ロンドン旅行記2013

 旅行を終えてからすでに10ヶ月近くたってしまった。すでに記憶が曖昧になってきてはいるが、自分のためにも記録を残しておきたい。ロンドン旅行は極めて寒かったことを除けば、何のトラブルもなく実に順調、というか海外に居る気がしないほど冷静に旅を終えたので、逆にインパクトが少なかったとも言える。3月下旬の教室がない週末を利用しての海外旅行だが、少し準備が遅れたせいか、手頃な旅行が見つからず、間際になって”JTB旅のアウトレット”という格安ツアーサイトでロンドン5泊のバーゲン旅行をすることになった。

3月28日(木)
中部国際空港 → フランクフルト乗継 → ロンドンヒースロー空港 → ホテルRoyalNational

 ルフトハンザは二回目だが、簡素で実質的、自分にはちょうどよい感じ。広大なフランクフルト空港も二回目で乗継も問題なし。今回の格安ツアー、空港から現地係員がホテルまで送ってくれるサービスが付いている。二回目となると、ホテルまでは地下鉄ラッセルスクエア駅まで一本で行け、そこからの道もわかっているので、特に必要ではないが、日本人現地担当者が車を手配し、ホテルの部屋までチェックしてくれ、安心&楽チンではあった。ホテルは団体旅行でよく使われる超巨大なビジネスホテル級。部屋ではインターネットができず、ロビーでWifiをつかまえ、メールチェック。。あまりお腹も空いていないので、機内食で配られたサンドイッチを食べ、シャワーをあびて本日は終了。


Royal National

3月29日(金)
Victoria Albert Museum → ケンジントン宮殿 → Cafeオランジェリー → VAM → ピカデリーサーカス → 三越 → ラッセルスクエア

本日は、木工関係でぜひ見たかったVAMの家具展示場を真っ先に訪問する。その前に、ホテル近くのショッピングモールにあるThree3という携帯ショップに行き、データ通信専用SIMを購入する。有効期間は一ヶ月でデータ量1GBまでで1000円少々。これを日本であらかじめ設定をしておいた持参のイーモバイルWifiルーターD25HWに差し込み、出歩く先でデータ通信が可能になった。それからラッセルスクエア駅で日本のSUICAに相当するチャージ式切符”オイスターカード”を購入。ロンドンは地下鉄の値段が高いので、絶対にこのカードを入手すべき。使い切れなかった分は、限度はあるものの、空港駅で払い戻しを受けることができる。

さてVAM.。撮影禁止の場所もかなりありますが、家具展示場はOKでした。このレポートは以前書いたものをほぼコピーしています。

 

 立派な入口を入り、左奥のエレベーターで6階へ行くと家具と陶器の展示場。細長い展示場の両側と中央に、古い時代から現代の家具まで多数展示がされています。また木、金属、石、プラスチック、繊維など様々な材料を使い、手の技からコンピューターによる立体成型の技術まで展示やタッチパネル、ビデオ等で丁寧な展示がなされていました。

 

 イギリスと言えばウィンザーチェアですが、古いオリジナルに近い形を知ることができます。かなり前に小国木材加工研究所で行われた製作講習会で聞いたとおり、脚は通しホゾではないのが本来の形のようです。弓形のストレッチャーの形も同様です。右はトーネットの曲木椅子ですが、接合にかなりダボが使われています。

 

 左はキャビネットの構造をわかりやすく分解展示したもの。桟や抽斗を受ける構造、また裏板の取り付け方法など参考になります。右は象嵌の美しいキャビネットですが、この技法について、タッチパネルで詳しく解説がしてあります。

 

 タッチパネルの右半分で製作過程が動画として映し出されます。3種類の金属などの薄板を重ねて貼り合わせ、右の写真のようにレールの上を直線的に動くようにした手の糸鋸(弓鋸)で切り抜いています。このビデオをV&AMuseumのウエブサイト上で見ることができます。

 

