本をきれいにする方法(書きかけ中)本の汚れを取る


 よごれていたり、しみの本のある本はいやなものです。とくに古い漫画の本はしみやよごれが多いです。
そこでよごれややぶれなどをできるだけ日常にある道具で簡単にきれいにする方法を考えてみました。他にもいろんな方法があるようですから、工夫してみましょう。。

 1.用いる七つ道具



 ・つまようじ
 ・乗車券(カードになったもの、テレホンカードは弾力性がないので、不可)
 ・ダスタークロスまたはわた(カット綿が小さくて便利)・綿棒
 ・のり(水のりよりも和のり)
 ・消しゴム・砂消しゴム
 ・おそうじクリーナー・アルコール(薬局で売っている消毒用エタノール)
 ・シール(ポイスペット)

2.表紙のよごれ

 表紙についたよごれが何でよごれているのか、表紙の質にもよるが、それによって使う道具もかわってきます。ここでは光沢のある表紙で考えていきます。できるだけ湿式の方法を使わず、乾式の方法で行います。
 
(1)簡単なよごれ
  少しだけよごれている本棚の本あるいは買ったばかりの古本などは、ダスタークロスやわたでふいてみる。これだけでもかなりきれいになります。また端やよごれのきつい部分は綿棒でこすって、よごれを取り去ります。あまり強くこすると、キズがつくことや色落ちすることがあるので、その点も注意しましょう。

(2)しみ
少しのしみは綿棒でこすると取れます。取れない場合は綿棒にほんの少しだけおそうじクリーナーつけてみます。取れたら、わたなどで水分を十分にとっておきます。

(3)カビ
 本の表紙に黒い点になったものがあります。これはカビだと思われます。綿棒でこすって取ってみます。取れない場合は乗車カードを縦にして、はじくように取り除いてみます(カードにしなりをもたせるようにして工夫してみましょう)。ポイスペットやシールに引っ付けて取り除く方法もありますが、下の紙まで一緒に取れることがあるので、注意します。ポスペットは比較的粘着力がよわいので、紙を破くことがないので、よいと思います。
 きついものはアルコールを綿棒に含ませ(※参考1)、少しだけつけます。トントンとつけるような感じです。取れないと思っていたものも意外に取れてきます。しみが薄くなってきたら、乾いた綿棒や綿で丁寧にこすって、仕上げをします。なお、かなり濃いしみは表紙の内部にまでしみこんでいますので、無理な場合もでてきます。この場合はカビの色を薄くする程度にしましょう。

※ふき取ると綿や綿棒が真っ黒になることがあります。続けて使うと、よごれが逆についてしまいますので、取替えましょう。
※カビのひどい本では、1回でわたや綿棒が真っ黒になってしまうことがあります。

(4)点状のよごれ
 点状によごれている場合やかたまって点がついている場合があります。綿棒でこすって取ってみます。取れない場合は乗車カードを縦にして、はじくように取り除いてみます。なかなかとりにくいです。これは、湿気でそうなっているのか、他の原因かよくわかりません。

(5)マジックインキ
 光沢のある表紙の場合は少しのものは綿棒でこすると取れます。取れない場合は綿棒にほんの少しだけおそうじクリーナーつけてみます。取れたら、わたなどで水分を十分にとっておきます。あまりこすると色が薄くなったりしますので、注意します。

(6)書道の墨
 こするとよごれが広がるので、やや強めのシールで引っ付けて取り去る。光沢のある表紙の場合に有効。和紙はむずかしい。

(7)小キズ
 キズそのものはなくならないですが、よごれが中にはいっていると思いますので、キズの方向に沿って、綿棒でこすりとります。
キズが目立たなくなって、少しきれいになります。

(8)背の部分のよごれ
 通常本をつけたままで行うが、しにくい場合はカバーを取って行う。格段処理がしやすい。

3小口や本の中のよごれ

(1)小口のしみ
小口のしみは紙やすり(サンドペーパー粒度P150番前後)を使っていましたが、紙の粉が出るので、現在はあまり使っていません。かわりに綿棒で強くこすってみました。本の両端を指で押さえ、小口が広がらないように注意します。多少の紙の粉は出るので、ポイスペットなどでひっつけて取り除き、しあげます。簡単にできるので、一度試してみてください。本の状態により、強くしたり、左右にこすったり、一方通行で軽くすったりしてみます。どの程度がよいか工夫してみてください。

(2)マジックインキ
 鉛筆などは消しゴムを使います。ペン状の消しゴムも細部には役立ちます。やっかいなのは記名や落書きです。ペン状の砂消しを丁寧に使ってみます。現在は専用の油性ボールペン消しゴムを使っています。いずれにせよ、多少紙が薄くやぶれたようになって、完全にきれいにするのは難しいです。

(3)おかしなど
本の中にお菓子のかすがくっついていることがあります。つまようじの先や乗車カードではじきとばすように取り除きます。こすると逆によごれが広がるので、その点注意します。

4破れ・割れ

 (1)表紙の破れ

 ただいま小さな破れ、キレを練習中。つまようじの先に和のりを少しつけて、接着する。ちょうどつまようじの頭の方で押さえつけるとよい。場合によっては離れないように重しを乗せたり、接着しないような紙に挟み込み、上から本を重ねおく。ただし、接着面がある場合の補修です。小さな破れはこのようにして補修すると、多少破れ目が線になって残るが、そのままにしておくとさらに破れる恐れがあるので、手掛けておきたい。大きな破れ本は、そのままにしておくと、さらに破れがひどくなるので、透明のブックテープで補修します。
(参考5参照)

(2)本文の破れ

インターネットで「本の修理 破れ」で検索すると、けっこう解説してある。簡単には木工用ボンドを薄くぬるだけでよい。

(3) 割れの補修
 あなたのマンガ高く買いますという本の中に補修法が書いてあった。まだ試していない。

5 最後に

はじめは不用な本で練習してみましょう。1回でおわらせないで、つかれたら時間をおいて、とりくんでみましょう。かなりわるい本では、1冊きれいにするのに30分以上かかります。あせらず何回かにわけてとりくんでみましょう。とにかく根気がいります。



参考1:図書館員のための図書補修マニュアル/小原由美子/教育史出版会/2000年
 2:書物の敵/庄司浅水/講談社学術文庫/1990年
(あまり実用的ではないが、害虫や書物全般に書かれている)
3古本でお散歩/岡崎武志/ちくま文庫/2001年
(古本補修について「62ページ柔らかいはだ」として簡単に書かれているほか、読み物としてもよい本。入手しやすいので、取りあげた)。
4あなたのマンガ高く買います/古川益三/まんだらけ出版部/1995年
数ページだが、マンガ本の補修に詳しい。

5インターネット
宮崎県立図書館 本の修理(PDF)
写真入りで詳しく解説してあるので、なかなか役にたつ。