POWER UP ON ICE

滑走距離だけでなく、ペース配分、インターバルの長さなどによって
トレーニングにもいろいろな種類がある。
レースのところで述べるように、先頭交代も重要である。
なお、このページは、(財)日本スケート連盟会報の月刊Skating 59号に掲載されていた
長野オリンピックに向けての全日本の夏季カルガリ合宿のメニューをもとに作成している。
ラップタイム、乳酸値などに関する記載は初級者、中級者には合わないと思われるが、
役に立つ情報も含まれているので、参考にして欲しい。
このページの作成に際しては、大畑智史氏の尽力も大きかった。感謝したい。

PROTOCOL
スタートダッシュ
加速走
短距離 (500m, 1000m)
中距離 (1500m)
長距離 (3000m, 5000m, 10000m)
 腰は短距離より高くしてよいが、できるだけ落とす
乗り込み
 最初は一人で大きいリンクの感覚をつかむのが一番いいかもしれない
 孤独感を伴うかもしれないが、仕方がない
アップとダウン
リレー
 無限リレー




レペティション
トレーニング
 アナロビックトレーニングである。常にフルコンセントレーションの状態でトレーニングにのぞむこと。
 動き(使用している筋肉)を意識し、最後まで動きの乱れが出ない状態でMAX(肉体的・精神的限界)まで追い込む事が必要である。

目的
1. トップスピードの養成
2. アナロビックトレーニング(短距離種目・500・1000・1500Mのトップスピード維持能力・維持するための効率的な動き、フロート感覚)
3. レースの組み立て(戦術)、トップスピードでのぺース配分


(1) トップスビードの養成トレーニング
(トップスピードの中での効率的な動きの習得)

(a)600Mx3本x2SET(MAX)
 (1000Mスタート地点から流しスタートで、MAXスピード、ラップ26〜27目標)
 (1本間5〜7分、SET間20分インターバル、SET間はジョギング、ストレッチング)
・全ての本数をVTRに撮影し、インターバル間にテクニックの確認をすること
・また、ラップを正確に記録し、フォームとラップタイムおよび選手の感覚を総合してトップスピードの習得状況を把握し、競技力を把握する資料としていく。
・フレッシュな状態で、レースと同じ気持ちで、ハイモチベーションで実施
・(トップスピードに乗せるまでの動き)+(トップスピードに乗せてからのフロート感覚の動き、無駄のない効率的な動き)を習得する。
・開始時プルス120、終了時MAX
・LA値10〜14mM(1本毎終了後)(2SET目開始時は2mM程度)

(b)400Mx5本x2SET(MAX)
 (500Mスタート地点から流しスタートで400MをMAXスピード)
 (500Mのレースをイメージし、レースの組み立てを意識する))
 (SET間20分、1本間5〜7分インターバル)
・400MをMAXスピード、70Mでトップスピードにのり、カーブのコース取りを意識しながらさらに加速し、バックストレートはトップスピードの中で氷を正確に捕らえ、無駄のないスケーティングで効率的な動きができる。(フロート感覚)
・カーブの頂点に接することを常に意識する。(入口でのミスは頂点で接するコース取りでカバーできる)
・開始時プルス120終了後MAX
・LA値8〜10mM(1本毎終了後)(2SET目開始時は2mM程度)

(c)300Mダッシュx5本x2SET(MAX)
 (100Mスタート地点から流しスタート)
 (SET間10分1本間5分インターバル)
・200〜300Mまでのタイムを測定し、スケーティング感覚と実際のタイムの関係を把握する。(トップスピードでの効率的な動き作り)
・開始時プルス120、終了後MAX
・LA値8〜10mM(1本毎終了後)(2SET目開始時は2mM程度)


(2)トップスピードの持続およびぺース配分の習得(1000M)

