戻る


2002年10月10日(木)

◆天気もよかったので二駅途中下車して定点観測。さしたるものは何もなし。ホント、最近は本屋の方に「もの凄く珍しい(珍しかった)」本が並んでいるような気がする。拾ったのは二冊。
「四枚の羽根」AWEメイスン(小学館地球人ライブラリー)650円
「ラトビアの霧」中津文彦(講談社ノベルズ:帯)100円
メイスンの復讐譚は例によって出ていた事も知らなかった本。こういうミステリ作家の非ミステリって網から漏れてしまうんだよなあ。いかに本屋でのチェックが甘いか、という事ですな。中津本は先日本をお譲りした中津作品を殆ど読んでいるというMさんから推薦して貰った<これは読んどけ>という中津作品5作のうちの一つ。因みに後の4つは「黄金流砂」「喪失荒野」「七人の共犯者」「バンコク狙撃指令」だそうである。さあて、どないなものでしょう。
◆10月新番・織田雄二ドラマ「真夜中の雨」をリアルで視聴。なぜここで「YAH YAH YAH」が流れないんだ!?(ダン!ダン!ダン!)と強く感じてしまう。癖のある役者を集めているものの、カットの切れが悪く全体的に間延びしている。スペシャル編成が災いしているのかな?女刑事役の松雪さんはとても綺麗だわ、おーっほっほっほっほ。(奥さんに言わせると「きらきらひかる」の時のストレートヘアの方がかっちょいいそうであるが)。まあ、もう一回見てダメだったら「ポイ」だな。

◆「幽霊船が消えるまで」柄刀一(祥伝社ノベルズ)読了
天才・龍之介がゆく!シリーズ第2作。知能指数190、生活力0の従弟・天地龍之介とともに彼の後見人を探す旅に出たぼく・天地光章が遭遇する怪異な事件の顛末を綴った連作。小説NON連載の5編に書き下ろし1編を増補した御得用ノベルズ。
柄刀一という人は本当に推理小説が好きなんだろうなあ、と感じる。とにかくページの向うから「さあ、今度はどういう趣向で読者をビックリさせてうやろうか」という気合の入った稚気が伝わってくる。この話も、よくぞこれだけのトリックを惜しげもなく短篇に消費するよなあ、と感心させられる。この短篇1つ分のネタで充分長編を支えられると思うのだが、なんとも贅沢な作品集である。
霧の夜に鳥の羽ばたきととにも現われては消える幽霊船、そして海からの襲撃者、移動する指紋といった謎をテンコ盛りにした表題作、
白い鍵盤に遺された証拠、そして絶対音感故にワーグナーは罠を張る。物理学の調べが余韻を残す「死が鍵盤を鳴らすまで」
幼児誘拐犯に下される女神像の裁き。カルネアディスの理と「かちかち山」の伝説は逆転し、遠い思いが正義を実現する「石の棺が閉じるまで」
卑しい男たちを欲望の場で葬る死の罠。極限状況で、淡々と電気の講義を行う龍之介の胆に感嘆する「雨が殺意を流すまで」
口先だけの詐欺男が、金持ちの令嬢に愛を囁く時、遠隔の火が偽りを消し去ろうとする。鍾乳石の語る真実と令嬢のはじけぶりに息を呑む「彼が詐術を終えるまで」
追われる男の無実を晴らすため、命の危険に晒されながら、密室から消えた麻薬の行方を推理する。ハウダニットにしてコンゲーム小説「木の葉が証拠を語るまで」
どの短篇も、気持ちいい。1つには浮世離れした龍之介のキャラクターによるのであろうが、この作者の「推理小説かくあるべし」という構えの美しさがまた嬉しい。「日本のエドワード.D.ホック」と呼んでもいいんじゃないかなあ?


2002年10月9日(水)

