小池真理子 Mariko Koike |
1952年10月28日東京生まれ。成蹊大学文学部英米文学科卒業。
出版社勤務後、フリーライターを経て、1978年にエッセイ「知的悪女のすすめ」を発表。
これがベストセラーになり、一躍人気エッセイストとして、次々にエッセイ集を上梓。
「悪女評論家」として、テレビ・雑誌などでも活躍していたが、好きで読んでいたミステリーへの思いが募り、85年、ショート・ストーリー集「第三水曜日の情事」でミステリー作家へ転身。
同年、長編サスペンス「あなたから逃れられない」を書き下ろして本格的な作家活動に入る。
以後、「彼女が愛した男」(86)、「蠍のいる森」(87)と順調に作品を発表。
ごく普通の人間が罪を犯す心理を克明に追い、そこに生まれるサスペンスを主眼とする作風がフランス・ミステリー的であると評価される。
この人間心理への興味が特に強調された形で現れるのが、「仮面のマドンナ」(87)を始め、「間違われた女」(88)、「ナルキッソスの鏡」(93)など早い時期から発表していた一連のサイコ・サスペンスであり、このジャンルにおける第一人者と言える。
あまり特殊な舞台設定は使わず、あくまで日常的なディテールの積み重ねの中に事件を滑り込ませることで、身近なところに転がっている悪意や恐怖を生々しく感じさせる手法は、ミステリーやサスペンスのみならず、ホラーや幻想小説においても発揮される。
特に88年の「墓地を見おろす家」は都会のマンションを舞台に、幽霊屋敷テーマを現代的に展開して日本のモダンホラー史上に残る記念碑作品となった。
1989年の「プワゾンの匂う女」も日本推理作家協会賞第42回の長篇部門で候補作品に挙がったが、「妻の女友達」で日本推理作家協会賞の第42回短篇部門に受賞が決まった。
1996年には、「恋」で第114回直木賞を受賞。
それ以来、ミステリから遠のき、男女の恋を中心とした文学作品要素の濃い作品を書き続けている。
書名 | 夜ごとの闇の奥底で (新潮) |
内容 | 誤って恋人の脚本家を射殺してしまった妹を庇うため、凶器の拳銃を捨てようと山梨方面に車を走らせていたフリーライター、世良祐介。ところが車を木にぶつけ立ち往生してしまった。偶然通りかかった亜美という若い女に助けられ、彼女のペンションに連れて行かれる…雪の降りしきる山奥のペンション、蠱惑的な女、サイコパセティックなその父親。やがて狂気が全てを…。 解説:吉野 仁 |
感想 | 未読 |
書名 | 柩の中の猫 (新潮) |
内容 | 東京郊外に暮らす美術大学の講師、川久保悟郎。その娘でララという名の猫にだけ心を開く孤独な少女、桃子。そして、家庭教師として川久保家にやってきた画家志望の雅代。微妙な緊張を抱きながらもバランスのとれた三人の生活はそれなりに平穏だった。そう、あの日、あの女が現れるまでは…丹念に描かれた心の襞と悲劇的なツイスト、隠れた名作待望の文庫化。 解説:皆川博子 |
感想 | 未読 |
書名 | 水無月の墓 (新潮) |
内容 | 偶然通りかかった、阿久津との想い出の場所。そこで私たちは出会い、恋に落ちたのだ−。 18年前に事故死した男との愛の日々を記憶に蘇らせたその日の晩、突然かかってきた電話の主は…。不思議で怖く、どこか懐かしい「異界」への扉を開く幻想小説8編。 夢と現実、現在と過去、そして生と死があやなす妖しくも美しい世界へようこそ。 収録:足/ぼんやり/神かくし/夜顔/流山寺/深雪/私の居る場所/水無月の墓 解説:東 雅夫 |
感想 | |
書名 | 欲 望 (新潮) |
