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2001年5月3日(木)

◆なんとなく掲示板の方々の召喚に応えてここまでの日記を公開しまう。まあ、「エピローグ」をやるには丁度いい機会だったもので。お蔭様で「女郎ぐも」も即決で売れるし、掲示板も千客万来。おヒマな連休の一服のギャグ・セッション。楽しんで頂けましたでしょうか?
◆後ひたすら部屋の片付けで1日が終る。今日こそはしっかり「主任警部モース」の録画を確認せねば。なにせ、あの傑作「キドリントンから消えた娘」である。前回録り逃した「消えた装身具」のようなダルな後期作とは訳が違うのだ。むうむう。


◆「時計ネズミの謎」Pデッキンソン(評論社)読了
100年の間、時を刻みつづけてきた街の観光資源である大きなカラクリ時計が故障してしまった。修理に呼ばれたのは、製作者の孫である私。そして私はカラクリ人形の中に棲んでいた不思議なネズミたちと出会う。なんと彼等にはテレパシーの能力が備わっていたのだ!身勝手な人々と純朴な中年時計職人と賢明なネズミたちが織り成す長閑な「事件」を淡々と語ったファンタジー。ゆったりとした時の流れに身を委ねて昔懐かしい「絵本」の世界を楽しんでほしい。時計ネズミの誕生の仮説は、納得度高し。それにしてもこの本は高い(2200円)。120頁でこの値段だもんなあ。まるで古書である。それでもディッキンソンが好きな人は是非押えておきたい本であろう。書棚にあると、嵩張るんだけど、でもちょっと嬉しくなる、そんな本である。もしブックオフでみかけたら半額でも躊躇なくゲットだぜ!


2001年5月4日(金)

◆あれこれお買い物。その合間を縫って古本屋行。擬似新刊の古本落ちを一冊拾う。
「われはフランソワ」山之口洋(新潮社:帯・初版)1200円
なぜに擬似新刊かというと、銀河通信を御愛読の方はよくご存知のように、この本、一部に適切でない表記があったとかで2月の発売直後に全冊回収の憂き目に遭っているのである。そして改訂版が先月上がったのはいいのものの全然配本が進んでいないのであ〜る。因みに、旧版と改訂版を見分けるポイントは、銀河通信の掲示板「星間宇宙船」への著者自身の書き込みによれば、背のタイトル下にある星のマークが、旧版は6角の星一つ、改訂版は十字の星が4つついている由である。で、本日のゲット本は勿論!旧版である。この厳しい条件と時間差を掻い潜って古本屋に落ちてきた堕天使に乾杯。いっひっひ。これが古本者の矜持というものなのである。うーむ、ホントに応援する気あるのか、こいつ?
◆その後はリサイクル系を4軒。買ったのは以下。
「くたばれ健康法!」Aグリーン(創元推理文庫)100円
「巨神ゴーグ1・2」塚本裕美子(ソノラマ文庫)各100円
「美少女ゆうかい事件」マスターズ(偕成社)100円
「星から来た少女」ウィンターフェルト(学研)100円
「磯の帝王」醍醐麻沙夫(サンケイNV)50円
d「女刑事ペパー・死のコールサイン」Lトレヴァー(二見書房・サラブクス)50円
「ミルテの精」Cブレンターノ(東洋文化社)50円
「ザントマン」ETAホフマン(東洋文化社)50円
「悪魔の手先」ローガン(学研オカルトNV)50円
「人形の呪い」スパージャー(学研オカルトNV)50円
「地獄への片道切符」スパージャー(学研オカルトNV)50円
「呪われたスーパースター」ローガン(学研オカルトNV)50円
「魔界からきた親友」シーゲル(学研オカルトNV)50円
「懸ける人々」金濱菊太郎(立花書房)100円
「骨肉の家」伊吹駿(立花書房:帯)100円
グリーンは考えてみれば「ボディを見てから驚け」版は持っているが、改題復刊版は所持していなかったのでダブリ買う。まあ、かろうじて帽子男マークもついてるし。立花書房という聞きなれない出版社の聞きなれない著者の本は、元警察官が書いた実話集と長編警察小説。「骨肉の家」には<血の絆が招いた二重殺人事件簿>というアヤしい副題がついており、帯にはなんとTBS系の「ザ・サスペンス」で放映決定とある。ううむ、この帯さえなければ買わなかったものを。学研オカルトNVはまだ結構見かけるが50円なら買いでしょう。東洋文化社の「ドイツのメルヘン」という叢書も初見。ふーん、世の中にはいろんな書物があるもんだ。
◆帰宅後、エアチェックしておいた佐伯日菜子主演の映画「蛇女」を視聴。エコエコアザラクでコンビを組んだ清水監督作品というので、それなりの期待をもって見始めたが、どうも勝手が違う。というのは、あたしゃ佐伯日菜子が最初から蛇女としてにょろにょろ活躍する話だとばかり思っていたのだが、これが、全然逆。彼女はむしろ蛇女に絡まれて悲鳴を上げて逃げまくるヒロイン役なのであった。まあ、最後にちょろっと「すげえぞ、サエキ!」という見せ場も用意されてはいるのだが、それまでが長すぎた。というわけで、実相寺モドキの暗くて一人よがりな映像と聞き取りにくい台詞が延々と続く退屈なホラーでありました。金出して見る映画じゃございません。


