「北海道行きました。」

不良社会人なTSは有給休暇を消化することもできずに働き続けるサラリー マンとちょっと違って平気で仕事の合間にふらっと出かけてしまいます。新婚 旅行でスペイン村に行った後、1年もしないうちにオーストラリアに1週間ほど 出かけ、更にまたその年の暮れには今度はバンコクに行ってたりする、お出掛 け夫婦でございます。これは1995の話でしたが、今年は流石に入社以来初めて 休めなくなるぐらい忙しくなり、3月中はろくにスキーにも行けず、「にゃろ う」と業を煮やし続けてまして、夏に北海道に行ってきました。冬の北海道は 何度か行ったことがあるのですが、一度夏の北海道に行きたいと思いつつ、未 体験でした。ここ数号のいいちこジャーナルも北海道特集が組まれております が、私なりの感性でちょっと書いてみようかと思います。

しかし高いねー北海道っ。電車行くことを考えていたんだけど時間もお金も かなりかかる。本気で車で行ってしまおうかとも考えたんですが、JH高速マッ プ広げただけで6畳の部屋いっぱいになり、断念しました。で、結局、楽で料 金が電車と同じぐらいの飛行機&レンタカーとなりました。そしてBSのキャ ンプがあるので日程的に3泊4日の全然ゆっくり回れないこと覚悟で…更に札 幌には行かない、ラベンダー満開、函館の夜景バッチリ、添乗員なし…という 条件のツアーを探しました。この時はまだ、ホテルが全泊プリンスホテルとなっ ていたことを私だけが知りませんでした。

♪はぁ〜るばる来たぜ、はぁこぉだぁてぇ〜(JRC2716662:うそ)1時間ちょっ とで着いてしまった函館空港。全然「はるばる」って気がしなくって、やっぱ り電車かフェリーか車でないと感慨が湧きませんねぇ。単なる火曜サスペンス 劇場に使われる田舎の空港って感じです。レンタカーはサニー。う〜んやっぱ り北海道には四駆だよ。是非ノマドで来たいもんだ。函館の街に向かう途中で 五輪サッカー、ブルガリア戦がラジオから流れる。北海道のホの字も感じられ ない道中。函館山の麓に車をとめて、元町あたりをぶらつく。北海道と言えど かなり暑い。町中をはしる路面電車?トロリーバス?チンチン電車?なんてい うのかな…に乗り立待岬まで歩く。なんとなく江ノ電に乗って江ノ島まで歩い た雰囲気に似ている。函館駅前は、う〜ん、どうも田舎臭い。房総の田舎臭さ とは違って、一度はかなり栄えたのに、観光客が去ってさびれた、という感じ だ。あちこちつぶれた店や会社、ビルが錆びつき、電柱ごとにあるラッパスピー カから盆踊りとAMラジオのCMのような雑音が流れ続けている。もう函館は いいや。でも、とりあえず夜景は見とかなきゃ。ロープウェイには3〜4人。 人はほとんどいない。日が暮れるまで函館山の山頂でぼうっと街を見下ろす。 だんだん日が暮れてきた。ふとみると上がってくるロープウェイは鮨詰め!シー ズンインの天神平のロープウェイのようだ。展望台もお土産屋も、うって変わっ て黒山の人だかり。とっぷり暮れると、函館山の眼下には、文字通り宝石をち りばめたよな、いや宝石箱を引っくり返したような、まぶしく光る街並みが広 がっていた。おぉ…これはすごい…100万$の夜景だ。嘘じゃないっ。おぉ‥来 るわ来るわ、人人人…すごい人気だよ、夜景さんっ!

夜景を満喫した後、地元割烹料理屋さんへ。見た目は高そうだが、となりあっ た同じ名前のお食事屋さんの方は、地元の人たちでにぎわういい雰囲気のお店 だった。名前に惹かれて「北海ジャンジャン(セット)」なるものを頼む。3つ の中くらいのお椀にご飯が盛ってありその上にカニ、ウニ、ホタテがそれぞれ のっていた。チンチンに湧いたダシ汁をさっとかけて食べるのだそうな。雑炊 みたいなもんだな。しっかし、これが美味しかったねぇ。ウニは夏が旬なんだっ てね。初めて知りましたよ。スキーで来て札幌で食べたときとは段違いだった ね。あと、このダシ汁っ。なんだか知らないけど、塩加減といい絶品です。 イカそうめんもついてまいした。「大変おいしゅうございました」

