紙の重さ 9月5日

版画展を開催している。物故作家も現在活躍中の作家も含め100点余りの展覧会。
長年シートで持っていたものを額装したり、年代を調べたり、
価格の設定に頭を悩ませたりの作業が続いていたが、
本日のオープンで 早朝から最終の確認。

木版だとバレンの摺りあとを見たり、銅版のエンボスのへこみやインクのわずかな
拭き取りの残りなど見ていると手触りがやわらかく とても愛おしい。
紙でなければ出来ない表現が魅力なのだが、同時に制約がとても多い。
以前は エッチングの腐食の薬品に健康を害したり、手漉きの紙が打ち切りになったり、
刷毛が入手できなくなったり、夏の湿気が足りなかったり、
バレンもプレスも力仕事なので 歯を食いしばって 歯を悪くしたりと 画廊を始めてから
どれほど偽りのない版画家の制作における不自由さを聞いてきたことだろう。

しかし、紙でなければならない。
それは時に油絵具のマチエールより時間が重なり、水彩画の透明さより なお薄いベールで
包まれる酔いを味わえる。
どんなに紙が絵の表現の礎として重要か思うだけで興味も尽きない。

今展は、種々な表現方法の版画を見ていただけます。
27日まで開催しています(火曜日休み)ので、版画ファンの方も
ちょっと覗いてみようかなんという方も、どうか お出かけ下さい。
版画のファンとの出会いを楽しみにしています。

100選版画 特別展
2009年9月5日(土)〜27日()<火曜日定休>最終日4時まで



 戻る