(d)1000Mx3本x2SET(MAX)
 (1000Mスタート地点から)
 (600Mまで80%、ラップ30'。600M〜1000MをMAXラップ28')
 (1000Mレ―スの組み立てをイメージする)
 (SET間30分、1本間5〜7分インターバル)
・開始時プルス120、終了後MAX
・LA値10〜14m(1本毎終了後)(2SET目開始時は2mM程度)
・750M通過地点(第1カーブを出た時点)からの100Mを正確で氷を捕らえた動きを保ちながらピッチを上げることにより、ラスト300Mのスピードを上げるトレーニングである
・前半より後半のラップの方が速くなるようにする
・最後のカーブのピッチを2歩多くする
・1000Mレースにおいて600〜1000Mまでのラップを29"0であがることを目的としたトレーニングである(600通過44"5、最終タイム1'13"5)
・レ一スと同じ気持ちで実施すること。
・600M通過地点(第2カーブ出口)から正確に氷を捕らえた動きを保ちながらピッチを上げることにより、ラスト400Mのスピードを上げるトレーニングである。
・ハイモチベーションで実施する。

(3)トップスピードの持続およびぺース配分の習得(1500M)

(e)1500Mx2本x2set
 (1500Mスタート地点から)
 (1100Mまで80%、ラップ26"-31"、1100M〜1500MをMAXラップ30")
 (1500Mレースの組み立てをイメージする)
 (SET間30分、1本間5〜7分インターバル)
・開始時プルス120 終了時MAX
・LA 値10〜14mM(1本毎終了後)(2SET目開始時は2mM程度)
・1500Mレースにおいて1100ー1500Mまでのラップを30"0以内であがることを目的としたトレーニングである。(1100通過1'23'0、最終タイム1'52'5)
・1100M通過地点(第2カープ出口)から正確に氷を捕らえた動きを保らながらピッチを上げることにより、ラスト400Mのスピードを上げるトレーニングである。
・レースと同じ気持ちで実施すること。
・SET間30分はジョギング・ストレッチング実施





ショートインターバル
トレーニング
目的
1. トップスピードの持久力を養成する。
2. 動作に使用される筋肉を意識し、強化した体力を効率的にトップスピードに結びつけ、
3. さらにスピード維持するための動作・能力を習得する。
4. 500Mから1500Mを対象としたトレーニングである。


(1) 1500Mトレーニング
 (動きを乱さないように最大の努力を払う事)

(a)700M-1100M-700M、インターバル60"
 90%で実施プルスはMAXまで上げる(ラップ29'〜31')
(b)700M-1500M-700M、インターバル60"
 90%で実施プルスはMAXまで上げる(ラップ30'〜32')
(c)300M-700M-300M、インターバル60"
 90%で実施プルスはMAXまで上げる(ラップ28")
・(a)〜(c)を実施して1SETとする。
・(a)〜(c)のインターバルは5分(プルス120/M)
・3SET実施を目的とする。20分インターバル
・各SET開始時 LA値 〜3mMー非常にハードなトレーニングである。
実施前のウォーミングアップ及びメンタル面でのモチベーションを十分に高めること。
・1500Mのスタートラインの20〜30M前からの加速スタートで実施する。
・LA値14mM〜(a)(b)(c)各1本ごと終了後

(2) 1000Mトレーニング
 (動きを乱さないように最大の努力を払う事)

(a)200M-600M-200M
(b)600M-1000M-600M
(c)200M-600M-200M
(d)20"-10"x8SET MAX
・1500Mと同様の方法で実施する。
・1000Mのスタートラインの20〜30M前からの加速スタートで実施する。
・LA値14mM〜(a)(b)(c)各1本毎終了後

(3) 500Mトレーニング
 (動きを乱さないように最大の努力を払う事)

(a)200M-300M-200M
(b)300M-500M-300M
(c)200M-400M-200M
・1500Mと同様の方法で実施する。
・500Mのスタートラインの2〜30M前からの加速スタートで実施する。
・LA値14mM〜(a)(b)(c)各1本毎終了後





カーブトレーニング
目的
 1. カープでのハイスピードテクニック習得
 2. 短距離におけるトップスピードでのカーブテクニック・スピードの獲得
 3. l000Mにおけるスタート直後のカーブテクニック・スピードの獲得

