回から芥川賞選考委員に村上龍さんが加わり、久々に十人以上の選考委員による討議が交わされた。芥川賞選考委員の古井由吉さんが選評を発表。

 芥川賞選評 

 芥川賞の選考は時間がかかった。古井さんは「今回はレベルがそこそこ高かった。候補作のどれにも強く推す委員が一人はいて、最初から割れた。受賞作とそれに続く三作は票がさほど変わらなかった。二作を推さない人もいて、苦しみました」と、選考の難しさにまずふれた。
 町田さんの「きれぎれ」については、「文体や言葉を崩し崩して出発する試みがあるレベルに達したという評価があったが、行き過ぎという意見も強かった」
 松浦さんの「花腐し」については、「高度な文学的教養のある学者の作だが、小説的には致命的な欠陥があり、前の候補作の方がよかったという意見もあった。しかし、そのぎこちなさが逆に買われた」
 候補作全般に、借財を背負ったり定職につかなかったりする主人公が多かった。古井さんは「時代でしょうかねえ。主人公たちの心情はネガティブで、ある人の言葉ではみんなユーレイみたい」と語った。
 「バブルの後始末がついていない、莫大な借財をかかえてブラックホールに入りかけているような時代を反映して、自分をマイナスに落としたところから書く人が多かった。そのマイナスに、なだれ込んでくるものがなかなかしっかりしている。目の据え方、腹のくくり方がそれぞれ独特なものがあった」
 今回初めて村上龍さんも選考に加わった。積極的に推す作品はなかったが、「その率直な発言力は力になった」と古井さん。
 また、現役の東大教授の受賞には「東大も変質したってことでしょうねえ。東大教授になってもやっぱり往生できないんでしょう」と冗談交じりに話した。
 (朝日新聞:7月15日朝刊)

回数 年度 作家名 作品名
101 1989年上期
102 下期
103 1990年上期
104 下期
105 1991年上期
106 下期
107 1992年上期
108 下期
109 1993年上期
110 下期
111 1994年上期
112 下期
113 1995年上期 保坂和志 この人の閾
114 下期 又吉栄喜 豚の報い
115 1996年上期 川上弘美 蛇を踏む
116 下期 柳 美里 家族シネマ
    辻 仁成 海峡の光
117 1997年上期 目取真俊 水 滴
118 下期 受賞者なし
119 1998年上期 藤沢 周 ブエノスアイレス午前零時
    花村萬月 ゲルマニウムの夜
120 下期 平野啓一郎 日 蝕
121 1999年上期 受賞者なし
122 下期 玄月 蔭の棲みか
    藤野千夜 夏の約束
123 2000年上期 町田 康 きれぎれ
    松浦寿輝 花腐(くた)し
124 2001年1月 青来有一 聖水
堀江敏幸 熊の敷石
125 2001年7月 玄侑宗久 中陰の花
126 2002年1月 長嶋 有 猛スピードで母は
候補作品 石黒達昌
岡崎祥久
鈴木弘樹
大道珠貴
法月ゆり
真夜中の方へ
南へ下る道
グラウンド
ゆううつな苺
六フィート下から



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