夜の北海道道5号を飛ばし、大沼へ。函館大沼プリンスは、とても静かな佇 まいを見せていた。お風呂は池と隣り合わせという不思議な感じがしましたね。 昼間は自転車の貸し出しもしているので、大沼を周遊してみるのも気持良さそ う。ただし、適当なところでUターンするのがいいんじゃないでしょうかねぇ。 1周後半は、日本のお父さん対抗耐久自転車レースIN大沼になってましたから。

天候も良くなかったので、一路ニセコへ向かう。途中、由利徹のギャグが頭 をよぎったので長万部駅に寄る。誉田駅に似た小さな駅で、トラックからおっ ちゃんが発砲スチロールの箱を下ろして並べているのを見かけた。魚である。 ここで売っているらしい。イカの入った箱に800円と書かれている。1杯800円?っ てこたぁないとすると…ひ、ひと箱800円っ!?おいおい何杯入ってるんだよ? 20?30?50?食い切れんな…ホタテも…手よりでかいのが5個で180円!?わおっ。 プリンスに泊らねばならない自分達を嘆きつつ、ヨダレの泊らない夫婦であっ た。女房曰く「やっぱり北海道はキャンプよね」どっかで肉も売ってません?

ニセコは霧だった。ニセコ東山プリンスの高さがどれくらいあるのか判らな いくらい濃い霧だった。近くのラベンダーファームは可愛そうなほど手入れが されていなくて、見れたものではなかった。地図には載っているので観光客の 車が引っ切り無しにくるのが、余計哀れさを誘う。富良野への期待が大きくな る。ニセコのまわりには本当になんにもない。ゴルフ場があるが私には関係な い。ゆっくり風呂にでも入るとするか。ニセコ東山プリンスの露天風呂も函館 大沼プリンスのように池に面していた。ただ水面の高さがほぼ同じで、仕切り の高さもほぼ同じという、海抜0m地帯の堤防のようだった。波立つとお湯が 池に流れ込むといった具合いだ。池を覗き込むと、鯉がうようよ。ボウフラ防 止の為かな?はねてこちらに来たらゆで蛸ならぬ、ゆで鯉になってしまうだろ うに…

翌日早く出ようと7時に食事に出向くと、観光バス3台分の団体客でバイキ ング会場がごった返していた。3泊4日北海道激走ツアーだ。まあこれでも北 海道に行ってきました。とはなるだろうけど、北海道は良かったよと宣われて はかなわんなぁ。だって北海道ってえらく広いんだもの。結局出発は観光バス と同時であった。洞爺湖、昭和新山、小樽、札幌とまわるのだろう。バイバイッ!

運河で写真を撮ろうと、小樽へ向かう。運河で会社の同僚に出会う。普段は、 本庄にいる奴で、幕張の私とはめったに出会わないのに。なぜこの広い北海道 で???とりあえず記念写真をパチリ。小樽オルゴール館を訪れる。お土産を 買い求める人でごった返している。やっぱり夏休みだからねぇ。「北の国から」 のオルゴールを探す。オルゴールがあちこちで鳴り響く館のなかで1曲を探す のはかなり手間取る。やっと見つけたと思ったら、あらあら幾つも出てきた。 片っ端から耳をつけて音を効き比べ、これだっ!というものを買ってきた。こ の音は、1996年9月現在、鈴木家の留守電のBGMになっているので、御視聴あれ。

小樽から札幌をかすめ、バビューンと道央道をひとっ飛び、富良野へ向かう。 途中休憩したSAには、SA内にキャンプ場があった。残念ながらそのままオー トキャンプは出来なさそうだ。滝川で下りてしばらく行くと、信号がない道な のに渋滞しているではないかっ!!札幌、北見、釧路、根室、函館…ナンバー だけ見ても北海道は広い。結局、富良野の駅前近くまで続いていた。ふぅ〜。

ラベンダー畑は、「ファーム富田」というところを目指した。富良野に行き さえすれば一面ラベンダー(おぉ、字面が仮面ライダーに似ている)だと思っ ていた初心者の私は、ちょっと思惑がハズレた気分だった。ちゃんと栽培して いるところでないと、ラベンダーは育たないらしい。ま、雑草じゃないんだか らなぁ。たどりついたラベンダー畑は、「おぉ、これぞTVや写真で見た石田 あゆみのバックに映えるラベンダー群っ!」そのものであった。う〜ん、絵に なるっ!空は薄曇りで、人もたくさんいたが、それでも私を魅了するに充分な 景色だった。これが富良野だぁ〜っ!これが北海道だぁ〜っ!写真やビデオじゃ 全ては伝わらんだろうなぁ。ラベンダーソフトクリームを食べながら写真をパ チリパチリ。

