メモリとは?

メモリの種類

 メモリデバイス(記憶素子)とは1または0といったようにBIT単位(2進数)のデジタルデータを記録するための半導体記憶素子です。
一般にメモリと呼ばれるもののほかにHDDやFD,CD−ROM,CD−R、DVDなども記憶するためのデバイスですから、大きな括りとしてのメモリには入ると思いますが、ここでは触れません。
 さて私たちの身近にあるパソコン等々を例にとって見ると、使用されているメモリにはRAM(Randam Access Memory)とROM(Read Only memory)の二種類があります。
RAMとは読み書きが自由なメモリであり、ROMとはあらかじめ記録されているデータのみが読み出せるメモリのことです。(RAMはノートに鉛筆と消しゴム使って書いたり消したりできるようなメモリ、ROMは本のように読むことだけができるメモリです。)
 ほかのメモリにはフラッシュメモリ(Flash Memory:何度でも電気的に記憶の消去・書き込みができるROM)とかFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory:データの保持を電荷(電子)の代わりに誘電体を用いるRAM)などがありますが、私の専門ではないので取り上げません(^^;
 またフラッシュメモリやFERAM、ROMなどは電源を切ってもデータを保持しておけるので不揮発性メモリと呼ばれ、DRAMやSRAMは電源をきるとデータが消滅してしまうので揮発性メモリとも分類されます。
というわけで、このページではRAMの中でも主にDRAM(一部SRAM)に付いて取り上げていきます。


RAMの種類

 まずSRAMとはStatic RAMの略で、日本語だと記憶保持動作が不要なメモリなどといわれることもあります。
高校・大学で電気系の授業などを受けた方ですと、電流は良く水流にたとえられることがあるかと思います。
この例を使うとSRAMの場合は水門によって二対の水路のいずれかに水を流しっぱなしにしておくという感じです。
なので一度水門によって水路を決定してしまえば放っておいても水流の流れは変わることはありませんので静的(static)なメモリと呼ばれます。

 そしてDRAMとはDynamic RAMの略で、日本語だと記憶保持動作が必要なメモリなどといわれることもあります。
こちらも水に喩えるとバケツに水が入っているかどうかといった感じでしょうか。
しかし困ったことにこのバケツには穴が空いていて満杯に入れておいても放っておくとどんどん水が流れ出てしまったり、外においてあったりするので雨が降ったりすると水がたまったりして時間がたつと初めの水量と変わってしまうので動的(dynamic)なメモリと呼ばれます。
このためたまに水を足したり引いたりしてあげなければなりません。これが記憶保持(リフレッシュ)動作と呼ばれています。


DRAMとわ?

 メモリ素子ということでなんらかの形で情報(BIT情報)を記憶しておかなければいけませんが、DRAMはその方法として電荷(電子)を用いています。
(SRAMは電流の流れ、FeRAMは電子の並びの向きで記憶保持をしています(多分))
具体的にはDRAMはコンデンサに電荷がある/なしで1/0の情報を記憶しています。(使い捨てカメラなんかのフラッシュと原理は同じです。)
この最小の記憶素子単位をセル(メモリセル)といいます。DRAMのメモリセルはトランジスタ1個(←蛇口)とコンデンサ一個(←バケツ)で構成され、標準でトランジスタ6個でスイッチ(水門)を作って構成されるSRAMのメモリセルより格段に小さいです。
このためSRAMより、DRAMの方が安い値段で大容量化しやすいため、大容量の必要なパソコンなどのメインメモリとして使用されているのです。
もちろんSRAMの方にも高速動作ができる・低消費電流で動かせるなどのメリットもありますので、ケースバイケースで選ばれるものなのですが。
 ちなみにパソコンのメインメモリというのはCPUが作業をするために必要な場所、と考えてください。
人がなんらかの仕事をする時に机が大きいほうが資料とか道具とかをいろいろ置けて効率的に仕事ができますよね。
パソコンのメインメモリもそれと同様のことが言えます。

