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2004年7月31日(土)

◆朝寝、二度寝、昼寝、夕方新刊書店へ。
「誰でもない男の裁判」AHZカー(晶文社:帯)
「怪盗ニック対女怪盗サンドラ」EDホック(ハヤカワミステリ文庫:帯)
どちらも日本オリジナル編集。よくぞ日本に生まれけり。
◆帰宅すると郵便が届いていた。
「湖上の不死鳥」野口赫宙(東都書房)
入手難易度は中級ながら、何故か縁がなかった東都ミステリ。幸運にも羊頭書房の電子目録でゲットできた。和物5000冊を処分しながらも、まだまだ妄執は続くのであった。


◆「泥棒はボガードを夢見る」ローレンス・ブロック(ポケミス)読了


2004年7月30日(金)

◆会社の情報大掃除も一段落して順調に帰宅。立ち寄った新刊書店でようやくいつもの雑誌を購入。
「ミステリマガジン 2004年9月号」(早川書房)
「ジャーロ 16号」(光文社)
HMMはクラムリー特集。全く興味がない作家なので、気分的には一回休み状態。
ジャーロは今頃買ってみる。何故かリューインのインタビューが、ポケミスの短篇集とシンクロニシティーでございます。


◆「あなたの人生の物語」テッド・チャン(ハヤカワ文庫SF)読了
一年に3冊だけ新作SFを読んでSF読みのような顔をするための1冊。
余りにもSF読みの人々の間で評判が高いので手をだしてみた。が、正直なところグレッグ・イーガンほどには感心できなかった。どれもこれも「え?これで、お話終わりなの?」という戸惑いを覚えてしまうのであった。発想のユニークさにはとりあえず敬意を表しつつ、どこか面白く語ってはいけないかのような縛りを感じてしまうのであった。
その意味でデビュー作の「理解」が一番エスカレーションの快感を味わえた。が、言語学者が知らぬ間に禁断のアガステアの葉を食ってしまう表題作では、その感情がふっとんだような淡々とした描写に違和感を覚え、天使が天災な「地獄とは神の不在なり」には、もしもこれが「通常」であるならば文明は全くもっと別の発展を遂げるのではなかろうか?と小一時間悶々としてしまい、発生に言葉ありきな「七十二文字」には、面白くなるのは、これからじゃないのか?これからじゃ?と突っ込みをいれたくなってしまうのである。
テッド・チャンをよまずしてSFを語るなかれ、と重厚長大なグレッグ・ベアがおっしゃる理由も分からなくはないが、無理して(いや、ほんと読切るのが辛かった)読んでまでSFを語る必要もあるめえ。(>負け惜しみ)

あなたはSF読みじゃないの、としみじみ思い知らされる物語であることは判っていたので図書館で借りたの。


2004年7月29日(木)

◆「その朝、社内の職場といふ職場、フロアといふフロアでは、二人以上の動員メンバーが顔をあわせさへすれば、まるで、お天気の挨拶でもするやうに『なにわ懇談会』の噂をしてゐました。」

「いやあ、つまらんかったなああ〜」

ここまで話題にできればモトはとったといふことであらうか?

◆就業後、本屋を覗くが、HMMにもSFMにも出会えずじまい。TSUTAYAじゃダメなんだよなあ。


◆「標的」Dフランシス(ハヤカワミステリ文庫)読了


2004年7月28日(水)

◆一日資料作り。就業後、会社から動員がかかって「なにわ懇談会」なるイベントに参加。
いやはや、これはイベントとしての体を成していない。一体何が目的なんだろうか?
「元気な大阪をアピールする」とかいいながら、何もかもが中途半端。
ちなにみ、7月28日なので「な・に・わ」なんだそうな。
のっけからもう、脱力系。へなへなあ。
発起人挨拶が4人続く。勿論、太田房江も喋る喋る。うはあ。
一番の出し物が鳥羽一郎の新曲「大阪湾」披露である。くらくらあ。
もともと、200名規模の催しだったものが、関西系企業が「ほな、ウチからも出しまっさ」てなもんで、1000名規模の動員になってしまった模様。
「この際だから、食中毒でも出れば、記事になったかも」と陰口を叩く。

「なにわ懇談会、食い倒れ!」

みたいな。
◆中島らもがお亡くなりになったことを今更にして知る。
遠藤周作と並んで「灘校出身」がネタになる作家だった。
高橋源一郎は同じ灘高校出身でも、余りネタにならないのにね。
「落差」を楽しむようなところがあったのかもしれない。
最期まで階段からドロップアウトだもんなあ。
命懸けのオチだよなあ。


