足を向けて寝られない人

 

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<退院の前日に記念撮影>

散歩の途中でタッペイが生まれた病院に立ち寄った。

実はときどき見舞いの人を装って病院に遊びに行っている。

新生児室にならんでいるほやほやのちびちゃんたちを見て、「タッペイもこんなだったなー」と感慨にふけるのだ。

今日もこっそり新生児ちゃんを見て、病院を出たところで通勤途中の助産婦さんに会った。

タッペイを取り上げてくれた助産婦さんだ。

お産のときに笑顔で励ましてくれた助産婦さん。

私のおっぱいをぎゅうぎゅうマッサージして母乳が出るようにしてくれた助産婦さん。

おっぱいマッサージで何人ものお母さんを泣かせてきたと武勇伝を語ってくれた助産婦さん。

「私がいるうちに2人目も産みにいらっしゃい、あんまり先は永くないからね」と言っていた助産婦さん。

きっと、私の母よりずっと年上なのに、夜勤もバリバリこなしている助産婦さん。

夜中の授乳で起こされていた頃、いつも「今も病院では働いている人がいるんだなー」と思っていた。

今日はこれから夕方から深夜までの勤務なんだろうな。タッペイを見て「大きくなったねー」と言ってくれた。

私が足を向けて寝られない人だ。

でも本当に足を向けて寝なかったら、どっちを向いても寝られなくなる。

29年前に私を取り上げてくれた助産婦さんにも足を向けて寝られない。

夫を取り上げてくれた助産婦さん、母を取り上げてくれた助産婦さん、父を取り上げてくれた助産婦さん、義父母を取り上げてくれた助産婦さん、祖父母を取り上げてくれた助産婦さん、祖々父母を取り上げてくれた助産婦さん、、、にも足を向けて寝られない。

 

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