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2003年7月20日(日)

◆空路で帰京。伊丹〜羽田間の倍の時間を掛けて羽田から千葉に戻る。納得いかんぞ。
◆WOWOWで放映されていた「少林サッカー」を初視聴。なるほど、これは評判通りの快作。映画を見て、ここまで爆笑し続けたことがあっただろうか?メル・ブルックスの新作を追いかけていた頃以来か?ベタな仲間集めシーンにも、笑いとくすぐりが満載だったが、いよいよサッカーの試合が始まると、もう息つく暇もないド派手な超人技の嵐。ヒイヒイ。そして怒涛の決勝戦。実写版アストロ球団かドラゴンボールの如き、格闘技としての蹴球を堪能する。げらげら。大団円のあとにちゃんとオチまでついていたのには感心した。うひうひ。
◆「書評」と「感想」の違いでふと思った事。

一回通読しただけで書いちゃうのが「感想」。
最低2回は読んでから書くのが「書評」。

いや全くの雰囲気なんだけど、自分の中では、そんな線引きをやっていたような気がしたもので。だからこの日記の「感想」は、やっぱ「感想」なんですよ、ってことで。


◆「佐渡・密室島の殺人」深谷忠記(徳間ノベルス)読了
黒江壮・笹島美緒シリーズ第35作(おそらく)。2002年作品。執筆ペースを年間1、2作に絞ってから、ノベルズの壮&美緒シリーズも密度が濃くなってきており、ファンとしては喜ばしいところ。更になんと、この作品では「読者への挑戦」までつけて、本格推理へのこだわりをみせてくれた。しかし、題名の「密室」は、「その場所からの足がない」という意味での「密室」で、「すわ!あのアリバイトリックの深谷忠記が密室ものに挑戦か!?」と早とちりすると失望する。
舞台は佐渡。清新社の文芸社員・笹谷美緒は、書下ろし歴史小説の執筆のため佐渡の中心部・相川のホテルに泊り込んでいる小説家・春木真之の陣中見舞いに訪れた。その日、春木は、かつて恋仲にあった女優・矢野礼子から奇妙な依頼を受けていた。今の彼女の恋人・塩沢祐一とその妻の別れ話の調整に立ち会って欲しいというのだ。鷹揚なところを見せ、身勝手な元彼女の頼みを聞いた春木であったが、その夜、約束の時間を過ぎても、礼子は現われなかった。当初は、いつもながらの礼子の気紛れと割切っていたが、翌朝、佐渡北端の駐車場で礼子の借りたレンタカーが発見されるに至り、女優の気紛れは、失踪事件へと様相を変える。なんとレンタカーの扉には「殺」という文字がペンキで描かれていたのだった!やがてトランクから発見される礼子の死体。関係者が鉄壁のアリバイを主張する中、今度は多摩川縁で、新たな殺人が。埋め込まれた土地鑑、色欲との相克、断たれた密告、閉ざされた島、数分間の不可能に挑む「考える人」。
緻密に組み上げられたアリバイ・トリックもの。飛行機や、自動車といった文明の利器を拒む現場設定が嬉しい。限られた容疑者でありながら、最後の最後まで「Who」を引っ張った構成も御見事。これでもう少し小説としてのケレンや華があれば、鮎川哲也の域に達すると思うのだが、新書326頁も使いながら、登場人物たちの顔が見えてこないのは作者らしいというべきか。惜しいなあ。


2003年7月19日(土)

◆終日、実家で親馬鹿・婆馬鹿・爺馬鹿三昧。
◆近所の古本屋を覗くが収獲はなにもなし。仕方がないので、母親の部屋で、読むものを漁る。カバーや帯に無頓着な母の読んだ文庫と新書の3冊に1冊は裸本状態。せっせと散乱したカバーと帯と本を合わせる作業に勤しむ。おお、なにやらこれはこれで楽しいのう。貝合わせにうち興じる平安貴族の心境である>んなわけないだろ。