◆前夜「アルジャーノン」を見終わって夫婦共々灯りを煌煌としけっぱなしで爆睡。朝起きたら6時前。うひゃああ寝過ごしたああ。大慌てで日記と感想を殴り書いてアップ。ううう、30分で上げたのは記録じゃないかなあ。
◆あらためてネットを徘徊してみると結構みなさんアルジャーノンをご覧になっているようで。まあ、巡回コースにSF系の人が多いので、当然といえば当然かもしれんが。中では、よしださんの「菅野美穂主演希望」説に激しく同意。それは凄い。それなら原作を超えられるかもしれん。昨晩も「この娘は<北島マヤ>だねえ」と夫婦で感心していたのである。何をやらしても「期待に応え、予想を裏切る」演技をこなす。ほんと、プロの女優だ。
◆通勤途上で、ガンダムW5人チームのうちの一人の名前がどうしても思い出せなくて悶える。姓がマックスウェルというところまで覚えているのにい。ぐぞう。出社してグーグルで叩いてデュオだった事が判明。いやあ、インターネットって便利。一昔前だったら、一日中なすすべもなく悶々としていた事であろう。高度情報通信社会ばんざあい。いーじゃぱん計画ばんざあい。
◆世の中で(少なくとも日本で)ノーマン・ベロウやら、ポール・ドハティーの感想をアップしている酔狂なサイトはうちぐらいだろうと思っていたら、一つ見つけてしまいましたあ。ミステリ研の中ではブランド中のブランド、京大ミステリ研の蒼鴉城(別館)。(向)という略号のタフな原書読みの方が一名いらっしゃった。おおお、良き哉、良き哉。森英俊氏が撒いた種は若い世代でも確実に芽吹いているのじゃあ。つうわけだから、早く大鴎さんもサイト立ち上げなさいね。>私信
◆就業後、新橋駅前の古本市を覗く。完全落穂モード。丸背のEQMMが百円均一で2、30冊積まれていた以外は特にみるべきものはない。まあ、何も買わないで帰るのも癪なので、無理矢理安物買い。
「中間生命体」テス・ジェリッツェン(角川書店)100円
「死を運ぶ風」ネヴァタ・バー(小学館文庫)100円
「中間生命体」は出ていた事も知らなかった医療ミステリ。ネヴァタ・バーは女性パークレンジャーシリーズの第2作。第1作は福武(ベネッセ)の新書で出ていたらしい。それにしても小学館文庫の海外ミステリシリーズは本当にこの世から消えてしまった。古本屋でも、まだ社会思想社ミステリボックスや勁文社文庫の方が見かけるといっても過言ではない。元々、新刊の段階ですら書店で見つけるのが一苦労だった叢書だが、後世のマニアを泣かせるシリーズになるに違いない。買いそびれている人はネット書店を使ってでもゲットだぜ。
◆三谷幸喜ドラマ「HR」はとりあえず録画はした。テレビシリーズは「合い言葉は勇気」以来なのかな?今度こそ見なくっちゃ。

◆「魔神の遊戯」島田荘司(文藝春秋)読了
個人的に島田荘司の長編は「龍臥亭事件」以来。デビュー当時から「アトポス」あたりまでは「出たら即買い、買ったら即読み」で来ていたものが「秋好事件」で切れてしまい、以降も今ひとつ本気になれなかった。冤罪を追う社会派・島壮とパロディ本を信徒と一緒になって煽るミーハー・島荘についていけなくなった、とでも申しますか。まあ、我ながら「普通の本格ミステリ好き」である。
さて、この御手洗潔登場の書き下ろし長編は、まぎれもなく、この叢書の目玉であろう。講談社専属のようなイメージがあった御手洗長編をよくぞ引き抜いた。まあ、「龍臥亭事件」も「ハリウッド・サーティフィケイト」も一応「御手洗ワールド」だが、この話は正真正銘「名探偵ミタライ教授」が出ずっぱりだもんね。こんな話。
「さあ、みんなフィカはどうだい」「ミタライならもっといいね!」そして御手洗は話しだす、ネス湖に程近い村で起きた酸鼻な老女連続殺人事件の顛末を。スコットランド一の呑んだくれ作家バーニーの口を借りて語られる物語は、1人の奇矯な画家の紹介から始まる。カメラのような正確さで自分を拒んだ故郷の村の風景を切り取る男ロドニー・ラーヒム。彼の母は妖婦だった。やがて夫や恋人を奪われた村の女たちの恨みはラーヒム母子に向けられた。天井からの縊死。そして天上からの意思。ユダヤの怒れる唯一神が降臨する時、エクソダスの神話は繰り返される。縫合された異形、千切られたトルソ、遺棄されるオブジェ、偏在する現場、檻の中の不在証明。北欧から来た素人探偵が暴く怨念と見立ての構図。果して真犯人の心の闇に棲むものとは?復讐するは我にあり。
晩年のクイーンがスタージョンやディヴィッドスンの力を借りて描いた旧約の神がハイランドに降り立つ。高みから唸り声を上げ、遍く力で犠牲者を引き裂き、約束の書を再現していく<彼>。見よ、この騙りの魔術!妖婦の宿の封印が解かれる時、待たされ続けた信徒たちは本格神にハレルヤを詠う。いやあ、久しぶりにミタライらしい話を読んだ。これは快作。さあ、ジャーロの評論家よ、云ってみろ「イギリスでは絶対生まれない小説ですね」。その通り!よくぞ日本に生まれけり!ああ、面白かった。


2002年10月8日(火)

