〜中古バカ1台!〜

 5 カメラを買う苦しみと歓び

 カメラを数多く購入するようになったのは、就職して収入を得るようになってからです。折りしも、中古カメラブームが起こり始めてきた頃でした。収入があるといっても、先ほど申し上げたやせ我慢的発想、というか貧乏根性のために、故障寸前のようなカメラを買い続けていったのです。



左がキヤノンP、右がキヤノン7。
私の場合、同メーカーの同じようなカメラを2台買う傾向があります。
 
 この写真の右側のカメラ、これは卒業直前に購入したのですが、キヤノン7というカメラです。35ミリフィルムを使う、距離計連動式カメラです。細かい事は抜きにして、ドイツ製の高級カメラ、ライカと同じ方式のカメラ、その日本版である、と説明しておきましょう。
 このカメラ、保証もつかない現状渡しで、当時としては破格の安値で手に入れたのですが、その後いろいろな故障に悩まされます。シャッターのオイル漏れ、シャッタースピード調整…そして何よりも困ったのは、光線漏れ。シャッターの開閉と関係なく、勝手にフィルムに光がかぶる。これは銀塩カメラにとっては致命的な故障なのです。そして原因部分が特定しにくいため、直りにくい。直したと思ったら、また光線漏れが発生する。何度何度もも再修理に出したり、修理店を替えたりしました。
 
 もうひとつ、この写真のカメラ。ミノルタオートコードといいます。先ほどご紹介した2眼レフカメラ、ミノルタフレックスと良く似ているでしょう。メーカーも同じです。ミノルタフレックスは父から譲り受けたものなので、やはり大事にしたい。そこで同種のカメラで思い切って使えるものを、という意図で購入したものです。これも、就職した翌年に、格安な値段で購入しました。

 これは、キヤノン7以上に苦しみました。シャッター、ピント、光線漏れ、巻上げ不良…ありとあらゆる故障が発生し、その都度修理店送り。使っているより直しに入れている時間のほうが長い。「もう、使うのやめて別のものを買おうか」と考えた事も数えきれません。でも、あきらめなかった。「できの悪い子ほどかわいい」という言葉の通りですね。情が移ってしまう。
 その後、キヤノン7もミノルタオートコードも完治し、今では非常に安定したいい道具になっています。


雨、風、吹雪そして故障…
数々の修羅場をくぐり抜けたカメラ

 カメラをコレクションするだけなら、ここまで苦労しなくても良かったのでしょう。でも、買ったカメラで写真を撮ろう、と考えたばかりに、大変な苦労をしたし、また得難い経験もしました。古いカメラを修理する専門店の存在も知りました。そして、カメラという機械に対する作った人、直した人、使う人、それぞれの思いを知る事もできました。
だけど…だけど、カメラに限らず機械モノは、ある程度お金をかけて買わなくちゃだめですぞ! 

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