◆「薔薇の殺人」内田康夫(角川ノベルズ)読了
帰省にちなんで掘り出したのは「お坊ちゃまん探偵・浅見光彦「女の園」に挑む」の一編。兵庫県を舞台にした浅見光彦ものといえば、神戸、城崎、須磨明石、淡路島なんてところがあるが、この第50長編の舞台は「宝塚」である。90数作中5作の舞台になっているというのは、結構、いい線いってるではないか、我が故郷・兵庫県!目指せ観光立県。トラベルミステリーのメッカ。
で、宝塚といえば、温泉!(ホントは冷泉だけど)
炭酸せんべい!(どこでも売ってるけど)
ファミリーランド!(閉園したけど)
そして歌劇団!!
関西に生まれた人間からすると、何故「宝塚」が舞台で「薔薇」になるのかがピンとこない。帝国華撃団が「さくら」なら、宝塚歌劇団は「すみれ」である。関西ローカルの宝塚番組に擦り込みを受けた人間にとっては「♪すみっれのはーなーさくころ〜」というテーマはそのまま「宝塚」のテーマであった。それが「薔薇」になるのは、「宝塚=ベルサイユのばら」という洗礼を受けた世代であり、宝塚ウォッチャーとしては「新参者」である。私が内田康夫ならこの作品の題名は「菫と薔薇の殺人」にしたぞ。いやまあ、「宝塚殺人事件」にしたかもしれませんけどね。こんな話。
御留守番を言い付かっていた浅見光彦の元に、遠縁の外大生・緒方が女子高生誘拐事件の嫌疑を晴らして欲しいとやってくる。行方不明の女子高生・浜岡文絵は男優・三上と「ヅカ」出身の美人女優・鳥越美春の間に生まれた娘。やがて、彼女のもとに出生の秘密を巡る脅迫状が届いていたことが判明する。そして、埼玉の山中で文絵の死体が発見された。探偵の虫が騒ぎ始めた浅見は、女の園の歴史を紐解き、ただ一文字の「娘」を追う。愛それは苦しく、愛それははかなく。
これは参った。何が参ったといって、「ベルサイユのばら」が宝塚で上演された頃に生まれた娘がいいお嬢さんに育っているという厳然たる事実に打ちのめされたのである。ベルばらブームなんてつい昨日の事のように思っていた私が馬鹿でした。で、この作品、いつもながらミステリとしては薄味。物語の中盤を支配する活字の追っかけは、本当にそれほどその字が使われていないのかと不思議な思いがしたが、それだけ。殺人の顛末は肩透しだし、「ここまで無理して人を殺さんでも」と思ってしまった。浅見光彦がお好きな方はどうぞ。宝塚出身女優総出で豪華にテレビ化されるんだったら見ちゃうけどなあ。


2003年7月18日(金)

◆就業後、先乗りする奥さんと娘を追って大阪の実家へ移動。東京駅で指定を取ろうと思ったら、さすが3連休前の金曜日、普通席はすべて満席ではないか。うーむ、ここはグリーンを奢るかと一瞬迷ったが、ケチの血の導くままに、のぞみの立ち席乗車券なるものを初体験してみる。窓口で「お煙草は?」と聞かれたのには一瞬苦笑い。<立ち席>まで号車指定すんのかよ。まあ、喫煙者は灰皿のある喫煙車両のデッキに立たせてあげましょうという配慮なんだろうけど。とまれ、東京−大阪間を立ちんぼで踏破するのは、10年ぶり。途中で、立ったまま眠りかけたのには参った。単調な揺れが、眠りを誘うようである。おそるべし新幹線。単に私が睡眠不足なだけかもしれんのだけど。
◆親馬鹿・婆馬鹿・爺馬鹿三昧のかたわら、すき焼き食って、阪神の試合をサンテレビで見届け、山のような週刊誌を読んで寝る。


◆「夜の装置」多岐川恭(講談社)読了
昭和38年刊行の風俗推理小説集。フクさんのリストによれば第28作らしい。正直なところ、読み終わっての印象は「ああ、これが、昔の私的<多岐川恭のイメージ>だよ」というヤレヤレなもの。男と女がドロドロと繰り広げる惚れたはれた殺した死んだのドラマ。創元の文庫化以来盛り上がっている本格推理作家としての再評価の気運とは程遠いところにある作品集である。なるほど、昭和38年の初刊行以降、文庫や新書に入っていない訳で、時代とともに描かれ、時代とともに忘れ去られる類いの作品集なのであろう。いつものセリフだが「多岐川恭完全読破を志した人だけが読めばよい」。
ただ、同じプロットやキャラ設定でフレドリック・ブラウンが書けばお洒落に感じられるかもしれず、舞台が日本だと、途端に生臭く感じられるのは、ひょっとすると読者側の問題なのか?この辺は、一度真剣に議論されるべきなのかもしれない。以下、ミニコメ。
「夜の装置」表題作。バー『丘』を舞台に繰り広げられる女の争い。ナンバーワンの芳江が連れ込み宿で服毒死した時、一人の男が姿を消す。劣情と欲望の構図に仕掛けられた粛正の罠とは?風俗推理に本格の味付けを施した佳作。誰もが犯人で誰もが探偵になりうるいい加減さが許せれば、楽しめる。
「女靴事件」バー『みどり』の女給みどりが公園で半裸死体となって発見される。馴染みの客の4人のうちの誰が暴走してしまったのか?足跡を巡る刑事たちの推理とは?これも風俗パズラー。意外に論理的に犯人が指摘できる。やる気にはならないけど。
「黒いレジャー」叔父宅に寄宿する浪人生が抱いた『床下の死体』という疑惑。実益を兼ねた歪んだ気晴らしがもたらす皮肉な結末とは?とぼけた味は悪くないが、この主人公のエネルギーを何か他のことに活かせないものかと小一時間。良く言えば、EQMMファーストストーリー。悪く言えば、埋め草コント。
「兎狩り」裏山の林で乳繰り合うアベックを覗く三人男。だが、あるアベックの無理心中未遂事件に襲撃事件が絡んだ時、<兎狩り>は平和な趣味ではなくなっていた。野卑で下世話な設定の中にフーダニットのツイストを盛り込んだ作品。どこに転がるか判らない話であるが、結末はあっけない。
「人妻作戦」縺れ絡まる牝の肢体。階上から漏れる嬌声は、嫉妬と悪意のラブゲーム。最後に笑うのは誰?最後に脱ぐのは何?色事コンゲーム小説。ここに描かれた人妻像は「的の男」のアレですな。
「悪人は故郷を目ざす」三人の男女の現金強奪計画の顛末を描いた犯罪小説。この長さでは捻りようもなく、すれっからしの読者にとっては苦痛でしかない犯罪小説。「隠れた名探偵」の推理も飛躍しすぎで説得力に欠ける。
「好色の報酬」密かに妾を囲っていた男が脅迫を受ける。妻が雇ったらしい探偵を逆に丸め込もうとした時、更なる脅迫が、、果して脅迫者の意外な素顔とは?奇矯な探偵がいい味を出している軽犯罪小説。トリックは今更なものだが、語りで読ませる。
「二万円の殺し屋」見るべきところのない事件小説。実話を元にした再現小説なのか?