◆雨が断続的に降り続く一日。神保町タッチ&ゴーも、均一ワゴンを封じられ、新橋古本市も青いシートが掛かったまま。仕方がないので、一駅途中下車して定点観測。昭和24年の中野実の貸本が1000円であったがスルー。シムノンに捧げられた推理劇「愚かな女」が函・パラで800円、ダブらせるほどの値段ではないのでスルー。福島正実編の秋田書店のSFえろちっくすの3冊目は未整理につき手がだせず。結局、買ったのは2冊だけ。
「魔神の遊戯」島田荘司(文藝春秋:帯)900円
d「最長不倒距離」都筑道夫(角川文庫)100円
やってしまいました、本格ミステリマスターズを古本買い。角川都筑文庫は1歩前進。
◆ポール・ドハティーがこの12月に出す「The Plague Lord」は、さて一体どのシリーズかと思っていた所、公開されたカバーアートをみると「クビライ・ハーンの法廷を舞台にした」てな文字が見える。うへえ、また新しいシリーズかあ?英米からアレキサンドリアからテーベときて、いよいよ北京かい?ますますドハティーの作品世界は日の没する事なき大帝国の様相を呈してきたような。
◆10月改編ドラマ「アルジャーノンに花束を」の第1話を視聴。ううむ、なんとも痛い話だなあ。知恵遅れの描写をここまでねちっこくやられると辛い。早く脳手術を受けてくれえ。

◆「遠野陶芸の里殺人事件」中津文彦(天山出版)読了
ショート感想。とりあえず売り払う前に読んでおくかと「縄文土偶」以来久しぶりに中津文彦を手にとってみた。こんな話。
遠野で創作に打ち込む3人の新進陶芸家。だが、その里で彼等のパトロンを務めていた画廊経営者が撲殺される。現場に残された「甫七」と刻まれた陶片が物語る動機の真贋。被害者の画廊の常連であった「骨董刑事」加賀美は、岩手県警の友人の要請を受け、事件の裏を追う。だが、新たに被害者がオーナーであった骨董店の店主が殺害されてしまった。失われた遠州伝説に仕組まれた欺きの構図。果して殺しは引き合うのか?それではオープン・ザ・プライス!
つまらんものを読んでしまった。推理小説にもいろいろあるのであろうが、これなぞはさしずめ「食うために書かれた推理小説」の最たるものであろう。単純なプロット、適当なエロ・シーン、強引なキャラ設定、どこを切っても二級品である。だいたい「推理」するところなんか1つもないではないか?中津文彦完全読破を目指す人が読んでおけばよい小説であろう。


2002年10月7日(月)

◆今日はポーの命日でミステリーの日らしい。誰が決めたんだ、こんなの?まあ、とりあえずこれで「折々の密室」は決まりだな。そうかあ、今日がポーがモルグ街の密室で殺され、ミステリ第5作を暗号で記した手紙が盗まれ、兇器が大烏に持ち去られた日かあ(>ちーがーうー)
◆「By Murder's Bright Light」のショート感想で目一杯チョンボ書いていた。不可能趣味が<メリー・セレスト>ネタの人間消失しかないように書いていたが、大嘘である。「留守の邸宅に何の痕跡も残さず忍び込んでは盗みを働く夜盗」という謎があった。二週間かけてちんたら読んでいる間に、記憶から抜け落ちていた。やっぱ、エンタテイメントはさくっと読みたいものである。
◆大雨の中の出社。「月曜日から勘弁してよ」と思ったら、昼からは少し夏がぶり返したような日差し。帰り道は足取りも軽く、途中下車して定点観測。
「南溟に吼える」高橋泰邦(光人社:帯)100円
「文豪ディケンズと倒錯の館」WJパーマー(新潮文庫)100円
「幽霊船が消えるまで」柄刀一(祥伝社ノベルズ)100円
d「遠野陶芸の里殺人事件」中津文彦(天山出版・大陸書房)100円
テレビ放映を祝して(?)高橋泰邦の偽ホーンブロアの2冊目を買ってみる。持ってないのは確かこっちだったよな?
中津文彦はワケありのダブリ。実は、とある中津マニアの方から、ネットで検索して2年前に私が買ったこの本を譲って欲しいというメールを頂戴したのである。まあ、一生読まないかもしれない本だったし、万が一読みたくなっても探究不能という領域の本でもないので、「いいですよ」と太っ腹なところを見せていたのだ。ところが、この本が捜せども捜せども出てきやしない。ROMコンの二次会に向けて別宅にて1年ぶりともいえる大整理をしたにも関わらず、書庫内で行方不明、随分と不面目な思いをしていたのである。というわけで、「いつでも読みたい本が読めるように蔵書しておきながら、いざ必要な段になると自分の本棚を捜すよりも、もう一度買った方が早い」という書斎曼荼羅マーフィーをやらかしてしまった次第。とほほ。まあ、とりあえず結果オーライではあるんだけどさ。
◆と、よしださんの日記を見て愕然。へ?新橋で古本市なんかやってたの?うわあ、雨にしてやられたあああ
◆ミステリーの日に因んだ訳でもなかろうが、朝日新聞の夕刊に有栖川有栖が「本格の灯を守った情熱」と題して鮎川哲也翁の追悼文章を載せている。これがなかなかに気合の入った文章で、特に結句には熱いものが込み上げてきた。曰く

