パーゴラ制作物語<2000年の夏休み>

(2月芝生を張ったばかりの頃)
<ガーデニングというより野良仕事>
うーむ家を立てたら最近めっきり出かけなくなったなあ。芝生を張ったり農薬をまいたりと庭作りにいそしむと言うより形を作るのに精一杯だ。花を植えたりハーブを育てたりというよりは、ホコリ対策、毛虫対策で、全然優雅じゃない。引っ越し当初なんぞは、クワとスコップで瓦礫を掘り出したり、土砂の運搬に追われ、まるで工事現場のドカタだ。枕木を運び、砂利を運び、愛車エスクードも文字通り馬車馬のような活躍である。芝生が青々と生えそろい、木々もぐんぐん芽を伸ばしてきて、やっと工事現場から野良仕事に格上げになった。さて、ここから更にステップアップを図って、なんとかガーデニングまで持っていきたいっ!
<パーゴラを作ろう(パーゴラって何?)>
どうも隣りの家が近いなあってことで何か目隠しをつけようと思ったのが始まりだった。ロコツに塀をぶっ立てるのもどうかと考え、どうしようかなとガーデニング関係雑誌をめくっていると、パーゴラなるものが紹介されていた。それまでガーデニングなんぞ全くやったことのない人には聞きなれないだろうが、要は藤棚のようなものである。
ごく最近仕入れたガーデニング用語をひけらかしてみると…。
ラティス:ななめ格子模様のこと。派生して斜め格子模様のパネルや柵などまとめて指すよう。
トレリス:ツル性植物を絡ませるための添え木。
壁に取り付けたり立てかけたりするのが一般的。ラティスを
つるを絡ませるのにもよく使用するため、ラティスとトレリスが
同じように扱われることも多い。
オベリスク:つる植物を絡ませるのは一緒だが、庭の中心に
自立し、どちらかというとシンボルとしての役割が強い。
パーゴラ:トレリスが平面的に壁面を飾るのに対して、
柱を立て屋根を組みさらに上へ上へとツル性植物を展開させた
もので、日除けとして用いられる。日本古来からの藤棚のよう
なものである。トレリスより装飾性が高く景観作りに役立つ。
アーチ:くぐり門。通路を飾るだけでなく、それ自体が
フォーカスポイントとなり、続く空間への切替えや何か
あるという期待膨らませることが出来る。
ガゼボ:四阿、庵のこと。完全に屋根が形作られ休息、憩の場
として利用される。
フォーカルポイント:視点を集めるもの、オブジェ。遠くに
視線を飛ばして奥行き感を出させたり、見せたくないもの
の手前において視点を止めたりするようなときに使うテクニック。
聞きかじりのホヤホヤの知識はこれくらいかな。
で、なぜ今回パーゴラに注目したかというと、でかくてもOKなとこだった。既にラティスの格子パネルを壁に引っかけていたのだが、隣りとの境のブロック塀に直接引っかけていたこともあって隣人から苦情を言われていたのだ。そこでしっかりと足場を組んでラティスを自立させようかと思ったのだが、柱を立てて塀を上回るようなラティスは既にラティスというよりフェンスという代物でしかなくなる。といって中途半端な代物では余計庭が狭く感じるし、肝心な隣との目隠しにならない。庭を圧迫しないで自立し、目隠しに使えるくらい大きなもの、それがパーゴラであったのだ。
なぜ大きいのに圧迫感がないのか?これが不思議である。柱を立てて屋根までつけたら、どうしても囲まれているような気がして狭く感じるのではないかと思う。ここが人間の錯覚の妙なところで、先程のフォーカスポイントでも述べたのだが、人間は自分の視線よりずっと低いものを見た場合はそこで視線が止まってしまい、地面を連想し終端を感じるが、視線よりずっと高いものを見た場合は、視線が広がっていき広い空間、大空を連想し解放感を得るというのだ。小さな花をつける植木鉢やプランターを低い位置にいっぱい並べるより、10m以上もある背の高い木を植えた方が、おぉぉっと見上げて広く感じるらしい。中途半端はいけない。視線より少し高いくらいでは、まさに目の上のたんこぶで、うっとしくてしょうがない。
