30'sMOC 2006年練習会レポート    by プカプカ


   「原っぱは今年も晴れだった」


 北海道の遅い桜も咲き終わり、百花繚乱の季節を迎えた5月21日、30'sMOC恒例の春の練習会が行われました。
 ここ数年気持ちの良い晴天に恵まれることの多い練習会ですが、風は少し強いものの寒くも暑くもなく今年も最高の天気です。
 今回は参加者が少なく、トヨキさん夫婦、ペンギンさん、nackさん、T橋Jrさんとプカプカの6人だけだったのですが、このメンバーの中に雨男がいないことは間違いありません。
 あくまでも想像ですが、多分普段の行いも良いのでしょう。
   トヨキさん夫婦に買い出しをお願いし、他の4人が現地に着いてみると、いつもはごろごろ転がっている古タイヤが全然見当たりません。
 原油高騰の影響で燃料用古タイヤの値段が上がっているという報道がありましたが、あれほど散乱していた古タイヤが見当たらないのは誰かが持ち去って売り払ったのか、あるいは清掃奉仕の団体がボランティア活動でも行ったのか。
 いずれにせよゴミが減るのは良いことだと思いつつ、なんとか4〜5本の古タイヤを見つけてコースを作りました。
 
 負傷の癒えぬnackさんはこの日4輪での参加だったのですが、100mほど離れたところにあった古タイヤを拾い集めてコーナーごとに置いていく作業には車がとても役に立ちました。 

 なるべくタイトターンのない楽なコースを作ろうとしたために、この作業に小一時間ほどかかってしまい、トヨキさんが到着した頃には一服したい気分だったのですが、トヨキさんのクーラーボックスから取り出されたのは、おおっ!ノン・アルコールじゃないビール!
   渡りに船というか、痒いところに手が届くというか、なんとありがたい心遣い。
 今年はヒバリの姿が見えないものの、真っ青な空の向こうには白い雪を抱いた手稲連山、パラセイリングの機体も1機、遠くにゆったりと浮かんでいます。
 こんな気持ちの良いシチュエーションでノン・アルコールじゃないビールが出てきたら、それを断るなんてまっとうな人間のすることではありません。
 青空の下で飲む昼間のノン・アルコールじゃないビールは実に旨く、いっそこのまま宴会モードに突入しようじゃないかと、思わず提案したくりました。

 だけどまぁそういうわけにもいかず、誰ともなしに皆走り出したので、今回はスタンディングをキープすることとリーン・アウトを意識することを個人的なテーマとして、不肖私もへろへろと走り出したのでした。
ペンギン氏 トヨキ氏
T橋Jr氏 プカプカ氏

   「メタポリック10分走」
 
 去年まで走っていた場所は草がまばらになっていて、少し走ったら砂地がむき出しになってしまいそうだったので、今回は少し西に寄った所を走ったのですが、これが正解でした。
 WRの凶悪なモトクロタイヤとトヨキさんの強烈なトラクションによってもバンクやレールができることがなく、穏やかライディングを旨とする他の3人も路面を気にすることなく走ることができました。
 「よしよし、今日はこのままお気楽ライディングでバイクと身体の慣らし運転じゃあ」、と思っていたのですが、誰が言い出したのか例によって10分間の連続走行命令が出てしまいました。
 
 最近注目されている生活習慣病にメタポリック症候群というのがあります。
 くわしいことはわかりませんが、中年過ぎて腹が出ていて、かつ血圧やらコレステロールやら中性脂肪やら血糖値やらが「軽くヤバイ」人達というのは心筋梗塞や脳卒中のリスクが高いんだそうです。
 不肖私、もうちょっとでこれに該当する身の上で、この日もモトクロパンツのウエストはきちきちの状態。
 バイクの振動で腹の肉がタプタプいっておりました。
 したがって体力などというものはまったくなく、いかに手抜きで走るか、それだけを考えていたのでした。
 そんな状態で10分間走行を命じられても気力はまったく沸かず、3速キープ、ノーブレーキという軟弱ライディングを続けました。
 それでも後半になるとスタンディングがつらくなり、コーナーでは座って楽をしてしまうという情けなさでした。

  
プカプカ氏&トヨキ氏 T橋Jr氏
トヨキ氏 ペンギン氏

 どうやらこうやら走り終えて、さあ焼き肉の仕度をしようぜ!というところへナイス爺さんの到着です。
 予想はしていたのですが、ナイス爺さんは走るつもりなどまったくなさそうな服装で、気分は最初からピクニックという様子です。
 まあ他のメンバーにしても今日の目的の半分は楽しく焼き肉を食べることなので、やる気のないナイス爺さんをなじることもあまりせず、和気藹々の焼き肉パーティーの始まりです。

 
 
