のんき熊のひとりごと その2

やっぱり写真はやめられない!  ~のんき熊の写真の楽しみ方~  

 

 のんき熊の写真をご覧頂いて、すでにいくつかの「特徴」に気づかれていると思います。なぜ、のんき熊はのんきにも、こんな写真を撮り続けているのか??その理由をご紹介する事で、写真の持つ面白さ、奥の深さ(はたまた、こんな事やってていいのかお前!?)などなど、感じていただけたらと思います。
(1)なぜ、白黒写真?しかも…
 このホームページに掲載した写真は、特記されているもの以外、白黒フィルムで撮影し、現像、焼き付け(引伸ばし)まで私自身で仕上げたものです。

 私が写真を始めたのは中学生の頃ですが、本格的にやるようになったのは、高校時代に友人から写真部に勧誘され、部室=暗室に引っ張り込まれてからです。
 写真部なので、状態こそひどかったですが、ひと通り現像する機器は揃っていました。しかし当時は指導者もおらず、必ずしも白黒、あるいは暗室作業にこだわる必要はありませんでした。

 実はその頃、絶望的に小遣いが少なかった私は、写真を撮りたいがために、当時売られていた35ミリ36枚撮りフィルムの中で最も安かった「コニパンSSイージーローディング」(確か210円だった)というフィルムを買い、使用済のパトローネに詰め替えて、写真を撮っていました。それとは別に印画紙を揃えるお金は必要でしたが、現像に使う薬品は部費で買っていましたので、カラー写真を同時プリントで店に出すのに比べ、かなり安くできたと思います(今は恐らく…自分でやるほうがコストはかかるのではないでしょうか)。

 つまり、私が白黒写真、しかも自家現像に最初にはまった理由は、金がなかった、それだけだったのです。

 しかし、そんな不純な動機で始めた白黒写真、しかも自家現像・引伸ばしが、気がつけば20年以上も続いてしまいました。その理由を考えてみると…

①手作りの面白さ、トータルで写真を楽しむ
 現在ならば、写真を撮る事以外の作業は、すべて人任せにするほうが、時間、経費の節約になります。プロの写真家だって、自家現像をしている人は、むしろ稀です。しかし、真っ暗な部屋にオレンジ色の灯りが点る中、薬品に浸した印画紙から画像が少しずつ浮かび上がってくるのを見ていると、自分で写真を作っているのだという充実感が沸いてきます。それに、すべて自分でやるという事は、結果まで撮影者本人が全責任を持つわけです。その、いい意味での緊張感が、自身の感性も磨いていくのではないかと思うのです。

 写真を撮るという行為は、写真の面白さの半分しか体験していない。写真の面白さのもう半分は、暗室作業にある…40年以上前に書かれた暗室入門書の言葉は、21世紀に入った現在、むしろ新鮮な響きをもって聞こえてきます。
 引伸機。2台並んでいます。室内を暗くし、安全光(印画紙が感光しない光)の下で作業します。機械の構造は、丁度スライド映写機を縦にして、机の上に投光するようなものです。これには写っていませんが、薬品を入れたバットが横に並びます。
 ちなみに左側の引伸機は、ヤフーのオークションで入手しました。

②鉄道を白黒で撮る意味
 白黒写真自体は、現在リバイバルしてきていて、20歳前後の若い世代の人たちが、自分たちの感覚で楽しみながら撮っています。とても素晴らしい事だと思います。
 では、鉄道を白黒で撮る人は…これは非常に少ないと思います。

 蒸気機関車(SL)を別にして、現代の鉄道車両は、とてもカラフルな色を持っています。また、背景となる風景も、素晴らしい色に包まれています。この色彩の妙を作品に反映するのが、鉄道写真の素直な表現方法であるといえます。実際、白黒で鉄道を撮る事は殆ど無意味、とまで言い切るプロの方もいらっしゃいます。

 この見方、私は素直に正しいと思います。その上で、少しニヤッと笑って、「だから白黒で撮るんですよ♪」と小声で言う。要はへそ曲がりなわけです。
 ただ、理屈をつけるとすれば、すべてを光のコントラストに置き換え、敢えて色彩を「殺す」事によって見えてくるものはないだろうか。過去、現在そして未来に続いている時間軸が、白黒という、本来地球上には存在し得ない景色の中から浮かび上がってくるのではないかという期待があります。

 恐らくこれからも、「なぜ白黒?」という疑問は、常につきまとってくると思います。それに対する回答を見出すために、これからも白黒で撮り続けていく事になりそうです。

 ちなみに…私、今はカラーもちゃんと撮っています。2対1くらいでカラーのほうが、実は多かったりするのです…

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