内容 | 三島由紀夫邸を寸分違わず模倣した変奇な館に、運命を手繰り寄せられた男女。図書館司書の青田類子は、妻子ある男との肉欲だけの関係に溺れながら、かつての同級生である美しい青年・正巳に強く惹かれてゆく。 しかし、二人が肉体の悦びを分かち合うことは決してなかった。正巳は性的不能者だったのだ−。切なくも凄絶な人々の性、愛、そして死。小池文学が到達した究極の恋愛小説。 解説:池上冬樹 |
感想 | 未読 |
書名 | 密 月(新潮) |
内容 | 天才洋画家、辻堂環が死んだ。天衣無縫の彼の生涯は、無邪気に、奔放に、女たちの心と身体を求めることに費やされた。恭子、弥生、杳子、志保子、千里、美和子…かつては環との蜜月に溺れた、さまざまな境遇の女たち。訃報を聞いた彼女たちは、それぞれの記憶の襞に刻まれた、狂おしいまでの恋心を甦らせるのだった―。無垢な欲望に身をゆだねた、六人の女の六つの恋のかたち。 |
感想 | 未読 |
書名 | 第三水曜日の情事(角川) |
内容 | ジャネットは広告代理店に勤めるOL。女友達の何気ない言葉から、社長殺害の完全犯罪を思いつく。「第三水曜日」なら成功間違いなし。これで恋も仕事も思いのまま、と思いきや、完璧だったはずのアリバイが…。 大都会を舞台に、摩天楼の迷路をさまよう男と女が抱く恋、嫉妬、復讐心、そしてきらめく殺意! ありきたりな毎日に飽きたときに打ってつけのとびきり小粋でスパイスの効いた、ショート・ミステリー20編。 収録:第三水曜日の情事/マイアミの優雅な午後/ヌーヌーのクリスマス/覚えのない殺人/訪ねてきた女/無邪気なものまね/ボン・ボワイヤージュ/目撃者の三つの目/十三人目の被害者/彼女を愛した俺と犬/幸せのサウンド・オブ・サイレンス/女の約束/不運な忘れ物/やさしく呪って…/計画通りの埋葬/几帳面な性格/待ちわびた招待/気にくわない奴/知らなかった偶然/死体のそばの犬 解説:阿刀田高 |
感想 | |
書名 | 彼女が愛した男(角川) |
内容 | 平凡な毎日を送っていた25歳の美穂は、社長令嬢の令子に誘われて軽井沢の山荘へと遊びに出かけた。同日、尾木と犬山という二人の青年が、その山荘近くの別荘に泥棒に入る。留守宅を狙ったはずが運悪く人が残っていたため、彼等は殺人を犯した上、山荘へ逃げ込んでくる。 人質となった美穂と令子、管理人の老夫婦は、恐怖におののいたまま、夜を明かす。 突然の異常事態の中で六人が迎えた思いがけない結末は!? 息をもつかせぬ迫真のタッチで男女の愛憎を描いた、傑作サスペンス長編。 解説:なし |
感想 | |
書名 | 仮面のマドンナ(角川) |
内容 | 東京で気ままな独り暮らしを楽しんでいた市原寿々子は、両親から嫌な見合い話を持ちかけられ、一計を案ずる。破談にするために自らの素行調査を興信所に依頼したのだ。が、興信所の尾行初日、恋人と遊びに行ったディスコで、寿々子は大きな爆発事故に遭い、生死の境をさまよう重傷を受けてしまう。目覚めたとき、顔に大火傷を負った寿々子は、自分が玲奈という全くの他人と間違えられていることを知るが…!? 人間の極限の心理と日常の奥底に潜む狂気をクロスさせて見事に描ききった迫真の長篇サスペンス。 解説:なし |
感想 | 未読 |
書名 | 墓地を見おろす家(角川ホラー) |
内容 | 新築・格安、都心に位置するという抜群の条件の瀟洒なマンションに移り住んだ哲平一家。 問題は何一つないはずだった。ただ一つ、そこが広大な墓地に囲まれていたことを除けば…。 やがて、次々と不吉な出来事に襲われ始めた一家がついに迎えた、最悪の事態とは…!? 衝撃と戦慄の名作モダン・ホラーの復刊。 解説:三橋 暁 |
感想 | 未読 |
書名 | 怪しい隣人(集英社) |
