Balinese Style Wedding at Wantilan
1999.8.9



《Balinese Style Weddingが決まるまで》

そもそも、なぜ、バリニーズスタイルを? …というと、結婚が決まった当初から、「ありきたりの式や披露宴はやりたくないね。」と二人で話してました。
そこでまず考えたのが、スキー場での挙式。なぜなら、私達が出会ったのは、約3年半前、志賀高原のスキー場だったからです。でもこれには私の両親が反対。次に考えたのが、海外挙式でした。私はすぐさまバリニーズスタイルを提案しましたが、スキー場での挙式が諦めきれない彼はニュージーランドを主張。いずれにしろ、私の仕事の都合上、夏までは長期の休暇が取れないので、それまでにじっくり話し合おう、ということで、とりあえず12月に入籍。ところが、私も彼も新しい生活と仕事に追われ、なかなか決定に至りませんでした。更に悪いことに、彼の仕事が超多忙を極め、長期休暇が取れない可能性すら出てきてしまったのです。式はおろか、ハネムーンすら行けないのか、と半分諦めかけていた今年の6月。去年一緒にバリに行った友人が、旅行先のアメリカから絵はがきをくれました。私はそのはがきを手にして、思わずぽつり、とこぼしたのです。「…今年の夏も、バリ、行きたいなあ…。」 行けないかもしれない、という思いがあったので、言ってみてつい、涙ぐんでしまいました。すると、「…行こうか。」と、彼。「休みは何とかして取るよ。だから、行こう。結婚式挙げに。ハネムーンも兼ねて。」 かくしてバリニーズスタイルによる挙式が決定。…やはり涙は女の武器だった…。

《式の準備》

1999年8月7日、JAL725便にて私達は一路、バリへ。
翌8日の午前中、滞在先のホテルの部屋に、挙式コーディネーター兼通訳の日本人女性に来てもらい、式の打合せ。写真を見ながら式の流れについて、ひととおり説明してもらいました。
そして、9日。午前中、ホテルのエステでお肌を磨いたあと、迎えに来てくれたコーディネーターの藤田さんとともに、ヌサドゥアの「ワンティラン」へ。「ワンティラン」は、ゴルフ場内にある、超豪華な別荘で、その一棟を貸し切っての挙式です。別荘の入口には、プルメリアの花に彩られたウエルカムボード。敷地内に入ると、色とりどりのブーゲンビリアの花が咲き乱れる広い庭。そして、水面に太陽の光が反射して眩しい、長方形のプール。その奥に、今回の控え室となる部屋のある棟。この部屋は、「アマヌサ」の部屋と同じ造りになっているそう。
敷地内を案内してもらいながら、式の流れを確認した後、メイク&着付け。まずは私のメイクから。メイクを担当してくれたのは、絵はがき等にも登場しているという、有名な踊り手さん。(お名前を忘れてしまいました…。)割と落ち着いた色合いのメイクに仕上げてくれました。続いて彼のメイク。新入社員の時、宴会で女装させられて以来のメイクだという彼が、緊張した面持ちで鏡の前に座っている間に、私はヘアメイク。金の飾りをひとつひとつ丁寧に刺していき、完成した時には、あまりの重さに頭が動かせなくなっていました。
その時、入口の方から、「こんにちはー。」と、女性の声。なんと、TOMOさんが、お友達と一緒に、花束を持ってお祝いにかけつけてくれたのです! これには感激!! さて、メイクが完成したら、次は着付け。華やかな色の衣装に身を包むと、それまで浮いていたメイクした顔とも馴染んだ感じ。(彼はちっとも馴染んでなかった。) 室内での写真撮影と、ビデオ撮影が済むと、いよいよ式の始まり!