「9月24日、この国は映画における小津安二郎や黒澤明に匹敵する才能を失ったのだ」

然り。この国でアリバイトリックが世界一発達したのは、世界で一番正確に運行される列車と鮎川哲也のお蔭である。追悼「哲」道唱歌はトップページへどうぞ。

◆「名探偵オルメス」カミ(芸術社)読了
最近の読者には「芦辺拓の名探偵Zのタネ本」と紹介した方が通りのよいナンセンス推理コント集。今更ながらの読書だが、なにせ入手出来たのが、今年の夏の伊勢丹だったんだからしょうがない。その程度には入手困難な本なのである。考えてみれば惜しい話で、河出文庫の日下コレクションに第2期があれば別巻カミとして「名探偵オルメス全集」を企画いただきたいものである。この本も本文140頁弱に34編がぎっしりつまった御得用。はっきりいっていちいちコメントするのは面倒くさい以外の何物でもないので、以下お遊び。
オルメス「さて我が輩の快刀乱麻気絶壮絶な冒険の数数御堪能頂けたであろうか?」
献身的なる門弟「勿論です、先生!前半の圧倒的勝利19編の名推理もさることながら特に後半15編、好敵手たる<幽鬼(スペクトラ)>との闘いは手に汗握る好勝負ばかりかと」
オルメス「前半の被害者はみんな巨大な兇器で頭を潰されていたからな。」
献身的なる門弟「は?いや、そのような、、」
オルメス「今、君はメイス(槌鉾)入り、と言ったではないか!」
献身的なる門弟「ぶは、ぶはははは」(悶え苦しむ)
オルメス「ふふふ、かかったな。<幽鬼>君!」
献身的なる門弟、実は幽鬼「ぐははははは、ひいひい、な、なぜ笑いがとまらない」
オルメス「わはははは、今、哄笑ぶと言ったではないかああ、わはははははは」
献身的なる門弟、実は幽鬼「そ、そんな、あんまりな、ぎゃははははははは」
オルメス「そら、トドメだ。これで怪盗とは笑死!」
献身的なる門弟、実は幽鬼「うぐはあ、それはひどいシャレだあ」(絶命する)
オルメス「ああ、名犯人を失った今、探偵は退場すべきなのだ。オーボアール、諸君」
観客「ええかげんにしなさい!」


2002年10月6日(日)

◆半日爆睡して、昼過ぎから図書館へ行く。中世キリスト教関係の本やら、チョーサーの「カンタベリ物語」を借りてくる。本は読んでいるが、いずれもドハティーの理解を深めるための中世イギリス関係の書物のみでミステリの読了本なし。当分こういう状況が続きます。
◆おまけ欲しさに漫画雑誌を1冊購入。
「サスペリア・ミステリ 2002年11月号」(秋田書店)660円
勿論、特別付録の横溝漫画二編(傘の中の女、まぼろしの怪人)のためだけに買う。当分本は買えない筈だったが、こういう本だけはあるうちに買っておかないと臍を噛む事になるので、泣く泣く購入。
◆あとの半日ビデオの整理。なんと5月末からビデオを積録しっぱなしだった事が判明する。私立探偵濱マイクはめでたく12話とも録画できていた模様。とりあえず、富野アニメのオーバーゲイナーとガンダムSEEDの1話を試しに見てみる。オーバーゲイナーは、のっけから凝った設定を碌に説明せず固有名詞が飛び交うお馴染みの富野調で面食らう。ガンダムSEEDは、また別の並行宇宙で1年戦争を最初からやりなおす気配。ガンダムはWウイングを思わせる5体ガンダムにでもなるのかな?


2002年10月5日(土)

◆先週の宴会の後始末で二袋分のゴミ出しに別宅へ。郵便物を確認していると、ガーン、今月はAmazonで買った本の引き落としが一気に来る事が判明!!!やばっ!二ヶ月に分かれるものと勘違いしていた。ぴーんち!!マジでぴーんち!!こりゃあ、日影全集も「幻影の蔵」も当分手が出せないよう。緊縮財政に入ります。当分購入本0冊(だと思う)
◆ううむ、ストラングル成田さんが毎日企画で頑張ってるなあ。「折々の密室」かあ。うちも二回目あたりに「折々のまーだーぐうす」にしようかなと思っていただけに、「やられた感」強し。まあ最低一ヶ月は頑張るつもりだけど、最初は自由に作っていたものが、最近はすっかりマザーグースの替歌になっちゃってるからなあ。ちなみに今貼ってあるのは「ハートのクイーン」ね
◆滅・こぉるさんの檄文は本当に凄い。まず、全然元ネタを知らなかった。わしらの時代ならさしずめアレだな。
「諸君たちの愛した鮎川哲也は死んだ。何故だ!!」
「好々爺だからさ」

