米国西海岸卒業式旅行 2011年6月8日〜16日

 高校卒業後進路がはっきりしなかった娘(N子)が、アルバイト生活を続ける中「大学へ行きたい」と言い出し、ほとんど独学で英語を勉強し、チコのコミュニティーカレッジからサンルイスのカレッジに移り、さらにカリフォルニア工科大学(通称カルポリ)の建築に編入、6月11日に卒業式を迎えた。あちらの卒業式は大変大きな行事で、親や友達が大勢集まり、盛り上がるそうで、私達にも来てほしいと言われていた。もともと旅行好きでもあり、一週間以上工房と自宅を留守にする不安もあったが、無事に行ってきた。普通の観光では経験できないようなこともあったし、何かの参考にでもなればと、その記録を簡単にまとめた。

6月7日(火) 名古屋自宅-豊中
 セントレアから米国西海岸への直行便がなくなったからだろうか、3月の時点でも中部発の安い航空券が見つけられず、結局HISのオンライン予約で航空券を確保した。行きは伊丹空港〜成田〜ロサンゼルス、帰りはロサンゼルス〜サンフランシスコ〜関空というちょっと複雑なチケットだが、二人で総額178000円は安い方だと思う。しかし、車で実家のある豊中へ行かねばならない上に、名神が集中工事期間中で、前日7日にカミさんの実家へ行き一泊した。

6月8日(水) 豊中-伊丹空港-成田空港-ロサンゼルス
 豊中の実家からタクシーで伊丹空港へ。20代はここから毎月松山や高知・高松などに行っていたし、初めての海外出張はここからサンフランシスコ経由でセントルイスへ行った。華やかだった伊丹空港が、関空に国際線が移り、ちょっと寂しくなっていて感慨深い。午後二時過ぎにやっと空へ飛び立ち、すぐに成田についた。ところが、成田の乗り換えやパスポートチェックに予想外の時間がかかり、トイレも行けないでロサンゼルス行きの機内に。ツアー客よりアーミーのアメリカ人が多かったように思う。約10時間の狭い座席はやっぱりシンドイ。それと機内食が本当にショボイ。上空はジェット気流の状態が悪く、前半は揺れが収まらなかったが、酔い止め薬のアネロンが効いて、気分が悪くなることはなかった。

やっとついたロス空港。ところが、パスポートコントロールのパソコンがダウンしていたらしく、長蛇の列ができている。こういう場合でも、全然あせることをしないアメリカ人スタッフ。皆呆れ顔で待つ。並ぶことナント2時間、やっと外に出て、N子と合流できた。カローラに乗りこみ、レモネードという名前の洋風お惣菜屋さんへ行く。ここは人気があるらしいが、私は時差や疲れで、あまり食欲がなかった。

そして、今日と明日二泊するThe Embassy Hotel Apartmentsへ行く。このホテルはTrip Advisiorで値段の割りに評価が高かったホテルで、ホテルというよりも、古い洋館を改造した長期滞在も可能なアパートなのだ。部屋は静かで心地よく、実に快適だった。ホテルのようなサービスは期待できないけど、シンプルな滞在が好きな方にはおすすめ。現地の友達に聞いたところ、「宿泊するならサンタモニカ」ということで、ロスに滞在する間は、サンタモニカ周辺に宿をとっている。後半は別のホテルだけど、そこも快適かな?


ホテルの外観とロビー
ホテル前の街路樹

ホテルで夕方一眠りしてから、娘と友達との4人でサンタモニカのピザバーで夕食を食べた。今風な若者向きのピザバーで、ちょっと落ち着かなかったけど、美味しかった。

余談:
チップもクレジットカードで払うことができる。勘定書きがきたら、それにクレジットカードを挟んで、店の人に渡す。スキミングの不安はあるが、後日のチェックをしっかりするしかない。戻ってきたカード控えにサインし、チップの額を自分で記入するのだ。飲食代の15%〜20%。こちらの人はチップは気前よく払うので、それを見習う。税金の金額の約二倍と覚えておけば計算しやすい。サービス料がすでに加えてある時は基本チップは不要だが、サービスが良かった場合はチップを払うこともある。「郷に入っては郷に従え」で、チップはケチらないこと。

ホテルに戻り、長い長い一日が終わり、やっとベッドで寝ることができた。

6月9日(木) ロス市内・近郊観光
今日は数少ない観光でフリーな一日。早朝、ホテルから歩いていけるサンタモニカのビーチを散歩。サンタモニカビーチというとサーフィンが思い浮かぶが、実は夏でも結構寒くて、とても泳ぐ気にはなれない。朝は長袖が必要で、日中でも日陰に入ると乾燥しているせいか、すっと涼しくなる。正直なところ、夏はこちらで過ごしたい。