 左の椅子は、部材加工の多くの過程をコンピューター制御の木工機械で行われています。正直なところ、「ここまでやるか!?」と驚いてしまい、小さな木工屋が必死で木を削っていてよいのだろうかと疑問も感じてしまいました。ただ、なんとなくツルンとした無機質な感じは機械加工だからかもしれません。右の樹脂製テーブルは、木をモチーフにしたアイデアからコンピュータープログラムにより枝分かれした立体図を作成、それを3次元プリンターでしょうか、ビデオではよくわからないのですが、レーザーで位置決めをしながら、すべて機械で製作されています。このプロセスもネット場に公開されています。クラフトの領域でも、近い将来このような制作方法が主流になるのかもしれません。

 

 左の木のブロックは、様々な種類の木で、それをさわると、その樹種に応じた説明が表示されます。右のU字型のベンチは、休憩用と思われるコーナーに設置してあり、この展示場に相応しいユニークなベンチです。

 

 最新のデザインがユニークな家具も多数展示されています。左の本棚、面白いですね。安易な真似はダメですが、発想の原点は参考になるように思います。右のキャビネット、机にも変身できるのです。これはTomoko Azumiさんというロンドンで活躍されている日本人デザイナーの作でした。

 さて、ロンドンまで行けなくても、V&Aのホームページを丹念に見れば、会場で見ることができるビデオなどはほとんど公開されていて、見ることができます。英国の木工雑誌”Furniture &Cabinet Making”でも頻繁にこの展示場のことがとりあげられており、イギリス本国でも今注目されているようですので、ぜひ一度ホームページをのぞいて見てください。

Victoria and Albert Museumの家具展示場

VAMを出てケンジントン宮殿へ向かって歩く。緑の多い公園へ入り、10分ほど歩くと左手にケンジントン宮殿がある。ここは若い皇太子夫妻が住んでいるということだが、目的はそれではなく、宮殿前の”Cafeオランジェリー”。カフェというよりも高級なレストラン風で、ラフな服装で入るのがちょっと躊躇われた。丁寧な接客で緑の庭を大きなガラス戸越に見る席に案内され、自分はサラダとビールを注文した。周りを見ると、現地の方と思しき男性がサラダだけを頼んでいたので、それで問題はないようだ。このサラダ、私的には絶品だったと思った。みずみずしいさまざまな緑色野菜に、スライスされたチーズ、そしてカリカリのベーコンがバランスよく入っていたし、ドレッシングがアッサリしてはいるが独特で、大変美味しかった。今まで食べたサラダの中で一番美味しかったかも。アフターヌーンティーが有名らしいが、軽い食事にサラダはおすすめ。ゆったりとした時間が過ごせる割に値段はそれほど高くはなく、一人2500円くらいだったと思う。

 
ケンジントン宮殿(左)とCafeオランジェリー(右)

この後は、VAMに戻り、少しトイレ休憩の後、地下鉄でピカデリーサーカス付近の繁華街、三越や本屋を散策。太陽が沈みかける頃になると寒さが厳しく、今日はホテルの近くの中華料理店で夕食とする。これが失敗。神戸の中華料理に慣れている自分達、海外の中華料理でよかったことがない。リスクはあっても、やはり土地の食事がよい。海外で安易に中華料理店へ行くのはやめようと毎回思う。

3月30日(土)

ポートベローマーケット→金物屋→大英博物館→コベントガーデン→Fish&Tipsの店

以前来た時も、ポートベローに来ているが、マーケット開催日ではなかったので、今回はぜひ開催日の土曜日に行ってみたかった。地下鉄ノッティング・ヒル・ゲート駅から案内看板の方向に歩く。沢山の人が行くので迷わない。住宅街と思われる地域に入ると道の両側に露店が並んでいる。早朝だったので、まだ回転準備中のテントも多い。アンティークマーケットとして有名だが、場所によって食べ物があったり、服があったり、実にバラエティーに富んでいて、フリーマーケットのようなのが1km以上も続く。とにかく端まで歩いてみて、あとゆっくりと店を見ながら引き返す。帰りは露店だけではなく、通りにあるアンティークの店にも入ってみた。人通りの少ない平日だとビルの奥まで入って小さな店々を見るのは躊躇われるかもしれない。マーケット開催日は人がごったがえしているので、スリに気をつける必要はあるが、どんどんいろんな店に入っていける。怪しい品物も多くあって掘り出し物を見つけることは困難だと思うが、英国のアンティーク文化を知るには大変よい経験ができた。