◆「By Murder's Bright Light」Paul Doherty(Headline)finished
週一冊原書講読、挫折。ROMコンベンションと二次会の後遺症で二週間もかかってしまった修道士アセルスタン・シリーズ第5作。
で、この間、イギリス史関係の周辺書を読んでいて、初めてこのシリーズの設定の妙に気が付いた。なぜ、この場所、この時代なのかというと、要は1381年にワット・タイラーの乱で知られる大規模な農民一揆が起きて、あろう事か首都ロンドンが叛徒によって制圧されてしまうのである。このシリーズは、その不穏を孕んだ中での市井の人々の日常生活を活写しながら、幼王の信任厚い検屍官クランストンと、貧しい者から絶大な信頼を寄せられる托鉢修道士アセルスタンが、危難に対してどのように振る舞うのかを読者に予想させながら、0時間に向って不可能犯罪の山を築き上げていくのである。おそらく、英国史の教育を受けた者であれば「1378,9年。ロンドン」と聞いただけで、当然のように腑に落ちるのであろう。遅まきながら、その趣向に気づいたので報告しておく次第。もっとも、この作品は、叛徒の謀略ものであった第4作「神の怒り」などとは異なり、専らこの時代がフランスとの百年戦争の真っ最中であった史実を前面に押し立て、英仏を結ぶ航路とテムズ川に血の雨を降らせながら14世紀の<メリー・セレスト号>の謎を綴るのであった。こんな話。

1379年冬、王の検死官ジョン・クランストン卿は侵入の跡を残さず留守の邸宅を荒しまわる怪盗に翻弄されていた。また、神聖劇の準備に勤しんでいた修道士アセルスタンも自らの聖アーコンワルド教会に招かれざる客を迎えていた。ロンドンに赴いていたケント州の荘園主であるヘンリー・オスプリング卿を殺した容疑で追われていたアシュビーなる若者が無実を主張し聖域に駆け込んで来たのだ。クランストン卿の計らいで急場を凌いだアセルスタンは、アシュビーを慕うオスプリング卿の義理の娘エイブリンを前に、卿殺害の真相に迫らんとする。だが、そんな二人に更に厄介な謎が持ち込まれる。それはテムズ川に停泊していた船「God's Bright Light」号で起きた奇妙な人間消失事件であった。その船の船長ウィリアム・ロフェルは、ロンドンを目の前にして船上で病死を遂げていた。そしてその死体を未亡人エマの元に送り届けた夜、娼婦に誘われ上陸した乗組員たちが久々に羽目を外していた頃、「神の灯火」号には3名の留守番が残されていた。一等航海士ブランクルベリーに船員のアレインとクレメント。だが、霧の明方一番に船に戻ってきた船員はそこに誰の姿も発見することができなかった。船には一切争いの跡がなく、ただ彼等の姿だけが消えていた。更にクランストンの戦友で船団を指揮していた提督ジェイコブ・クロウリー卿の証言によって、事件は益々不可解の様相を呈していく。なんと、クロウリー卿らが乗船していた「聖なる三位一体」号と「神の灯火」号は定時に灯篭による暗号を交わしあっており、しかも、その夜、何かが水中に投じられるような水音は一切しなかったと云う。果して、3名の乗組員は如何なる方法で、何処に消えたのか?
更に、オスプリング卿が故ロフェル船長の出資者である事が判明し「神の灯火」号が落す死の影は深まっていく。そしてロフェル船長の死因を確かめるべく、老修道士の治める教会に赴いた二人は、そこで無惨にも喉を切り裂かれ損壊された船長の死体に遭遇する事となる。一体何者が何の意図をもって、元破戒僧にして悪辣な海賊行為で鳴らした船長の遺体を辱めたのか?愛を失った妻エマとその忠実な従者タビサ、ロフェルの愛妾バーニシア、そして、船長のやり口に不満を抱えていた船員たち。やがてオスプリング卿と船長を繋ぐ地図が、アセルスタンたちを英仏に跨る卑しい謀略へと導く。だが、その時、英国に仇なす首魁に率いられたフランスの海賊たちは、ロンドン攻撃に向け密かにテムズ川を溯ってきていたのだ。さ迷える一等航海士、生け贄の娼婦、偽りの銀貨、暗躍する王の密偵、毒殺と刺殺、今、霧の中で、知と謀略の血戦の幕は切って落される!
神の灯火が照らすのは如何なる真相であろうか?