内容 | 冴えない中年男の、親友の未亡人に寄せる仄かな恋心がとんでもない結末を生む「妻と未亡人」。夫の上司の娘を預かることになった主婦が、知りたくもない事実を知らされる「本当のこと」。 思いがけない事件をきっかけに妻と愛人の間で孤立してゆく男を描く「隣の他人」他、ありふれた人々の、少し歪んだ思惑が交錯する時、日常にぽっかりと開く恐怖の落とし穴。 心の闇を暴くサスペンス6編。 収録:妻と未亡人/家鳴り/終の道づれ/寺田家の花嫁/本当のこと/隣の他人 解説:池上冬樹 |
感想 | |
書名 | あなたから逃れられない(集英社) |
内容 | 若い豹のように美しい恭一に魅かれていく人妻の比奈子。画廊経営者の夫を欺いて二人の逢瀬を楽しんでいた別荘に不意に訪れてきた少女。そして彼女の突然の死が謎めいた事件を呼び起こす。 不倫の愛に溺れた比奈子を追いつめる脅迫者。また新たな殺人事件が…。緊張した男と女の愛を描くラブサスペンス書き下ろし。 解説:森 瑤子 |
感想 | |
書名 | 双面の天使(集英社) |
内容 | 絵のように美しい兄妹、潤と茜一。幼いふたりの胸底に芽生えた“新しいママ”和歌子への小さな嫌悪が恐ろしい惨劇を招く表題作。 牝の三毛猫と濃密に暮らす独身中年男の身近で起こる謎の連続完全殺人を描く「共犯関係」。 都市の孤独と人の心の不可解さが、思いがけない殺意と狂気を呼び覚ます。サイコ・スリラー4編。オリジナル文庫。 収録:共犯関係/眼/薔薇の木の下/双面の天使 解説:山前 譲 |
感想 | |
書名 | 妻の女友達(集英社) |
内容 | 市役所の戸籍係をしている夫と美人ではないが清楚で控えめな妻。平和で波風の立たない人生をこよなく愛する夫婦の前に、突然現れた妻の学生時代の女友達。女流評論家として活躍するスキャンダラスな女の登場が平穏な家庭をいつの間にか破滅的状況に追い込んでいく…。 日本推理作家協会賞第42回短篇部門受賞の表題作をはじめ、ありふれた日常に潜む愛憎が殺意を纏ってあなたの背後に忍び寄る恐怖の瞬間を描く。傑作サスペンス6編。 収録:菩薩のような女/転落/男喰いの女/妻の女友達/ 間違った死に場所/セ・フィニ−終幕 解説:権田萬治 |
感想 | |
書名 | 倒錯の庭(集英社) |
内容 | 電灯を消した仄暗い部屋の中で、私は今、竹彦と一緒にキノコを食べている。ヌメリイグチという名の、黄色い湿ったキノコだ。恋という病に憑かれた男と溺れゆく女の、頽廃と官能に満ちた恐怖世界を描く表題作の他、人の心に巣くう危うく妖しい欲望に取材した3つの中編を収録。 精緻な筆致で描き出す人間心理の襞。サイコ・サスペンス集「恐怖に関する4つの短篇」の文庫化。 収録:倒錯の庭/罪は罪を呼ぶ/約束/暗闇に誰かがいる 解説:大森 望 |
感想 | |
書名 | 危険な食卓(集英社) |
内容 | 健康至上主義の妻と美食家の夫の晩餐は、殺意が隠し味の特別料理。(「危険な食卓」) がさつな嫁に耐える姑の、穏やかな顔の下にあるもう一つの顔。(「天使の棲む家」) 妻と夫、姑と嫁、同窓生など、ごく普通の人々の、ありふれた日常に芽生える小さな悪意、裏切りの予感、殺意の兆し。 人間の心理を、恐怖というスパイスを利かせて鮮やかに料理した極上のメニュー8編。 収録:囚われて/同窓の女/路地裏の家/姥捨ての街/天使の棲む家 /花火/鍵老人/危険な食卓 解説:篠田節子 |
感想 | |
書名 | 蠍のいる森(集英社) |
内容 | 美智代は人間嫌いの図書館司書。英国人の夫と離婚して帰国した女流翻訳家、真樹子と知り合って初めて心の交流を持った。二人が共有する静かな日常に、ある日、奔放な人生を送る修平が入り込んできた。 三者三様に大都会で生きる男女のそれぞれの愛が進行するが、修平が資産家の老未亡人の財産を狙ったことから急展開し、恐怖の結末を迎えるラブ・サスペンス。 解説:関口苑生 |
感想 | |