◆「ラッキーカード」草上仁(早川JA文庫)読了
時間をかけてポツポツ読んだんで今更感想が書けない。表題作と処女作が印象に残っている程度。処女作のSFっぽい書き込みぶりがなんとも初々しい。話のツボを心得た表題作あたりと比較すると、別人の感がある。SF作家は、SF的な道具立てから離れる事でプロになる、ってことでしょうか?推理作家は、密室から離れる事でプロになる、ってえのはあるかもなあ。


2001年5月5日(土)

◆朝から買い物の下見。ついでに、古本屋を一軒チェック。
「大妖怪」藤原伸爾(文藝春秋:帯)350円
「フリック・ストーリー(ふらんす刑事物語)」Rボルニッシュ(サイマル出版)200円
◆船橋西武のLOFTで小物を買ったついでに安田ママさんの勤め先で新刊チェック。当然のように、一昨日の徹夜の余韻を目の下に引き摺った安田ママさんに遭遇。「あっら〜。毎度ありがとうございます」「また徹夜したんですって?」「ありゃりゃ、ちゃんと読まれてるよお。あ、そうそう、そういえば、溝口さんから、あたし聞いちゃった(はあと)」「げげげ、あ、あのお喋りがあ!」「『これは内緒ですからねえ』っていわれたんだけどさあ」「どこが『内緒』やねん!」「ダイジマンなんか、『一体それ何?』って言ってましたよお」「『この裏切り者め!』って?」と和やかに談笑。ここでは、ミステリ読みとも思えない本ばかり購入。
「プラネテス」幸村誠(講談社モーニングコミック)648円
「魄/末弥純画集2」(朝日ソノラマ)4000円
「ピニュエルの振り子」野尻抱介(ソノラマ文庫:帯)495円
「ふわふわの泉」野尻抱介(ファミ通文庫:帯)640円
◆帰宅して、録画しておいた「エコエコアザラク2000」と「鉄甲機ミカズキ・第三夜」を視聴。エコエコは加藤夏希が黒井ミサ役。「燃えろ、ロボコン!」でアイドルロボット役をやっていた新進女優らしい。なかなか目元が涼しげで、黒井ミサでさえなければ、それなりに楽しめたかもしれない。だが、初代の吉野公佳が、イメクラ並みの薹の経ったミサだとすれば、3代目はさしずめ「学芸会」。やはり「佐伯日菜子の前に黒井ミサなく、佐伯日菜子の後に黒井ミサなし!」と確信した。ストーリーは、か弱いミサが得体の知れない魔女の力を得てしまうまでを、えげつないテレビプロデューサーとの絡みの中で描いたもの。これまでのエコエコが黒い画面造りだったのとはうって変って白くて明るい画面が特長。加藤<ミサ>はとことん頼りなく、ただただニューロイックでお嬢さまな振る舞いに終始するが、ラストになって、決めの台詞「エコエコアザラク」を唱える瞬間は、なかなかドスが利いていてよろしい。一声千両。しかしながら、あまりにも説明不足で、話が一人よがり。思わせぶりな小道具や、超常現象は一切説明されないまま、物語は「魔に祝福された少女」の微笑みの中に消える。うーむ、音楽も新作でこれまでのエコエコファンとしては最後まで乗り切れなかった。ホントにこんな映画作る必要あったのかあ。まあ、加藤夏希のファンがみればよい作品であろう。いずれにしても金払って劇場で見る映画ではない。
「ミカヅキ」の第三夜は、安心してみていられる展開。戦う女社長はいい味出してます。でも第二夜を見ていないので原史奈の存在が全く理解できんわい。なんなんでしょう、あの念動力女子高生?まあ、それを言ったらわけが判らんの固まりのようなお話ではあるのだが。