◆「死を呼ぶペルシュロン」JFバーディン(晶文社)読了
鬼才の処女作である。所謂「粗忽サスペンス」で、そこで死んでいる俺が俺なら、ここにいる俺は一体誰なんだ?みたいなお話。
奇妙なアルバイトを小人から斡旋された患者の相談を受ける精神科医、という掴みはOK。そこから更に、女優殺しやら、人違いやら、記憶喪失やらと畳み掛けるようなプロットで悪夢的世界に読者を連れ込む手際もお見事。フレドリック・ブラウンよりも悪意に満ち、アイリッシュよりもブラックな自分探しの旅は、サスペンスの定石を嘲笑い、すれっからしを唸らせるツイストの連続。誰もが信じられなくなる騙りのうちに、衝撃の真相が明かされるのだが、これがまた首を360度捻られたような後味の悪さ。ミステリとして壊れている。
題名にもあるペルシュロンは、ごつい農耕馬で、こいつが訳もなく殺人現場に繋がれているというシュールさが凄い。その動機に至っては、思わずのけぞるしかない。1946年に、こんな破格のサスペンスが出版されていた事に呆れた。
第2作よりも非凡さを感じたのは、ビブリオ・メタ・ミステリは進化しているのに対し、粗忽サスペンスは余り進化の余地がないからであろうか?
惜しむらくは、立派なハードカバーという造本が、原作のキッチュさにそぐわないところ。こういう話には、こてこてのカバーアートに彩られた安手のペーパーバックこそが相応しい。まあ、何はともあれ、違いの判る大人にオススメしたい作品。


2004年7月27日(火)

◆会議、来客、会議、会議、出張して会議、残業で資料作り。
◆帰宅すると、本が届いていた。
「Banner Deadlines」Joseph Commings(C&L)
12冊目のLOST CLASSICS。最も刊行が待たれた一冊であろう。わくわくわく。
問題は読み終えたころに、どこからから翻訳が出てしまわんか、という一点のみだな。
◆わ!羊頭書房のメール目録に島久平が載ってるじゃん!あるところにはあるもんなんだなあ。へえ。どうせ申し込んでも当たらないんだろうけど。ぶつぶつぶつ。


◆「直線」Dフランシス(ハヤカワミステリ文庫)読了


2004年7月26日(月)

◆会議、会議、資料作り、残業に入って会議、資料作り。
◆帰宅して久々にかみさんと娘の顔を拝み、あれこれ土産話を聞かされる。


◆「果てしなき流れの果てに」小松左京(角川文庫)読了
<こんなものも読んでなかったのか?>読書。白状しよう。小松左京は「エスパイ」以外短篇集しか読んでいない。「日本アパッチ族」も「日本沈没」も「復活の日」も「さよならジュピター」も「首都喪失」も「虚無回廊」もなあんにも読んでいないのである。えっへん。今回ドカンと本を処分するにあたり、まあ、これぐらいは読んでおくべえかと手にとって見た次第。
で、一読して感嘆。なるほどこれは「名作」と呼ばれるだけの事はある。
時間と空間の果てとその果ての向う、生命の矮小さと誇らしさ、進化する科学、超越する意識、幽閉される思念、跳躍する石棺、壁の向うの未来、フィードバックされる過去、追う者と狩る者、撒く者と刈る者、オーパーツという名の証拠が騙る神の不在証明。果てしなき流れの果て、時は春、花は桜、エピローグはたおやかにリフレインする。
天文学、物理学、考古学、西洋史、東洋史、人類史、宗教、奇談に哲学まで様々な知の引き出しから繰り出されるガジェットに翻弄される一大時空絵巻。オーパーツを追う異端の学者たちの悲運を綴った幕開きから、人間時間における一応の終幕。そこから一転して様々な時空の枝で繰り広げられるハイド・アンド・シーク劇。大風呂敷は時空の果てまで広げられ、ふと気がついた時には既に懐に畳まれている。ここに小松世界が凝縮されているように感じた。「日本沈没」後のさまよえる日本人像が垣間見えるのもよい。尚、角川文庫版は、死を二年後に控えた福島正実の述懐風解説がついているのも、御勧めのポイントだったりする。


2004年7月25日(日)

◆久びさの完全オフ。昨日、右手の人差し指を傷めたので、キーボードを封印。朝っぱらから「デカレンジャー」「仮面ライダー剣」「プリキュア」をボーっとリアルタイム視聴。はあ、こういう話だったのですかあ。なるほど「デカレンジャー」は変だ。着ぐるみワンコのボスが変だ、何かふっきれたような石野真子が変だ、操状態の5人組が変だ。
「プリキュア」は大団円間近のお話か?或はシルバー王女のように更に試練の旅が続くのだろうか?
それで頭が特撮ヒーローモードにラウズされてしまい、積録状態だった「仮面ライダー剣」を1話から17話まで続けて視聴。超古代のバトルロイヤルってえのがクウガ、3人ライダー(+α)で一人異形ってのがアギト、封印・召喚カードシステムが龍騎と、平成ライダー集大成のような設定で、まあ可もなし不可もなし。イケ面路線はますます磨きが掛かっているような。相川始=カリス役のアンちゃんが、一番御姉様殺しかな?ヒロイン(?)栞役の江川有未って娘は堀江美都子のクローンかと思ってしまった。
◆夜は「新選組!」を見終わってから、あれこれ本を拾い読みしていたら知らぬ間に寝てしまう。ああ、なんて平穏な一日。ザッピング4冊。読了本0冊。