書名 | 無伴奏(集英社) |
内容 | 学園紛争、デモ、フォーク反戦集会。1960年代、杜の都・仙台。 荘厳なバロック音楽の流れる喫茶店で出会い、恋に落ちた野間響子・17歳と堂本渉・21歳。 多感で不良っぽい女子高生と、男からも女からも愛されるような不思議な雰囲気を持った大学生の危険で美しい恋。激しい恋をひっそりと見守る渉の特別な友人、関祐之介。 三人の微妙な関係が引き起こす忌まわしい事件はやがて20年後の愛も引き裂いていく。異色長篇。 解説:佐々木譲 |
感想 | 未読 |
書名 | ナルキッソスの鏡(集英社) |
内容 | 女装倒錯、その美貌とあいまった孤高のナルシズムに生きる作家志望の青年。そして殺戮を繰り返してまでも子供たちを守ろうとする過剰な家族愛に生きる異形の大女。 高原の避暑地を舞台に、それぞれの人生が交錯する時悲劇のドラマが始まる−。 愛と苦しみに囚われた人間の2つのストーリーがモザイク模様のように絡み、展開する衝撃のサイコ・サスペンス。 解説:香山二三郎 |
感想 | |
書名 | 死者はまどろむ(集英社) |
内容 | 美しい自然と信仰心厚い村人たち−「夢見村」に魅了された間宮亜希子は一家でひと夏を過ごしにやってきた。小説家の夫はスランプを脱し、義母は優しくなった。ここは幸福をもたらす魔法の土地だった。 偶然一家が異様な葬列と共同墓地を見た時から何かが狂い始める。 ざわめく木立の隙間に、煌めく光の中に死者の影が忍び寄る。若い家族を恐怖のどん底に突き落とす怪異の連続。長篇モダンホラー。 解説:坂東眞砂子 |
感想 | 未読 |
書名 | 律子慕情(集英社) |
内容 | 11歳の律子に優しかった叔父、中学時代の不良少年に寄せた幼い思い、妹の家庭教師に恋した高校時代、恋人の兄に心動かされた20歳の律子…。少女から女性に移りゆく季節に、律子とかかわり、世を去った人たち。死者と感応するちからをもつ少女は、彼らが残していった愛と想いを心に刻み、健やかに成長してゆく。昭和という時代を背景に、著者の分身ともいうべき主人公律子の魂の軌跡を描く連作集。 |
感想 | 未読 |
書名 | 記憶の隠れ家(講談社) |
内容 | あなたは覚えているでしょうか。激しい愛の想い出も、暗く静かな憎しみの過去も、すべてを絡めとり封印してしまったあの「家」のことを…。 記憶の深みに隠されていた悲劇の真相が、いま明らかに。心を震わせる甘やかな痛み、眩暈を誘うストーリーの螺旋。心理サスペンスの名手が放つ、連作短編集。 収録:刺繍の家/獣の家/封印の家/花ざかりの家/緋色の家/野ざらしの家 解説:結城信孝 |
感想 | |
書名 | 美 神 ミューズ(講談社) |
内容 | 阿佐子は、背中に薄いピンク色の羽根を隠し持っているような子供だった。少女から大人へ。儚いほど完璧な美、存在自体が放つ官能の気配、そのすべてが周りの人々を狂わせる。 男たちは、蜂蜜色にきらめく肌に惑い、阿佐子の表現する愛情は何であれ、彼らの猜疑心を刺激した。あまりにも美しき破滅の愛の物語。 解説:皆川博子 |
感想 | 未読 |
書名 | 唐沢家の四本の百合(中公) |
内容 | 雪の降りしきる唐沢家の別荘につどう、仲の良い三人の嫁と、足の不自由な娘。そこに舞い込んだ一通の速達―「俺は妹に代わり、おまえを痛めつけてやることに決めた」平穏な日々のぬくもりの中で暮らす四人の女達は、恐怖と疑惑の穴に突き落とされた。洒落者の義父に、あるいは夫に、何が起こったのか―。幸福が綻び、やがて崩壊へと向かう、長篇心理サスペンス。 |
感想 | |
書名 | 贅 肉(中公) |