 寒いしトイレが心配だが、マーケットの中ほど、道路の両側に半地下の公衆便所があって、そこで用が足せる。女性はちょっと厳しい雰囲気なので、カフェにでも入ってトイレを借りるしかないかも。世界的に有名なアンティークマーケットではあるが、京都で毎月21日にある「東寺の弘法さん」や毎月25日の「北野天満宮の市」はこれに充分対抗できるほどすごいと思う。

 
アンティークカメラの露店とポートベローのストリートマーケット。


寒い中、頑張って音楽をやっているオッサン達

お昼頃地下鉄の駅へもどり偶然金物屋を発見し立ち寄る。ここがなかなかよかった。真鍮製のヒンジやつまみ、日本では入手しにくい、接着剤や塗料なども並んでいて、面白かった。ヒンジを数種類買って、駅近くのマクドで休憩する。ニューヨークのマクドはあまり綺麗な店ではなかったが、英国や北欧では結構重宝されていて店も美しいようだ。トイレ休憩のためにマクドでお茶する人は多いかも。

 ポートベローの次は、大英博物館。ただ土曜日ということで、メチャ混み。私は二度目なので、ミイラやロゼッタストンなど見所を足早に回り、人並みを避けるように外に出た。そこから歩いてコベントガーデンへ。コベントガーデンは映画「マイフェアレディー」のロケ地として有名で、雰囲気があって好きな場所。今回は奥の方にあるクラフトマーケット的な所もじっくり見た。ただ、ここも人が多い。地下からおいしそうな匂いがするのでたまらなくなり、パエリアを一皿買って食べるが、日本のお祭りの屋台みたいに、値段のわりに量が少なかった。

 
コベントガーデンのパエリアとジュビリーマーケット

コベントガーデン近くにフィッシュアンドチップスで有名な店があるというので行ってみたら、小さく狭い店に人が大勢並んでいた。そこで店に入るのはあきらめ、テイクアウトしてホテルで食べることにする。ロンドンプライドというエールビールも買い込み、ホテルの部屋で食べる。まあ単純に魚のフライであり、日本人が好む味だと思う。意外とあっさりしていて、ペロリと平らげた。とにかく今年の3月は記録的な寒さということで、夜は氷点下となり、外へ出る気にならず、早めに寝た。余談だが、ロンドンプライドのビール、なんと近所のジャスコで売っていた。

3月31日(日)

National Gallery→バッキンガム宮殿→ビッグベン→トルファガー広場、中華街→ロンドン塔→有名パブ

日曜日、今日は中心部のオノボリさん的観光だ。ナショナルギャラリーはトルファガー広場の前にあって、無料で出入りできる立派な美術館。市内中心部でのトイレとしても利用価値が大なのだ。パリは美術館が有料だが、ロンドンは無料のところが多くていい。

 美術館では教科書で見るような有名な絵画が多数展示されていて、絵が好きな人は見逃すことはできない。欧州全般に言えるが、キリスト教に関係する絵画が多いので、仏教の日本人にはわかりずらいかもしれない。権威を感じさせる絵よりも、普通の人の生活や、作者が感激した風景画や抽象画の方が好きだ。

 
トルファガー広場とバッキンガム宮殿への道

 
バッキンガム宮殿では衛兵の交代式が有名。宮殿前の静かな森の散歩を楽しむ。

 
こんな鳥が悠々と歩いているところ見ながら、ビッグベンへ。


衛兵交代式が見れなかったのでこれで代用

 ぐるっと回って、またナショナルギャラリーへ戻り、地下の軽食コーナーで、暖かい紅茶とサンドイッチを食べる。暖かいナショナルギャラリーで休憩できることがありがたい。その後、中華街で前に来た時に気に入っていた中華料理店へ入るが、どうも美味くない。一昨日海外の中華に懲りたはずなのに、また失敗を重ねる。自分は”汁物”や”麺類”が好きなので、失敗を重ねることになる。