2003年7月17日(木)

◆さくっとNO残業で帰る。折角なので途中下車してブックオフ・チェック。何もない。
「倫敦 洒脱 探偵」河村幹夫(日本経済新聞社)100円
「シンプルレッド」竹内義和(ぶんか社)100円
「いたずらメールの代償」Jクレイ(青春出版社)100円
「カドカワフィルムストーリー・Wの悲劇」(角川文庫)100円
「カドカワフィルムストーリー・天国にいちばん近い島」(角川文庫)100円
日経のエッセイ本はダブりのような気がしてきた。竹内義和の作品は「パーフェクトブルー」に連なる作品らしい。へえ、こんな本出てたのね。ゲテもの路線で、青春出版社の翻訳ミステリを拾ってみる。「danger.com」というシリーズの第2作らしい。日本では2001年の出版。いやあ、知らなんだ。知ったからといって、何がどうなるものでもないが。角川文庫のフィルムストーリー本は、値をつけて売ってる店もあるので、発作買い。後4作は出ているようである。って、集めるのか、俺ってば?


◆「煙幕」Dフランシス(ポケミス)読了
競馬ミステリ第11作は、ポケミスの栄誉あるキリ番(=1200番)に輝いた作品。こうしたシリーズ作品がキリ番に来るのは、如何にそのシリーズを早川として高く買っているかの証といっても過言ではないだろう。ところが、高く買いすぎた余り、この先「暴走」「転倒」を最後に(ミステリ文庫創刊時の景気づけに文庫オリジナルで出された「重賞」を挟んで)、初出がハードカバーに移ってしまったのは皮肉としか言い様がない。徳間との版権取得合戦で高騰したであろう87分署がポケミスで頑張り続けたのに対して、競馬シリーズのポケミスからの卒業は、ポケミス主義者として何か「裏切られた」思いがするのである。
閑話休題。この第11作の主人公はなんと映画俳優。スタントマンから叩き上げた家族思いでストイックなまでの役者バカである。尤も、その生い立ちが馬丁の子、騎手を志すも身体が大きくなりすぎて役者の道に進んだというところが「競馬シリーズ」たる所以。
スペインの陽光の下で、監督との真剣勝負の末、会心の演技を終えた俳優エドワード・リンカーン。貧しい中から人気アクション俳優に駆け上がった彼は、決して奢ることなく、映画を愛し、家族を愛する英国紳士であった。だが、帰国した彼が、旧い友人を尋ねた時、彼女は既に死の床にあった。そしてエドワードは南アフリカに彼女が持っている十数頭の競走馬の不調の原因調査を依頼される。リンカーンに遺贈する馬の財産価値を下げたくないという彼女の思いに応え、多忙な日程を調整して南アに乗り込むエドワード。だが、南ア入りした大スターに次々と死の罠が襲い掛かる。歓迎レセプションで、金鉱山の地底で、そしてサバンナで。果して「車の中の男」エドワードは競走馬のトリックを暴き、刺客の正体を白日の下に晒すことができるのか?
静かな人間ドラマにこだわった前作からは打って変って今回は徹底的に冒険スリラー。しかもミステリとしての仕掛けがうまく嵌まっており、オープニングとクライマックスの共鳴も鮮やか。フーダニットの企みを早々に放棄して、ハウダニットとホワイダニットに絞った展開がページを繰る手をもどかしくさせる。主役が最初から「ヒーロー」というのはフランシスらしからぬ世界かもしれないが、「有名人も楽じゃない」的権謀術数部分も楽しめ、しかもそれが本筋と有機的に絡んでいるのがナイス。「出来過ぎ」「作りすぎ」という批判もあるかもしれないが、これだけ楽しませてくれればOK、OK。