◆「見張り(ウォッチャー)」草上仁(早川JA文庫)読了
なんといっても表題作の中編が圧巻。あとがきと合わせて読めば感動が更に増す。そうか!この人はトレッキーだったのだ!!それも筋金入りの「初代」のマニアだ!東京生まれの東京育ちなので、関西人に比べて若干遅れて来たマニアの感はあるものの、まずは「我々」の<戦友>と言ってよかろう。おお「長寿と繁栄を」。というわけで、表題作は、アーサーCクラークが宇宙大作戦のために書いた脚本って感じでありました。よろしいのでは。


2001年5月6日(日)

◆朝からちょっと大きな買い物を済ませ、配送を頼んでおいて電気器具の手直しなど。
◆数軒、リサイクル系をチェック。
d「時のロストワールド」Eハミルトン(早川SF文庫)100円
d「フューチャーメン暗殺計画」Eハミルトン(早川SF文庫)100円
「ヴェネツィアで消えた男」Pハイスミス(扶桑社ミステリー文庫)200円
「生者たちのゲーム」Pハイスミス(扶桑社ミステリー文庫)200円
「洞窟の骨」Aエルキンズ(早川ミステリアスプレス文庫)200円
「シミソラ」Rレンデル(角川文庫)200円
「青い血の娘」柴田錬三郎(東方社)300円
「砂丘」澤野久雄(東方社:函)200円
「招かれざる客」源氏鶏太(新潮社)250円
「そろそろ登れカタツムリ」A&Bストロガツキー(群像社)800円
「東京の幽霊」源氏鶏太(文藝春秋)100円
「落ちこぼれ刑事」黒木曜之助(春陽文庫)100円
「ハード・トレード」Aライアンズ(河出文庫)100円
「言霊」中原文夫(角川文庫)100円
「ヴェイスの盲点」野尻抱介(富士見ファンタジア文庫)100円
「アンクスの海賊」野尻抱介(富士見ファンタジア文庫)100円
「サリバン家のお引越し」野尻抱介(富士見ファンタジア文庫)100円
「タリファの子守唄」野尻抱介(富士見ファンタジア文庫)100円
「アフナスの貴石」野尻抱介(富士見ファンタジア文庫)100円
「ベクフットの虜」野尻抱介(富士見ファンタジア文庫)100円
キャプテン・フューチャー、再度スタート?ってこれは前回の16冊から漏れていたところじゃなかったかなあ?安田ママさんに廻しますかね?それとも、そもそも要るのかね?うわっ、「シミソラ」がもう200円ですかあ?ホントに本屋で買うのがアホラシクなるなあ。ハイスミスも当初は出るたびに「これは絶対将来入手困難になる!」と思って新刊で買っていたが、いつの間にか買いそびれているうちに、ほーら、この通りお安くで買えましたわよ。おほほほほ。こういうことやってるから、最新刊はハードカバーになっちゃったのかもなあ。東方社の二冊はどう見てもミステリではないのだが、この辺の風俗小説が状態のよいまま並んでいると発作買いしてしまうのだああ。源氏鶏太の幽霊ものが1日で2冊前進。1冊は文庫落ちしているんだけど、まあいいかあ。野尻抱介まとめ買い。昨日ホームページをチェックして出版社が判ったので、その目で探せば難なく100円ゲット。あと3冊かあ。

