Frank Lloyd Wright
 
 
 
 
 
 

建物はなるべく何もしない方が丈夫で長持ちします。ただ四角で軒先を長く出した、例えが悪いですが、ちょうど犬小屋のような簡単な形状の方が、雨、風、日射しなどには強くて長持ちをします。

しかし、建物は今は状況が変わりつつあります。終戦直後のように建物は雨風をしのぐ場所で、住めれば良かったという時代から、今は建物を楽しむ時代になっています。

洋服が寒さをしのぐためだけのものから、人に見せるものへと変わったように、建物もファッション性が求められております。例えば、コーヒーを飲むとき、暗い物置の中で飲むより、洒落た喫茶店で飲んだ方が美味しく感じるように、建物の形態が人間に影響を及ぼすことは大いにあります。

例えば箱のようにただ四角い建物の屋根に、天窓を1つ設けるだけで部屋の中は格段に明るくなり、人の心も明るくしてくれ、また夜は星空が見えて、人の心を潤してくれるかもしれません。しかし、1つ何か変わったことをすれば必ず欠点も一つ増えてきます。

天窓を取れば、屋根に傷を付けるようなものですので、雨が漏る確率は少し高くなりますし、屋根の上のガラスを掃除するのは大変というように何かの欠点も増えてきます。

このように建物の丈夫さと快適さは相反するところがありまして、私たち設計者をいつも悩ます問題です。