2003年7月16日(水)

◆久久の大残業。どこに寄る気力もなくふらふらと帰宅するとAmazonから本が届いていた。
「Murder Imperial」Paul Doherty(Headline)1882円
「Isabella and the Strange Death」Paul Doherty(Carroll&Graf)2627円
今年2月と4月のドハティーの新作。梗概を斜め読みしたところでは、前者は、西ローマ帝国での連続娼婦殺しとコンスタンチヌス帝の館に潜入した女密偵の物語、後者はヒュー・コーベット・シリーズにも登場する愚昧の王・エドワード2世の死の真相を推理した研究書、らしい。それにしても多作な作家じゃい。これで7月にはアレキサンダー大王ものの第3作(アポストロウ名義をいれれば第5作)の「地獄の門」、8月には「西からの悪霊」、12月には「影たちの館」が予定されているんだから、たまったものではない。それも尽く考証に手間のかかる歴史推理っつうんだから恐れ入る。アイザック・アシモフでも憑いているに違いない。うん。

巨大なデータベースを持った永遠の子供の物語
スティーブン・スピルバーグ監督作品
「I.A.」

原作:アイザック・アシモフ自伝

ちょっとみてみたいかも。


◆「黄金の蜘蛛」Rスタウト(ポケミス)読了
ネロ・ウルフ第16長編。1953年作品。別冊宝石のスタウト集に先立つこと約1年。スタウト及びネロ・ウルフの日本初登場作品はポケミス177番にして、1955年6月15日の出版だから、当時としては充分に新作の間に紹介された事となる。翻訳者は高橋豊。アーチの一人称が「私」なのは良しとして、ウルフの一人称が「俺」なのはやや違和感を受ける。が、総じてこなれた翻訳で、原作の軽快さをうまく伝えている。ポケミス100番台としてはAクラスの翻訳と申し上げてよかろう。復刊されるまでは、ポケミス入手困難作の一つだったが、83年に再刊されてから相場が崩れた。現在は「本屋では買えないスタウト本」だが、その気になればネット書店でも容易に入手可能である。
さて、仕事が嫌いなウルフが、なぜその事件に関わる気になるのか?というのが、ウルフ・シリーズの楽しみの一つであるが、この作品では、些か酷い導入部が用意されている。
夕食のレシピの変更で臍を曲げたウルフを懲らしめるために、少年の依頼人をウルフと引き合わせたのが、この無慈悲な連続殺人事件の発端となった。信号で停車中の自動車の窓を拭き日銭を稼ぐ少年ピーターは、その日、閉じた窓の向うから助けを求めている女性に遭遇する。顔に引っかいたような疵があり、耳には蜘蛛を象った金色のイアリング。だが銃をもった男に脅され忽ちそのキャデラックを駆って去っていったという。探偵仕事で稼ぎたいと胸を張っていたピーターだったが、その翌日、再び問題の車に遭遇し、あろうことが白昼堂々轢き逃げされてしまい、12歳の命を閉じる。少年の姉から、少年が遺した4ドル30セントの依頼金を受け取るウルフ。そしてウルフが動き始めるや、社会事業家の富豪の未亡人が新たな依頼人として名乗りをあげる。だが、殺人鬼の魔手は、次々とウルフの依頼人を屠っていくのであった。黄金の蜘蛛が導くハイエナの罠。残虐にして卑しい犯罪を暴くウルフとそのファミリーの活躍譚。
クイーンだ、クリスティーだ、カーだ、ガードナーだ、と浮かれていた戦後の翻訳推理愛好家から、この一風変わった肥満探偵譚がどのように受け入れられたのかは気になるところ。これほど事件が嫌いで傲岸不遜な名探偵は、勤勉な日本の読者からは受けが悪かったのではなかろうか?他のビッグネームに比べれば、その後の紹介ペースがゆったりとしていたことからも、さして人気は出なかったものと思われる。確かに、この作品は、ウルフの手足となる探偵たちのチームプレイが見せ所で、フェアプレイだの、不可能犯罪だの、華麗なるミスディレクションといった本格推理としての派手さに欠ける。ウルフらしいといえばウルフらしいのだが、やはり推理趣味が濃厚な初期作からの紹介が無難だったのではなかろうか。冒頭の浪花節も、ウルフ以外の探偵であれば百倍熱く語ったところだろうしなあ。


2003年7月15日(火)

