淡水二枚貝化石


 神戸層群からはサイの化石が見つかっていますが、それ以前40年前ぐらいに淡水二枚貝化石が見つかっています。当時、高校の先生に引きつられて、片倉池(現日生鈴蘭台ニュータウン)というところに、他の生徒と一緒にでかけました。女子生徒がこれ、なにというので、見てみると貝の化石でした。白い凝灰岩ではなく、黒っぽい泥岩からでした。神戸層群からは、多井畑貝化石層というのが、有名でしたが、淡水では最初の発見といえます。この泥岩層の上部の凝灰岩の上位からもやや小型の淡水貝と思われるものも産出しています。
 その後、藍那の工事中にも1個体でしたが、含まれていました。また、藍那累層中の泥岩からも発見されたようで、凝灰岩ばかりでなく、他の層準の泥岩層にも着目することが大切といえます。なお、インターネット上でも産地は不明ですが、須磨区からも淡水二枚貝を発見された方がいるようです。
 この貝化石は当時、神戸西高校の安藤保二先生に見てもらい、イシガイ、ドブガイ、ササノハといった淡水二枚貝であることがわかりましたが、詳細な鑑定は困難とのことでした。それは、木の葉の型と同じように、貝化石も型のみで、鑑定に重要な貝の内側の歯が見れないことからでした。
 淡水の貝化石が泥岩から見つかるのは、当時、水域であったことをうかがわせます。正確な名前がわからなくても、神戸層群の堆積環境を考えるうえで、重要な資料といえます。何も入っていない泥岩層よりも炭化物や植物化石が含まれている泥岩に出くわしたら、案外淡水の貝化石が見つかるかもしれません。
 しかし、野外では、一般に風化が進んでおり、ぼろぼろとくずれやすく、なかなか植物化石を見つけるのも容易ではありません。ずーっと続いてるものなのか、それも正確なところは不明です。場所がかわれば、砂岩に移行しているところもありました。

◆参考図書 琵琶湖・淀川産の淡水貝類 紀平肇・松田征也 1990 たたら書房
写真はイシガイかドブガイの仲間





イシガイ

ササノハ