(広いサンタモニカビーチと見事な木)

N子と友人と合流し、UCLAに近い華やかな町で人気があるというパンレストランへ行く。私はおすすめだというフレンチトースト(写真右手前)、カミさん達はオムレツのプレートを頼んだ。値段は安くはないが、繊細で美味しかった。

その後UCLAへ行く。友人がUCLAの大学院に行っていたので、N子はうまく入り込んで、建築のスタジオを利用させてもらっていたらしい。女の子、恐るべしである。


UCLAは有名な大学だけあって、居心地良さそう。紫の花(ジャカランダ?)が咲く街路樹が美しい。


ここも明日卒業式で、いろんなところに椅子が並べてあり、会場準備が進んでいた。

友人と別れ、3人でゲティーセンター、The Gettyに行く。ビバリーヒルズに近い山の上に作られた美術館もしくは博物館で、美しい白い建物や庭園がある。ロサンゼルスでは観光スポットとしては外せない所らしい。入場料は車一台15ドルの駐車場だけで何人でもOK。夕方5時以降はそれも無料になるらしい。


駐車場に車を置き、小さな電車で山の上に上がる。ハリウッド付近のフリーウエイ


会場内の水のある広場とサボテンガーデン

夕食は、近くのタイ料理(国名記憶曖昧)レストランへ行って、あちらのうどん、フォーを食べて、ホテルへ帰った。

6月10日(木) ロサンゼルス-サンルイスオビスポ-モロベイ

 今日は卒業式が行われるサンルイスオビスポへの移動日である。午後から行けば間に合うとのことで、午前中はN子の家で衣類の洗濯をしたり、卒業製作の冊子作りのために、模型の写真を撮ったりしていた。私にはよくわからない、複雑な形の模型である。

 アメリカはハンバーガーチェーンの本場。この頃、In-N-Outというハンバーガー屋さんが人気があるらしい。たしかに、フレッシュで美味しいと思う。娘が言うには、ここのフライドポテトは生のジャガイモを店で揚げているという。日本にもやってくるかな?

 サンルイスまで3時間ほどと甘く見ていたら、ロスを出るまで既に渋滞。後も半分くらいまで、厳しい渋滞の連続で、5時頃からおこわなわれているという卒業式前日のパーティーに間に合わないかもと焦る。途中、私が運転をする(日本で国際免許を作ってきた)が、昔ポートランドあたりで運転したのと比べ、ロスのフリーウエイで車の多さと流れの速さにちょっとついていけない。路面の悪い道を平均時速120〜130kmで流れている感じ。最初運転が慣れるまで、カミさんや娘は、心配の極地だったようだ。

なんとかパーティー終了までに学校につき、パーティー会場に入ることができた。そこで先生や友達に挨拶をした。写真はその会場の裏庭。何のことか全然わからないけど、ようするに大学の校舎の裏側である。

そして、ドライブで疲れた体を休めるべく、20kmほど離れたモロベイの”モーター6”モテルへ行く。アメリカ各地から卒業式で人が集まるため、大学のあるサンルイスでは3月でもホテルが取れなかったのだ。しかたなく予約したチェーン店のモテルは、シンプルに泊まるだけで、あまり居心地は良くない。でも本当にホテルがないのか、夜に娘の同級生が「部屋がないか聞いてくれ」ということでフロントに聞いたが、本当に部屋は空いていなかった。卒業式の日は小さな町の人口がドット増えるのだそうだ。N子がテイクアウトしてきたメキシカンフードをホテルで食べるが、私はこれがどうにも喉を通らず苦労する。うどん、そば、ラーメンなど、汁物好きな私、ドライ系の食べ物が多いメキシカンフードは苦手。

6月11日(土) モロベイ-サンルイスオビスポ-モロベイ

今日が今度の旅のメインイベント、卒業式である。どこからともなく、人が集まってくる。目指す場所は、大学構内のアメフトスタジアム。ここで全体の卒業式(有料)が行われた後、午前と午後、学部で二つのグループに分けて卒業証書授与式があるらしい。説明がめんどくさいので写真を見てください。


アメフトスタジアムとグランドに並べられた椅子


保険室ならぬ、保険テントや、飲み物の売店もある。


スタンドまで満員に。式の中ほどでは、鳩が飛んで、喝采をあびる。


30ドルで各自が購入する黒い卒業式用服と帽子。式の入場券10枚がついている。


首からかける花輪は親が買ったりするらしいが、ウチのは友人からのお裾分け。


卒業式の後は、建築の校舎で、甘いクッキー食べ放題のパーティー。日本ではありえへん。

 卒業式が終わって、お祝いに来てくれた友人達とモロベイの人気「フィッシュアンドチップス」の店に行く。30分ほど並んで、ニンニクの香りが漂う、魚やイカのフライ、ポテトなどを食べる。最初はとても美味しいけど、油がきついのか、半分ほど食べてグッときてしまった。こちらでは、残した料理は、箱に入れて持ち帰る。