不可能趣味はメリー・セレスト号タイプの人物消失と神出鬼没の怪盗事件。後者はやや掟破りの展開で爽快感はあるが知的満足感は得られないが、前者の謎は、密接にフーダニットと絡んで読者の興味を最後まで引っ張る。アセルスタンと真犯人の対決シーンは、これまでの作品の中でも出色の緊迫感に溢れている。とにかく謎あり戦争ありの大仕掛けな話で、単なる歴史ものとして読んでも充分に鑑賞に耐えるのではなかろうか?相変わらずレギュラーキャラの立たせ方が上手で、今回特に異彩を放っていたのは前作「神の怒り」で登場したテムズ川の「屍釣り」。テムズ川に浮かぶ死体を引き上げて、自殺や他殺の別で料金を稼ぐという商売の親方である。このキャラの不気味さと渇いたユーモアがなんとも光っており、映像化されれば、さぞや画面を攫う事であろう。また今回はカドフェルを思わせる無辜のカップルの愛の顛末もサイド・ストーリーで展開し、女性読者にもサービスしている。個人的には、神聖劇を巡るカーはだしの泥臭いファースがお気に入りで、中でもラストシーンはこれまでのシリーズの中でも群を抜く爆笑もの。ああ、アセルスタン伝説に新たな一頁が。


2002年10月4日(金)

◆大阪日帰り出張。今日は余裕があったので大阪駅前ビルなどを定点観測。
「人魚鬼」城昌幸(講談社ロマンブックス)100円
「狙撃者の光栄」小林勝(パトリア書店)200円
「眼と眼が」Dペンドルトン(早川ミステリ文庫)100円
「金色の老人と喪服の時計」Jプレヴェール(大和書房:帯)500円
「インディ500の謀略」ラリー・ケニヨン(立風書房)200円
城昌幸は勿論、守備範囲外の時代物「若さま侍捕物手帖の内」ではあるが、古いロマンブックスとあれば、拾いたくなるではないか。100円だし。「狙撃者の光栄」というのは、何が何だか判らん本。ううむ共産党系の本みたいです。プレヴェールは映画「天井桟敷の人々」を作り「枯葉」を作詞したフランス詩人の作品集。童話も入っているというので買ってみた。既に後悔してたりして。本日のプチ血風はカーレーサーでスパイのドン・マイルズを主人公にしたシリーズ第3作。実は、てっきり2作で終わりと思い込んでいたので、見つけた時には我が眼を疑った。丁度、刑事コジャックの第6巻を見つけた時の驚きと同じ。オマケに第4巻と称して「悪魔の輪(リング)」という作品が梗概つきで予告されてるではないか!!参ったねえ。ううむ、この辺りのシリーズって密かに歴史の闇に埋れているから一体何巻出ていたのかが判然としないんだよなあ。と帰宅してから国会図書館で調べてみると、第4巻はヒットせず。とりあえず、ドン・マイルズ・シリーズ、コンプリートを宣言しておこう。

ごーーーーる!!
今、勝利のチェッカーフラッグが振られております!
やりましたあああああ!!

でも、絶対読まないと思う(ぼそっ)。

◆「人形は笑わない」はやみねかおる(講談社青い鳥文庫)読了
夢水清志郎シリーズ第9作。後書きを読んで、作者が小学校教諭の職を辞していたのを初めて知った。おお、もう1年以上、筆一本で食っていたのかあ。そりゃあ、大変だなあ。で、幕末を舞台に日本の歴史そのものに関わる大活躍をしたり(このあたり「修羅の刻」のノリですな)、パスワードの連中と競演した夢水探偵、本作ではピンで<人里離れた山奥の村>の殺人事件に挑む。こんな話。
三つ子の長女・亜衣が部長を務める文芸部、なぜか成り行きで映画撮影をする羽目になる。監督・脚本を引き受ける亜衣の彼氏レーチ、レーチを尊敬する剣の達人一ノ瀬匠、レーチを慕う美少女・千秋、クールなパソコン少女・美琴たち文芸部一行が「名探偵夢水清志郎の謎解き(うまいもの)紀行」に便乗して向ったのは、呪われし人形の塔。真っ黒に塗潰された壁、居並ぶ等身大の人形たち、ある階では笑い、ある階では怒り、そして最上階では表情を凍らせる彼等。かつてその塔では、村興しを目論んだ事業家が転落死を遂げ、天才的な人形師であった若き当主もまた閉じられた部屋の中で斬殺されたのだという。折り重なるようにして倒れていた人形たちは、その作者とともに殉死したのか?果して、一行がクランク・インした夜に、肝試しの肝を縮みあがらせる事件が起きる。なんと、伝説そのままに、9体の人形たちが蝋燭の灯りとともにさ迷い歩きだしたのだ!豊かな自然、優しい村人、そして邪悪の蠢き。今、名探偵は山菜料理を貪り食らう。
幾つかの謎があるが、いずれも初期作の切れ味に欠ける。トリックメーカーとして独自のジュヴィナイル路線を切り拓いてきた作者も、そろそろネタ切れの予感。キャラの立て方は相変わらず上手いのだが、どうもミステリとしての構成が緩い。少し書き急いだのであろうか?また、ミステリ映画や推理小説ネタの「蘊蓄」も何やら作者の趣味のパンピーぶりを亜衣が代弁しているようで痛々しい。ファンはついていくであろうが、この作品ではやみねかおるに初めて出会った人は「たいして面白くないよお」と推理小説から離れていきかねないのでは。ファンはどうぞ。


