Falla:バレエ「恋は魔術師」 M.ロザンタール/パリ国立歌劇場o. M.P.D.プリュイエ(Ms) - Stereo |
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Ades 13.283-2 ![]() |
![]() ![]() FallaはRavel、Offenbachを別とすればロザンタールの特質に最も適した音楽だと思います。未亡人カンデーラス役のメゾは田舎風おばさんといった感じですが、グランド・オペラのヒロインではないのですから、かえってこの方が似つかわしいのではないでしょうか。パリ滞在中に作曲されたことを考えると、スペインのお国ものよりも、パリのオーケストラが本意を伝えているかもしれません。 カップリングの自作「オッフェンバッキアーナ」は最近出たNaxos盤より遙かに雰囲気があります。 |
+Debussy: 舞曲/サラバンド (Ravel編) +Rosenthal: オッフェンバッキアーナ |
Ravel:弦楽四重奏曲ヘ長調 パレナンSQ 69 (EMI) Stereo |
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仏EMI 2C 181-14128/9 (LP) |
![]() 私は、このカルテットを聴くとなぜかブルーストのあの長い小説の風景を思い出します(本当は過去に最初の2章くらいで挫折したのだけれど)。どこがどうということではないけれど、何かを主張するのではなく、ただ描くことだけが人を感動させることもある・・・。後年のラ・ヴァルスやボレロのように、明晰で厳格でエスプリを混ぜ込まないと気が済まないくらい職人的であったRavelにとっては、パヴァーヌと同じくらい、この曲そのものが記憶の産物となっていたように思います。 ![]() この曲のフランス的な香しさと薄いヴェールをかけたような色彩感を具体的に音にしているのはパレナンSQの演奏だと思います。世評に高いラサールSQ、アルバン・ベルクSQあたりは、単純に4本の弦楽器の音楽としては素晴らしいかもしれませんが、この曲を聴くためなら(少なくとも私にとっては)あまり有難味がないものです。イタリアSQもちょっと・・・。上記のガリミアSQの再録音盤は、線の動きをかなり鮮明に見せてくれる、という点で中間位置にあるようです。ただし、フランス的色彩感を表現するには1stヴァイオリンのガリミアの技巧はちょっと衰えたように思えます。 ところで、私はしばらくの間、パレナンSQのこの独特の雰囲気は演奏の他に録音の仕方のせいもあってのことだろうと考えていたのですけれど、ほとんど同じ空気感を持った演奏があったので正直なところびっくりしました。まだLPの時代でしたけれどDGへのメロスSQの録音(DG 2531 203 LP)がそれ。CD化された盤を入手して改めて聴きましたが、これも本当に素晴らしい雰囲気の演奏。 |
![]() メロスSQ(CD) |
Bach:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調BWV.1004/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調BWV.1005 L.セント・ジョン(vn) 96.2 The Scoring Stage at Skywalker Sound, Marin County HDCD Stereo |
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Well Tempered WTP 5180 ![]() |
![]() ![]() ![]() さて、このあわせて6曲になる曲集の演奏は、ディスクで聴ける限り様々な名盤があります。エネスコ、ハイフェッツ、シゲティ、シェリング、ミルシテイン、クレーメル等々。ここにあげた以外についてもたくさんの名演奏があるでしょう。私は特別精神性なるものを求めようとは思っていませんが、過去の名演奏からはそう呼んでしまった方が解りやすい、或いは安心できるようなある種の緊張感を感じるのは確かでしょう。でも、このたいそう聖なる名前を持ったヴァイオリニストは、今や演奏家より聞き手の方により強く染み込んでしまっているBachの精神性みたいなものから完全に離れてしまっているように思います。 この演奏を聴いて初めに感じたのは、Bachに対峙するヴァイオリニストではなく、作品を演奏している彼女、彼女のヴァイオリンの音そのもの、ということでした。歌うのに長けたグリュミオーやアーヨだってまずBachが聞こえてきます。個人的な感想ですけれども私は今までBachがこれほど前面に出てこない演奏は聴いたことがない気がします。 けれど私は否定的では決してありません。むしろ、非常に優れた演奏だと思います。技術的には何の破綻もないし、何より音楽の歌わせ方、恐ろしく自由でありながら、全体のフォルムのバランスがとれていることは特筆できましょう。 私は最近の技術バリバリの若いヴァイオリニストでこの曲を聴いていないのではっきりとは言えませんけれど、かつてはヴァイオリンの旧約聖書みたいに言われて、日本流に言えば「覚悟を決めてかかる」と言ったような聴き方は、演奏家側からいうと少なくとも四半世紀くらいは遅れている気がします。それは良し悪しとは別次元の話ですが。 録音について一言。HDCDというレコーディング技術がどのくらい効いているのか解りませんが、このCDは大変音がよい。 |
![]() 「ジプシー」 Well Tempered WTP 5185 Waxman: カルメン幻想曲 Bartok: ラプソディ第2番 Sarasate: ツィゴイネルワイゼン Ravel: ツィガーヌ 他 |