夕方の一時、友人と昔飼っていたピタを連れて、サンルイス近くのドッグランへ行き、その後岩のある裏山へ登った。


写真右上方の突起が目指す岩。右はピタ君。

さて、夜はお祝いということで、家族3人でサンルイスの日本食レストランGoshiへ。メチャ茶流行っている日本人経営のレストランで、ここまでお客を集めているのに驚いた。3人で鮨の立派な船盛を注文したが、アメリカ人には二人前だが、私達3人でも充分な量があって60ドルはお値打ちであった。そしてモテル6に帰って、ロスに明日昼前に着くため、早く寝た。

6月12日(日) サンルイスオビスポ-ロサンゼルス、ビバリーヒルズ周辺

 昨夜、急にN子の友人とロス、ビバリーヒルズのマンション付近で会食をすることなり、早朝から宿を出てロスへ向かう。道中Woodcraftのショップへ立ち寄る予定だったが、あまり時間がとれなくなった。車の中でカミさんと娘が待っているため落ち着かず、20分ほどで、バンドソウのパーツ二点を買っただけ。ただ、特に買うモノがあったわけではないし、ゆっくり買い物なら、ネットの方が便利だ。唯一の木工関連プランだったのだが・・・。

 ビバリーヒルズというと高級住宅地というイメージが私にはあるが、若い方はテレビで放映された「ビバリーヒルズ青春白書」の方が馴染みがあるらしい。ロスは本当に車社会で、ビバリーヒルズであっても、すこし探せば路駐ができる。ただし、時間帯とか曜日とか規制をよく見ないと、罰則が厳しく、大変な目に合うらしい。

 知人達と合流し、朝食に有名なレストランへ行くが、お客がいっぱいなので、とって返し、徒歩で近くの高級ハンバーグレストランへ行く。”The Counter”というロスに何店かお店があるハンバーガー屋さんだ。設計図みたいな、ひとり一人にシートを渡され、肉の種類やトッピングを選んで記入し、好きなハンバーガーを作ってくれるのだ。カミさんも私も、ここのハンバーガーがとても美味しく、気に入ってしまった。ただし、ひとり1000円以上するので、勝手に高級ハンバーガーと呼ばせてもらう。この店、原宿や渋谷にできたら流行りそう。

その後、近くのLos Angeles County Museum of Art(LACMA)やとなりの石油が出ている池(写真)を見る。それから、ビバリーヒルズの高級なお店が並ぶ商店街を見たり、ハリウッドの町並みをドライブして、今日から3泊するSea Shore Motelへチェックイン。ここもTripAdvisorの評判を見て選んだ宿だが、簡素ではあるが、部屋や広く、サンタモニカの海岸へも徒歩5分ほどで、とても居心地がよかった。空港からも比較的近いので、ロスへ行く機会があったら、ここを選ぶかもしれない。今日はややお疲れでもあり、日本食スーパーでカップめんを買い込んだりして、夕食はN子がシェアしている部屋で簡単にすました。

6月13日(月) サンタモニカ周辺観光

今日は数少ないゆっくりできる日。朝は宿から歩いてすぐのスタバへ。もっと安いかと思っていたけど、日本のスタバとほとんど同じくらいの値段。ただし、アメリカのスタバはWifiが無料なので、となりに座っている若者は、スカイプのビデオチャットで彼女と手話で話を楽しんでいた。

N子が来てくれ、私が行きたかった、ロスの老舗ギターショップ、マッケイブスへ行く。ここでも「私達は車で待っているから、お父さん、勝手に見て来て」と、あまり歓迎されない様子。店の前に二人を残し、一人で店内へ入る。間口はそれほど大きな店ではないが、中央にリペアルームがあり、二人の職人さんがギターの修理をしていた。奥には小さなコンサートルームがあって、毎週、何がしかのコンサートが行われているようだ。壁には、高いギターが沢山並んでいて、見ていて飽きない。高いギターを買う余裕も必要もないので、ただ見てるだけ。あとは教則DVDを記念にひとつ買って店を出た。

N子は卒業制作の後始末の仕事があるらしく、忙しそうなので、今日はサンタモニカを自分たちだけで観光することにする。アウトドアREIのサンタモニカ店をゆっくり見て、サンタモニカのメインストリートを散策。