またまたひっくり返したガーデニング雑誌によると2m50cmくらいが標準だそうだ。手作りするにはかなり背が高い。うーむ。それも幅2mくらいで高さ2m半が標準で、小さければ低く大きければ高くするというらしい。数メートルに渡る塀に添えるというのだから巨大建築物になってしまう。バランスが大事なんだな。
<道具がねんぇんだよぉ>
アパート暮らしの日々は庭がないせいもあったんだけど、工具っちゅう工具がノコギリ1本しかなかったんだなこれが。キャンプ道具には事欠かなかったんだんけど、ナイフやノコギリで日曜大工が出来るわけもなく…道具をそろえるところから始めなければならなっかった。
引っ越してから今日までそろえた工具は、家具の寸法を測るのに買った巻尺と、カーテンレールを取り付けるために買った電動ドライバ、庭にある井戸用ポンプカバーを作るのでノコギリでずりずりやってたんだけどラチがあかなくて買った丸ノコの3点である。先は長そうである。面度臭くなってきた。しかし折りしも世間はガーデニングブーム。日々入る新聞広告にはガーデニンググッズや工具が目白押しだ。予算立てるのもあるけど、まずは市場調査だっ。
<ホームセンタ市場調査>
会社帰りにOlympicがあって、そこで工作台が1980円で売り出しているとチラシにあった。材木切断したり穴あけするのに挟んで固定するもので、折りたためるらしい。即購入決定。チャリンコでは運べないため後で買いに来よう。この後すぐに購入したのだが、売り出し期間が短く更に数日後には3980円になっていた。おそるべしOlympic!またここで強力な電動ドリルも見つけた。中途半端なものでは役に立たない。ここは一生モンを手に入れたい。でもOlympicの工具の値段の相場が分からない。ちょっと保留。
さて後は定番のJoyful本田、Doit(ドイト)、Telwelホームセンタ、ケーヨーホームセンタ、D2を片っ端から回る回る。不思議なことなのか当たり前なのか、品揃えが揃っていてしかも安いって店は一概には言えないんだなぁ、これが。金具1つとってもこっちの店とあの店では5割くらい違うし、形もちょっと違う。品揃えの良い店はお客がよく来るせいか安くなかったり品切れしていたりする。穴場的な店は、おぉっと思うくらい安いものや便利なものがあったりするが、やはり穴場だけあって品揃えは得てしてよくない。ここは足と勘で歩き回るしかなかった。私にはシックスセンスはないようだ。
大体目安として大型店を標準としてそこより安いか扱っているものがどういう傾向かを観察する。電動ドリルはなんと最初のOlympicで決定だ。日立製はどこでも置いてあったのだがここだけは東芝製が置いてあったのだ。ブランド志向じゃないよ。4割くらい安いんだもの。どっかの哲学者も言ってたよ。結局経済が意思決定を左右するって。取り寄せになるので3日待ちになるのが残念だったけど、気に入ったものを手に入れたほうが後悔がないからね。
こんな感じで工具についてはとことん調べた。しかし肝心な材木についてはほぼ近所ではJoyFul本田で決まりだった。いかんせん品揃えが違いすぎた。防腐剤添加済み材はここしかなかったのだ。デザイン性と腐食防止のため、塗装はするつもりだが、はじめから防腐されていれば尚安心だ。とくに屋外の構造物だから余計である。1年毎に塗装すれば10〜15年は持つそうだが、せっかく自分で作ったものが朽ち果てていくのは忍びない。真のガーデニスト?ガーデーナー?は、朽ち果てていくのも味がある、風情があるというのだが…。
価格は防腐剤済みで3〜4割高い。2×4材(ツーバイフォー)2×6材(ツーバイシックス)の寸法と価格を片っ端からメモっていく。回りを見ると、同じように手帳に一生懸命メモっているおっさんが4人もいた。ちょっと微笑ましい&安心感。ツーバイフォーって言葉は家を建てるときとかにも良く耳にしたんだけど、38mm×90mmだかの寸法の角材を使うってくらいしか知識がない。設計がしやすいだとかいうがお構いなし。所詮、塀を建てるだけだいっ!