◆「ピニュエルの振り子」野尻抱介(ソノラマ文庫)読了
博物学と航海技術の蘊蓄満載のボーイ・ミーツ・ガールSF。お得意(らしい)の科学知識に裏打ちされた箱庭の如き世界観がユニーク。奇矯なるお大尽に、夫々任務に忠実な博物学者・画工・船長といったキャラクターたちの性格付けも巧みで、頭の天辺から尻尾の先まで「素敵」のつまった快作。決して派手さやケレンはないが、じんわりと楽しめる。1頁先を予測させない破格な展開が作者のイマジネーションの豊かさを証明し、それでいて読者をきちんと満たされた思いに導くストーリーテラーぶりが頼もしい。貴重な才人である。啓蒙的でこじんまりまとまっているところから、何故か「学研の『科学』の付録」という印象を受けてしまうのは私の勝手だ。お勧め。


2001年5月7日(月)

◆さすがに連休明けはくそ忙しい。8時前に会社に行ったにもかかわらず、20時前に会社を出る事ができなかった。本日から通勤経路を変えたので、どこか手頃な駅で途中下車探書してやろうと思った目論見はもろくも瓦解。仕事で神保町近辺を往来するが、上司付きにつきチェック不能。なかなかフラストレーションの募る1日であった。
◆きばやしさんに送本。久しぶりに東京中央郵便局からモノを出しましたわい。
◆菅浩江、大矢博子という豪華人妻メンバーからメールを夫々に頂く。おほほほ。

◆「砂漠の薔薇」飛鳥部勝則(カッパNV)読了
鮎哲賞画家、カッパノベルズに降臨。ノベルズ離れした破格の問題作。ごく普通の空疎なる女子高生、奇矯なる女流画家、記憶の闇に翻弄される「刑事」という登場人物たちが「生首」というモチーフの周りをぎくしゃくと踊る探索のロンド。溢れんばかりの衒学趣味が嫌味にならないのは、全体に流れるエキセントリックなエネルギーがそれを上回っているからである。気の利いた台詞回しに突如混じる異物感。本末転倒の綾が事件の構図を艶やかに酸鼻に変転させる。トイレ殺人コレクション的にも満足の行く一編。おそらく全くフェアではないのだが、そんなことはどうでもよくなってしまうオーラを抱いた作品である。奇書の一歩手前の作品。これがノベルズで読めれば満足すべきであろう。


2001年5月8日(火)

◆またしも不本意な残業、というか帰りそびれ。駅ワゴンのみチェック。
d「拷問」Rバーナード(光文社文庫)200円
ううむ、100円縛りのつもりだったのだが、探究を頼まれているので背に腹は換えられない。先日、旧交を温めた、というか今時の古典ミステリの話題で語り倒した友人もここの日記を読んでから探し始めたものの、まだ未入手とか。出版時には彼氏も「ああ、バーナード、墜ちたり!」と思ったそうである。まあ、そうだよなあ、あの表紙にこの題名だもんなあ。誰が見ても通俗だよなあ。
◆みすべすのともさんの「思いつき」で、ちらりと拙サイトの日記について言及頂いている。ありがとうございます。で、御自分が何故、無理をしてまでサイトを運営しているのかという点についてコメントされているが、これが、いかにもともさんらしい理由である。私の場合は、もっと利己的で「自分(くらいのファン)が読んで面白いサイトが欲しかった」である。まあ、内外ミステリを千冊ずつぐらい読んだ人が、<研究>とか<評論>とかいう肩の張ったものではなくて、気楽にミステリの話題で遊べるというのがコンセプト。まあ気分だけは、<毎日が『活字探偵団』>である。ううむ、やはり理想は遠いですのう。


2001年5月9日(水)