◆2週間ぶりに別宅へタッチ&ゴウ。SRマンスリー、EQFC、芳林文庫カタログなどを回収。
SRマンスリーが創元推理文庫特集を組んでいる。なかなか充実したアンケートで、ベスト投票、ワースト投票、復刊希望など夫々に頷ける内容。それなりの人に聞けば同じ答が返ってくるんだなあと、感心した。もうひとつ感心したのが、この企画がアンケートをとってから4年以上お蔵入りしていたという事実。今更4年以上前の原稿を持ち出してくるというというのだからこれはもう凄いとしかいいようがない。SRはスロー・リファレンスの頭文字か?で、それだけ前の原稿でも、余り違和感がないところが創元推理文庫なんだよなあ。お互いいい味だしてます、としか言い様がございません。


◆「ラッシュライフ」伊坂幸太郎(新潮社)読了
今、乙一と並んで最も旬の作家・伊坂幸太郎。そのジャンルを超越したクロスオーバーなセンスは、すれっからしのエンタ読みを誑し込んで時速250キロで疾走する。この新潮ミステリ倶楽部大賞「オ−デュボンの祈り」に続く第2作も、一筋縄ではいかないノン・ストップ・モザイク小説。こんな話。
「あなたの好きな日本語を教えてください」仙台駅前に立った白人女性のスケッチブックに記された文字。「夜」「力」「約束」「無色」。これは、その文字を書いた人達の物語。縺れあい、絡まり、未来への螺旋を描く生と死のドラマ。ある者は、粛々と空巣という仕事に励み、またある者は、神の解体に立ち会いそのさまを描く。ある者どもは、壊れた愛の清算に殺意の罠を張り、ある者は、職探しの果てに老犬と出会う。ちぐはぐな郵便局、支配する事に慣れた男、夢に殉じた目利き、死体はバラバラになった後に甦り、空巣は思わぬ旧友と出会う。エッシャーの騙し絵のように、パズルのピースのように、循環するエピソードは鞭打ち、景気が好く、軽率で、突進する。「私は生きています」。イッツ・オール・ライト。イッツ・ア・ラッシュ・ライフ。
面白いっ!!真正面からミステリとして見た場合、トランクに詰め込んだ死体が車を運転している間にバラバラ死体となり、更に、それが甦って逃げ出していく、というトンデモなく魅惑的な不可能趣味が凄い。カーマニアとしてはそれだけでもうノックアウトだが、更にこの小説には様々な人々の人生が切り取られ、「正直の頭に神宿る」顛末が多重的に奏でられるのである。なんとも痛快!生きててよかった!今日も元気だ、伊坂がオモロイ!第1作のひょっこりひょうたん島にイマジネーションが追いつかなかった人もこれならば追随できるであろう。太鼓判ついて御勧めしちゃうぞ。


2003年7月14日(月)

◆大阪日帰り出張。ようやくデイリースポーツが緊急編集したグラフ誌「阪神 もろたで!V」を入手する。東京じゃ、この本、なっかなか手に入らんないんだよなあ。サンケイや週刊朝日から出ている類似誌はどの本屋にも並んでいるのだが、1冊選べといわれれば文句なしにデイリーである。昨日今日の雨後の虎の子ならいざ知らず、不遇の18年間、それでも阪神一面で来た新聞に操を立ててこその虎キチではなかろうか。それは丁度、横溝正史が、筆を折っていた頃にも本や全集を出しつづけてくれた講談社と東京文芸社に対して、空前のブーム到来時に「仮面舞踏会」「迷路荘の惨劇」という新作長編を書き下ろして応えたようなものである。
まさかの友は真の友なのである。権力の墓穴なのである。>特に意味はない。


◆「死の連鎖」Pゴズリング(ポケミス)読了
ブラック・ウォーター・ベイ・シリーズの重厚長大ぶりには恐れをなして敬遠してきたが、このジャック・ストライカー警部補再登場の2002年の最新作は、比較的(あくまで比較であるが)薄型サイズ。なんとか尻ポケットにねじ込もうと思えばねじ込めないこともない。これが貴方、「凍った柩」やら「死者の影」だと尻がドナルド・ダックになってしまいます。こんな話。
グランサム州立大学を覆う悪意と殺意の翳。文学部助教授のケイト・トレボーンは匿名の人物からかつての教え子マイケルとの間柄であらぬ中傷を受け、教育熱心な人類学助教授エリーズ・メイヒューは自宅で何者かに射殺される。更に、受難は女性教授陣に留まらず、ピンスキー部長刑事に悩み事を相談しようとしていた医学生リッキー・サンチェスが大学傍の横丁で撲殺されてしまう。学生から慕われていた女教授、勉強熱心で臨床から基礎医学まで全ての現場に首を突っ込んでいた苦学生、被害者を死に至らしめた動機と機会を追うストライカー警部補。一方、ストライカーの恋人ケイトは、彼に内緒で同僚の女丈夫リズとともに、卑劣な脅迫者の正体を暴こうと奔走する。仕掛けられた音の罠、象牙の塔の思惑と確執、一見無縁に見えた三つの事件を結ぶ連鎖。それは、あたかも水切り石の波紋のように複雑に縺れ、プロの捜査陣を翻弄するのであった。
ストライカー警部は、第4作までスタンドアローンできた作者初のレギュラーキャラ。まあ「モンキーパズル」の時点でシリーズ化を考えていたかどうかは疑問だが、ケイト・トレボーンという相方の魅力が、作者をして「もう1作」と思わせたのであろうか。フロスト警部の如き破天荒もリバース警部の抱く暗いパトスも感じさせない優等生キャラであり、個人的にはさして印象に残っていない。この作品でも、どちらかといえば狂言回しの役で、なんと素人探偵にいいところを攫っていかれる破目に陥る。犯行の動機は昔ながらのものだが、現代的な「病」を上手くあしらっており、それなりに読ませる。それだけに現代警察を舐めたような展開には少々面食らった。ケイトという名の大学教授は跳ねっかえりばっかりなんだろうか?