 次にロンドン塔近くの別のマーケットへ行ってみた。服がメインで、イマイチ雰囲気がよくないので、ちょっと見ただけでよしとする。時間はあるが、入所料の高いロンドン塔は外から見るだけにし、ロンドン橋を見て、バスで中心部へ戻る。そして、有名なパブへ行くが、いっぱいで席がなく、カウンター前に立ってビールを飲んでよしとした。とにかく、夜になると本当に寒い。今日は食事が不規則で、無理をせず、PRETでちょっと高いサンドイッチを買って、夕食とした。

 

4月1日(月)

セントポール大聖堂→テートモダン→ハロッズ→地元スーパー

 本日事実上の最終日。朝一番、セントポール大聖堂へ向かう。ダイアナ妃の結婚式が行われたことでも有名。地上85mまで階段を使って登ることができるので、登るしかない!

 
85m最高到達点は、メチャ寒かった。

 それから橋を渡って現代美術のテートモダンへ行く。二度目だが私はここが結構お気に入りだ。最上階のカフェでテムズ川越しにセントポール大聖堂を見ながら、カフェタイム。

 展示は撮影可のものが多く、ここも入場無料。「本当に無料でいいの?」と思うくらい。「日本の美術館は、どうなのよ」と思う。

 
木のオブジェ。ピカソの絵もなにげなくあったりする。

 その後、帰国に備え、お決まりのお土産買いで、超老舗デパート”ハロッズ”へ。このデパートはやっぱりすごいと思う。大きさはそれほどではないが、例えば子供用品売場でもそのムード作りが極まっている。高級カバン売場の奥すぐに食品フロアで、そこにはさまざまな高級食材が並んでいて、自分には縁遠いとはいえ、興奮する。広さとか大きさではなく、なんというか、売場作りの基本姿勢が違うようだ。ただ、今日も祝日のためかメチャ人が多く、昼食も簡単にはとれない。デパートの向いにあるPRETのサンドイッチとお茶を買い込み、外の椅子で食べる。チェーン店PRETのサンドイッチはちょっと高いが、美味しくて便利。

 その後ホテル近くのスーパーへ行き、最終の買出しをする。あとは最後の晩飯ということで、近くにあるネットで見つけたChao Bellaというイタリアンの店へ行く。席は狭く、現地のイタリア系の人達が集って歌を歌ったりしている陽気な店で値段は良心的。サイコロ大のパルメザンチーズの塊とオリーブをあてにビールを飲み、パスタとサラダを注文。それにミネストローネを頼んだら満腹。イギリスでイタリアンは本筋ではないが、慣れている味で美味しかった。

 
ホテル近くの新しいショッピングモールとレストラン”Chao Bella”

4月2日(火)

ヒースロー空港→フランクフルト空港→(翌日)セントレア

 朝早い便なので、5時の暗いうちにホテルを出て地下鉄に乗る。朝の暗い日差しの中、ロンドンの町並みをみながらヒースロー空港着。空港で朝飯と思うが、食べたいものがなく、結局またもPRETのサンドイッチのお世話になった。乗継も問題なく、予定どおり、セントレアまで帰りついた。

旅を終えて

 本当は旅行記をもっと早く書くべきだったのだが、なんとなくズルズル遅くなってしまった。その理由のひとつに、全くトラブルなく旅が終わったこともあるかもしれない。二回目ということで土地勘がある程度あり、また英語の本場なので、言葉やいろんな表示もわかりやすかった。また3月末としては記録的な低温が続いたので、夜まで街を歩くことがしにくかったこともある。しかし、それだけではなく、前回のパリの印象が強すぎたのではないかと感じている。安全かつインパクトのある旅行・・・、次の機会があれば、どこにしようかな?。