Ryohei's Exhibition 2004


 昨年11月12月に作った、T邸のためのキャビネットとテーブルは、今までで一番大きな仕事で、作り終えた時大きな充実感がありました。何百年という年輪を刻んだ立派な丸太を切り刻んでいく、そのことに戸惑いは今でもあります。しかし、一本の木から作り上げた家具には、他では得られない存在感がありました。反対に、無造作に捨てられていく木っ端、それを生かしていくのもとても楽しいことです。一番下の「木っ端時計」、実は私のお気に入りです。 バタフライテーブルや椅子なども、比較的短く、幅の狭い材料で作ることができます。



ローキャビネット
アルダー、ブラックウォールナット

 下に登場する、T邸のための作りつけキャビネットのイメージと練習を兼ねて製作したもの。安い材料を使って高品位な家具を目指しましたが、如何でしょうか。

 中段は扉を開いたところ。裏板はシナ合板、ヒンジはL型ナイフヒンジ。

 中央の引き出しは、前板をゆるい凹面にし、取っ手とのコントラストを楽しむようにしています。

バタフライテーブル
アルダー

 人が来た時など、「もう一つテーブルがほしい」と思うことはよくあります。そんな時に活躍するのがバタフライテーブルです。でも、構造をよく理解していないと指を挟む危険性がありますので、大きなメーカーは作らないでしょうね。

引出箱
タモ、チェリー、ハードメイプル 

 一昨年のロシア支援実習で見本として作っていた箱に、引出を入れてみました。一度アリ組で引出を作ってしまうと、釘を打って作ることがやりにくくなってしまいます。包み打ちつけでも通常の使用ではまず問題は出ないのですが・・・。

T邸のためのカウンター、キャビネット、テーブル
主材:タモ 

 なんと、二年前から、この仕事の話があったのです。工房を設計してもらった、佐々木氏からの依頼で、RCの新築住宅の居間用で、壁にそった6mの一枚板のカウンターとその下に入るキャビネット、そして3mのテーブルという、ご注文です。一枚板は好きではないのですが、「一度丸太から作ってみたい」という軽い気持ちで受けたものの・・・、実に大変でした。
 元の直径が70cm、長さ6mというタモの丸太を製材し、ほぼ一年寝かせてから、人工乾燥にかけ、板を選んで、運ぶ、それだけでも一人でやっている工房には無理がありました。

 立派な丸太でも、無傷な長い板をとるのは至難の技です。結局比較的きれいな板二枚選んで、大きなサンダーのある加工屋さんで、カウンター材を加工してもらい、仕上がりを見て最終的に一枚を選びました。それでも板厚を保つために、ひねりは残ったままです。

 カウンター材を納めて、キャビネットはまだまだと思っていたら、急に「12月中に納品してほしい」ということになり、キャビネットとテーブルを約一ヶ月半で製作しました。日ごろノンビリやっている私ですが、この間、ホントよく仕事をしましたね。

 写真上はテーブルの1/10の模型です。迷っているときは模型を作ると、頭がスッキリします。





キャビネット

 各々3つの扉を持つ1.2mのキャビネットを三つ並べています。合計9枚の扉が並ぶ姿は壮観です。本体は木口にタモ材を張った18mmシナ合板で作っています。

 「左端は事務仕事をするスペースで、そのとなりのキャビネットにはA4ファイルキャビネットやCDを収納したい」という希望があり、左端のみ、トレーの列とフルスライドの二段キャビネットの二列の構成としました。中央と右側のキャビネットはは棚板が入ったシンプルな構造です。

 スライド兆番は、便利で使いやすいのですが、扉が90度までしか開きません。それで、180度以上開くことができる、このタイプのヒンジを使いました。左端のトレーの部分では扉が270度回転して、カウンター下に収まります。

座卓に変身するテーブル

 3m近いテーブルの天板はとてつもない重さです。また立派な板を接着剤で張り合わせるのも躊躇われました。それで幅45cmほどの板二枚をサネを入れて1cm離して並べることにしました。

 板一枚につき、4本、両方で8本のアリ桟がしっかり仕込んであります。脚部はシンプルな構造ですが、わざと幅を30cmにし、木製ペグを抜けば、ご覧のとおり、座卓に変身します。この作業は大人が二人いれば大丈夫です。

 本当は木裏を上にしたいのですが、美しさ重視で木表を上に使っています。両端は柾に近いので、問題はでないと思います。


スタッキングアームチェア
ハードメイプル、チェリー、ペーパーコード、ナイロンテープ

ウチの定番椅子の最新バージョンです。
木っ端時計

前々から「台所に時計作ってよ!」といわれ続けていました。ようやく作ったのがこの時計。全ての材料は工房のスクラップ材の箱から来ています。
 漁師さんが船の上で作る、魚のあらを使った料理と同じで、木っ端を作るために立派な板を切ったりはできないのです。同じものは作れませんので、あしからず。

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