2002年
猟奇の鉄人が選ぶ13の椅子



ぱんぱかぱーん\(^0^)/

さあ、恒例となりました、年間ベスト
今年もkashibaの読了本から

極私的オモシロ本を勝手に選ばせて頂くことと致します。
実は、12月初めにフーダニット翻訳倶楽部の方で
40作を選ぶという
荒業をやった後ですので、今年はラクラク、
茗荷丸さんより前に発表できてしまいます。


例年申し上げることですが、
ここに入っていないからと言って、
決して面白くないわけではありません。

あくまでも、こういう趣味の奴がいるという御参考でございます。
さあ、前置きはこれぐらいにして参りましょう。
どん!


第13位
「五人姉妹」
菅浩江(早川書房)

SFはどこまで普通の人々を感動させられるのか?
これは科学と人の織り成すドラマ集。
未来は今日の営みの先にあり、
人はその本性において人でありつづける。
永遠に。



第12位
「ソルトマーシュの殺人」
グラディス・ミッチェル/宮脇孝雄訳(国書刊行会)

やっと出た。
すれっからしのための
すれっからしによる
すれっからしの「牧師館の殺人」。
逆手と裏筋の向うに作者のほくそ笑みが見える。



第11位
「The Assassin's Riddle」
Paul Doherty(headline)

時は1380年。処は怪盗が跋扈する魔都ロンドン。
キリストは血の涙を流し、強欲な金貸しは密室で息絶える。
秘蹟と「ユダの窓」の謎に挑むのは、
修道士アセルスタンと国王の検死官クランストン卿。



第10位
「僧正の積木唄」
山田正紀(文藝春秋)

軍靴の響きに載って殺しのマザーグースが帰ってくる。
復活した<僧正>と闘うのはあの名探偵。
金田一耕助がニューヨークの夜を駆ける。
これはジャップが紡いだ夢。


第9位
「レイトン・コートの謎」
アントニイ・バークリー/巴妙子訳(国書刊行会)

77年ぶりに初紹介される曲者作家の処女作。
初々しいユーモア推理作家ぶりと、
後年を思わせる掟破りの勧善懲悪に拍手喝采!



第8位
「饗宴」
柳広司・原書房

ソクラテス最後の事件。
アテネの街を邪教徒の影が覆い、妖かしの宴が猟奇を呼ぶ。
日本にもドハティーがいた。
称えよ、ロゴスの勝利!
歴史本格推理の収獲。



第7位
「アイルランドの薔薇」
石持浅海(光文社カッパノベルズ)

アイルランドの村を舞台にした
「政治的に正しい<嵐の山荘>」。
字で読むマスター・キートン。
文字通りの端正な推理小説。
カッパONEのNo.1。



第6位
「第四の扉」
ポール・アルテ/平岡敦訳(早川書房ポケミス)

待望久し!カーになりたいフランス人作家のデビュー作。
オカルト&不可能犯罪テンコ盛り。
アルテ、すげーーっ!



第5位
「The Tournament of Murders」
Paul Doherty(headline)

14世紀末。謀反の疑いを掛けられ
非業の死を遂げた父母の無実を晴らすため、
青年騎士は真の故郷に向う。
そこに待ち受ける、殺戮と惨劇のトーナメント。
そして暗号と不可能犯罪。
復讐するは我にあり。



第4位
「The Three Tiers of Fantasy」
Norman Berrow(Wardlock)

人が消え、部屋が消え、街が消える。
三重の消失に秘められた謎に挑むのは
ウィッチンガム警察が誇る名探偵スミス警部。
贅沢な消失三重「層」



第3位
「Mr.Diabolo」
Anthony Lejeune(MACDONALD)

神出鬼没、伝説の魔人が出現する時、
キャンパスは血に染まる。
人間消失を扱ったオカルト・ミステリの佳編。
どこを切ってもディクスン・カー。



第2位
「詩人と狂人たち」
GKチェスタトン(創元推理文庫)

逆説の快感。騙りの至福。取り違えの妙に酔う連作集。
狂気のロンドに直感が歪み、理性は悲鳴をあげる。
だが、諸君、正しいのはいつもガブリエル・ゲイルなのだ。



さあ、いよいよ第1位の発表です。
実はこの作品は、フーダニット翻訳倶楽部への

投票後に読んだ作品であります。
そう、もう勘の良い方はお分かりでしょう。

あの作品です。

(永井一郎の声で読んでね)
日本人が増え過ぎた矛盾に目を瞑る事を覚えて既に半世紀が過ぎた。
世俗を巡る肥大した拝金主義は日本人の第二の本性となり、
人々はその欲望のままに、子を産み、育て、そして死んでいった。
西暦20XX年、本州より最も遠い在日米軍基地を消滅させた元凶を
奪取した北鮮工作員ホン・ヨンファは、仲間とともに都内のビルに篭り、
北鮮政府に対し人民武力省リン・ミンギ局長の派遣を要求してきた。
交渉は決裂し、ミンギ局長は物言わぬ生首となって送り返された。
人々は、ヨンファのその行為に恐怖した。

篭城は膠着状態に入り、既に8ヶ月が過ぎていた。

(鈴置洋孝の声で読んでね)
「イージス、わだつみに立つ」

(三石琴乃の声で読んでね)
漆黒の海に向う影。すれ違う男たちの心。
闘いの底にあるのは覚醒への警鐘。それとも復讐心?
父を葬った息子、息子を奪われた父。
巨大な歯車の中で、向き合う牙と楯。
物言わぬ破壊神が死をもたらす時、
慟哭の果てで陰謀者の掌は覆る。
全てを燃やし尽す炎を、その絵筆で払え、イージス。

そうです、本年の第1位はこれ!!



第1位
「亡国のイージス」
福井晴敏(講談社)

あらゆるミステリのコードを無効化する
スパードレッドノート級エンタテイメント。
よく見ろ、推理作家!これが小説だ!!



さあ、2003年はどんな幸せな出会いが待っているのでしょうか?
どうか、皆さんも楽しい読書生活を。


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