打倒ソネジイ

 

<咳は出ていても食欲はある>


タッペイは9ヶ月になったが、これまで健康診断と予防接種以外では病院に行ったことがない。

里帰り前から咳と鼻水が続いているので、病院に行こうかなーと思い始めた。できることなら行きたくない。どうせ「風邪ですよ」っていわれて終わりだろう。待ち時間もいやだしなー。行かなくてもそのうち治るだろうし。でももしかして大変な病気?いやいや、それならもっと機嫌が悪いはず。病院行ったら薬出されるのもいやだなー。だいたい私が子どものとき風邪で病院連れて行ってもらったことなんかないよーと悩みつつ様子を見ていた。

だけど、子育て支援センターに行っていてちょっと咳をすると、「あら、タッペイくん大丈夫?ママ病院行ってるの?」って言われるのだ。「行ってない、病院嫌いだから・・・」と言い訳をすると、「病院好きな人はいないよ。あんまり咳が出るとタッペイくんもかわいそうだよ」と言われ、一度くらい連れて行ってやるかと決心した。

タッペイが生まれた病院には小児科もある。1ヶ月検診と8ヶ月検診でお世話になっている。だけど、ここの先生が恐いのだ。8ヶ月検診のときのこと。タッペイを見るなり「こりゃまた大きい子だねー」(なんだか大きくて悪いみたいな言い方)。予診表を見て「まだ母乳出てるの?」(出てちゃ悪いみたいに聞こえる)。聴診器を当てて「お父さんかお母さん、アレルギーは?」「私がアトピーです」「お父さんは?」「何もありません」「花粉症とかは?」「ないです」「うーん・・・まあ大丈夫だろう」(なにが?)。後から考えれば聞けばよかったんだけど、聞きそびれてしまった。何の心配をして親のアレルギーを聞いて、何が大丈夫だろうなのか、わからない。なんか聞けない雰囲気だ。

産婦人科に寄り、顔なじみの看護婦さんに「小児科の先生恐い?」と聞いたら、「ソネジイ(看護婦さんたちが呼んでる先生の愛称)恐くないよ、今日はお昼食べられなかったから機嫌が悪かったんじゃない?」と言われた。「なんか怒られてる気分になるんだけど」と言うと「まー、お世辞は言わないからきつく聞こえるかもね。だけど私はあの先生信頼してるよ。丁寧に診てくれるし、いい先生だよ」と言われた。

確かに言い方が優しくてダメな先生よりは、口が悪くても腕がいい先生のほうがいい。よーしソネジイに何を言われても動じない、聞きたいことはしっかり聞けるようになってやる。待ってろよ、ソネジイ。かくしてソネジイの待つ病院へ鼻息も荒く乗り込んだのであった。

ところが、運良くか運悪くか、4月から新しい先生が赴任していた。これまではソネジイひとりだったのに。今日はふたりともいたけど、呼ばれて診察室に入ると新しい先生だった。逃げたな、ソネジイ。

新しい先生は若くて説明も丁寧だった。丁寧すぎて聴診器を何度も何度も位置を変えて当てるので、「ちゃんと聞こえるのかなー」と心配になったほどだ。結局やっぱりただの風邪で、咳止めと痰がきれやすくなる薬をもらった。薬を何日か飲ませているうちに症状はよくなってきたけど、ちょうど暖かくなってきたのでたまたま治ったのかも知れない(やっぱり薬を信用してない私)。

これからもできればお世話になりたくはないけど、もしも何かあったらソネジイの待つあの病院へ行ってみるか。今回は不戦勝だったけどまあ克服したことにしておこう。

 

前へ  目次  次へ