2003年7月13日(日)

◆なおもまだ仕事している三時半。うがああ。
◆郭公亭の若旦那がぐちってるけどさあ、俺なんか若旦那自身から「kashibaの近作評が読んでみたいなあ」と言われた口なんだけど、何か?その人間から「同じ本読んで似たような感想ばかりだ」という愚痴は聞きたかねえぞ。
あと、
>ネットにおける書評家というのは当初(ミステリ・ネット創生期)、
>多かれ少なかれ、プロのライター・書評家に対するアンチテーゼを
>持っていたと思います。
も、そうなのか?自分について述べれば、レスポンスの遅い「同人誌」に対しては、不満や文句ありましたけど、プロのライター・書評家に対して何か一物あるということは今も昔もござんせん。「こいつ、買ってるだけじゃん」と言われたくないが為だけに始めたようなもんです。
まあ、うっとこは「創生期」というよりは「出エジプト記」ぐらいのもんだけど。

◆新刊1冊。
「死の連鎖」Pゴズリング(ポケミス)1300円
312頁もあるのだが、昨今の重厚長大に慣れてしまい「普通」サイズにしか感じられない。とりあえず、この1冊で、再び出版ペースに追いついた。「ポケミス、完集!!」(お約束)
◆奥さんに付合ってWOWOWで放映されていた「アイ・アム・サム」をみてしまう。こういう感動の押売りのような作品は苦手中の苦手なのだが、子役のダコタ・ファニングに見とれているうちに、なんとか終わってくれた。で、「この子、CSIに出てたね」と言われて、びっくりする。そうか、一家惨殺の回の生き残り娘かあ。どうも、うちの奥さんは、私の百倍、俳優の顔がデータベース化されているみたいである。もっとも、私と来た日には、最近のハヤカワ文庫の挟み込みチラシの煽りで初めて、心理探偵フィッツの主演男優(ロビー・コルトレーン)が、ハリポタでハグリットをやっていることを認識したような俳優オンチだけど。


◆「悪魔の涙」Jディーヴァー(文春文庫)読了
「ボーン・コレクター」と「コフィン・ダンサー」の間に位置するリンカーン・ライム外伝(ちょこっとだけカメオ出演します)。で、テイストは全くライムシリーズのそれ。見事なまでの逆転に次ぐ逆転。「我に10頁与えよ、しからば話を引っくり返してみせよう」てな感じ。ここまでやるかっ、ディーヴァー!? ここまでやるんです!!
かのリンカーン・ライムが一目おく筆跡鑑定人にして、かつてFBIの捜査部門のトップの座を蹴って野に下った男、パーカー・キンケイド。だが、ワシントンは再び彼の天才を必要としていた。次々と予告通り殺戮を繰り広げる脅迫者・ディガー。世紀末の大晦日を朱に染めて、殺しと強奪のプランはカウント・ダウンを始める。要求額2000万ドル。しかし、時計仕掛けの邪神を止める術は既に失われていた。ただ一枚の手書脅迫状を挟んで、対峙するパズルの天才と悪鬼。紙の背を透かし、プロットの行間を読む静かな闘いにボートマンの悪夢が甦り、愛の上、悪魔の涙は降る。
リンカーン・ライムを「現代のソーンダイク博士」と呼ぶのであれば、この物語のキンケイドは誰になるであろう?昔の名探偵は、筆跡鑑定に特化していた訳ではないのでヘンリー・ガーマジーあたりの古書探偵の末裔とでも見るのかな?筆跡鑑定の最先端技術がどの高みに達しているかを伺い知れるだけでも値打ちがあるが、勿論それだけではない。無差別殺人という些か手垢のついた変形誘拐ものでも、このプロットの魔術師の手掛かると、最後の最後までサスペンスとサプライズの途絶える事のないオモシロ読み物になるんだから凄い。前妻との養育権争いから絶対に凶悪事件の表に出る訳にはいかない、という「名探偵」の設定を活かしきったスリルといい、捜査陣を嘲笑う<真犯人>の仕掛けが次々と誘爆していくショックといい、読者を翻弄することにかけては、この作者はラドラムを超えたといってよかろう。これが、大晦日から新年にかけての僅か1日の間に起きた事件なのか。はああ、あけまして、おめでとうございます。いつもより頑張ってプロットをひっくり返しております。


