フジツボの化石

 神戸層群の凝灰岩からは貝化石は見つかっていないが、文献(地学研究)を読むと、ひとつだけ記事があった。それは白川産モミマツについて(大賀吉祐)という記事である。
「オオミツバツ産地の含有層からフジツボの一種が見つかった。これは私が採集した唯一の動物化石で・・・」
という短い文章で、その写真が一枚載っている。
 これとよく似たものが、名谷の白川累層から見つかった。はたして同一のものであるかわからないが、下の標本では他の葉の色と同じで、フジツボではなく、果実ではないかと考えられる。はたして何の果実か検討もつかない。

◆神戸層群の植物化石に興味を持ち調べた人は多いが、神戸市在住の大賀吉祐さんもその一人で、メタセコイアで有名な三木茂博士のもとで、針葉樹化石や堆積環境について、詳しく研究されている。原色化石図鑑のなかのオオガフタバマツは氏の発見をたたえ、名づけられたものである。
◆白川産モミマツについて 大賀吉祐 地学研究12巻12号(1962年)