《感動の?Balinese Style wedding》

カーテンの引かれた扉の前に立つと、外からスリンの音が聴こえてきました。音が段々近づき、扉が開かれると、明るい日差しの中に、二つの白い傘と、正装した男達の姿。フラワーガールに手を取られ、バレ・ガンジュールの先頭に立ち、ガムランの音に包まれてプールサイドを歩きます。
ここに到着した時とはうって変わり、プールサイドには花を盛った籠が並び、行進していく道には香りの良い葉が敷き詰められていました。庭の中央にあるリビングスペース?には、プールに向かい合うように二つの椅子が並べられていて、ここが私達の席。腰を下ろすと、ガムランの音が一層激しさを増し、ウエルカムダンスの始まりを告げます。本来は寺院の祭礼の場で、降臨した神々を歓迎しもてなすための舞踊だという、「パニヨンブラフマ」が、今日は、私達を祝福するために降臨した神々を歓迎するために踊られます。
続いて、私達を導いてくれる神の登場。指先を細かく震わせながら、ゆっくりと歩き、やがて私達の前で立ち止まり、握手でご挨拶。ちょっとユーモラスな動きに思わず笑みがこぼれます。
そして、神の先導で、ココナッツ蹴りの場所へ。椰子の葉で編んだ籠の中に入ったココナッツを、二人が交互に3回ずつ蹴ります。ここでのココナッツは、災い事の象徴なんだそうです。まずは私から。二人の女性が向かい合って立ち、細い紐を恰もゴールテープのように持っています。私がココナッツを蹴ると、一方が手を離し、その瞬間、拍手が沸き起こりました。続いて彼の番。…ところが…! 緊張気味の彼、つい、勢い余ってココナッツを思いきり蹴飛ばしてしまいました。ココナッツは危うく、カメラマンさんを直撃するところでした。
ココナッツ蹴りの後は、聖水を手にした僧侶(?…女性でした)が現れ、お互いの体を聖水で清め、花を髪に刺します。再びフラワーガールに手を取られ、祭壇の前へ。聖水で身を清め、ヒンドゥーの神々に感謝の祈りを捧げます。花を指先で挟んで手を合わせ、その手を高く掲げて目を閉じると、身も心もバリニーズになったような不思議な感覚に包まれます。
続いて食べ交わしの儀式。この儀式には、良いことも辛いことも、二人で分け合っていくという意味が込められているんだそうです。白いご飯、黄色いご飯、ナッツ、鶏肉、胡瓜、調味料のようなもの、そして、水。これらを手で、お互いの口に運びます。…ここでも幾つかのハプニング…。先ほどの祈りを捧げる時に、花を指先に挟む、ということがインプットされてしまった彼は、なんと、両手で食べ物を挟んで私の口元へ差し出した…。これには周りにいた人々も笑い出してしまいました。更に、追い撃ちをかけるように、今度は私が大失敗。ココナッツの容器に入った飲むための水を、フィンガーボールと勘違いし、指を入れてしまった…。この時にはもう、堪えきれずに声をあげて笑う人も…。…ああ、何ということ…。恥ずかしい…。
食べ交わしの儀式がなんとか終わると、ここから先は西洋式の儀式。指輪の交換、誓いのキス、挙式立会人からの祝福の言葉、結婚の誓約、署名と続きます。
最後に出席者一人一人から祝福の握手。ここで、コーディネーターの藤田さんが、出席者を代表して祝福の言葉をくださいました。「YUKOさんのこの笑顔を絶やさないようにしてあげてくださいね。」の言葉には思わずほろり。
そして、ガムランが響く中、一度退場。メイクを直してもらい、フラワーシャワーを浴びながら再び会場へ。シャンペンで乾杯したところで祝福の踊り「チェンドラワシ」が始まります。チェンドラワシとは、極楽鳥のことで、雄鳥と雌鳥が出会い、恋におち、やがて結ばれる様を表現しているのだそうです。
これで式は全て終了。この頃には太陽が西に傾き始めていました。

《式を終えて》

私にとって4回目のバリ。訪れる度に、人々の笑顔の優しさに心が和みます。この式を通して、一層それを強く感じました。
バリニーズにとって、結婚式は神聖な儀式のひとつのはず。それなのに、私達のような異教徒(と言えるのかな? 無宗教、というべき?)である外国人がひょいと訪れて、式の真似事をする。これは神々への冒涜にならないだろうか、と心配でもあったのです。ところが、式に立ち会ってくれた人達は、私達を笑顔で迎え、式の最中の失敗も、明るく笑い飛ばしてくれました。(もちろん、外国人だから仕方ない、という思いもあることでしょうが。)そんな彼らに心から感謝します。…ますます、この島が好きになリました。本当にありがとう。

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