〜中古バカ1台!〜

 2 中古開眼

 私の父は、その旺盛な好奇心と手先の器用さをフルに使って、様々な事に挑戦していました。
 時代は遡りますが、日本が敗戦から立ち直る頃と時を同じくして、ラジオなどの電化製品の製作・修理、自動車、自転車等々機械類の修理、セメント打ちから水道の配管に至るまで、ありとあらゆる事にチャレンジしました。それに伴い、父の手元にはいろいろなモノが集まります。決して裕福とは言えない家庭でしたので、そこに集まるのは中古品、ガラクタ、果てはゴミ捨て場から拾ってきたようなものばかりです。そんなモノの中から、セレクトし、加工し、修理して使えるものにしていく。父は子供に言葉で教え込む事はしませんでしたが、そんな父の後姿を見るうちに、物を大切にする意識が、私にも自然と身についていったようです。

 小学校5年生の頃、転勤で東京を離れる親戚が、軽自動車を置いていきました。父は日曜日の朝になると、それに乗ってドライブに行きます。私がナビゲーターをするわけですが、その行先が中古車展示場(笑)。また、たまに2人で横浜駅へ出かけると、決まって覗いたのがカメラ屋の中古コーナー。この頃には、私の心の中に、現在に連なる「中古バカ」への布石が完成していたと思われます。
 

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