◆菅浩江女史から「推理作家協会賞の待機に参加しませんか?どうせ通りっこないので宴会やりましょう」とお誘いを頂く。うーむ、面子を伺うと面識のあるのはかろうじて一人、大森望氏のみ。まあ、しかし、こういう機会はまたとないと思い、人見知りする心に鞭打って参加を決意する。残業で少々出遅れ、現地に着いたのは19:00を回っていた。恐る恐る名乗りをあげようにも、知った顔が一つもない。あっれー?どうなっちゃったの?ところがこれがなんとも嬉しい誤算。「あ、もしかして、受賞されたのでショッカー??」「そのとーり」というわけである。そら、待機場所にいなくて当たり前。その場でいたのは早川の編集さんがお二人。ガイナックスの役員にして菅さんの御主人に愛娘どの、お守りを甲斐甲斐しく勤めるガイナックスの女性、評論家の三村美衣女史とその旦那さんの創元の編集の人、んでもって「永遠の森」や加納朋子作品のカバーアートを担当された菊池画伯(すっごく若い)。全員がギョーカイ人の中で、一人黙々とビールを飲む私。スガ旦那は噂に違わぬ関西芸人爆発で、主賓なき宴会を「どすこい!」ともたせる。「菅家三代女」との日常語りが最高に可笑しい。苦労人である。愛娘殿も、父上にちょっかいを出しつつ愛敬を振りまく。時々、思い出したように海老を食される。全く人見知りしないのには驚く。待つ事1時間半、まずは先乗りで大森望氏到着。ああ、やっと知っている人だよう。ぼく、怖かったよう、と更にビールを飲む私。ここでは「貼雑年譜」を巡る書痴的会話が盛り上がる。なんでもキャンセルが相次いだそうで、昨晩の時点で1冊空きができているというお話。なんと大森氏が「買った!」と宣言。おおおおお、大森パパ、凄いよおお。それはお子様の結婚資金用にセドられたのでショッカー?てなことを言っていると15分後にようやく主賓が塩沢編集長、及び徳間と祥伝社の担当編集者各1名を引き連れ颯爽登場。会場での名場面をリプレイし、乾杯。「いやあ、お会いしたかったわあ」と京都弁のイントネーションが耳に心地よい。早速に持参した「永遠の森」にサインを頂戴する。「<為書き>って何ですか?」と尋ねられたので「<Kashibaさん江>みたいな奴ですよ。」とご説明。「あ、そしたら、それない方が値うちが上がるんですか」「基本的にはそうなんですが」と答えかけると、あちらの方から「相手が偉い人だと、それはそれで値打ちがでるんですよ」と解説。「そうそう、江戸川乱歩先生へ、とか」ちーがーうー。浮かれ調子の私は、菊池画伯にもサインをねだる。「先日、N井さんのオタクにお邪魔した時に、あの原画を拝見しましたよおお。いやあ迫力ですねえ」と擦り寄ると、すかさず菅さんから「そうなんよ。うらやましいわあ」と「なんでわたしのとこにはくれへんの!」と言わんばかりの追求が飛ぶ。おお、おそるべし、スガヒロエ。後は、只管、審査員との絡みのリプレイで、爆笑につぐ爆笑。「寝返った東野圭吾に対しニコヤカに『復讐手帖に付けときます』と言い切った」とか、馳星周に授賞式用の着物をおねだりするくだりが特に秀逸。それでいながら、お嬢さんへの気配りも忘れず、よき母ぶりも発揮しておられたのには感心。祥伝社のHさんからは、今後の「ミステリ作家・スガヒロエ」情報も聞けて、気分はすっかりギョーカイ人。22時の看板まで粘って、最後は大森氏に菅浩江女史とのツーショット写真まで撮って頂き満足満足。いやあ、なにか凄い晩になってしまった。ありがとうございますありがとございます。そして、なにより、
「永遠の森 博物館惑星」日本推理作家協会賞受賞、おめでとうございます!!

