ニューヨーク/モントリオール再訪2004

 2004年4月5日から10日間、ニューヨークと娘が居るカナダのモントリオールを再訪する旅をしてきました。NYでは旅行前に3人の木工関係の方にアポイントをとって行きました。一方、モントリオールは100%私的な旅行ですので木工関係ネタはありませんが、今回は個人のお宅の正式なディナーに招待される機会がありましたので、その時の料理をレポートしたいと思います。

準備
 2月頃から格安航空券を探し始めました。去年はH○Sでしたが、今年はインターネットで格安航空券のサイトを見てお値打ちなところを探すことに。結局地元に支店がある業者が安心なので、名駅に支店があるI○CEトラベルというところで購入することに決定。驚いたのは、この会社の見積では空港税などの航空券代以外の諸経費がH○Sの半額近かったことです。空港使用料等は決まった額と思っていましたが、かなり差があるようです。I○CEトラベルは航空券を手配してくれるだけのシンプルな業務で経費を削減している会社のようですから、海外旅行がはじめての方には不向きかもしれません。航空会社はノースワーストと悪口を言われるNWでしたが、私は機内サービスに多くを求めない方ですので、安く確実に運んでもらえればそれで結構です。初めて”Eチケット”と呼ばれる、航空券がないコンピューター完全管理のチケットでした。何となく不安でしたが、事前に通路側の席を確保できたり、オンラインでチェックインできて、慣れれば便利だと感じました。NYの宿は去年と同じくブルックリンのB&B、モントリオールは娘のアパートに居候です。

 木工関連の訪問先は、昨年東京の刃物屋さんに来られた大館年男さんに一度お会いしたく、お勤めになっているPlatt Instituteに手紙を出しておりました。英語で日本の刃物や障子についての本を出版されている方です。また、信州で椅子を作っておられるMさんが30年も前にいっしょに仕事をされていたというSOHOのJimさんの工房も手紙でアポイントがとれました。もう一人、私がインターネットで見つけたCityJoineryは、メールで訪問のOKをもらっています。


4月5日
 来年、中部新国際空港が開港し、名古屋空港発の国際線がなくなるのはとてもさみしい。ウチから車で30分、小さくて使いよい国際線、駐車料金は一時間150円とめちゃ安く、超便利。その名古屋空港から成田、そこからNWのニューヨーク直行便に乗り込んだ。長時間のフライトで去年体調を崩したので、今年は24時間効くという酔い止めの薬を飲んだせいかよく寝た。というか、機内のビデオが故障で、ひたすら寝るしかなかったのである。通路側の席でよかった。E-チケットなら、座席の指定も自分でできるので、その辺が楽しいかもしれない。

 今年はタクシーを使わない方針で、JFK国際空港から全面開通したばかりのエアートレインでハワードビーチ駅へ5ドル、普通は地下鉄と合わせて7ドルを払うわけですが、一週間乗り放題21ドルのメトロカードを購入。メトロカードを買う券売機が、なぜかクレジットカードが使えなかったりして、かなり時間を食った。地下鉄Aで途中まで行き、各停のCに乗り換えるのであるが、この路線はお客が少なく、まわりの風景もやや殺伐としており、NYが初めてとか夜の場合には、あまりいい感じはしないだろう。白タクにつかまってエライ目に会う人も多いそうで、タクシーを使う場合は絶対に正式なタクシー乗り場をご利用下さいとのこと。
 一年ぶりのB&Bに到着し、松本さんと再会。「去年よりさらに治安はよくなっています」とのことで、入り口の鉄格子の扉は施錠しないようになっていた。時間が早いので新しく線が通じたという地下鉄Bでチャイナタウンを見て、結局はカンボジア料理のライスヌードルのテイクアウト。スーパーで買ったCoor's Liteを飲みながら食べて早めに寝た。

ハワードビーチ駅にて

4月6日
 午前10時半のアポイント、Platt Instituteへ徒歩で行く。宿から20分ぐらい、日本の真冬みたいに風が冷たい。思ったより広いキャンパス、生徒さんたちに聞いたりして、大舘さんが、教えておられる教室へ入る。アシスタントの日本人青年が椅子を用意してくれ、10人ぐらいの生徒さん達といっしょに、大舘先生の講義を聞く。先生の著書を参考にしながら、黒板で、日本では決して講義で登場しないような、繊細な研ぎの話をされる。糸裏の重要性、鉋マクラをなくすために刃をほんのわずかに中高にする方法と、刃を回してそれを確かめる方法、刃を叩いて裏出しをすることの重要性、ノミは叩かずに刃先の方だけに力を入れて、最後までベタ裏ではなく使う方法等々、職人が体で修得したことを、黒板で知識として与えておられる。生徒がこれを本当に理解できるとは思えないが、日本の「見て覚えろ!」式に比べ、こういう講義も大切ではないかと感じた。火曜日だけ、ブルックリンのこの学校まで来て教えておられるとのこと。その後、お昼をご馳走になりながら、今までの経緯や日本の刃物についての多岐にわたるお話を伺った。


ストロボを使わなかったためにピンボケです。すみません

 午後ちょっと休憩した後ミッドタウンへ。二回目で痛感したが、タイムズスクェアとか五番街とか、そういうところはとても疲れる。観光客が長蛇の列をなすエンパイアステートビルも敬遠するが、それでも疲れてはて、セントラル駅のオイスターバーで極小の牡蠣二個と、ビール、クラムチャウダーを食し、少しは観光をした気になった。

