コロナ禍のLA旅行2021--出入国の実際と現地での棚製作他

昨年に続き、教室の夏休みを利用して二回目のロサンゼルス(LA)旅行である。1才過ぎの孫に会うことが一番の目的だが、今回は娘達の新居に棚を作ってほしいということで、現地でできるだけのことをするのも大きな目的。ただし、一年たっても収まらないコロナ禍、飛行機に乗るのもアメリカに入るのも、そして日本に帰るのも、昨年と比較にならないほど大変な関門が多数待ち受けていた。何かのお役に立てたらという思いで、その辺りのこともできるだけ書こうと思う。

準備

昨年の経験と航空便や帰国後の検疫体制の現状から、名古屋から羽田まで車で行き、そこからJALのLA直行便を利用するしかない。なお、昨年払い戻しされなかった同行者のアメリカン航空券は、プラス約4万円で同じJAL便に変更でき、無駄にせずに済んで一安心。往復一人約16万円であるが、このような状況下、運航されているだけでもありがたい。

コロナ陰性証明

往きで一番の関門はLA行き出発3日前までに取得すべきコロナ陰性証明である。名古屋の医療機関でも証明を書いてくれるようだが、なんと一人38000円!!。いろいろ調べてみると、JALのホームページでは”にしたんクリニック”でオンライン診療をして検査結果を送ってくれるサービスが紹介されており、一人約17000円でPCR検査とアメリカ入国用の陰性証明書をオンラインで出してくれるらしく、ここに申し込む。

事前に送られてきた唾液採取セットを手元に、出発3日前にGoogleDuoを使ってビデオ通話しながら、唾液を採取する。1~2mlの唾液を採取するのはなかなか大変。それをコロナ検体として受け入れ拒否されないように指定の梱包をして送り、翌日メールで陰性証明書がPDFファイルで送られてきた。それを印刷して陰性証明完了。他に、米国入国の際に求められる宣誓書とLA特有の連絡先をオンラインフォームで送ることが求められるが、それらは簡単。ESTAは昨年のものが使えるので何もしなくてもよかった。

1日目(水)
名古屋自宅→東名、新東名経由で羽田AP第5駐車場。
搭乗手続き→LAX→娘宅、airB&Bで見つけた宿へチェックインし、娘宅で夕食。

昨年は東名が事故で通行止めになり箱根山越ルートでなんとか間に合った苦い経験がある。今年も充分時間的余裕を持つべく朝7時に出発。正午過ぎに羽田P5に到着、駐車場はガラガラ。

国際線は昨年同様に利用者は少なそう。しかし、オリンピック関係のスタッフがかなり多く、雰囲気は賑やか。飛行機は予想よりも混んでいた。エコノミークラスの3連座席の両側2席しか使っていないが、その7割程度は埋まっていたと思う。一方ビジネスやファーストクラスはほとんど空席だった。定刻の17:20無事出発。

あまり寝れなかったが無事LA到着。昨年は孫の写真を見せることを要求された入国審査、今年は顔を確認するだけで質問もなく通過。係官の差が大きいとの印象。その後検疫も何もなく、アッサリ外へ出ることができた。一年ぶりに娘と再開する。その後帰国の際のPCR検査について確かめたく、2階出発フロアのJALカウンターへ行き、日本人スタッフにPCR検査について質問すると、日本語の入ったフォームで検査結果を書いてくれるRELIANTという医療機関を紹介され証明書フォームも入手。150ドルかかるが、これを利用するのがよさそう。

車で娘宅へ移動し、14ヶ月になった孫と一年ぶりの対面。宿へのチェックインを済ませ、今日は簡単にテイクアウトピザの夕食を済ませ、また宿へ。

2日目(木)
宿→公園→娘宅→午後家でまったり→夕食→宿

私達が泊まっている宿はダウンタウンから車で20分ほどのところながら、斜面に建つ一軒家の半地下室で、野生的な宿。デッキで朝食をとっていると近くの電線を歩いているリスの姿が見られた。午前中は歩いて15分ほどのところの公園で娘と孫と会って、公園の遊具を楽しむ。今日は旅の疲れを癒すべく午後もまったり。