2003年7月12日(土)

◆土曜出勤。最近は皆さん自宅のパソコンで作業するようになったらしく、うちのフロアには誰もいない。今回は持って買えるには余りにも紙ベースの資料が重くなりすぎるので、身体の方を運んでみた。空調も切れており、冷水も出やしない。昼過ぎには、外の気温は31度に達しており、フロアにも熱気が篭ってくる。冷蔵庫から保冷剤の小パックを探し当て、首筋にあてたりしながら涼をとる。結局5時まで真面目に働く。しかし、終わらない。しくしくしく。泣く泣く「お持ち帰り」にする。
「本でも買わなやっとれまへんなあ」モードに突入する。久々にゆったりと神保町をチェックする。買ったのはこんなところ
「夜の装置」多岐川恭(講談社)2500円
「Grey Mask」Patricia Wentwoeth(Coronet Books)200円
「The Case of William Smith」Patricia Wentwoeth(Coronet Books)200円
「The Silent Pool」Patricia Wentwoeth(Coronet Books)200円
「Out of the Past」Patricia Wentwoeth(Coronet Books)200円
「The Benevent Treasure」Patricia Wentwoeth(Coronet Books)200円
「Latter End」Patricia Wentwoeth(Coronet Books)200円
「The Watersplash」Patricia Wentwoeth(Coronet Books)200円
d「Pilgrim's Rest」Patricia Wentwoeth(Coronet Books)200円
「Through the Wall」Patricia Wentwoeth(Coronet Books)200円
久々に古書価格の日本の作品を買う。これって文庫落ちしてないよね?どきどき。1冊高い本を買ったので、あとは平均単価を下げるために、パトリシア・ウエントワースのミス・シルバーものを並んでいただけ買ってみる。帰宅してamazonで確認したら、どうやらミス・シルバーものについては、殆ど現役本らしい。ミス・マープルの先駆けといわれるだけあって、未だに英米での人気はあるらしい。まあ、現役本とは申せ、200円で買える本ではないので、結構お買い得気分である。一日の平均単価も500円を切ったし。>それだけかい?


◆「刺青白書」樋口有介(講談社)読了
樋口有介2000年作品。作者の第19作は、レギュラー探偵・柚木草平とスタンドアローンの素人探偵カップルのコンビネーションで送る連続美女殺人。
古本の画集の前で息を殺す冷泉女子大四回生・三浦鈴女。ど近眼、ミニスカートにウォーキングシューズ、卒論のテーマは「江戸時代における春本の社会的効用」。彼氏いない歴20うん年の彼女の日常は、高校時代の同級生の相次ぐ死によって、激変する。一人はアイドル女優、今一人は女性アナウンサーの卵、まるで蝶のように華麗に変身し、そして無惨な死を遂げた同級生たち。ひばりになりそこねた娘・鈴女は、ひょんなことから再会した高校時代の思い人で野球部のエースだった左近万作とともに、真犯人を追う。死体の肩から消された薔薇の刺青に潜む因縁とは?自殺した少女の怨念は、その死の瞬間から既に作動していた。
ミレニアムの「刺青殺人事件」に登場する浴室は、風俗産業のそれであり、首無しトルソが転がっている訳ではない。刺青だって、背中一面の大蛇丸などという大それたものではなく、肩に可愛くあしらわれた薔薇である。名探偵は希臘彫刻の如き美貌を誇る白皙の法医学者ではなくて、枯淡の中年男である。しかし、この軽やかさこそが、「今」なのである。思いっきり「イマドキ」からは外れたヒロイン・すずめちゃんと、左門豊作とは対照的な容姿の元高校球児・左近万作の恋路はファンタジックなまでにお約束であり、叙述トリックはアウトコース一杯のフォークボールといった風情なのだ。しかしひとたび樋口有介ワールドの虜になった読者には、それがまた堪らなくいいのである。そして眼鏡フェチには、ヒロイン鈴女ちゃんのハアハアぶりがこれまた堪らなくいいっ!のである。鈴女萌えっ!!ちゅんちゅん。


2003年7月11日(金)