4月7日
 今日の予定は午後一時にブルックリン橋のふもと、DUMBO地区にあるCityJoinery訪問である。朝食時、一人旅の男性や女性が同宿しておられるので、いっしょにどこか行こうかと声をかけたら、夜ヴィレッジバンガードのジャズライブへ行くことになった。
 中途半端に時間があるので、午前はブルックリン美術館を見に行く。ここは穴場的存在で大正解。アフリカの素朴な作品やエジプト関連の展示など、メトロポリタンがあまりに巨大なために目立たないけど、日本の美術館よりはるかに見応えがあった。

表玄関工事中

気持ちのよい日で、ブルックリン橋近くの公園で寿司のテイクアウト
アボガドが脂ののったトロのようで、おいしかった。

 そしてCityJoineryへ。日本の雑誌の取材も受けたことがあるらしい。主宰者のJonahさん30代半ばの働き盛り。この頃仕事が多くて、今は7名でやっているとのこと。本人も木屑まみれの忙しい中、一時間ほどさいて対応していただき感謝。作品は、私自身が作りたいようなタイプで、木の質感を生かしただけでなく、名前のとおり接合になんらかの特徴を持たせ、アルミ合金なども積極的に使っている。2時からはお客さんのアポイントもあって超多忙でしたが、もう少し落ち着いたら、「日本でデザインを教えるような仕事がしたい」と言っておられた。DUMBOというのはマンハッタンからブルックリン橋を渡ってすぐ左のエリアで、古いビルに多くの工芸家やアーティストが入って創作活動をしていることで有名な場所。
 
 
ブルックリン橋のそばにDUMBOの代表的なビルがある。

 気持ちのよい気候なのでブルックリン橋を渡り、一度ホテルへ帰る。テイクアウトの焼きそばを食べ、同宿の二人とビレッジバンガードへ。ジャズクラブの超老舗。わりと狭いところ。この夜のライブはオーソドックスなジャズトリオで、わりとあっさりと演奏が終了。夜11時頃、地下鉄でなんの不安もなく宿へ帰着。

4月8日
 今日もアポイントが午後一時。中途半端な時間なので、小さなグッケンハイム美術館に行くが休館。しかたなく、セントラルパークを存分に散策することにした。

おじいさんのローラースケート

 午後一時、SOHOのJimさんの工房へ。古いビルの5階(ぐらい)にその工房はあり、住居も同じフロアにある。そのクリーンさに驚く。地下にも作業スペースがあり、店舗関係の作りつけ家具の仕事をやっておられるようだ。工房のテーブルソウは、Wadkin社のヴィンテージ物、鋳物でできたすばらしい精度のもの。英語力不足でやや会話に苦労する。その後若い人と知人、計四人でおいしいイタリア料理のお昼をご馳走になった。

家具やギターショップを回って、夕方一旦ホテルへ。夜はチャイナタウンでベトナムのライスヌードルと生春巻きをたべた。

4月9日
 B&Bの松本さんがSOHO見物につきあってくれるという、感謝々。Greenストリートなどにあるインテリアショップを見て回る。そして昨日Jimさんと行ったBDDWというインテリアショップも再訪。それから地下鉄でユニオンスクェアまで行き、ABCカーペットへ行く。地下の椅子張り用生地の膨大な商品展示、1階は「なんだこりゃ」と思わせるほどの圧倒的な雑貨、二階から上は様々な様式の家具、中古。いやはや、すごい店。私は二階の北欧家具のヴィンテージ物に見入ってしまい、自分の北欧家具好きを痛感した。

ユニオンスクェア付近、右はTVでよく見るドッグラン


ユニオンスクエア周辺は学生街の雰囲気があって好きだ。近くの本屋さん、お客が床の上に座り込んで本をみたり、自習場所があったり。びっくりしたのはCD売り場。店頭にある全てのCD、その全ての曲がデータベース化されて店のコンピュータに収録されているようで、CDのバーコードを試聴機に読み取らせるだけで、全曲視聴ができる。スゴイのひと言。その後、チャイナタウンの有名店でショウロンポウを食べ宿へ。夜は宿の隣にあるBAMという音楽学校のカフェで、民族音楽とジャズの混ざったような、面白い演奏を楽しんだ。

4月10日〜帰国まで
 宿から地下鉄とエアトレインでJFK国際空港へ。Eチケット専用の機械によるのセルフチェックインをしなければならない。機械では個人の認証はパスポートではなくクレジットカードで行うのだ。もうすでにクレジットカードがないと海外旅行ができない時代が来ている。格安航空券の宿命で、直接飛べば1時間のモントリオールへ、わざわざデトロイト経由で丸一日かけて飛ぶ。モントリオール空港で娘らに出迎えられ、アパートへ。ここからは木工と関係のない私的な旅なので省略。

以下は、モントリオールの風景
 
アパートと前の「満州餃子王」というレストラン。餃子好きの私はここが気に入り、二回も食べにいきました。

川にはまだ氷が・・・。


以下はお招きいただいた奥様お手製の正式なフレンチディナーの写真。

お宅へ伺うまでの地下鉄の駅。
1階のスケートリンク。
映画の一場面のようでした。
午後四時頃おじゃまし、まずオードブルでビール。
それから少し散歩して、
6時ごろからディナー
写真は撮らなかったが、
この前に、アボガド半割の前菜があった。

写真は、練り物に近い味がする
団子のはいったスープ。薄味で美味しい。
スープはフォーマルな食事で欠かせないらしい。
サーモンのレモンソース
日本人好みの味でグッドでした。
シャトウ・ボネという白ワインも美味
子牛テールのクリーム煮込み。
やわらかくて美味しい
野性的な調理なので、苦手な人もいるかも
フルーツとヨーグルト
ヨーグルトはギリシャ産で濃厚な味
お腹いっぱいの私には少々きつかった
器は日本製?
超濃いエスプレッソ
盃ほどの小さいカップですが
少しずつしか飲めません。
胃を荒らさないためにそれでいいそうです。