3日目(金)
宿→娘宅→パサデナのRockler→ハイランドパークの人気レストランで夕食

依頼された合板の棚を短期間で形にするにはビスケットジョイントを使うしかないと考えていた。それで"Plate joiner"を入手すべくネットで探してもらうと、パサデナにある海外通販で有名なRocklerに在庫があるということで、午前はそこへ向かう。

通販で何度か利用したことがあるRocklerの店は木工趣味の人なら一日居ても飽きないお店。しかし1歳少々の孫もいるので、長時間見ていることはできない。速攻でMakitaの18V充電式ビスケットジョインターを購入する。というのは既にマキタの充電式18V丸鋸を持っているので本体だけでOKなのだ。それならやはりコードレスが便利。

というわけで、お店には20分ほど居ただけだが、テーブルソウや木工小物が沢山陳列されていて、注文式のカナダLeeValleyToolsより見やすく楽しめる店である。

この日はカミさんの誕生日でもあり、夕方早めにハイランドパークの人気イタリアンレストランへ行き、楽しいひとときを過ごした。

4日目(土)
宿→ハイランドパーク公園→娘宅で朝食→合板買い出し→ダウンタウンにほど近い公園で凧フェス見物→夕食→宿

午前は車で孫達と別の公園へ行き、午後からはバーチ合板を買いにいく。近所のHomedepotには在庫がないため、アルハンブラのHomedepotに行くが、ここにもなくて、そこで案内されたモンテレーパークのHomedepotに行き、やっと買うことができた。しかし、最後のお店ではなぜか合板の半分しかレジでカウントされなかった。理由はわからないが、そういうセールスをやっていたか、あるいは店員が我々を気に入ってくれたのか・・・謎であるが、得したので良しとする。

この日は近くの公園で凧を上げるフェスティバルがあるということで、それを見に行く。派手な行事ではなく、地元の家族が週末の公園で凧揚げを楽しんだり、見たりする催しのようだ。ゆったりした芝生の公園でダウンタウンのビル群を背景にした凧を見るのは楽しかった。

5日目(日)
宿→hoomedepotで道具等購入→合板カット→夕方裏山ハイキング→夕食→宿

いよいよ今日から制作に入る。建築設計が仕事の娘達から事前にもらった図は次のようなもの。右端の正方形の箱6つは既製品で、左側の横に長い棚を作ってほしいとのこと。これを木工機械なしに手持の丸鋸一丁で、それも短期間で作るのは木工教室自営の自分でもかなりハードルが高い。合板サイズから三分割して作る方向。また棚板と仕切板の数なども使い勝手を考慮し、減らす方向で計画を修正した。

朝、最低限必要なスコヤや定規、釘などを近くのHomedepotで買い、いよいよ制作開始。

作業場所は写真のような所。丈夫なダンボール箱の上に合板を置いただけの簡易作業台に18Vのマキタ充電丸鋸だけで、正確に合板を切り出さねばならない。そのうえ、単位が”インチ”でミリ単位のメジャーもない。幅13インチと15インチの板を正確かつ平行に切り出すため、まずジグを作り、同じ幅で切り出して行く。この辺りの作業は経験と工夫する能力の見せ所である。慎重に作業していくので時間がかかる。今日は棚板の長さを決めるところまでは行かなかった。

こちらの合板の定尺は4フィート×8フィート、約1.2m×2.4m。木目は長手方向流れ、短辺方向に流れる欧州と違う。日本のサブロクより格段に取扱いが難しい。そもそも普通車では持って帰れないので、娘のパートナーが有料でホームセンターのトラックを借りて運んだ。

6日目(月)
宿→娘宅→GANAHL lumber→棚板定尺切断→昼食→ジグ作成、ビスケット加工→夕方グランドセントラルマーケット→宿

この家に入居後、床板を自分達で合板に張り替えていて、その作業で丸鋸刃はかなり切れ味が落ちているし、元々刃数24の刃ではきれいに合板は切断できない。少なくとも刃数40以上の刃がほしい。Rocklerに問い合わせてみるが在庫がなく、別のプロ用道具屋を紹介される。それが写真のお店で、ここは本当に商品が豊富ですばらしいプロ用のお店だった。刃数40の新品丸鋸刃をつけると全く切れ味が違い、軽く正確に切断することができた。このような他店を紹介してくれるRocklerの対応はすばらしい。