内容 | 美貌と知性をそなえた姉は、失恋をきっかけに異常な食欲をもちはじめる―やがて一人では生きていけないほど醜く太った姉に妹が抱くのは憐憫?殺意!?(表題作)。ストーカーに変貌した気弱な若者が起す悲劇(「一人芝居」)、偏屈な二人の老女の同居生活が片方の死でも変化しないミステリアスな心理劇(「どうにかなる」)、ほかサスペンスとアブノーマルな人間心理を描き、心の襞が震える傑作短編集。 |
感想 | |
書名 | 見えない情事(中公) |
内容 | けだるい夏の午後がたゆたう海辺のリゾート・ホテルで出会った2組の男女。純平と夕起子の、閉鎖的だが静穏な生活に、資産家とその若い後妻が異物のように侵入してきたのだ。煩しがっていた夫が次第に変化していくのをみて、夕起子の胸にふと不安がきざす。女の妄想か、男の裏切りか、4人の危うい均衡が崩れたとき意外な事件が…。表題作ほか、サスペンスとホラーの傑作6篇を収録。 |
感想 | |
書名 | やさしい夜の殺意(中公) |
内容 | 久美は親友の麗子に伴われて十三年ぶりに兄に再会した。美しくもの静かな妻、郊外の小さいながらも瀟洒な家―。落ちついて幸福そうな兄の家庭に、久美も自然に溶けこんでいった。しかしある晩麗子が謎の死を遂げた時から、この家にかすかに疑惑と死の気配が漂うことに気づいた―。日常生活にひそむ殺意の意外な結末を描く、サスペンス・ミステリー五篇。 |
感想 | |
書名 | 彼方の悪魔(中公) |
内容 | 孤独な留学生がペットの死骸とともに持ち帰った恐るべきペスト菌―。人気女性キャスターに歪んだ愛情を抱く男が実行した異様な誘拐―。肉体を蝕む病いと精神を蝕む病いが平穏な街角で交錯するとき、恐怖と戦慄の二重奏がかなでられる。都会派サスペンスの傑作長篇。 |
感想 | 未読 |
書名 | 殺意の爪(光文社) |
内容 | 怒鳴り合う声、立ち去る男、長き続く女の悲鳴。―同じマンションで愛人を待つ木部比呂子はそのとき不審な思いにかられた。翌日、その部屋から布施夏美の死体が発見され、夏美の恋人が逮捕された。「彼はシロだ」真実を知る比呂子はしかし、不倫の恋の発覚を恐れて口を噤んだ。秘密に怯びえる彼女の前にあらわれた男。赤いマニキュアの謎。日常の中にある恐怖。 |
感想 | |
書名 | うわさ(光文社) |
内容 | “あの人は人殺し”そんな“うわさ”が立ったから、私はヘルパーを辞めざるをえなかった。あのとき、おばあちゃんは、もう死んでいたのよ。仕方がないから、いまは静かにしてスーパーでパートやってる。私の楽しみはただひとつ。勝手知った元の雇い主の家に忍び込んで…。誰のなかにもありそうな心の歪み。日常生活にある静かな恐怖。ホラーミステリー傑作集。 |
感想 | |
書名 | プワゾンの匂う女(徳間) |
内容 | 毒という名の香水、その匂いが漂うとき、男が死ぬ。小泉哲夫は、銀座のクラブ“アビシニアン”に社用で通ううち、新人ホステスのグレに魅かれていった。プワゾンを愛用していること以外、グレの素性は謎。ある夜、二人は山中湖にドライブに出かけたが、翌朝、多量の睡眠薬を服用した小泉の溺死体が発見された。グレの行方は…?戦慄の傑作サスペンス小説。 日本推理作家協会賞第42回長篇部門候補作品 |
感想 | |
書名 | キスより優しい殺人(徳間) |
内容 | 父の経営するバードショップにやって来た赤い口紅の女は、僕の五官を痙攣させる魔力を持っていた。翌日、カナリヤを屋敷に届けた時、柏木園子というその美貌の人妻は、「カナリヤの鳥かごがベランダに出ている時に来て」と、僕を誘惑した。僕はそれから毎日屋敷の前をうろつき、園子との濃密なひとときに夢中になる。だが彼女の目的は他にあった…(表題作)。直木賞作家が綴る、日常の恐怖十五篇。 |
感想 | |
書名 | 追いつめられて(祥伝社) |