2002年10月3日(木)

◆昨晩の話。テレパル買いそびれの後遺症で、しっかり「迷路荘の惨劇」を録画し損なう。なんで8時からやるかな。ネットをふらふらしていると、比較的評判がよかったようなので残念無念。実は、9時過ぎにチャンネルを合わせて、のっぺりとしたビデオ収録の画面だったので「ま、いっか」と割り切ったつもりだったのだが、好意的な評が多いのでだんだん悔しくなってきたぞお。ううむ。
でも、録画したからといって見ないんだよなあ。古谷一行の「水神村伝説殺人事件」(古井戸はなぜ軋る)も積録状態だもんな。くやしくなんかないっ!、、、か?
◆というわけで一週間、買いそびれていたテレパルを買う。「ありゃあ?なんか違わんか、これ?」と良く見たらこれまでの隔週刊16日分番組表雑誌が全面的に模様替えして月刊35日分番組表雑誌に変身していた。うっひゃあ、そうか、そうなのか。こういう雑誌も習慣のものなので(実は10年分ぐらい捨てずに取ってあるのだ。そりゃあ、場所喰うわ)ここまで変わるなら別の雑誌に乗り換えてもよかったかにゃ?
◆新刊1冊。
「SFマガジン 2002年11月号」(早川書房)
昨日寄った本屋では、売っていなかったSFM最新号。HMMがあってSFMがない本屋というのは珍しい。その逆なら幾らでもあるんだけどね。今日これを買った本屋もそのパターン。一体どの程度部数に開きがあるのか聞いてみたいところ。
「SFミステリ再考」はパンチ不足。「こんなの聞いた事もねえ!」というような奇書の類いが一切ないし、未訳のスタンダード作(Curme Grayの「Murder in Millenium VI」とか)の紹介もない。ホックのコンピュータ検察局を語るのであれば、第3作「コンピュータ検察局対フランケンシュタイン」は「私のすべては一人の男」+「そして誰もいなくなった」的な設定が楽しいと思う。古典中の古典であるアンダースンの「審判の日」(地球殺しのホシ探しの話ですな)やら「M.G.H」の先駆たる谷甲州の「36,000キロの墜死」が抜けているのも不可解。 更にいえば、キャプテン・フューチャーだって、ラッキースターだって、スパイダーマンだって、結構「意外な犯人」にこだわっていたりするので、2行程度でもいいから触れて欲しかった。
トンデモ系では、ロバート・ブロック脚本の宇宙大作戦「惑星アルギリスの殺人鬼」なんかは、個人的には相当にゲテもんで愛すべきSFミステリだと思うんだけど、どうよ。あと、田中文雄の竜神戦士ハンニバルでは、剣と魔法の世界でフーダニットをやろうとしてずっこけてるのが笑えるとかさあ。とりあえず、選者は新しい方は目配りできるんだから、背中に苔の生えた逆密室のメンバーに「私の隠し玉」を1冊ずつでも持ってきてもらうべきだったんじゃないかな?
◆定点観測で古本買い。
「アスワン」Mハイム(早川ノベルズ)50円
d「時のさすらい人」Wコツウィンクル(早川書房)50円
d「幻のテンカウント」鮎川哲也編(講談社文庫)60円
「死の罠」アレン・シャープ(マガジンハウス)100円
「人形は笑わない」はやみねかおる(講談社青い鳥文庫:帯)200円
「八つ墓村(上・下)」横溝正史・影丸譲也(講談社コミックス)計400円
コツウィンクルは最も入手容易なハードカバー。50円なら買いでしょう。マガジンハウスの「死の罠」は薄っぺらなゲームブック。一応ミステリ仕立てなので拾ってみる。こんな本、出ていた事も知らなかった。「八つ墓村」は文庫版が出てしまったが、やっぱりこの版の上・下巻でも持っていたいやね。
◆帰宅して「世にも奇妙な物語」をリアルタイム視聴。フカキョンのSFと木村佳乃の小説家ネタには結構驚かされた。「声を聞かせて」などというマイナーな原作を拾ってくるところはさすが「世にも奇妙な」スタッフ。原作を上手く映像化していて吉。佐藤浩一の話は叶美香の巨乳に目が釘付けで他はどうでもよくなってしまった。結局、最も鳴り物入りで宣伝されていた紀香さまのお話が一番凡庸だったかも。似た設定は浅野ゆう子で一度放映されているからなあ。

◆「インベーダー2/宇宙からの侵略者」Kローマー(早川SFシリーズ)


2002年10月2日(水)