夕方一年ぶりに行ったグランドセントラルマーケットは、コロナ前とは比較にならないものの、かなり活気が戻っていた。

7日目(火)
宿→PCR検査→ビスケット穴加工や→昼食→組立→近所散歩→バーベキュー夕食→宿

日本へ帰るJAL便に乗る際、出発3日前までに実施したPCR検査での陰性証明が必要である。事前に調べたところではLAX空港で125ドルで検査ができるということであったが、可能なら政府指定の書式での陰性証明が望ましい。LA到着時、JALカウンターの日本人スタッフに聞いたところ、”RELIANT"という医療機関がそのフォームでの陰性証明を書いてくれるとのこと。ダウンタウンでも受けられる場所があるということで、出発二日前の今日娘の車でPCR検査を受けにきた。(詳しくは後述)

その後娘宅に帰り、位置決めジグを作って慎重にビスケットを入れる穴を堀る。午後からはとりあえず一台を組んでみる。大きなクランプがほしいが、ないので、ビスケットとビスを併用して組み上げる。合板が割れないよう、クランプで押さえてネジを入れたりの慎重作業。一台を部屋に置いてサイズ等を確認。

9日目(水)
宿→宅→別の公園→昼食→組立と仕切板等切断→PCR検査結果受取→WholeFoods→夕食→宿

大体できて一安心。丸鋸とビスケットジョインターだけでここまで実質2日。明日はもう帰国。孫が寝てから裏庭のウッドデッキで夜お酒を飲む。暗闇の木の枝に動く気配がすると思ったら、こちらでよく見るオポッサムという猫ぐらいの動物。スカンクも夜道でよく見かけるらしい。

10日目(木)
宿→娘宅でスペシャル朝食→孫と最後に近所三輪車散歩→LAX、14:20発のJAL便搭乗

別れるの日はいつも切ない。孫とのご近所散歩を終え、娘の車でLAXへ向かうが、全員物静か。結構賑やかなLAXだったが、予想に反しJALのカウンター前の人は少ない。こちらにくる少し前に調べたところ、帰りの便の空席はほとんどなかったのに、何故?。思うに、帰国便は東京五輪の開会式の日であり、旅行社あるいは五輪組織などからの要請でこの便の席が確保されていたのではないか。ところが間際になって無観客開催が決まり、大量の空席が生まれたのではないだろうか。搭乗者がこれほど少ない便は見たことがないほどであった。3座席に横になって寝ることができて助かったけど、航空会社は辛いだろう。

11日目(金)
羽田着17:20→検査受付→宣誓書など説明→唾液採取→書類チェック→アプリ導入チェック指導→検査結果受取→入国審査→荷物回収、通関→駐車場へ→新東名など経由し、日付が変わった24日0:30分に名古屋帰着。

日本に着いてからの検疫体制は昨年と違い、格段に厳しくなっていた(後述)。特に行動監視用アプリのインストールが強制され、スマホを持っていない人は自費でレンタルしなければならない。まあ、これからの海外旅行、全ての人にスマホは必須アイテムとなるように思う。

数日後作った棚に本を並べた写真を送ってくれた。物が入ると断然いい感じ。ジジイとして作ってやれてよかった。

 

(旅行記は以上ですが、出入国の検疫体制やPCR検査、アメリカでのホームセンター・DIY事情などについて書いております。ご興味のある方はどうぞ。)


出入国のアメリカと日本の検疫体制、PCR検査

昨年はまだ十分に検疫体制がとられていなかったのか、実際は楽に出国・帰国ができた。事実上、帰国後のPCR検査だけだった。一方今年、アメリカ入国は昨年どおり難しくなかったが、日本帰国後の体制は、お役所仕事の典型というか、ガチガチの形式主義。それに監視アプリ強要というデジタル仕掛けが入り込み、実に厄介。見方によってはここまで政府が個人の活動を監視制限してよいのかと疑問が残る。ネットでも他の経験者からの不満が多数アップされている。

また、東京五輪開催中に帰国したので、オリンピック関係者は別の扱いであることがよくわかった。オリンピック関係で来日した人は、二週間の隔離生活が特別に免除されるだけでなく、新幹線や国内線航空機などの公共交通機関も制限なく利用できるそうだ。アラセブンの夫婦が時差ボケの頭で名古屋まで自家用車を運転して帰らなければならないのに、あまりに不公平だと思う。

