〜中古バカ1台!〜

 4 中古・中版・カメラ中毒

 高校を卒業し、2浪の末ようやく学生になったとき、まず私が買ったのは6×6版1眼レフでした。先程お話した2眼レフも6×6版です。にもかかわらず6×6版1眼レフを購入したのは、2眼レフと違いレンズ交換ができるからです。当時は、カメラ付属の標準レンズだけで鉄道を撮ることに不満を感じていた時期でした。「35ミリのように望遠レンズで撮れたらいいな」と考えた私が購入したのが、ゼンザブロニカS2です。これも中古です。

 このカメラ、スエーデンで製造されているハッセルブラッドというカメラと形が似ているため、物真似というレッテルを貼られていますが、カメラの機構は独特のもので、大きくて重い、シャッター音がバカでかい事を除けば、とても使いやすいカメラです。そしてこのカメラ、世界的に定評のあるレンズ、日本光学(現ニコン)のニッコールレンズが使えるのです。これも、私がこのカメラを選ぶ際の決め手となりました。



ゼンザブロニカS2です。重くて、腕がしびれてきます。バコーン!というシャッター音がします。
でも、もう1台買ってしまいました。右のカメラが1台目です。
 
 さて、当時の私は、欲しいカメラを買う、そしてとにかく安く買うという考え方を持っていました。
 「欲しいカメラ」つまり私の所有欲をくすぐるカメラとは、昭和30年代から40年代の国産カメラです。この頃の日本のカメラは、技術、デザイン両面で、外国製品の模倣を脱しつつあり、機構的にしっかりし、かつ洗練されてきています。これは同時に「使えるカメラ」であるという事も意味します。これより前の国産カメラだと、コレクターズアイテムになってしまう。カメラは使って何ぼという私の考えに合うのは、この時代のカメラだったのです。
 そして「安いカメラを買う」。実際金が無かったのでやむを得ない部分もあったのですが、今思い起こすと「やせ我慢」的な発想が強かったような気がしています。「俺は貧しくとも清く正しく写真を撮るのだぁ!決してコレクターなどではないぞぉ!!」お恥ずかしい限りですが、この考え方が「安物買いの銭失い」に繋がっていた事に気づくには、もう少し時間がかかることになります。

 

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