瑣末の研究12

「Xの謎」(EQとバーナビー・ロスに捧げる短いコント)

「では、エル。あのホテル経営者の重ねた指には意味があったというのか?」
「そうです、父さん。人差し指に絡めた中指、あれはXを意味していたのです。」
「しかし、容疑者の3人の息子には、名前にXがつくものなどおらんぞ。
ははあ、さては2番目の指と3番目の指は<違う>という意味だといいたい。
つまり長男が犯人だと?」
「悪くない推理ですね(クスクス)でも、数を数える時には人差し指は1に
なります。1でも2でもない、かもしれません。」
「…だいたい、 死に際の人間がそんな難しい事を考えるというのが、おかしい!」
「<人間の生涯の終わりには、比類なく神々しい瞬間が訪れて、その精神能力が
限りなく高揚するものなのです>」
「引用は、お前の悪い癖だ。」
「いいでしょう、結論を急ぎましょう。3人の息子はそれぞれホテルの本館と
新館と別館の支配人でした。」
「それで?」
「まだわかりませんか?
あのメッセージは「X」ではなくて「一つのX( an X )」だったのです。」
「アネックス? 別館担当の三男か! ヴェリー! 奴を引っ捕えろ!!」

おしまい

(初出:EQFC刊クイーンダム54号)


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