(1) ショートトラックサイクルトレーニング
 (アイスホッケーリンクまたはカーブ練習設置リンクで実施)

#30"x5SET SET間5分休憩
#ラスト10"はMAXスビードで実施する
#トップスピードからのカーブ練習x10
・ショートトラックのシューズ使用、位置はアウト用でSETしたものを使う
・徐々にスピードを上げ、氷をとらえたスケーティングで実施する
・集中して実施。ピッチをあげて走るのではなく氷を押さえる
・入口のテクニックから出ロまで総合した技術習得

(2) ショートコーナーハイスピードトレーニング
 (400Mトラック使用)

#350Mx5 MAX
#休憩SET間5分
・1000Mのスタート地点から全力で加速し250Mからのコーナー
(インのイン)をMAXスビードで通過する。
・(ショートトラックサイクルトレーニングの成果を応用)
・500Mレースにおける第2カーブインコースをイメージしたトレーニング





スプリント
トレーニング
常にフレッシュな状態でコンセントレ一ションが必要。常に考えながら
VTR等で確認したり、タイム測定の結果を活用しながら実施
試合時と同様のモチベーションで、
試合時をイメージして実施
 (重要なイメージトレーニングである)

(1)スタート練習

(a)フライングスタート
#50Mx10本 MAX
自分に合った静止状態を確実につくる事が重要である
・静止状態から自分の感覚で、気持ちよくスタートダッシュを反復
・歩数、ストライド、タイミングを1日毎にチェックしながら実施

(b)流し滑走からフライングスタート
#100Mx5本 MAX
・スタート後10Mからのピッチ→ストライドの伸び→スケーティングまでの練習である
・特にスケーティング姿勢で氷を捕らえた状態でピッチが上げることを目標としたい

(c)静止状態からのスタート
#50Mx5本 MAX
#100Mx5本 MAX
(d)10〜20M毎にタイム測定(ピストル使用)

・スターターの号令に合わせたスタート練習、スターターのアドバイスを参考にし、正確で速いスタートができる事を目標とする
・10M毎にタイムを測定し、100Mまでの課題を探り、焦点のあった練習をする
・100Mの目標タイムは9"6(男子)、10"5(女子)

(2-1)スタートから第二カーブの練習

(e)流し滑走からフライングスタート 350Mx5本
 (スタートから第一カーブ出ロまで80%、バックストレートからMAXで第二カーブ頂点まで)

(2-2)スタートから第一カーブの練習

(f)静止状態からのスタート
#220Mx5本
#25MからMAX・カーブをMAXで滑走


・第二カーブはインのアップコースに突っ込む角度で入って行く
・多少疲労した状態の中で第2カーブをトップスビードでクリアーする事を目的としたトレーニングである(コース取りも考慮)
・スローモーションスタートから加速し、トップスピードで第一カーブに人るコース取り・入口のテクニック・頂点から出口・ストレートの第一歩等をチェックしカーブでのスピードを殺さずにバックストレートにつなげる為の練習
静止状態の形を完璧にしてから、号令に合わせた一連の動作を練習するという順序で実施していく

(3)1000Mのスタート練習

(g)静止状態からのスタート 200Mx5(イン・アウト)MAX
 (カーブの出入口・200M通過でのタイム測定)


・スタート直後約50Mでカーブに入り、カーブで加速しながら200Mを16"台で通過する練習

(4)総合練習500M、1000M

(h)500Mx5本100タイム測定
 (100MまでMAX、以後スローモーションでテクニックチェックしながら500Mまで)
(i)600Mx5本200タイム測定
 (200MまでMAX、以後スローモーションでテクニックチェックしながら600Mまで)

・レースイメージ・フルコンセントレーションで実施する
・500Mでのペース配分・各ポイントでのテクニックのチェックをレース時と同様のイメージで実施する
・イン・アウト正式なコースを滑走すること ・練習前に集中する時間を設定すること
・1000Mについても同様である



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