内容 | 優美には他人に言えない秘密の愉しみがあった。「万引」である。いつもなら安物のイヤリングやネックレスを狙うのだが、その日は市価120万円もの燦然と輝くダイヤの指輪だった。いつにない極度の緊張と恐怖を全身に感じながら、どうにか成功させた優美だったが、本当の恐怖はそのあとから始まった…。(「追いめられて」より)。見えない恐怖をスリリングに描く傑作サスペンス集。 |
感想 | |
書名 | 間違われた女(祥伝社) |
内容 | 正気か、それとも…。男からの一通の手紙が身も凍る事件の発端だった。書下ろし、長編推理小説。 |
感想 | |
書名 | 会いたかった人(祥伝社) |
内容 | 「いやだ。わからない?そんなに私、変わった?」良美はそう聞きながら、走り寄って来た。少夜子はやっとの思いで笑顔を作った。これがあの、魅力的だった結城良美であるとはとても信じられなかった。花形心理学者・諸井小夜子は、中学時代の無二の親友と25年ぶりに再会した。が、喜びも束の間、直後から恐怖に悩まされ始めた…。 |
感想 | |
書名 | 蔵の中(祥伝社) |
内容 | 会えば会うほど苦しくなり、切なさが増して、別れがたくなる。交通事故で半身不随になった夫の世話をする毎日。唯一、心を支えてくれるのがあの人、夫の親友であり、事故の加害者でもある新吾だった。これは宿命的な恋、だが人は欲求不満の人妻と嗤うだろう―秘めた恋の果てに罪を犯した女の、狂おしい心情を活写した、著者五年ぶりの瞠目すべき心理サスペンス。 |
感想 | |
書名 | 恐怖配達人(双葉) |
内容 | 男は貧しいから頑張った。努力の甲斐あって今やBMWの新車から超豪華マンションまで自分のものだし、大企業の社長令嬢とも婚約している。幸福の絶頂にいた男だがある夜六本木で育ちの良さそうな娘を拾ったことから、運命の歯車が少しずつ狂い始めた…サスペンスの名手が日常生活に潜む恐怖を巧みに紡ぎ出した会心作「梁のある部屋」他5篇収録。 |
感想 | |
書名 | 闇のカルテット(双葉) |
内容 | 男を撥ね殺してしまった芽衣子の頭に悪魔の様な計画が過る。死者を甦えらせればいい。身代りをたてればいい。芽衣子が目をつけたのは記憶喪失の若いルンペンだった。死んだ男にはまだ見ぬ実母がフランスに居る。そこに身代り男が無事訪れることさえ出来れば贖罪と完全犯罪が一挙に成立する。かくて計画は着々と進む、行手に待つは成功か破滅か? |
感想 | 未読 |
書名 | 懐かしい骨(双葉) |
内容 | 昔住み馴れた家の整地跡から白骨死体が掘り出された。20数年前のものらしい。すでに父母はこの世を去り、関係者といえば真吾と早紀子の兄妹だけである。最初は狐につままれる思いの二人だったが、記憶の底からおぞましい事件をそれぞれ思い出す。とすればこの骨は過去の犯罪を告発すべく現われたのか。言い知れぬ恐怖が兄妹を追いつめて行く。 |
感想 | 未読 |
書名 | 死に向かうアダージョ(双葉) |
内容 | 氷の弦が奏でる死の旋律。アルビノーニを聴きながら浸る小池真理子の世界。 |
感想 | 未読 |
書名 | 恋 (ハヤカワ) |
内容 | 連合赤軍が浅間山荘事件を起こし、日本国中を震撼させた1972年冬。当時学生だった矢野布美子は、大学助教授の片瀬信太郎と妻の雛子の優雅で奔放な魅力に心奪われ、彼ら二人との倒錯した恋にのめりこんでいた。だが幸福な三角関係も崩壊する時が訪れ、嫉妬と激情の果てに恐るべき事件が!?香りたつ官能、美しき異端、乾いた虚無感。比類なき美と官能に彩られた小池文学の最高峰!ジャンルを越えて絶賛された直木賞受賞作。 直木賞第114回受賞 |
感想 |
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