このソフトクリーム、フィリピンで食わされた原色ケーキを彷彿 させる。ラベンダーってのは類似品が結構あって、紫色の小さな花でも良く見 ると全然違う形をしているものも多い。ドライフラワー売り場で、ラベンダー を手にしていたつもりが実は違う花だったりする。本当のラベンダーは一つ一 つは本当に小さな花で、それが1株をなし、群生して人々を魅了する。少し日 が傾きかけて、観光バスが減りはじめた。私たちもラベンダーに別れを告げる ことにした。

富良野と言えば「北の国から」である。実は私は松が丘プリンスでは「北の 国から」のどのシリーズでも通して始めから終りを見たことがない。ぶつ切り でしかないのである。イイチコ編集部では驚かれるかも知れないが、意外と松 プリでの滞在時間のわりにビデオ鑑賞の時間が少ないのがTSの特徴なのだ。 さて、まずは黒板五郎の家を見に行く。富良野の駅からしばらく行くと「北の 国から」の舞台へようこそ、という看板が掲げられている。そこから木々の深 い道を更に7kmほど飛ばす。すると急にひらけた、いわゆる北海道っ!という 風景に出会う。道の傍らには「黒板五郎の家*km」とある。更に加速… 「石の家」は完全に観光地となっていた。家の手前100mぐらいに駐車場があり、 ガリ版パンフレットを置いてある小屋もあった。石の家はまぎれもなく北の大 地にどっかと建っていた。まだ撮影に使うため立ち入りは禁止。見物台には 「五郎さんが静かに暮していますのでそっとしておいてください」とあった。 これを独りでつくったのかぁ?すんげぇなぁ。渋川ログハウスも大騒ぎだった けれど、ドラマとはいえ五郎さん偉いね。涙出そうだよ、うん、うん。ジュン もホタルも戻って来ないかもしんないけど、がんばったよ。うん、うん。すっ かり地井武生になってしまった。

もう1つの麓郷の森へ向かう。いわゆる「北 の国から」歴代の小屋展示会場だ。おぉ…こちらには観光バスが何台も来てい るっ!石の家までは道が細くバスは入っていけなかったせいか、見かけなかっ たのだが。ホタルとジュンの幼少の頃のボロ小屋は、本当にボロくなり、倒壊 注意とされていた。中は観光客の落書きだらけで、相合い傘が彫られたれして、 悲しくなった。見なければ良かった。残念でならない。

富良野プリンスに向かう途中で、お花畑を見かけた。麓郷には、あんなに人 がひしめいていたのに、ここにはひとっこ一人もいなかった。「写真と撮るた め畑の中に入ってもかまいません」とあって、うれしくなった。

だいぶ暮れて いたのであまりいい写真が撮れなかったが、明るいうちなら、かなりのロケー ションが期待できるだろう。富良野プリンスは外観こそ、渋い造りを見せては いたが、どうも中身がプリンスではなかった。各部屋のアパートより狭いユニッ トバスのみで大浴場がない。致命的だ。レストランもバイキング形式のメイン ダイニングのみで、団体客がうようよしていた。ま、せっかくの富良野の夜を こんな気分で過ごすのはやるせないので、車でぶ〜んと外へでた。何やらお祭 りの雰囲気が漂っている。オラが町の青年団っぽいのがバンド組んで演奏して いる。うろうろ走り回ったが結局、プリンスから車で3分と離れていない、洋 風の飲み屋?軽食屋?に入った。店のマスターはあちこち転々とした人らしく、 ビール頼もうにも沖縄のオリオンビールがラインナップされている、という具 合いだった。まあ、ここは北海道限定のビールを頼み、たくさんつまみ?を頼 んだ。海から離れてはいるがウニスパゲティは、なかなか美味しかった。「へ そ祭りには行かないの?」とマスターに突っ込まれ、「えっ、今日やってんだぁ」 と、ボケてしまった。聞いてはいたが、あまり見に行くつもりもなかったので、 そのままそこで呑んでいた。メロンとミカンまでサービスで頂き、結構いいお 店であった。翌日は、富良野プリンスから千歳まで直行3時間半。千歳空港で カマンベール・チーズとバター、夕張メロンゼリーを買う。全部自分達のお土 産なんだけど…。千歳から羽田まで1時間半。夕方には幕張に着いてしまった。 しかし飛行機は早い。10日間ぐらいかけて今度は車でトライしてみたいっ。