日本国内でのPCR検査

大きな病院では検査と陰性証明をしれるところがいくつかあるが、どこも3万5千円~4万円ほどもする。ビデオ通話によるオンラインでの検体採取にはなるが、JALが紹介しているにしたんクリニックが比較的安い。ただし、検体の送付などリスクはある。また羽田第一ターミナルで木下グループが安くPCR検査をしていて、日本語で陰性証明はくれるとのこと。英語能力が堪能であり、またJAL職員との交渉に慣れている人で、それで出国できた例もあるようだが、慣れない我々にはリスクが多いと思う。

米国での自主隔離

米国入国2週間の自主隔離が求められ、居場所や連絡先の報告もしなければならない。ただし、あくまで自主隔離であり、今回の滞在中何らかのチェックを受けたことは全くなかった。また米国入国に際し、搭乗前に求められたPCR検査陰性証明の提示も求められなかった。実際上、日本での陰性証明はJALの搭乗受付が最終チェックである。

LAでのPCR検査

出発前はLAXでのPCR検査を利用するしかないと考えていたが、実際に利用したのはJALカウンターで紹介してくれた下記医療機関である。なお、出発前にJALにメールで質問した際には「こちらも全く情報がありません」と冷たい返事だった。実際に行かないとわからないというのはちょっと無責任だと思った。

RELIANT

検査を受け、JALカウンターでもらった日本政府指定フォーマットの用紙を結果が出てから持参すればそこに書き込んでくれる。料金は150ドルで結果は24時間~36時間後に出る。LAXでの検査は標準タイプで125ドルということだが、結果はメールで届く電子的証明のみ。

ただし、現地在住の娘が予約から検査場所への送迎、結果の受取までフォローしてくれた。地元の知人がいない方の場合は陰性証明の取得に大変苦労すると思う。

日本帰国後の検疫体制

飛行機が着いてから、唾液採取によるPCR検査だけでなく、居所追跡監視用のスマホアプリのインストールを要請され、アルバイト君達の指導で、位置情報などの設定も確認される。最初にそのことを了解する宣誓書を提出しており、事実上これを拒否することはできない。拒否する場合は政府が指定する宿泊施設での隔離生活が待っている。

アプリの中で一番厄介なのが”MySOS”というアプリ。これを使って、1:位置情報の登録、2:AIビデオ通話での位置確認、3:健康状況報告、4:実際の人からのビデオ通話での位置確認、これらが毎日やってくるし、怪しいと思われたらGoogleMapを使ってこちらの位置を絶えず監視できる。昨年は2週間の自己隔離といっても、ほとんど何もなかったのに比べ、今年の体制は、いくらコロナ水際対策強化とはいえ、ここまでする必要はないのではと思わざるをえない。先日のTVニュースでも、海外在住の方が親の危篤で帰国したものの、国内移動ができず、結局あきらめられて帰られ、親の死に目に会えなかった事例が報道されていた。

要するに現状では、「海外へ行くな」ということ。それでも行くなら「帰国後2週間は軟禁状態を覚悟せよ」というわけ。私達は教室が夏休みであり、家にずっと居ることはさほど難しいことではないけど、仕事をしている現役世代は大変だと思う。


LA(米国)ホームセンター事情

Homedepot

LAに限らず、Homedepotが各地域にあって、そこへ行けば家一軒立てられるような建築資材を購入できる。ただし、人気商品はよく品切れするので、ネット上で在庫確認ができるようになっている。これは便利で、「折角行ったのに目的の商品がなかった。」ということをかなり防ぐことができる。それでも「在庫アリ」でも行ってみたらなかったという今回のようなこともあるようだ。

プロ用道具

日本同様、プロ用道具は、近所のホームセンターでは間に合わないことが多そうだ。同様に家具製作用木工道具もRocklerやWoodcraftなどの専門店でないと手に入らないことが多い。

”インチ”の国

「インチでなく、ミリやセンチを使って切ればよい」と簡単に考えていたけれど、インチサイズの合板を切断する作業等ではやはりインチを使わないと能率や歩留まりが悪くなる。「郷に入っては郷に従え」でいくのがよいかと。


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