コレクションの今後

(収集) 化石採集をはじめた頃は水晶や珪化木、他の地方の化石などなんでも集めていました。
しかし、宅地造成などで、埋もれてしまう神戸の植物化石を中心に集めるようになってきました。
現在、未整理になっているものも含め、約2500点あるのではないかと考えていますが、正確な
数字ではありません。きれいな標本(完全な形)を得ることも大切ですが、どの層準の植物化石なのかを
意識して、たとえ見かけがわるいものでも集めておくことにしました。
他の方のものと比べると、あまりかんばしくないなと思われるかもしれません。

 標本を見てみると、最初の頃に採集したものは、かなり見かけもわるく、葉片が多いです。
一部の標本は年数が経つにつれて、変色して(茶色くなって)、役にたたなくなってきています。
さらには、ラベルの取れてしまったものなどもあり、はずかしい思いです。
とにかく散逸しないように、整理し、今後の研究などに役立つようにしたいものです。

(保存) 保存はお菓子の箱に入れ、さらにダンボール箱に入れていましたが、
数は多くなるにつれ、どこにどの化石を置いているのかさえ、わからなくなってきました。
現在は地域ごとにある程度まとめ、比較的探しやすいようにしています。
普通の家庭では、たくさんの化石収納するのが難しく、置き場所に工夫が必要です。
実家に地下倉庫があり、そこに本棚を組み立て、ダンボールを置いています。

(整理) 具体的な整理は

1.写真を撮っておく
(時間をかけずに、3倍ズームのコンパクトデジタルカメラで撮影しています)
2.ラベル、整理台帳と採集場所が間違ってないか、再確認
3.保存しておくか、処分(劣化しているなどの理由)するか
4.割れなどないか、あれば補修しておく
などです。

また数年の間に、ほとんど化石産地が消滅してしまいました。

そこで、現在では化石の整理に力を入れています。

(活用)

1.博物館へ寄贈(標本として、役立ちそうなもの)

2.同じようなものは学校などの教育機関に寄贈し、勉学に役立ててもらう。
(現在1件で、数個さしあげたにすぎません。何年かかるかわからないので、すぐには対応できません)

3.個人で集めている人などへ、差し上げる。
(プレゼントコーナーを充実していきます。これまで2名の方にお送りしています。)
などです。

なかなか整理も思うように進んでいませんでしたが、
今後5年を目処に、整理していく予定です。

◆劣化の進んだ植物化石(下の写真)
 外形・葉脈の一部はわかるものの、退色し、葉縁などはっきりしなくなっている
(箱があいたままになっていて、だんだんと色がかわってきました)。


◆整理をして気づいたこと

1.三田盆地のものは、このコレクションだけでは、個体数も少なく、まとめることがむずかしい。これまで一緒に採集を続けてきた松尾裕司さんや他の方の標本を加える必要があります。そうでなければ、研究は完成されないでしょう。
2.当初、はじめた化石採集、つまり住んでいるところにどんな化石があったのかを明らかにしていく。これは私の住んでいた鈴蘭台と近くの藍那、小河地域のものを図集にする。
3.表皮細胞の残っている葉化石、種子、果実の多い木津地域の植物化石を調べるということです。ちょうど、インターネットで調べるいたところ、同じようなことが掲載されていました。それは・・・

MIKI(1937,1941)の仕事で示されるように,炭化葉で,表皮細胞も保存され,しかも果実・種子を豊富に共産するような材料でまず検討することが急務であろう。

これは、第四紀植物に関してですが、神戸の植物化石を調べていくうえでも、同じようなことが言えると思います。

◆植生史研究 3号(1998)
植村和彦 新生代植物研究の現状と課題 とくに第四紀植物に関連して