今の心境3

4月から始めたナオキの剣道。
夏休み早々の合宿で、初めて防具を着ける練習をした。
手先の不器用なナオキ・・・
予想どうり・・・つまずいた。

先生も含めて、先輩のお母さん方が2人、3人と集まって教えてくれる。
でも、それが逆にプレッシャーで、
ナオキ自身、訳わからなくなって・・・

悪戦苦闘の末、面の向こうのナオキの目から、涙が出てる。
「もう、嫌や!」そう言ったかと思うと、
面も綿タオル(頭に巻くタオル)も脱ぎ捨てて、ジッと下を向いたまま、動かなくなった。
なだめてはみたものの、頑固なナオキの気持ちはかわらない。
ますます殻に閉じこもる始末。

ジリジリと時間が過ぎ、私の方が焦ってきた。
私の目にも、涙が滲んできた。

その時、先輩のお母さんが、私にそっと耳打ちしてくれた。
「ここには、いない方がいいかもしれないよ。ナオキ君も甘えたいだろうし・・」
正直ちょっとショックだったけど、ここは素直に従おう・・
そう思い、道場をあとにした。

しばらくして・・・
ナオキに見つからないように、道場を覗いた。

そうすると・・・
同期の新人の子たちは、防具を着けて先生と練習してるのに、
ナオキは相変わらず、そのままの状態で座ってる。
横には、先輩のお母さんが何も言わず、ジッといっしょに座ってくれてた・・

他の子たちも、もちろん防具ははじめて着けるので、
当然ながら、自分1人の力ではできない。
大人に着けてもらってた。
でも、それをする事を、ナオキは良しとしない。
とにかく自分でしたい。
でも、できない・・。
練習にも参加したいけど、防具が・・・。
そんなジレンマ?があったのだと思う。

後になって冷静に考えると・・・
ナオキがパニックになった時、
親である私が真っ先に、それをわからなければいけなかった
かわいそうな事をした・・・

その後は休憩をはさんで、今度はOBの高校生が、
簡単な防具の着け方を教えてくれた。
今回は、何とかがんばれて、とりあえずはホッとした。


その日は、家に帰ってから、ナオキも私もちょっとショック・・・
でも、お風呂に入る前に、
「綿タオルの練習しようかな」と、前向きな発言が出たので、一安心。


あの時、私もいっしょになってパニック起こしてたら、
きっと「剣道なんて嫌い」って、ずっと言い続けたろう。
みんな同じ道を通ってる・・・とは言え、
先輩のお母さん方がいてくれてなかったら、どうなってたか?
「焦らなくっても大丈夫よ。まだ2年生だもん」そう言ってもらえただけでも、ホッとした。


ナオキの剣道を通じて、ステキな人と出会えて良かった。
きっとこれから、ナオキにとっても、私にとってもプラスになると思う。





  

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