<いちおう設計しまーす>
さあて工具も目処が立ち、いよいよ設計に入る。順番がむちゃくちゃだが、出来ることがはっきりしないと設計も出来ない。出来ない細工を計画しても意味がないのだ。なんてもっともらしいが、ドリルや土台金具を注文したが、3日かかるというので、ちょっと頭を整理しようと思ったのが実状である。普通だったら、材木売り場で直感で購入して勢いで制作していくだろうな。パーゴラの設計といっても初めてのことだし、どんな感じになるのか想像できない。家作りもそうだったが、既に完成しているものを買ってくるわけではないので図面と現場から想像していく'力'が要るのだ。建築家や大工さんはたいしたもんだとしみじみ恐れ入る。
子供の絵のような完成予想図を書き、材料を無駄にしないような寸法を設定する。例えば70cmの角材が何本か欲しかったら210cmの長さの材木だと3等分すれば良いのだが、あいにく210cmのがなくて180cmので代用するとしたら60cmの角材で設計し直すとか、強度に問題がなければ柱を一回り細くして安価にするとかである。ま、自分のことだから材木購入時点までと割り切って設計終了。あとは臨機応変に対処していこう。
<カッティング>
うぃーん、うぃーん。丸ノコが切れない。予想以上にチップソー(丸ノコの刃)がヘタるのは早いようだ。枕木を使った水洗を作ったときに酷使したせいか、全然切れ味が悪い。コンノヤロー、コノヤローと力ずくで材木を切断する。ホントは新しいチップソーを買うか刃の目立てをしないといけません。よいこのみんなは真似しないようにね。買ってきた材木と加工は以下の通りだす。
支柱 :75cm角3m(5本)→実際に塀に立ててみて調節。結局250cmでカット。
腕木 :2×6×8材(1本)→6等分にカット、更に梁を乗せる部分に切り込みを入れる。
梁 :2×4×4材(4本)→カットせずそのまま使用
尾根 :28mm×45mm×2100mm材(6本)→70cmずつカットして18本に。
目隠し:1×4材(10本)→カットせずそのまま使用
<ペインティング>
防腐加工してある角材だし、もうこのまま組み立てちゃえって悪魔の声が頭の中を駆け巡る。しかぁし、腕木と支柱をアンカーボルトで連結するにしても、コンクリートにアンカーボルトで基礎金具を取り付けるにしても、ドリルがまだないのだぁぁ〜。制作意欲が満々ではちきれそうになってしまっているで、何かしたいっ。ということでペイントです。
防腐、防虫、防カビ、抗菌とオールマイティな(ちょっとうさん臭い)売り文句の水性ペイント1.6Lを用意。水性のわけは、安価、扱いやすい、乾くの早い、ペイント薄め液が要らないなどなどの理由から。防腐効果はやはり油性の方が強力なんだろうが、ま、元が防腐処理済み材だからいいっかなぁと。但し2度塗り3度塗りが必要とのこと。組み立ててから塗ろうっかなぁとも考えてたんだけど、塗りムラ、塗り残し、塗る手間を考えると組み立て前の方がどう考えても有利だよなぁ。
というわけで、かなりしぶしぶペイントしました。そのまま薄めず塗れます、という説明書きを無視して150〜200%くらいに薄めて、塗っていきます。明るめの色「パイン」を選択したんだけど、乾燥してくるとかなり黄色い!2度塗りしても結構黄色い!よくある茶、こげ茶色のラティスよりかなりアメリカンな感じに仕上がりました。乾燥待ちの間に既存のラティスや井戸用ポンプの屋根も塗装しました。
<基礎工事>
くっそ。「きそこうじ」って打ったら最初に「木曽麹」って出やがった。味噌作るんじゃないんだよなぁ。電気ドリルが入荷した知らせを受け、閉店間近のOlympicへ走る。実はこの時既に先日購入した工作台は値上がっていたのだった。(ラッキー^0^)。
翌日、早速、穴あけ関連の作業に入るが…夏まっさかりの作業だで、ここまでの作業も汗だくだったけど、コンクリートのへの穴あけっ!これがまたスンゴイ重労働っ。基礎工事は5本の支柱の足場を固定する作業で、
1つは土面なので穴を掘ってそこに足場用のコンクリートブロックを埋めて終わりとし、4つは支柱固定用の金具をそれぞれ1つにつき4つのアンカーボルトで固定することにしたのだ。