◆夜宴会。阪神快勝。購入本0冊。
◆と思ったら本の雑誌の今月号が届いておりました。ありがとうございますありがとうございます。
今月の特集は、おお、既に「2003年上半期ベスト」かあ。早いですのう。昨年同様、1冊も読めていない。らしいといえばらしいんだけどさあ。
では、逆に読んだ中でのベストを選ぼうとすると、これがまた悩ましい。というのも、今年は「恥かし読書」を継続中につき、オールタイムベスト級の作品をやたらと読み散らかしているからである。「男の首・黄色い犬」「大誘拐」「生ける屍の死」「マルタの鷹」「トレント最後の事件」「十三角関係」「氷柱」「大いなる幻影」「白昼堂々」等など、さすがに良く出来ている話が多い。中には、チャンドラーのように、「今まで読まなくて正解」と素直に思える、趣味が合わないとしかいいようのない「オールタイムベスト」もあったのだが、「歌の翼に」や「葉桜の季節に君を思うということ」が如何に優れた新作であっても、じゃあ純粋に「男の首」より上か?と問われると、うーん、と考え込んで小一時間。猟鉄方式ベストの限界がここに来て露呈してしまった感がある。


◆「新本格猛虎会の冒険」(東京創元社)読了
人は阪神ファンに生まれない、阪神ファンになるのだ。
私の父は筋金入りの阪神ファンである。子供の頃、言い渡された。「別に阪神ファンにならんでもええ。そやけど、巨人ファンになったら殺す。」そんなわけで聞き分けのよい子であった私もガキの頃からの阪神ファンであり、当然のことながらアンチ巨人である。阪神が勝って巨人が負けた日には飯が美味い。翌日のデイリースポーツが5面まで楽しめる。まあ、18年に一度の事なので、他チームのファンは寛大な心で今年の阪神ファンの狂乱ぶりを温かく見守って欲しい。さて、阪神ファン17年の怨念を込めた企画がこれ。はっきりいって、ここまで阪神が快神撃を続けるとは露知らぬ時期の企画であり、今読むと、どの作品も気の抜けたビールのような印象を受ける。キワモノは旬のうちに楽しんでおかなければいかんですのう。以下ミニコメ。
「阪神タイガースは、絶対優勝するのである!」正しい阪神ファンによる阪神ファンのための序文。但し、ミステリ集の序文としてはやや物足りない。
「五人の王と昇天する男達の謎」北村薫が肩の力を抜いて投じたデッドボール。シェーの形で昇天した二人の霊の意図に挑むは有栖川有栖。余りのカルトぶりと田中啓文はだしの地口落ちに唖然とする一品。2年もすれば「有栖川がまた詰まらない事、やってたなあ」と思い出すかもしれない。私なら「八木がシェーすりゃ背は3番」と言ったところですがちがいますかそうですか。
「一九八五年の言霊」<鷹に鶴墜ち、蒙古襲来に都の不安は募る>という大予言に秘められた謎とは?それはカーネル・サンダースの呪いだったのか?みたいな話ではなくて、史実でうまく法螺を吹いた作品。いっそ小説を捨てて井沢元彦風啓蒙エッセイ仕立てにした方が趣向が生きたかもしれない。
「黄昏の阪神タイガース」あのEDホックの描いたエース誘拐と殺人の謎。これは「ホックに描かせたのが凄い」というだけで、別に阪神ものでなくてもいい。ミステリとしても小味で、趣向倒れ。全然阪神の選手らしくないんやもん。
「虎に捧げる密室」衆人環視の家の中で殺害された老阪神ファンの謎に挑んだ傑作。動機が完璧である。阪神が優勝しそうになっている、という設定も見事に昇華しており、過不足なし。脱出の種明かしが今一つではあったが、この作品集で1、2を争う出来映え。この作者にはもっとミステリを書いて欲しいものである。」
「犯人・タイガース共犯事件」去年までの阪神ならば心底自虐的に楽しめた作品だが、今年に限っていえば賞味期限切れ。最後の着地は流石ひさいちだが。
「甲子園騒動」日常の観戦風景から犯罪を切り取ってみせた読む落語。語りがくどくて今一つ楽しめない。ミステリとしては及第点だが、落語としては落第点。阪神の蘊蓄も薄っぺら。もっとこてこてにサンテレビねたや、サンガリヤねたが欲しいぞ。
「猛虎館の惨劇」成金の熱烈なトラキチが首無し死体となって発見された。奇矯な館に欠けていた「虎」とは何だったのか?ミステリと阪神熱の華麗なるコラボレーション。真相を明かされて思わず「やられた」と感じた、心憎く、心に残る1作。
「解説−虎への供物」青函海峡と阪神の優勝の因縁を説いた怪説はユニーク。ここはやはり、ダンカン説に倣い、3勝3敗で迎えた日本シリーズ最終戦最終回に今期絶望といわれている浜中が突如登場して代打逆転サヨナラホームランで決めるというシナリオはどうだろうか?「生還!!快挙!!日本一!」せいかんかいきょ、にほんいち!あきまへんかそうだっか。