2004年7月24日(土)

◆散髪してから、9時間ぶっ続けで別宅の掃除。4,5年越しでベランダも掃除する。汗まみれ、泥まみれの状態で右手の人差し指を怪我する。しくしくしく。
◆帰宅して夕飯を食べながら積録の「ザ・コア」を視聴。1時間程で、アルマゲドンのような、ディープインパクトのような、ミクロの決死圏のような、既視感溢れる展開に辟易として止める。これは苦痛だ。
代わりに「ウルトラQ」を2話視聴。「季里依とリリー」は旧作の「悪魔っ子」のリメイクらしい。本格的なリメイクはこれが最初なのかな?題名だけが「五郎とゴロー」合わせってか?
NHK教育の江戸川乱歩特集は録画しただけ。


◆「新人文学賞殺人事件」中町信(徳間文庫)読了


2004年7月23日(金)

◆就業後、職場のトラキチと居酒屋へ。ヤクルトに呑まれ、大虎になれない。
◆帰宅して酔眼で2ヶ月分溜まった鉄人28号を視聴するが、余り記憶に残っていない。
夜の寝床で、がおー。


◆「警官殺し」シューヴァル&ヴァール(角川文庫)読了


2004年7月22日(木)

◆かみさんが娘を連れて遥々九州の親戚のうちに御厄介になるため、本日から週末にかけて一人暮らし。
というわけで、小残業の後、帰宅して積録の「ターミネーター3」を視聴。アクションや特撮はそれなりだが、話のスケールが小さくなってしまった。切れのいいプロットで見せたシリーズ第1作、新型ターミネイターの特撮がただ只管に凄かった第2作に比べ、「なんやねん、このオチは?!」と突っ込みを入れたくなってしまったのは、私だけではない筈だ。とほほ、こりゃあ、映画館でみてたら途中で居眠りしていたかも。


◆「追憶のかけら」貫井徳郎(実業之日本社)
Jノベルに連載されたメタ・ミステリ。何も予備情報を入れずに読むのがお作法であろう、と書くだけで年季の入ったマニアには仕掛けが見えてしまうかもしれない。以下は、作品を読んだ人だけお楽しみ下さい。

<週刊ベースボール>
「ヤフーBBスタジアムのBBといえば、ブロード・バンドだろうと誰もが思い込んでしまう。しかし、それがベース・ボールの頭文字でもある事に気付いた時、ヤフーが野球場を持つ事が予定調和のようにすら思えてくる。だが、企みはそれだけでは終わらない。BBはブラック・ボックスの頭文字でもあるのだ。その内側にどのような知的なからくりが仕込まれているのか知らされぬまま、観客はただ歓声を上げて試合にのめり込むばかりなのである。
この試合では、作者は敢えてブンガクを見せ玉に使ってマニアを翻弄する。マニアは第一打席でじっくり球筋を見極めた積もりが、第二打席は華麗な変化球に眩惑され空振り三振。続く第三打席、狙い球を絞って臨みながら、二球ファールで追込まれ、最後作者の持ち味であるナチュラルに胸元に食い込む直球であえなく凡退。終わってみれば作者は堂々のパーフェクトピッチング。
まあ、辛口の解説者であれば『完封したピッチャーに文句をつけてもしょうがないが、球数が多いのがタマに疵』と一くさり注文してみせるかもしれない。が、この試合で作者は、自身が日本の球界の若きエースである事を証明してみせた。オリンピックでの活躍が期待される。」

<日経パソコン>
「ビット・オブ・メモリーがROMなのかRAMなのかは、ライブラリーが鍵となる。」

<ミステリマガジン>
「読め」



2004年7月21日(水)

◆某お役所で残業少々。読者よ、すべての手掛りは与えられた。その官庁はどこ?
省エネ推進の先頭に立たされている官庁なので、夏場の冷房温度28度を励行中。普段は、暑くてやってられないのだが、今日は外気温との差が10度近くあって有り難味がある。こんな有り難味、ちっともありがたくないんだってば。
◆帰宅してから図書館に本を返却し、返す刀で若干冊借りてくる。近所の図書館は、平日は21時まで開館してくれているので、とても諜報、じゃなくて重宝。
おおお、図書館を舞台にしたエスピオナージュを読んでみたくなってしまった。
「20億冊の頭脳」
「返さなかった男」
「スクールボーイ開架」
「いま、書庫にある危機」
いいかげんにしなさい。


◆「丹波家殺人事件」折原一(日本経済新聞社)読了