基礎用アンカーボルトはステンレス製が16本分で4000円もする上、その4つ×4本、計16個所もの穴をコンクリートにあけるのが大変なのだ。4つあけては休憩、また4つあけては休憩、16個の穴をあけるまでに烏龍茶2Lほど飲み干した。この金具も一つは注文待ちだったのが穴あけ作業中に届いたとのことだったので受け取りに走り、この日は目に見えた進捗がなく地味な日となったっす。
<腕木の制作と組み立て>
腕木とは支柱と連結して、横にわたる梁を支える部材のことです。加工らしい加工はここしかなくて、なんともシンプルな構造物っす。カッティング工程でも述べたんだけど、梁を乗せる部分に切り欠きをいれ、支柱との連結ボルト用に穴をあけるだけです。ペイント前に切りかきは入れてあるので、あとは支柱に併せてながーいドリル刃でぐりぐり穴をあけていきます。垂直にあけていかなくてはなんないんだけど、ま、そこは適当に…。で、あいたらステンレスの通しボルトで締め付けて出来上がり。
真ん中の支柱だけは梁が2つに分かれている都合上、腕木を2つ取り付ることにした。長めの通しボルトがなかったので、ステンレスネジ棒をホームセンタでカットしてもらい両端をボルト締めとしました。このアイデアはおかあしゃん。このステンレスの通しボルトがちょっと高価かつ10本も購入したんで土台アンカーと共に予想外の出費になってしまいました。作業自体は簡単だったんだけど、夕方までやっていたので蚊にさされまくりでした。
<さあパーゴラの全貌がいま明らかに!>
基礎工事の山場を越え、あとは一気に組み立てどわあ。それは良いんだけど、さて支えのないパーゴラはどうやって自立させようか。つっかえ棒は駐車スペースに車が入って来ることもあるためつけられない。となるとブロック塀に支えてもらうしかありませんな。ご近所迷惑になるのもシャクなので、なんとか目立たないようL字金具を使ってブロック塀のテッペンから少し下がった位置に支柱と連結させることに。強度的に問題があるようだったらまた後で考えようっと。
そんなこんなで5本の支柱を立ちあげた。唯一、土面に立った支柱も同じ高さになるよう調節しカッティング。そして次には腕木に梁を1本、2本と渡しコーススレッドで固定していく。コーススレッドってのは、要するに木ネジなんだけど、釘に比べぬけにくく、普通の木ネジよりピッチが大きく入りやすく、2×4建築やログハウス作りにはよく使用されるらしい。ハンマでなく電動ドライバで組み上げていけるので作業効率がよく、対象物を壊したりすることもなく、音が静かという利点があるのがその理由。でもねー、電動ドリルが十分充電されていなかった私は、余計作業効率が悪くなりました、はい、反省…。
梁を固定し終わると大分形が出来てきましたね。
さらに今度は梁に尾根を取り付けていきます。あらかじめコーススレッドよりやや細目のドリルで下穴をあけておき、あとはビュンビュンと留めていき出来上がりでーす!
<一応完成、あとどうしようか…>
パーゴラ(藤棚)としてはこれで完成なんだけど、当初の目的であった目隠し機能を持たせないと意味がないんですね。そこで、今まで塀にひっかけ設置していたラティスパネルを塗装し直して取り付けることにしました。デザイン性と風を受けたときの強度を考慮し、1×4材を横に数枚はってアクセントをつけました。隣家の窓の位置にフォーカスポイント&目隠しにハンギングバスケットを吊るしてみました。
以上で夏休みの宿題は完成です。満足いくものが出来上がりました。あとは1年に1度塗装し直していけば大分持つと思います。さらにはベンチなんかを足元に設置すれば、かなりガーデニングっぽくなるでしょうね。
かかった費用としては、材木に20,000円、ペンキ・金具・ボルト等に15,000円、工具に16,000円也。
意外に本体以外の工具・ボルト・金具・釘などに結構かかりました。これは設計段階では見えにくいですが侮れない額になりますので、今後何か作ったりする場合にでも十分予算に計上しておいた方が良いでしょうね。
でわでわ。