 SRAMと比べた時のDRAMの欠点と致しまして、リフレッシュ動作をしなければならないという制約があります。
これは先ほども穴の空いたバケツといいましたが、電荷(電子)というものは非常に小さなものなので、一度溜めたからといってそのままずっと一個所に留めておくことが非常に難しいものなのです。
つまりコンデンサを電荷で満たしていても何時の間にか漏れでていたり、また空にしておいてもいつのまにか流れ込んでいたりしてしまうものなのです。
このため電荷を足したり抜いたりして、元の情報が壊れないようにしないといけません。これがリフレッシュと呼ばれる動作なのです。
またバケツ自体も非常に小さなものでして、中に入っているかを見極めるのに増幅、という動作をしないと行けません。
これらの特性のため、一般的にDRAMはSRAMより低速でしか動作できないのです。


DRAMの種類

 現在までにDRAMにはFP、EDO、(SDR)SDRAM、VC SDRAM、DDR SDRAM、DRDRAMなどの種類が出ています。 FPとEDOは非同期型DRAM、あとの4つは同期型DRAMと呼ばれています。 何に同期しているの?ということですが、これはクロックと呼ばれる基準信号に同期しています。(クロックとは交流電流と同じように規則正しく交互に電圧の高低が入れ替わる信号です。)
現在のパソコンでは同期型DRAMの中のSDRAMが主流となっており、非同期型のDRAMはほとんど使われなくなっています。
これはパソコン(主にCPU)の速度の向上により、非同期型では動作が遅すぎてしまうようになった為です。
以下に簡単に各DRAMの説明をしておきます。

 FPとは高速ページモード(Fast Page Mode)と呼ばれる高速なデータ転送機能を持ったDRAMです。連続したデータの読み書きを単純に行なえるようにすることで、アクセスの高速化をはかっています。i486時代の主流でしたが、その後より高速なEDOに主役の座を明け渡しました。

 EDOとはデータを出力するタイミングを改良(拡張データ出力:Enhanced Data Out)することで、読み出し時の連続転送速度を向上させたDRAMです。一世代前の主要メモリでしたが現在ではより高速なSDRAMにその座を明け渡しています。
ですが、それほど速度を要求しないシステムでは今だに使われています。

 SDRAMとはデータの読み出しが一定周期のクロック信号に同期(Synchronous)して動作するDRAMです。
動作周波数は66Mhz(PC66)、100Mhz(PC100)、133Mhz(PC133)という三種類が規格化されています。(それぞれの括弧内は規格の名前です。2000年現在ではほとんどPC100とPC133のみしかありません。)
このSDRAMが現在(2000年)のパソコン用メモリの標準です。
(後述するDDR SDRAMに対応してSingle Data Rate:SDR SDRAMと呼ぶこともあります。)

 VC SDRAMとはNECが開発したバーチャルチャネル・アーキテクチャにより動作速度が高速化されたSDRAMのことです。メモリチップの中に高速に動作する回路を内蔵し、そこに一時的にデータを蓄えることにより、通常のSDRAM よりも高速にデータの入出力ができますが、SDRAMとの互換性はない為専用のマザーボードが必要になります。
またバーチャルチャネル・アーキテクチャは他の製品にも適用できる為、もしかしたらそのうちDDR SDRAMなどにも適用されるかもしれません。

 DDR SDRAMとはダブルデータレート(Double Data Rate:DDR)モードというデータ転送機能を持ったSDRAMです。クロック信号の立ち上がり時と立ち下がり時の両方でデータの読み書きが行なえるようにしたもので、通常の倍の転送速度が実現されます。(通常のSDRAMはクロックの立ち上がりのみ使用しています。) 現在Rambus社のDirect RDRAMと、パソコンなどに使われる次世代の標準メモリの座を争っています。
旗色はDDRのがやや優勢といった感じでしょうか。

 DRDRAMとは米Rambus社が開発した高速インターフェース技術Direct Rambusを採用したDRAMです。
独自の仕様により高速化を実現している為、SDRAMとの互換性はほとんどありません。
現在DDR SDRAMMと、パソコンなどに使われる次世代の標準メモリの座を争っています。
ですがメモリベンダーとの特許訴訟や推進派のintelなども戦略変更をしはじめていたりして、先行きは不透明です。