◆台風の余波で朝のダイヤが変更になり、いつもの通勤快速が各駅停車の快速と化し、大混雑。肉と肉に挟まれながら身体を捩るようにして読書。こういう日に限ってハードカヴァーを持って出ているのだから厭になる。通勤で消耗したせいか、会社に着く頃から鼻風邪の諸症状が爆発。昼過ぎには半病人になり、鼻水止めを飲むと今度は立派な「生ける屍」状態。ああ、「眠りと死は兄弟」なのである。「眠りと死は強大」となると、聖闘士星矢のハーデス編である。アニメ化されるという話を聞いたような気もするのだが、一体どうなってしまったのであろうか?
◆ジグソーさんに送金。
◆残業後、会社傍の新刊書店と古本屋を一店ずつチェック。
「若旦那三四郎」城戸禮(春陽文庫)100円
「ハヤカワミステリマガジン 2002年11月号」(早川書房)840円
城戸禮1冊でも、なんとなく気分が晴れるというのは、大人になった証拠であろうか?それとも、駄目な大人になっちゃった証拠であろうか。HMMはデイーヴァー特集。「ボーンコレクター」だけが題名として刷り込まれていたが、早川ミステリ文庫からこんなに出ていたのか、とビックリ。最近の作家を如何に読んでないかを思い知らされる一幕。あとは、予告通りアリンガムの中編分載が始まっているのを確認。来月号は来日の当て込んでのマクベイン特集。昔はHMMの12月号には、翌年刊行される87分署の中編バージョンが載ったものだよなあ、と思い出す。

◆「八月の博物館」瀬名秀明(角川書店)読了
藤子作品へのオマージュ溢れるノスタルジックな自分語り小説。「物語」の入れ子細工も美しい永遠の夏の思い出。まんまと悩める作者像に感情移入されられた。


2002年10月1日(火)

◆首都圏としては戦後最大級の台風来襲に10月1日ならではのニュースがすべて吹き飛ばされる。雨に弱い京葉線がライフラインの幕張メッセも昼過ぎから浮き足立っていた。今回の台風の進路は、遥か南洋から東京湾ストライクコース。なんだかゴジラを思わせる。帰りの電車が大混雑で本も読めやしない。勿論、購入本も0冊。気が付くとHMMもSFMも買えていなかったりするではないか。甚だしきは、先週水曜日発売のテレパルすら買えてないんだもんなあ。で、本屋にも古本屋にも行けてないのに、なんで本が増えるかな?

◆「オクトパスキラー8号」霞流一(アスペクトノベルズ)読了
動物ネタドタバタ笑劇B級グルメ不可能犯罪ミステリの第一人者である著者の第5作。まあ「動物ネタドタバタ笑劇B級グルメ不可能犯罪ミステリ」というカテゴリーにいるのはこの人ぐらいなので「第一人者」で文句あるまい。111.1m競争の世界記録保持者のようなものですな。で、今回のモチーフは蛸。第8作に持ってきたかったのではなかろうか?と邪推したりもするが、まあ、そこまでの余裕はないようである。この作品では更に、作者の心の故郷ともいえる「お笑い」の世界が作品の舞台になっており、それなりの思い入れも感じられて吉。こんな話。
浅草にほど近い藻呂黒町で小屋を張る<没落亭>、もとい<牧楽亭>では、今日も三流の舞台芸人たちが、玄妙にしてお粗末な芸を披露していた。ひょんな事から彼等に関わってしまった床山刑事は、やがて蛸に纏わる連続見立て事件(殺しもあるでよ)に巻き込まれる事となる。最初の蛸な事件は、人間楽器の宙吊り八絵馬添え。引き続き、砂上のマネキン人形殺人事件・犬神家の一族風がアレンジを換えて再演される。捜査に乗り出したのは国民的タレント議員で自治大臣も勤めた怪人・駄柄善吾。その豪快にしてなんでもありの捜査(妨害)に床山の神経は切り苛まれる。しかし彼等の捜査をせせら笑うように、タコ尽くしはエスカレートし、遂には、変調二人羽織頭突き仕上げ&密室のセクハラ守銭奴刺殺事件が勃発する。ペットボトルで来襲する火星人、躍る黒い箱、どこをみてもタコ、タコ、タコな三流な人々のタコ事件の真相とは。読者よ、墨仕立ての画竜点睛に驚け!
この話、普段の霞作品にもまして、なんとも切れ味の悪いギャグが炸裂するが、ここは「あえて面白くなさを演出する」という非常に危険で高踏的な手法と評価しておこう。奇天烈な状況の殺人の解法といい、全体のタコ尽くしの絵解きといい、ミステリとして一定の水準をクリアしており、更にクイーン級の「トドメの一撃」が利いていて唖然とさせられた。ただ、この趣向をやりたいがために、プロローグで語り始めた筈の床山がどこかに行ってしまったのはバランスを失しているように感じた。つまらんギャグに耐えられる体力に自信のある人はどうぞ。