研究室

 化石を偶然に見つけて、それを調べようと思った場合、どうしたらよいでしょう。私たちが子どもの頃は、学校に持っていったり、先生に聞いていました。あるいは図書館で調べたり、化石を標本鑑定会に持っていったりしました。
 最近では、本も多種でていますし、自分で調べることが簡単になってきています。しかし、本を読むだけではわからないこともしばしばです。そこで身近にある博物館を利用してみましょう。博物館では、化石を展示していたり、テーマごとの催し・講習会をしたりしています。参加することで、鑑定のこつや他の自然にも触れてみて、枠を広げてみてはどうでしょう。
 また、友の会にはいると、機関紙を送ってきてくれたり、催しの情報などを得ることができます。

 
京阪神の博物館

兵庫県立人と自然の博物館  篠山層群の恐竜化石・神戸層群のサイ化石などみどころたっぷり。 大阪市立自然史博物館 自然史関係へのリンクもあります。 益富地学会館 京都にある。鉱物・化石を展示。

 さて、次に、個人で植物化石を調べてみようという場合の一例です。

1現生の植物と対比する

1.植物の化石を調べるには、現生の植物を知っておく必要があります。
最近では、葉による樹木図鑑も随分多くでています。デジタルカメラで撮影したり、
スキャナーで現生の葉を取り込んだりして、図鑑が作られています。
いいかえせば、自分用の図鑑も簡単に作れるようになっています。。

2.葉のスケッチをする
 葉をスケッチすることは、葉の細部までよく見ることにつながります。

透明フィルムで、5ミリ四方の方眼をカッターで刻み、自作する。これをイチョウの葉の化石の上に置く。
 一方ではケント紙に1センチ四方の方眼を鉛筆で書く。それを見ながら、スケッチをする。
(古生物学事典 朝倉書店参照)
下図の左はイチョウの葉化石
下図の右側はニコンSM10の描画装置を使って、スケッチしたもの。この方が詳しく描ける。

※裁縫用に方眼パターンシート(クローバー株)という下敷き大のものが市版されている。これを4分の1程度に切り、化石の表面の置いてもよい。ただし、透明度が低いので、平面的で、凹凸の少ないものにしか利用できない。


3.植物化石の鑑定

 図鑑や現生の植物と対比してみることは、第一歩にすぎません。より詳しく鑑定を確実にしていくことが重要です。
また絶滅した植物もふくまれているので、注意が必要です。ここでは、新生代の化石を中心に書いています。

クリアードリーフ 葉脈標本(クマシデ属):ガラスの間にはさみこんで作りました。これで微細な細脈(微細脈)のようすもわかります。葉によってこの微細脈の大きさ、中にはっている脈の分枝のしかたが、異なっているので、このような細かな特徴まで、比較して、鑑定をすしめていきます。
 ※葉の描き方と図鑑の作り方で、表脈標本を作ると細脈が不完全になりますので、別な方法が必要です。

化石の研究法/2000/化石研究会/共立出版


4.顕微鏡撮影

カエデ属の葉化石
デジタルカメラで撮影
実体顕微鏡はニコンSM5

※実体顕微鏡ニコンSM5に直接デジタルカメラをあてて、撮影。実際は接眼レンズからデジカメをわずか離して撮影する。
まだ光軸が一定していないなど、問題点は残るが、比較的簡単に撮影が行える。


5.採集時の注意

 鑑定を確実にするには、よりよい標本を得ておくことが必要です。全形があれば望ましいが、かけらであっても先端部、基部の残っているもの。炭化したような葉。付随してきた枝、共産した果実などの化石も得ておく。これが鑑定をすすめる鍵になることもあります。
(例)
よくフウ属の葉が産出するが、果実も含まれている。カエデも同じようなことが言えます。