ギターと小さなアンプを持ち込み、弾き語りをする人。流石にウエストコーストサウンドだった。


中心部のショッピングセンターのビルの屋上で、軽い昼食をとる。

一階では、新作映画の「MONTE CARLO」のPR行事があって、主演の女優さんがくるらしい。私達も時間があるので、女優さんの登場を30分以上待ったけど、宣伝のアホらしいイベントの連続に飽きて外に出た。

サンタモニカビーチは、流石に有名なビーチという感じ。でも寒いので、泳ぐのはかなり覚悟が必要。


夕食は一晩くらい贅沢しようと、サンタモニカの有名レストラン、”The Lobster”へ。デッカイハサミの蒸しロブスターが5400円くらい、右のホタテのソテー?が美味しかった。胃袋が小さいので、総額3人で12000円くらいだった。円高がありがたい。

6月14日(火) ロサンゼルス、ダウンタウン-ステイシー家訪問

早いもので、今日が事実上の最終日。カミさんが「ダウンタウン見てないわ」というので、午前中はロスのダウンタウンの観光地めぐりをし、午後はウチの木工教室にも来たことがあるステイシーさんのお宅を訪ねる。


N子お気に入りのコーヒーショップ。店内の工場的デザインが面白い。


ロス発祥の地である観光地へ。駅に近い、古い民家や土産物屋さんが並ぶ通り。


開拓時代の古い民家?このあたりの椅子は、日本の木工屋さんが真似ているような気がするなあ。


ロスのユニオン駅。待合室がめちゃ優雅で、椅子がデッカイ。


ディズニーコンサートホール。申し込めば、無料で中も見ることができる。


コンサートホールに近い、大きな石の教会

暑い中、ダウンタウンをよく歩いた。駐車しているチャイナタウンに戻り、N子おすすめのフォーの店へ行き、食べやすい麺類に舌鼓。それから、ロス郊外のステイシーさん宅へ向かう。ステイシーはロスの警察官で木工、家の増築、ギター、三味線、なんでもやる男。


自作のピザ用釜と自宅のプール。


網が上下できるBBQコンロ。奥様は日本の方で、ご家族と楽しく、美味しく会食。楽しかった。

6月15日(水) ロサンゼルス-サンフランシスコ、16日(木)関空-豊中-名古屋自宅

8時40分ロス空港発の飛行機なので、6時頃に娘がホテルへ来てくれて空港へ。チェックインに長い時間がかかったが、無事、機上の人となる。サンフランシスコ空港で約二時間の待ち時間の後、一路関空へ。ところが関空悪天候のため、高度200mぐらいまで下りていたのに、着陸をやりなおす。これでカミさんは気分が悪くなってしまった。伊丹空港行きのリムジンバスを一つ遅らせ、伊丹へ。そこからタクシーに乗って、豊中の実家へたどりついた。そこで簡単に夕食をとり、軽自動車に乗り込んで、名神-新名神-東名阪を、眠気と戦いながら、16日深夜、やっと名古屋の自宅へたどりついた。

旅を終えて

 結構内容テンコ盛りの旅だったと思う。それに娘や友人知人とのスケジュールに合わせる必要もあって、ある意味ハードだった。しかし、これといって、大きな失敗が無かったのはよかった。簡単に○△を書いて締めくくりとする。

○だったこと:
・石油チャージがより高くなっているので、3月の時点でHISオンラインで航空券を確保しておいたのは正解だった。
・HISオンラインは、お店のようなフォローはないが、旅なれた方には便利かも。
・TripAdvisorのレヴューを良く見て選んだサンタモニカの二つの宿は両方ともとてもよかった。
・後半の宿は下町的な気安さがあって私好みだが、一般的には前半の宿The Embassy Hotel Apartmentsがおすすめかな。
・娘がiphoneを駆使していたのに驚いた。カーナビとして充分使える。3GやWifiが使えれば海外旅行には利用価値大。
・宿泊代、食事代、航空券等の必要最低出費は二人で約30万円に収まった。
・以前サンフランシスコで使ったイオンカードでトラブルがあった、今回は現地にもお店がある”スポーツオーソリティー”のカードを支払いに使った。今のところトラブルはない。
・現地にいる娘の案内で、能率よく、普通のツアーでは行けないようなところへも行くことができた。

△だったこと:
・やはり名古屋発の航空券が少々高くても便利で安心。豊中までの往復運転、特に時差で疲れていた帰りは危険だった。
・卒業式に合わせての旅でしかたがないが、ほぼ100%娘の車で移動したため、自分で旅をした実感が乏しい。
・上記同様、娘や現地の方の日程に合わせることが多かったので、旅の自由さがちょっと少なかった。