簡単なDIMM/RIMMの用語説明

 ある日自分のパソコンにメモリを増設しようかなぁと思い立って秋葉原や家電量販店などに行くと

増設用メモリ
PCxxx yyyMB DIMM RIMM SO-DIMM CLzzz

という感じに書いてあったりします。
このちんぷんかんぷんな英数字の羅列を簡単に説明します。

DIMM/RIMM/SO-DIMM
パソコンに挿すメモリのモジュールの規格です。
一枚の板(モジュールと呼ばれる基板です)に足の生えた黒いげじげじみたいなのが4個、8個ないし16個載ってます。
DIMM/SO-DIMMとはSDRAM/DDR SDRAMに用いられ、RIMMとはDRDRAMに用いられます。
別種類のモジュールはもちろんおなじDIMMでもDDR SDRAMとSDRAMを混ぜて同じパソコンに挿すことは出来ません
またSO-DIMMはノート用のDIMMですので、これをディスクトップに挿すことは当然出来ません。
お使いのPCにどのモジュールがささるのか確認してから買ってください(^-^;

PCxxx (xxxにはSDRAMのDIMMですと100/133、RIMMですと800/700、DDRのDIMMですと1600/2100/2700などの数字が入ります)
 DIMM(またはRIMM)の規格を示します。
同じ種類のモジュールでしたらこの数字が大きければ大きいほど速いです。
ただしだからといってPC800のRIMMがPC1600の半分の速度かというとそんなことはありません(実際にPC800とPC1600のデータ転送速度は同等です)
大体は動作速度からMhzの数字を取ったもの(PC100/PC133←SDRAMやPC800/PC700/PC600←DRDRAMなど)で表されますが 意図的にメモリ帯域(PC1600/PC2100←DDRSDRAMなど)で呼ばれているものもあります。
ただしFSB(メモリとCPUを結ぶ線(語弊あり))の速度を越えたものを選んでも無意味です。
この数字は上位互換なので動くことは動きますが一昔前のセレロンなどFSB=66MhzなのにPC100やPC133などを挿しても 66Mhz(PC66相当)でしか動きません。(チップセットの方で非同期動作OKなら動かすこともできますが)
また何枚かパソコンにDIMM/RIMMを挿す場合は同じ数値のものを挿した方がいいです。(遅いほうに合わされますので。)

yyyMB (yyyには128/256/512/1024(=1GB)などの数字が入ります)
 DIMM(またはRIMM)の容量(MB=MegaByteの略)が入ります。
この数字が大きいほどパソコンのメモリとして使える容量が増えます。
ただしパソコン(正確にはチップセット)によって一つのDIMMで使える最大の容量が決められていますので いくら安いからといって大きい容量のものを買っても使えないこともありますので注意して下さい。

CLzzz (zzzには2/2.5/3などの数字が入ります)
 メモリのデータ呼び出しにかかる遅延時間を示します。
この数字が小さいほど遅延時間(latency)が小さいのでそれだけ速く動くことになります。
(RIMMではこの数字は明示されていません。CLと同等のSPECはあるのですがシステム側で最適値を判別するためDIMMほど意味を持たないようです。)
この数字も上位互換なので何枚かパソコンにDIMMを挿す場合は上記のPCxxxともども同じ数値のものを挿した方がいいです。 (駄目というわけではありませんが大きいほうに合わされますので。)

NoBrand
 概して秋葉原などで売られている安いDIMM/RIMMはノーブランドといわれるものが大半です。
チップに書かれているメーカーを見てもどこだかさっぱりヽ(゜▽、゜)ノなものが使われていたりします。
んで、日本だとIOデータやメルコなどのサードパーティー製とこのようなNobrand品とは何が違うのでしょうか?
ずばり安心度が違います(w
ま、ノーブランドでもMicronや三星など有名ベンダーのチップを使っていたりするので 製品自体の質についてはどっちもどっちだと思うのでとやかく言いませんが、 サードパーティー製は自社で動作確認等々をしていますし、もし何かあった場合は(ある一定の条件下なら)保証も受けられます。
ノーブランドだとこの手の保証は薄い気がします。動かなくても交換すらしてくれないとか。
使うのはあくまで自己責任という前提の下で安く売ってますので当然といえば当然ですが。
どちらを選ぶかは貴方次第、ということですね。


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