◆「月に住む女」Dレームクール(ポケミス)読了
BBC製作の火曜サスペンス劇場、という風情の一編。どこを切っても風俗ミステリ。売れないロックミュージシャンの夫と反抗期の兆しの見える息子を抱え、雑誌の読者相談で糊に口する女性ライターが遭遇した「相談者の死」。女同士の嫉妬と愛憎はやがて「主人公自身の事件」へと連なっていく。社会現象としての女権主張とレズの世界をルポルタージュ風に綴る作者の筆致は、ヒステリーあるいは野次馬根性の両極に偏ることなく冷静で、好感が持てる。果してこの長さ(ポケミスで300頁超)が必要だったのかどうかは疑問だが、それなりに楽しめた。題名は主人公の夫が主人公を評して歌った戯れ歌に基くもの。結構気に入った題名だったのだが、その部分については肩透かし。


2001年5月10日(木)

◆散髪に行った足で新小岩定点観測。実に久しぶり。
「猟犬の牙」GAルース(勁文社)100円
「定本人形佐七捕物帳全集3」横溝正史(講談社:函・帯・月報)400円
ううむ、これが噂の人形佐七全集かあ。全8巻で一巻12、3編の収録なので全くもって「全集」ではないのだが、挿し絵が山藤章二というのを見て俄かに「欲っしー」が募る。月報付きの完本が400円なら買いでしょう。ああ、いっかーん、揃えたくなってきたぞ。それにしても、推理小説の方の全集はよくみかけるけどこちらの全集は殆ど見かけないよなあ。部数が違うんだろうなあ。
d「私だけが知っている第1集」(光文社文庫)100円
「殺人教習所」Lシンガー(早川NV文庫)100円
「さがして、愛のキューピッド」真木じゅん(いちご文庫)100円
「地獄の館」柴田錬三郎(集英社文庫)100円
「Death ofan Englishman」Magdalen Nabb(Fontana/Collins)100円
「The Case of the Velvet」Claws E.S.Gardner(Pocketbook)100円
「Wycliffe and the Guilt Edged Alibi」 W.J.Burley(Corgi)100円
Ellery Queen's Mystery Magazine 1983.4(Davis Pub.) 100円
Ellery Queen's Mystery Magazine 1983.7(Davis Pub.) 100円
Alfred Hitchcock's Mystery Magazine 1983.7(Davis Pub.) 100円
Alfred Hitchcock's Mystery Magazine 1983.9(Davis Pub.) 100円
Mike Shayne Mystery Magazine 1981.9(Renown Pub.) 100円
EQMMやAHMMが100円で転がっていたら訳も判らず買っちゃうよねえ。これって、当時輸入して読んでいたらとんでもない値段だもんなあ。ウィクリフは久しぶりに古本屋で遭遇。いかにも英国の本格刑事シリーズで、映像化もされている筈なのだが、これが一向に日本には紹介されない。とりあえず100円なら買いだ、買い!ペリーメイスンはカバーアート狙い。ああ、いいなあ、こういうバタ臭い美人画って大好きさ。


2001年5月11日(金)

◆小岩定点観測。「かんたんむ」が移設中。本がひっくり返った中を覗かせてもらうがさしたるものはない。5冊100円でダブりばかりを一旦手にするが全てリリース。店内で悩みに悩んで2冊だけ拾う。
d「緑は危険」Cブランド(ポケミス)200円
d「シャーロック・ホームズの事件簿」ACドイル(ポケミス)200円
後は、リサイクル系で3冊。
「悪の紋章」橋本忍(毎日新聞社)100円
「ナイトウイング」MCスミス(早川書房・帯)100円
「死ぬためのエチケット」Sフレムリン(創元推理文庫・帯)100円
オマケで買いそびれていた友人のマンガ本を購入。
「亡國星」海明寺裕(青磁ビブロス:帯)360円
これだけ買って1000円強だもんなあ。いやあ、古本は素敵だ。