   「カメラ班ついに我慢の限界・・・そして」
 
 さて、nackさんは今月初旬にまだ雪のある林道で転倒したとのことで右手親指を負傷しており、ノン・アルコールじゃないビールの缶を持ち上げるのでさえ痛みがあってつらいとのことでした。
 それでも焼き肉を食べるために参加ということだったので、カメラ班をお願いしたところ快く引き受けてくれて、おかげでこのような写真を掲載することができました。
 で、まあ一生懸命我々の姿を撮影してくれていたのですが、元来は走るのが好きでたまらない人なので相当に欲求不満が溜まっていたのでしょう。
 それが、焼き肉を食べながらノン・アルコールじゃないビールを飲んだせいか、ついに我慢の限界に達したようです。

 
nack氏  限界点を越えて、エンジンの着いている物なら芝刈り機でさえ乗りかねない気分のnackさんの目にとまったのが、YAMAHAが誇る世界の名車PW50でした。
 空冷2ストローク、クランクリードバルブのエンジンは最高出力2.5馬力、最大トルク0.36kg。
 サイズは1,245mmの全長と485mmのシート高、そして最低地上高はなんと105mm。
 これらのデータのすべてが、乗り手を選ぶマシンであることを物語っています。
 良い子しか乗ってはいけないこのバイクに跨ったnackさんが走り出すところまでは見ていたのですが、不肖私、その後目を離してしまいました。
 もちろん数秒後にnackさんが砂地で転倒して前方転回するなどとは思っていなかったからです。
 人前で転倒したライダーの誰もが浮かべる照れ笑いを浮かべながら何事もなかったように起き上がったnackさんは、めげることなく全開で走り去っていきましたが、掲示板への自己申告によると右足首を強打し晴れ上がったとのこと。
 二度あることは三度あると言いますが、これ以上怪我をすることなく今シーズンを走りきることができるよう祈ります。
 
   「ドーピング男、突然の乱入」
 
 焼き肉パーティー終了後、今度はコースを右回りに逆周してみようかということになり、右コーナーの嫌いな不肖私、午前中にも増してだらしなく数周を走りました。
 トヨキさんも「あそこのコーナーがイヤラシイなあ」などと言っておりました。

 
ペンギン氏 プカプカ氏

 ノン・アルコールじゃないビールも飲んだしお腹はいっぱいだし、トヨキさん以外のメンバーが走るのをやめたとき、突然現れた1台のランツァがありました。
 挨拶もそこそこにコースインし、猛然とトヨキさんを追撃し始めたのは欠席のはずだったK島さんでした。
 
K島氏  腕慣らしもまったくしていないのに全開でコーナーに突っ込み、立ち上がりでは派手なドリフトを見せ、みるみるうちにトヨキさんに迫っていきます。
 走っているのは自分だけだと思っていたトヨキさんは、突然の乱入者のハイペースに驚き、相手がK島さんだと気がついたころには抜かれてしまっていました。
 トヨキさんを抜いてもK島さんの勢いは止まらず、リアを流しすぎて転倒するシーンが2度ありましたが、意にも介さず走り続けていました。
 
トヨキ氏  それまでは割と大人しく、どちらかと言えばライディングフォームの確認をしながら走っているように見えたたトヨキさんでしたが、K島さんに抜かれたことで走り屋の血が目覚めたのか、一気にハードな走りに変わりました。
 小さなギャップですが、フロントを上げて通過しています。
 それと、この二人の写真、他の写真とは砂煙の上がり方がまったく違っています。
K島氏  ひとしきり走り終えるとさすがのK島さんも疲労困憊の様子です。
 「来ていきなりすごい走りだね。」と言うと、実は自宅でドーピング薬を摂取して来たとのこと。
 ご禁制のドーピング薬が効いてしまい、オンロードなのにドリフトはするわ赤○○は○○するわ、○○市の自宅からここまで○○分で着いてしまうという、陸上競技なら永久追放もののハイテンションで走って来たのだそうです。
 そのままのテンションでコースインした結果、諦めていた練習会に参加できた嬉しさもあって鬼神のごときライディングになったようです。
 「疲れたー」を連発しながらも、とても嬉しそうでした。
 
   「やっぱりバイクは楽しい」
 
 こうしていろんな話題のあった練習会兼焼き肉会でしたが、終わってみれば参加者は8人に増えていたし、天気には恵まれたし、言うことなしの一日でした。
 去年参加したときには土の上を走るのが初めてだったT橋Jr.さんも、一年間でいろんな経験を積んで今ではもう一人前。
 速い人は速いなりに、そうでない人もそれなりに楽しめるのがバイクの良さで、まして気の許せる仲間と一緒に走っていれば、ストレスなんか忘れてしまいます。
 不肖私も、腹の贅肉を揺らしながらへろへろと走り続けますので、皆さん今年も元気に走りましょう!
 
 ・・・ということで練習会兼焼き肉会レポート、これにておしまい。