9月の思い出
結婚して、初めての住まいはマンションだった こじんまりとした、お手入れの良く行き届いた建物 暮らし初めて、1年が過ぎようとしていた頃・・・ 無性に自分達の家が欲しくなった チラシで見て、そして雑誌を買って、検討した 意外にも、マンションの近くにお手頃な物件があった 先着順と聞かされた まだ更地の状態での決定は、幾分無謀にも思われた しかし、もう後戻りはできない その頃は、まだ2人暮らしだったから、1番小さな家を買った 一軒向こうにお住まいのご夫婦と、お友達になれた その人達も、時を同じくして、引越してきた人たちだった 年恰好も似通っていた 引越しが終わって、まもなく・・・・ 暦は十五夜・・・そうお月見 小さくてもお互いに、屋上のある家だったので、 そのご夫婦が「いっしょにお月見を・・・」と、誘ってくれた お月見だんごを持っての、訪問 ホンの少しのアルコールも入って・・・ 屋上でのおしゃべりは、夜中まで延々と続いた 4人の内、だれも腰を上げようとはしなかった お月様のきれいさも然る事ながら、本当に楽しかった 最近出会えた人とは思えないほど、打ち解けて話しが出来たのが嬉しかった それから6年・・・ 私達に家族も増えて、その小さな家では手狭になったのを理由に、 今の家に引っ越した あのお月見以来、9月になると必ず空を見上げて思い出す 屋上から見たお月様のきれいさと、楽しかったひとときと、風の冷たさを・・・ |