◆「殺人者国会へ行く」日影丈吉(ベストブック社)読了
金光産業伊和島コンビナートの公害調査を巡る資民党との癒着を示す秘密文書。それが、衆議院予算委員会の場で労社党代議士・江差が投げつけた「爆弾」であった。だが、その晴れの舞台で江差は毒殺されてしまう。衆人環視の国会で起きた殺人事件という前代未聞の設定で読ませる異色ミステリ。公害やヒッピーという70年代の風俗を作中に取り入れ、密室や変装、アリバイというミステリのお約束も踏まえた作品。父子・名探偵の造形が微笑ましく、殺伐とした犯罪模様の中の一服の清涼剤の感あり。このあたりが日影丈吉の巧さである。さしずめ藤村正太あたりが同じ話を書いたら、さぞかし読後感の悪いものになったであろう。マニアとしては大胆な密室トリックが、笑える作品。いい加減な政党の名称が失笑ものなのだが、これは時代の方が追い越していったよなあ。「太陽党」とか「社民党」とかマジで出てくるんだもんなあ。


2001年5月12日(土)

◆両親が上京するので部屋のお片付け。大荷物の両親と早目に夕飯食って、早目に寝る。
◆それでも、古本を買う。
「クリスティー入門」加藤静男(近代文芸社:帯)100円
85年に出た自費出版本らしい。副題が「日本最初のクリスティー評論」!おいおい、ウインスブルック通信はどうなるのだ?帯に田村隆一の言葉が載っているのだが、内容はクリスティーへの賛であって、この作者や本に対するものではない。勝手にどこかから引っ張ってきたのかなあ?帯の背には一応「田村隆一推賞」とは、あるなあ。ううむ、謎だあ。ざっと見た感じは、生真面目な印象。さしずめ、今の時代であれば「クリスティー」のファン・サイトをこつこつ作りそうな人である。まあ、世の中にはいろんな本があるもので、、
◆茗荷丸さんのところでキリ番ゲット。11111番。翻訳ミステリ系としては快調なアクセス数ではなかろうか?頑張って頂きたいものである。


2001年5月13日(日)

◆朝、15万アクセス達成!更新停止中にも関わらず、「だってポータルに設定してるからしょうがないじゃん」とか「ひょっとしたら更新されているかもしれない」というコアな方から「なまもの夫人の日記をクリックしたら怪しげなところに来ちゃったわ、きゃあー、イヤイヤ!なんだか<変>が伝染りそう。とっとと逃げ出しましょ」という方まで、ありがとうございますありがとうございます。お蔭様で、節目に届いてしまいました。ここまで1年と8ヶ月半。無名の凡人がここまで続けられたのも(更新休んでるけど:汗)、皆さんのお蔭です。本来なら「15万アクセス記念行事」を賑々しく開催したいところなのですが、先だってから申し上げておりますように、特に本日以降、生活が激変いたします。というわけで、もう少し生活が落ち着くまで温かく見守ってやってください。
◆では、結婚してきます(カミングアウト:笑)


2001年5月14日(月)

◆昼前にチェックアウト。そのまま新居の近くの区役所に入籍の手続き。まあ、この類いの常として思いっきり待たされる。ようやく届けを終えての道すがら、相方がなにやらにやにやしている。何かなと思いきや、途中にある古本屋で、私がチェックを入れるか否かをチェックしたかった模様。ご期待に応えて、10秒でチェック。サンリオ文庫「ヴォネガット、大いに語る」が100均にあったが、あっさりスルー。もう、ダブリは要らないのだ。というか、置く場所がないのであーる。


2001年5月15日(火)

◆大阪日帰り出張。従来ならば、時間を浮かせて精々キタの古本屋の20軒もチェックをいれるところ、通りすがりの一軒のみチェックして、とっとと帰京。講談社の日本推理小説全集がバラで1冊500円。まあ、今となってはどうでもよい全集の代表になってしまった。勿論パス。出先で拾う本じゃないやね。往路復路とも車中で爆睡。もう無理矢理、読了本を作らなくてもいいのだああ。
◆昨日から、お祝辞ラッシュ。パソコンを移設して、ようやく皆さんのお言葉をチェック。ありがとうございますありがとうございます。しかし、極めつけは、なんといってもよしださんでしたね。いやあ、参った参った。